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10012セイクリッド・ブルー第四部(4)istint2/13 4:15:376056cfbADnT6Dfsf2
前回までのお話 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-9617.html

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「将軍!
 伝令です!」

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砦の守護を任されていたシェリフェルのもとに兵士が駆け込んできた。
先の小競り合いの後、敵の闘争心は彼の悪魔のような戦略によって完全に折れてしまったはずだった。

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「…だとすると…援軍か。」

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シェリフェルは兵士の言葉を聞く前にポツリ、と漏らした。
兵士はブルッと身震いをする。
自分の上官ながら神か悪魔のような洞察力、ただ残酷なように見えて計算されつくした戦略。
そして教団きっての戦闘能力。
何よりも彼の常人には到底理解できないような気まぐれとも取れる行動が彼を震え上がらせるのだ。
普段はニコニコ涼しげな顔をしているが、目的の為ならどんな命を奪う事にも躊躇わない、この男が怖かった。

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「フフフ…当たったようだね。
 予想よりも随分早くに到着したじゃないか。
 さすがは軍事国家サリエナだね、余程いい軍師がついているのかな?
 で、敵の兵力は?
 本国から艦隊でも引き連れてきたのかい?」

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シェリフェルの予想は半分当たっていた。
しかし艦隊の方はまだ到着していない。
援軍に現れたのはサリエナのデトラン将軍の軍だった。
デトランは高い古代技術力を擁するサリエナで唯一の皇帝直下陸軍「ジェノサイダー」と呼ばれる部隊の将軍だった。
ジェノサイダーは若いうちから陸軍の悪夢のような厳しい訓練を受け、実戦で戦績を残し、士官にまで上り詰め、更に近衛部隊、航空部隊、科学技術局、法務局、皇帝などの各部隊、省局から承認を受けて初めて名乗る事が許される。
陸軍のエリートなのだ。
シェリフェルも彼らの噂は聞いたことがあった。

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しかし、彼が危惧しているのは陸軍ではなく、空軍だ。
陸軍がいかに強力だとはいえ、人間である以上は砦を落とすのには時間が掛かるだろう。
しかし、空軍、しかもサリエナの無敵艦隊が大軍を率いて現れればその火力で砦はおろか、ルナグディ自体殲滅されかねない。
流石にシェリフェルも一人で艦隊を相手にするには分が悪い。
ルナグディなどどうなってもいいが、任務に失敗しては十神老の思う壺だ。
恐らくあの老人たちはこうなる事を予想してシェリフェルを陥れたに違いなかった。
シェリフェルもバカではないのでそこまでは考えていた。

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ただ、艦隊の規模がどれほどなのか。
そして彼には休息が必要だった。
まだ核力も魔力も半分ほどしか回復していない。
「状況はわかった。
 無駄だと思うけど教団に援軍を要請してくれ。
 それから、団長たちに伝えておいて。
 僕に消されたくなければ死ぬ気で時間を稼げ、とね。 
 さあ、出て行ってくれないか。
 僕は酷く疲れているんだ。」
兵士はホッとしてそそくさと部屋を後にした。

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教団の本部は騒然としていた。
カーティス将軍はグランデュールの治安を取り戻す為に出て行ったし、ソロネ将軍とセルレイス元帥も本部にはいない。
そこに舞い込んだ知らせは、シェリフェル将軍からの援軍要請だった。
兵士たちは口々に戦況を話し合う。
中にはシェリフェルを恐れて援軍を出さないでおこう、という過激な発言をする者もいた。

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現在基地にいるのはマジェリッド将軍だけだった。
彼は大群を相手にする場合は強力な魔法部隊を持っていたのでこの任務には打ってつけだった。
しかし、元帥のいない基地では臨時で十神老が軍の実権を握る。
彼らはマジェリッドに出撃の命令を出さなかった。
聖蒼教団の強力な要塞はたとえサリエナの新型艦が大軍で攻めてきても攻め落とされることはないだろうと睨んでいた為だ。

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それぞれの思惑が巡る基地に、一人の男が現れた。
五聖将軍のムラサメ将軍だ。
彼は他の将軍のように鎧などは身につけず、ただ前併せの着物を着ているだけだった。
腰には下弦乃皇閻と呼ばれるズパングに伝わる宝刀を差している。
顎には長い真っ直ぐの髭を蓄えており、常に目は閉じたままだった。
彼は教団内でもズパング攻略特別指揮官という下命を受けており、常に海外へ行っていたため多くの者は彼の事を知らなかった。

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彼には謎が多かった。
同じ五聖将軍達の中でも彼に会った事があるのはマジェリッドとカーティスのみだった。
そんな彼が突然基地に帰ってきたことで騎士団は幾分平静さを取り戻し、またわずかな期待と不安を持って将軍を見るのだった。

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ムラサメとマジェリッドは十神老に呼び出された。
十神老のいる部屋は何重もの隔壁で厳重にロックされ、彼らの許可が無ければ元帥とて自由に出入りすることは出来ない。
周囲には十神老直下の処刑執行部ジュディケーターが警備をしている。
内部で何が話し合われているのかは誰にも判らなかった。
ムラサメとマジェリッドが十神老のいるであろう部屋に入った。
大きな階段の上からは巨大な気配がする。
将軍といえど、緊張を隠せない。
十神老はいつも声のみで命令を伝える為、その姿を見た者は誰もいない。
重々しく彼らの声が響く。

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「ムラサメ、戻ったか。
 ”アレ”は手に入れたのか?」
ムラサメは恭しく顔を上げて答えた。
「はっ、絶の奥義は手に入れ申した。
 下弦乃皇閻の能力を最大限引き出せまする。」

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「では、もう例の計画を実行に移せよう。
 シェリフェル、カーティス、ソロネ、そしてセルレイス…。
 我々はこの世界に君臨する巨大国家をつくりあげるのだ。」

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ムラサメとマジェリッドは立ち上がると、キビキビ敬礼をし、部屋を後にした。

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「フフフ…行ったか。
 五聖将軍の芸術的ともいうべき素晴らしい肉体を我等のものに…
 そして永遠にこの世界に君臨するのだ。」 
「そうだ、我々十神老が永劫人々を導いてやらねばな。」
「それより、サリエナの艦隊はどう収集をつけるつもりだ?」
「…アレを発動すれば問題あるまい。」
その数日後、マジェリッドとムラサメはルナグディへと向かう。

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デトラン将軍の軍は強力で、シェリフェルを欠いたルナグディ軍は苦戦を強いられていた。
元々数で劣るルナグディ軍は、徐々に後退を余儀なくされ、戦死者も増えていく。
シェリフェルは自分の部屋に篭ったまま出てこない。
兵士たちの間に不安が巻き起こる。
そして、二日後ついにデトランが砦のすぐ側まで攻めてきて兵士たちに投降を呼びかけた。

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「ルナグディの勇者たちよ!
 お前たちは良く戦った!
 降伏すれば命は助けてやろう!」

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その呼びかけに疲弊しきっていた兵士が動揺する。
投降するものが出てきそうな雰囲気が出てきた。
が、その時砦の高台にシェリフェルが現れた。
彼の側には一人の兵が手を縄で縛られて立っている。
兵士の顔には絶望の表情が浮かんでいる。
シェリフェルはいつもの芝居がかった仕草で自軍の兵に呼びかけた。

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「投降するものはすればいい。
 ただし、この僕から逃れられればだが。」
彼は怯えてもがく兵士を高台から放り投げ、それに向けて雷撃を放った。
地面には黒炭と化した兵士の遺体が横たわる。

istint2/13 4:21:386056cfbADnT6Dfsf2||294
「フフフ…ハハハ!
 デトラン将軍、このような偏狭の地へようこそ。
 御もてなしが遅れて申し訳ない。
 これからグラスをあなたとあなたの大切な兵士の血で満たしてあげるよ。」

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デトランは構わず弓兵に合図を送った。
するとシェリフェルに向けて一斉に矢が射ち込まれる。
矢はシェリフェルに当たる前に雷撃で迎撃されて燃え尽きた。
が、そのすぐ後にデトランが放った槍がシェリフェルの顔面目掛けて物凄いスピードで飛んでいく。
弾丸のような槍をシェリフェルは片腕で受け取ると、ガランとその場に転がした。
槍は数秒後、灰になって風に吹かれた。

istint2/13 4:22:256056cfbADnT6Dfsf2||632
シェリフェルは右手を高々と掲げると、その掌から巨大な閃光を放った。
デトラン率いる軍の丁度中央辺りでその閃光は爆発し、一瞬にして多くの人間が命を落とす。
デトランは二刀流でシェリフェルに挑みかかる。
左右から繰り出される凄まじい勢いの連撃にシェリフェルは思わず後退する。
刃に溜めた核力を二発放つと、シェリフェルの後方の巨大な柱が崩壊し、瓦礫の山がシェリフェルに降り注いだ。
あっという間にシェリフェルは生き埋めにされ、部隊は益々混乱する。
デトランは強かった。
先進兵器国家と言われるサリエナに生まれて尚、剣一筋に技を磨き続けてきたのだ。
それも、皇帝一族を守るためだけに。

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「それで終わりでは無かろう!
 瓦礫の下から我が身を裂くような殺気が流れてきておるわ!」

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次の瞬間、瓦礫の山が吹き飛び、埃の中からシェリフェルが現れた。
驚くことに彼の身体には傷一つ付いていない。

istint2/13 4:22:556056cfbADnT6Dfsf2||331
「フフ…さすが、一国の将軍を名乗るだけあるじゃないか。
 でも所詮は小国の将軍に過ぎないね。
 生きたまま皮を剥いで上げるよ。」

istint2/13 4:23:56056cfbADnT6Dfsf2||972
デトランは全く動じずにシェリフェルに斬りかかる。
鋭く早い攻撃は相手がシェリフェルで無く、他の相手ならば到底耐え切れるものではない。
シェリフェルですら、剣一本では捌ききれなくなってきている。
そして、デトランが左右から同時に交差するように放った一撃がシェリフェルの剣を折った。
止めを刺そうと鋭く喉を突いたが、何か金属的な音を立てて剣が止まる。

istint2/13 4:23:166056cfbADnT6Dfsf2||34
「フフフ…本当に強いじゃないか。
 我が教団にも君ほどの使い手はそういないよ。
 君と純粋に剣で渡り合えるのはカーティス将軍くらいかな。
 でも相手が悪かったね…フフフ。」

istint2/13 4:23:366056cfbADnT6Dfsf2||354
デトランは剣に力を込めたが、ビクともしない。
そして何も無かった空間から黒い瘴気が吹き出してきた。
その暗黒の空間から禍々しい気を放つ一振りの剣が召喚される。
シェリフェルの剣、魔候の爪だ。
それは名の通り、剣というよりも巨大な魔物の爪のような形をしている。
オリジナルの生体金属兵器の一つだ。
(生体金属の武器の多くは、元々存在していたオリジナルを元に、古代人の科学力で作り上げられたもの。)

istint2/13 4:24:176056cfbADnT6Dfsf2||425
「僕の力は温存しておきたいんでね。
 この魔候の爪でお相手しようか。」
シェリフェルが軽くそれを振るっただけでデトランの巨体は大きく弾き飛ばされた。
しかし、デトランもクルッと空中で態勢を立て直して剣を構えなおした。
「…生体金属か、厄介なものを…。」

istint2/13 4:24:336056cfbADnT6Dfsf2||467
魔候の爪はギリギリ音をたてながら本当に生き物のように形状を変化させる。
まるで血を欲しているかのように。
シェリフェルが次の一撃を加えようとすると、大気がわずかに震えた。

istint2/13 4:24:426056cfbADnT6Dfsf2||969
軍団長が大声で叫ぶのが聞こえてきた。
「シェリフェル将軍閣下に急報!!
 サリエナの大艦隊が確認されました!!」

istint2/13 4:24:586056cfbADnT6Dfsf2||219
シェリフェルは振り上げた剣を収めると、舌打ちした。
遥か向こうの空が艦隊の影で黒く塗りつぶされている。
既に爆撃は始まっており、徐々にその砲撃はこちらに向かってきていた。
ルナグディ軍は古代兵器の研究には後進国だったが、古くからグランデュールに並ぶ強国と呼ばれていた。
急ピッチで進められた研究、開発によってようやく飛空戦艦を作り上げたのだった。

istint2/13 4:25:106056cfbADnT6Dfsf2||290
しかし、ルナグディの技術では重いものを浮かせる為の重力装置を開発できなかったので、全て木製のボディだった。
これでは誰が見てもサリエナの最新型に対抗するのはとても無理だった。
ルナグディ本国からようやく送り込まれてきた増援部隊はみるみるうちにサリエナ艦によって撃墜されていく。

istint2/13 4:25:276056cfbADnT6Dfsf2||507
「チ…思ったより早かったね。
 こちらは役に立たない玩具ばかり、か。」
サリエナ艦から真っ赤に燃える閃光がこちらへ向けて発せられた。
空気を震わせ、ルナグディ艦を貫通してなお、勢いを失う事は無い。
シェリフェルは飛び上がると、巨大な歪空間を一瞬にして作り出し、その閃光を平らげた。
次々飛び交う砲撃を彼はその卓抜した魔力で吸い込み続けた。

istint2/13 4:25:356056cfbADnT6Dfsf2||522
「これじゃあ、キリがないね。
 こっちも攻撃しないとね。」

istint2/13 4:25:476056cfbADnT6Dfsf2||812
シェリフェルは剣に魔力を込めてブンブン振り回した。
すると剣の軌跡を縫うように不気味な暗黒空間が現れる。
あっという間にその空間は戦艦一つ飲み込む程の大きさになった。
シェリフェルが剣を敵の部隊に向けて勢いよく振ると、暗黒空間から黒い稲妻が空が真っ白に染まるほどの勢いで放出した。
その稲妻の直撃を受けた艦はシールドを破られ、爆発を起こして無残に砕け散った。

istint2/13 4:26:76056cfbADnT6Dfsf2||19
シェリフェルは自ら時空転送の穴に入ると、敵の旗艦に乗り込み、内部から破壊活動を行った。
突如現れた殺人鬼にサリエナの航空部隊は混乱し、全く対応できなかった。
強力な火力を誇る航空部隊は兵器類の扱いには精通していたが、剣や格闘はからきしだったのだ。
サリエナは強力な地上部隊を持っていたので、彼らはそういった訓練はする必要が無かったのだ。
シェリフェルはコックピットへ向かうと、操縦桿を操作し、進行方向をサリエナ艦隊の方へと向けた。
そして艦内のあらゆる場所に魔力で作った爆弾を仕掛けると、また違う艦へと乗り移った。

istint2/13 4:26:186056cfbADnT6Dfsf2||911
次々乗っ取られて原因不明の爆発を起こす艦。
しかもそれは味方の艦を巻き込もうとするかのように進行方向を変えてくる。
形勢はまだサリエナ優勢だったが、わずかにルナグディにも流れが戻りつつあった。
サリエナの旗艦にはあの占い師が軍師として搭乗していた。
彼はいち早く事態の変化に気付いて次の命令を下した。

istint2/13 4:26:376056cfbADnT6Dfsf2||275
「砲台長、次に救難信号を出した艦があれば速やかに撃ち落せ。」
砲台長は一瞬自分が何を命令されたか理解できなかった。
味方の、しかも助けを求めている船を撃ち落すなんて…。
「ククク…恐らくは相手はあの聖蒼教団きっての悪童、シェリフェルだ。
 救難信号を出した船には必ず奴がいるはず。
 被害が拡大する前に撃ち落せ。」
軍師はシェリフェルが持つ狂気の中に隠された緻密な計算と優れた戦力を見抜いていた。

istint2/13 4:26:506056cfbADnT6Dfsf2||685
そして新たな被害の報告が入る。
救難信号を受信したのだ。
「心配するな、あの艦の乗組員は既に全滅している。
 相手は一晩で一つの町の住人を皆殺しに出来る男ぞ。
 もう生きてはいまい。
 さあ、被害が拡大する前に奴を仕留めろ!」

istint2/13 4:27:46056cfbADnT6Dfsf2||188
命令どおり、各艦に搭載された強力な砲が火を吹く。
まだ艦で工作を行っていたシェリフェルもこれには流石に驚いた。
「フフフ…あっちにも少しは頭の切れる奴がいるみたいだね。
 こんなに早く対応されるなんて…」
急いで船から脱出したが、そこにもすかさず砲撃が加えられる。

istint2/13 4:27:146056cfbADnT6Dfsf2||52
一気にシェリフェルは防戦一方となった。
しかし、彼は逃げ回っているだけの男ではない。
天才的な頭脳で次の手を考えていた。
そしてあらゆる角度からの分析で彼は一つの結論に達した。
それは彼にとっても喜ばしくは無い結論だった。

istint2/13 4:27:236056cfbADnT6Dfsf2||496
「ふう…あの迅速な対応、そしてレーダーが付いているとはいえ執拗に僕だけを狙える精度の高さ…。
 裏で糸を引いてるのはやはり…。
 フフフ…では化けの皮を剥いでごらんに入れますか。」

istint2/13 4:27:356056cfbADnT6Dfsf2||874
シェリフェルは極大の転送空間を自分の周囲に展開し、魔候の爪を空にかざした。
空は黒くにごり、雲が物凄いスピードで渦を巻く。
その渦の中心に巨大な瞳が現れた。
「さあ、魔候の心眼の前に全てを曝け出すがいい!」

istint2/13 4:27:496056cfbADnT6Dfsf2||687
その目が空中に現れたと同時にサリエナの軍師が苦しみ出した。
息を荒くし、全身から汗を流していた。
そして遂に両手を地面についてもがき出す。
「う…うがあぁぁぁ!
 お…おのれ…まさかこれ程の魔力を秘めておるとは…ぐぎゃあああ!」

istint2/13 4:28:26056cfbADnT6Dfsf2||584
軍師の苦しみが最高潮に達した瞬間、とんでもない光景が目の前に繰り広げられた。
彼の身体はどす黒い緑色に変わり、見る見る膨張していく。
背中からはこうもりのような羽を生やし、口からは鋭い牙が覗いていた。
マインドコントロールが解けたのか、皇帝も驚いた様子でそれを凝視していた。
あっという間に軍師は巨大な醜いドラゴンと化し、艦の天井を突き破って咆哮を上げた。

istint2/13 4:28:206056cfbADnT6Dfsf2||434
「ゴオオ!
 若造がぁ…よくもこの俺の正体を見破ったな!
 まあよい、こうなればこの姿でお前を八つ裂きにして闇の鎖で永劫縛り付けてくれようぞ。」

istint2/13 4:28:386056cfbADnT6Dfsf2||271
シェリフェルは魔候の心眼を還すと、ドラゴンの前に降り立った。
「フフフ…サリエナ国の皇帝陛下、お初にお目にかかります。
 これから私めがこの醜悪な国賊を討ち取ってごらんに入れまするのでご安心を。
 フフ、なあ、闇ソーサラー「アスモデ」」
シェリフェルはゆっくりとその剣を闇ソーサラーへと向けた。

istint2/13 4:28:536056cfbADnT6Dfsf2||944
そう、巨大なドラゴンは闇ソーサラーの真の姿だったのだ。
「フフフ、でかい図体して国を乗っ取ろうなどと姑息なまねをするから早死にすることになる。」

istint2/13 4:29:26056cfbADnT6Dfsf2||720
アスモデはガラガラと、吼えるように笑った。
「グハハハハ、貴様ごときがこの俺を倒すだと!?
 笑わせよるわ!
 エラドの小間使いに過ぎん貴様の身の程を思い知れ!」

istint2/13 4:29:216056cfbADnT6Dfsf2||510
アスモデは口から紅炎を吐き出した。
シェリフェルはヒョイと飛びのくと、アスモデに斬りかかる。
彼の剣はアスモデの肩に命中したが、固い鱗に跳ね返されてしまった。
流石のシェリフェルもコレには舌を巻く。
最大出力で振るえば山の一つも吹き飛ばす魔候の爪が弾き返されるとは、どうしたものか。

istint2/13 4:29:306056cfbADnT6Dfsf2||185
しかしシェリフェルは思考すると同時に次の一撃を放っていた。
得意の雷撃系の魔法だ。
アスモデは再び息を吸い込むと今度は火球を連続で口から吐き出した。
雷撃はかき消され、シェリフェルは慌てて飛びのく。
常に防御フィールドを展開しているというのにも関わらず、火球が横をかすめ通っただけで頬が焼けそうだった。

istint2/13 4:29:386056cfbADnT6Dfsf2||457
「流石は闇ソーサラー…簡単にはいかないか。
 ちょっと予想外だな。
 剣も魔法も全く通じないなんて。」

istint2/13 4:29:586056cfbADnT6Dfsf2||999
彼らが少しぶつかり合っただけで巨大な艦はあちこちで故障を起こし、徐々に墜落していきそうだった。
シェリフェルがチラッと横目で確かめると皇帝は配下に連れられて脱出したようだった。
その皇帝は救命艇からその戦いを見守っていた。
既にルナグディとサリエナの両軍も戦闘をやめ、その戦いを固唾をのんで傍観していた。
デトラン将軍も空を仰いでつぶやく。
「軍師が闇ソーサラーだったとは…
 しかし五聖将軍とはかくも剛のものなのか。
 認めたくないがあの若造に賭けるしかないのだな。」

istint2/13 4:30:106056cfbADnT6Dfsf2||747
アスモデは休めることなく火球を吐き出してシェリフェルを追い詰める。
その火球の一つが遂にシェリフェルに直撃した。
が、シェリフェルはその炎を魔候の爪に取り込み、自分の魔力を上乗せして弾き返した。

istint2/13 4:30:276056cfbADnT6Dfsf2||974
「魔候の爪…開放!」
シェリフェルが魔力を込めて開放コードを読み上げると、魔候の爪は更に禍々しい姿に変貌を遂げ、凄まじい闇の気を放ち出した。
それと同時に彼自身も闇のオーラに包まれる。
その状態でアスモデに再び斬りかかった。
今度もアスモデの太い前足の爪でで剣を受け止められたが、船が衝撃に耐え切れず、アスモデの足場は一気に崩れ去った。
アスモデはそのまま地面にむかって墜落していく。

istint2/13 4:30:476056cfbADnT6Dfsf2||276
「フフフ…止めだ!」
シェリフェルは魔候の爪に密度の高い核力を注ぎ込み、剣の形状を鋭くとがった槍のように変化させた。
国一つが吹き飛ぶほどの核力が注ぎ込まれると、それをアスモデ目掛けて全力で投げた。
落下点を中心に局地的な地震がおきて、闇のエネルギーが解放されて黒い大爆発を起こした。
しかし、爆発は周囲に広がる事は無く、黒い光が円柱状に天に向かってのびていっただけだったので、周りの兵たちは無事だ。

istint2/13 4:30:566056cfbADnT6Dfsf2||200
黒い霧が晴れると、地面には深い穴が開いているだけだった。
「ククク…ははは!
 茶番はそこまでにしてさっさと姿を現せ!」

istint2/13 4:31:86056cfbADnT6Dfsf2||100
シェリフェルが怒鳴ると、穴の中から真紅の太い光線が吹き出し、アスモデが姿を現した。
光線はやすやすと飛空艇を何隻か貫通し、爆発させた。
「ふう、まだまだ元気そうだね…。
 どっちが先に倒れるかな?」

istint2/13 4:31:316056cfbADnT6Dfsf2||813
アスモデはブルブルっと身体を震わせると翼を広げて空へ飛び上がった。
そして、次々と飛空艇に体当たりをして破壊行為を繰り返す。
無残にも飛空艇はアスモデの体当たりに抵抗する術も無く破壊されていく。
砲撃を加える艦もあったが、反応弾並みのスピードで飛び回るアスモデを捕らえることはままならなかった。
だが、なぜアスモデがシェリフェルを無視して空を飛び回っているのかはシェリフェル自身にも不可解だった。
シェリフェルはアスモデの隙をついて、魔候の爪を拾うとブツブツ呪文を唱え出した。

istint2/13 4:31:496056cfbADnT6Dfsf2||559
基本的に、魔法の威力は呪文の詠唱時間が長く、魔力を織り上げる為に使う糸の数が多く、要素の数が多いほど高くなる。
今、シェリフェルが読み上げている呪文は詠唱終了までに三分程の時間を要する。
しかも彼は詠唱短縮の為に、高速言語を使って詠んでいるにも関わらずだ。
これは現在知られているアンシェント・ソーサリング(古代言語魔法)の中でも封印をされていた魔法、禁呪と呼ばれるものの、雷系の「インドラ」というものだ。
古代人の賢人たちが聖獣によって封印している炎、氷、風、地の禁呪以外にも多数の禁呪が存在する。
彼は時流の観測者の塔、ホークルタワーで「インドラ」を見つけたのだ。

istint2/13 4:32:06056cfbADnT6Dfsf2||151
バチバチと音を立ててながら全身から放電を始めていた。
次第に空には黒い雷雲が渦を巻き、おびただしい量の魔力がそこに注ぎ込まれていく。
シェリフェルはまるで仕立屋のように魔力の糸を巧みに織り上げる。
複雑な結び方の魔力は少しでも織り方を誤まれば魔法が発動しない。
それどころか、このクラスの魔法になると自分にその力が還ってくることもあるのだ。
「さあ、邪龍アスモデよ、終わりの刻だ…フフ」

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飛び回っていたアスモデが魔力の異常な流れに気付いた時は既に遅かった。
轟音とともにシェリフェルの頭上に一際大きな、それも城を一つ飲み込むほどの雷が落ちた。
雷は渦を巻きながらシェリフェルの魔候の爪にグルグル巻きついた。
アスモデはブルッと身を揺すると、シェリフェル目掛けて真っ赤な光線を口から吐き出した。

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「フフフ…無駄、だ。」
シェリフェルは限界まで雷を飲み込んだ魔候の爪を水平に構えると、左手でそのエネルギーを押し出した。
魔神を象った雷光がアスモデの赤い光線を完全に飲み込んで龍に襲い掛かった。
全身に激痛と共に絡みつく電流に流石のアスモデも苦しそうに身をよじる。
国中に響き渡るような咆哮を上げ、口からは炎と泡を垂れ流していた。
シェリフェルは空間転移を使用し、アスモデの背中に飛び乗った。
アスモデはまだ全身を強力な電流に包まれている。
彼の硬い鱗も無残に焼け焦げ、剥がれていく。

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シェリフェルもその鱗の剥がれたところを目掛けて、思い切り魔候の爪を突き刺した。
電流は魔候の爪を伝ってアスモデの体内に流れ込む。
遂にアスモデはグルグルと錐もみ状態になりながら地面に落ちて行った。
シェリフェルもゆっくりと地上に降り立ったが、彼もゼエゼエと肩で息をしていた。
そして、ゴホっと咳をすると、口から血を吐き出した。
彼自身も禁呪を使ったことにより、身体に大きなダメージを負ったのだ。

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戦闘能力は高くてもシェリフェルはルヴィンと同じ年齢の青年なので、禁呪を使いこなすだけの器が完成していなかった。
だが、彼は笑っていた。
ボロボロになりながらも、闇ソーサラーに一矢報いる事が出来て満足だった。
アスモデはグッタリ横たわり、まだ時々身体からパチパチ火花を飛び散らせていた。
シェリフェルはアスモデに刺さったままの魔候の爪を取りにヨロヨロと近付いていった。

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すると、低い唸り声とともにアスモデが起き上がった。
「…驚いたぞ、エラドの暗殺者よ。
 これ程の規模の魔力を操るとは…グフフ。
 しかし、世界を幾度も破滅に陥れた闇ソーサラーが高々禁呪の一発で倒せると思ったか?」

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シェリフェルは驚いて飛び退こうとしたが、アスモデの太い前肢で薙ぎ払われて、岩山に激突した。
彼は内臓を損傷し、口からはおびただしい量の血を吐き出していた。

istint2/13 4:35:536056cfbADnT6Dfsf2||893
今回は此処までです。
こんにちわ!
約一ヶ月ぶりでしょうか。
いつもいつも更新遅くてすいません。
話忘れちゃってますよね。
また時間あったらまとめ作ります…

バルトーク2/13 20:38:102212cfBcsmysAsVME||741
こんばんわ、お久しぶりです^^
残忍にして最凶のシェリフェルが押されているじゃないですか。楽々ドラゴンを倒すと思ったんですが、いや〜珍しい事もあるもんだ。と読み進めていったら命の危機。アスモデ強い!

一戦をこんなに長く書けるのは僕には出来ないんです;;この戦いは重要だから引きのばそーと考えても、さっぱりと終わってしまって。是非見習いたいです!
なにやらお忙しそうな中、大変だと思いますが創作の方も頑張って下さい^^次回も楽しみにしておりますので。

シェイラ2/14 3:22:522191cfPbeTNQ6wKjM||192
本当〜お久しぶりです!チビファンにもろもろの事情が(深い理由はなくてパソがいかれただけですけど;)あってこれなくてまた、 istint さんの小説が拝めて嬉しいです。いつも、あっと驚くような展開にはらはらしっぱなしです!バルトークさんも仰ってますが、シェリフェルが押されまくりで闇のソーサラーの圧倒的な強さを感じました。これからも、応援させていただきます♪


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