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10143セイクリッド・ブルー第四部(5)istint3/7 0:1:495870cfm1s8PmQx/Wo
前回までのお話   http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-10072.html

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次第に地盤が揺れに耐え切れずに割れていく。
更に、凝縮した空気と地精があちこちで爆破を起こし始めていた。

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巨大な龍は勝ち誇ったように雄たけびを上げた。
空は舞い上がる粉塵で暗くなり、まるで地獄のようだった。
砦は完全に崩れ去り、艦隊もほぼ壊滅状態だ。

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シェリフェルは最期の力を振り絞って、小さな空間転移の穴を作り出した。
そしてそこに手を突っ込むと、アスモデの背中に刺さったままの魔候の爪を抜き取った。
闇の鎖に繋がれる前に魔候の爪で己の魂を滅ぼそうと考えたからだ。

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「フフフ…僕は…五聖将軍シェリフェルだ!
 や…闇ソーサラーの思うようには動かな…い」
剣を喉元に突きつける。

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が、僅かな核力の流れを感じ、手を止める。
そして、岩にもたれかかりながらゆっくりと空を仰いだ。
何か、巨大な存在を空に感じる。

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次の瞬間、一筋の青い光が粉塵を裂いてアスモデに向かって伸びてきていた。
アスモデもそれに気付き、慌てて口から赤い光線をその光に向けて吐き出した。
一瞬、光の勢いは止まったかに見えたが、徐々にアスモデの赤い光線を押し返していく。
アスモデの眼は血走り、苦しそうだった。

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シェリフェルが驚いて眼を丸くし、ポツリと言葉を漏らす。
「神の…雷…」

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シェリフェルの時流を観測する者としての記憶には数千年前に一度だけその光についての記録があった。
古代文明が滅び去り、新しい人類がまだ原始的な暮らしを始めた頃だ。
その時、闇の封印が弱くなり、神の雷が発動された。
人々はその光を見て、神に対する畏怖と信仰を芽生えさせたのだ。
最もシェリフェルはそれが人為的なモノだと理解していたが。

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ついにアスモデの赤い光線は完全に光に飲み込まれ、光はアスモデを串刺しにした。
暫らくアスモデの口から地面まで貫通したまま輝き続け、光は消滅した。
無残にもアスモデは口を大きく天に向けて開いたまま硬い炭になってしまった。
眼は飛び出し、牙は折れ、身体の中心にはポッカリと穴が開いている。
彼はもう動く事は無かった。
闇ソーサラーの最期だ。

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アスモデの放った魔力も弱まっていき、地震も収まった。
それが術者の死を裏付けていた。
余りにあっさりとした幕切れにシェリフェルは肩の力が抜けて、剣を地面にガランと放り投げた。
彼は助かったが、釈然としない気持ちでいた。
彼には判っていたのだ。
あの老人たちの掌で遊ばされていた事が。
それが彼には自身の敗北よりも腹立たしかった。

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そこへ髭面の教団の騎士団長が駆けつけてきた。
「シェリフェル将軍!
 ご無事で何よりです。
 さあ、こちらで身体を御休めください。」

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しかし、その言葉を何者かが遮った。

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「その必要はない。」
団長が振り返ると、そこには五聖将軍のムラサメとマジェリッドが立っていた。
ムラサメは地味な色の着物姿で、腰に刀を差している。
マジェリッドは相変わらず教団のローブを派手に着飾り、扇子で顔を仰いでいた

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「随分埃っぽいこと。
 死神シェリフェルとあろうものが無様な…ホホホ」
マジェリッドは女のような仕草でローブについた埃を払うとシェリフェルを見下した。

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シェリフェルは力なくマジェリッドとムラサメを見ると、地面にぺっと唾を吐いた。
「フフフ…わざわざ僕の無様な姿を笑いに来たわけじゃないだろう?
 さっさと用件を言ったらどうだ?」

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ムラサメがマジェリッドを押しのけると、感情のこもらない表情のまま話を切り出した。
「シェリフェル将軍、お主を拘束する命令が出ておる。
 このままお主を教団本部へ連行する。」

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そこへ団長が割って入った。
「お待ちください!
 誰の命令か知りませぬが、シェリフェル将軍はお一人で闇ソーサラーと勇敢に戦ったのですぞ!
 それに怪我人をむやみに動かすなど…」

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しかし、そこで団長の言葉が途切れた。
突然息が出来なくなったのだ。
苦しそうに首を押さえて顔を青白く変色させていた。

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シェリフェルがヨロヨロ立ち上がり、マジェリッドを睨みつける。
「止めろ、その男は関係ない。」
マジェリッドがフフンと笑いながら扇子をスッと横に払うと、団長はその場に倒れてゼーゼーと咳の入り混じった呼吸を始めた。

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シェリフェルがチラッと後ろを見る。
後ろは断崖絶壁の谷だった。
逃げ場は無い。
彼は魔候の爪を拾い上げると剣に残っていた魔力を放出した。
そして、ムラサメに斬りかかる。

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しかし、ムラサメが刀を抜き放った瞬間、魔候の爪の魔力は空気中に飛散してしまった。
驚く間もなく、シェリフェルの右腕が斬りおとされる。

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その勢いで、シェリフェルはよろめきながら谷底へと転落していった。
そこへマジェリッドが魔力で編み上げた光の玉を数個浮かべてそれを扇子で煽ぐと、次々シェリフェルの落ちていった方へと飛んでいき、爆発を起こした。

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マジェリッドが満足げに扇子をパチンっと鳴らした。
「ホホホ、これで忌々しい若造が片付いたわ。
 あ、でも十神老からは連れ帰るように言われていたんでしたっけねえ。
 案外簡単にいくものだね。」
そういいながらムラサメを振り返る。

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しかし、ムラサメの表情は硬いままだった。
彼はわき腹から血を流していた。
「あやつ…拙者の絶の奥義の性質を瞬時に分析して反撃してきおったわ。
 あと一歩腕を斬り飛ばすのが遅れておれば拙者はこの場に臓物をぶちまけていたやも知れぬ。
 危険極まりない奴よ…。
 まあ、早々に片付いて良かったわ。
 死体は後で部下に回収させればよかろう。」

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ようやく息を吹き返した団長が呆然と二人を見上げた。
彼はシェリフェルを好いてはいなかったが、その強さに騎士として憧れ、尊敬はしていた。
そして闇ソーサラーと一対一で戦う彼の勇敢さに少しシェリフェルという人間を見直していたのだ。
短い間だったが、共に戦った上官をその場で斬り捨てられ、声が出なかった。

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ムラサメは憐憫の眼を彼に向けると、驚くべき事実を口にした。
「今日より五聖将軍は解散だ。
 これよりわが聖蒼教団騎士団は我々ムラサメ、マジェリッド、ダリエヌスの三神将が統治する。
 謀反の恐れのあったシェリフェル、カーティス、ソロネの三人は処刑される。
 今頃他の二人の下にも刺客が送り込まれているであろう。」
呆然とする団長を尻目に、二人の将軍は悠々とその場を立ち去った。

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数日後、三神将ムラサメの立会いの下、サリエナ、ルナグディ両軍の間で和平が結ばれた。
お互いに消耗しきっていたし、サリエナに至っては大軍を投入し、それがほぼ全滅状態だったので国を建て直す良い口実になったのだ。

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世界規模で軍を展開し、各国に強大な影響力を及ぼす聖蒼教団に逆らうのは得策ではなかったし、サリエナでは皇帝が失脚した事で新たな指導者が望まれていた。
この戦争でのサリエナの被害は死者一万人、艦隊の被害総額は三千億Gとも言われた。
ルナグディは前線基地壊滅、死者五千人とサリエナに比べると被害も小さく、元々大国であった為に、国力に響くほどではなかった。
この大きなニュースは瞬く間に世界に広まり、人々を驚かせた。

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シェリフェルが闇ソーサラーと交戦した記録は闇に葬り去られ、彼は教団規約を破った事により処刑されたとだけ報道された。
闇ソーサラーはムラサメとマジェリッド率いる騎士団によって倒されたという事になった。
そして戦争が終わり、人々がすっかり戦場から姿を消した頃、一人の男が戦場跡を訪れた…。

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今回はここまでです。
四部はまだ少しだけ続きますが、次回からはまたルヴィンとスネイクたちの話に舞台は移ります。
いつも感想を頂いているのに返信できなくてすみません…
あ、シェイラさんの隣ゲットしましたー^^

バルトーク3/8 21:56:222212cfBcsmysAsVME||221
こんばんわー
戦争の終結、そしてあの圧倒的な強さと残虐性で強く印象に残ったシェリフェルの死……彼は本当に死んだのでしょうか。なぜか死んだような気がしません。という気持ちは、あの軍団長と同じような気持ちかなーとも思ったりします;

そして、戦争はひとまず終わり、世界には平和が訪れたようで。
闇ソーサラーの一角も神の雷に焼かれましたし、、なにやら釈然としなさが残っております。これが戦争!ってな話なのですかね〜

返信、気にしていませんよー。
是非次回も頑張って下さい^^

シェイラ3/9 0:31:582184cf8jpSW45xCkA||40
二度目のお隣にどきどき(?)してます。シェリフェルもあまりの事にびっくりなんですが、ムラサメってこんな人だったんですか。いい人なのかなと思っていただけに、逆にダークな所がかっこいいなと思いました☆
返信について自分もバルトークさんと右に同じくです。
次も楽しみにしています〜。


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