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10231セイクリッド・ブルー第四部(7)istint3/21 23:14:522182cfWfnH6RZlnpc
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屋敷の奥では黒いタキシードに身を包んだ男がグラス一杯に注がれた真っ赤なワインを口にしていた。
髪の色は黒く艶があり、よく手入れされている。
体格はルヴィンと同じくらいだろうか。
驚くことに年齢もルヴィンと似たような感じに見える。

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口元には涼しげな笑みをたたえており、静かで落ち着きがある。
そばには高いハイヒールを履いた美しい女性が控えていた。
「ファディル様、よろしいのですか?
 ネズミが一匹侵入しているようですけれども。
 それと、昨日の夜、トワイライトで騒ぎを起こした者が”ジェイド”の事を嗅ぎ回ってるそうです。
 何でもイビル・ナーガの…」

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「グランデュール・バルマスディールか。
 そういえば、ウチの情報によるとアノ男がグランデュールに現れたそうだな。
 自分の国を取り戻そうとしているのか、健気な…フフ。
 だが一人では国どころかこの要塞すら落とせまい。
 それより、明日客人に渡すものは用意できてるな?」

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「はい。
 聖蒼教団司令殿に渡す上納金3678万Gは既に用意しております。
 ですが、いつまで彼らに資金を送り続けるのですか?
 貴方は黙って権力に屈するような男には思えませんが。」

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男はワインを飲み干すとニヤッと魅力的な笑みを浮かべた。
そしてそっと優しく女の腰を抱く。

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「君は判っていない。
 彼らの強大さと裏にいるものの存在をね。
 そんなはした金でやり過ごせるならそれに越した事は無いさ。
 それに俺は血なまぐさい事よりもこうして君を抱くほうが好きなのさ。
 金なら掃いて捨てるほどある。」

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その時、勢いよく部屋の扉が開いて男が入ってきた。
彼は扉を守っていたゴロツキを床に放り出す。
スネイクだった。
彼は困惑していた。
なぜなら、この部屋からはまだ生体反応が感じられない。
しかし幻覚とも思えない。

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「てめえ、一体何モンだ!
 人間じゃねえな!?
 闇の使徒か?」

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男は余裕たっぷりの笑みを浮かべる。
「やれやれ、これだから野蛮な男は嫌いなんだ。
 君はこれからその事を私の身体に聞くつもりではないのかね?」

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スネイクは素早い動作で数本のナイフを放った。
彼のナイフは確実に急所目掛けて飛んでいく。
それは全て男の身体に命中した。
しかし、男の体からは血の一滴も流れず、まだ口元には笑みを浮かべている。
カランカランと音を立ててナイフが床に転がった。

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「うぅん…」

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スネイクが目を覚ますと、すぐ鉄格子が目に入った。
「捕まっちまったか、とんだヘマをしたもんだ。」

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結局スネイクは男の身体に傷一つ付けることが出来なかったのだ。
インヴァリッドを使えばダメージを与えられただろうが、その間もなく彼は気絶していた。
スネイクは牢屋のベッドに寝転がった。
彼はもうどうにもならない事を騒ぐのは嫌いだ。
ただ、ルヴィンたちが気がかりだった。

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しばらくそのままボーっとしていると、外が何やら騒がしくなった。
「おら!キリキリ歩け!」
誰か他に捕まった奴がいるのだろうか?

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スネイクがチラッと鉄格子の外に目を向けると、ルヴィンたちが縛られて連れてこられた。
鉄格子が開いて、ルヴィンたちもスネイクと同じ部屋に押し込まれる。
「大人しくしてろよ!
 生憎牢屋はそこしかねえからな、その内ファディルがお前たちを殺すだろ。
 それまでの辛抱さ。」

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ゴロツキはゲラゲラ笑いながら牢を後にした。

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「何でお前等も捕まってんだ!
 マサムネのオッサンも付いていながら!」

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ルヴィンがニコッと笑うと事の次第を説明した。
彼らはスネイクが出て行って間もなく、彼がいないことに気付いて、同じように屋敷に向かおうとした。
しかし、マサムネが一計を案じてわざと捕らえられたのだ。
その方が危険を冒して侵入するより楽だし手っ取り早い、と。

istint3/21 23:19:212182cfWfnH6RZlnpc||193
「拙者なら居合いでこの牢を破る事も出来まする。
 刃物は取り上げられ申したが、核力とタイミングさえ合えば素手でも斬鉄は可能。」

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しかし、すぐには脱出せずに取り上げられた武器の在りか、脱出経路を確保する必要がある。
そこでニナの出番だ。
彼女は魔力の糸をスルスル伸ばすと、屋敷内にいる一人のゴロツキの精神を乗っ取った。
彼女は乗っ取ったゴロツキを操ると、屋敷内の探索を開始した。
この魔法は一度に数人を操るので無ければ燃費も良くて数時間は持たせることが出来る。
そこへ、丁度聖蒼教団の司令が到着した。

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ファディルはルヴィンたちから取り上げた武器を自室で眺めていた。
特に彼の目を引いたのがルヴィンの「ノスリの紋章の剣」だった。
そっとそれを撫でると深いため息をついた。

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「再びこれを見ることになるとはな。
 あれからもう随分時間が流れた。
 フフフ…私は変わってしまったが、彼はどうかな?
 私は呪われた身体になってしまったが、これは償いなのか。
 しかし、彼らを行かせるわけにはいかない、レンティーニ。」

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そこへ部屋をネックする音がした。
扉の向こうから例の女性の声がする。
「マークス司令殿がご到着されましたわ。
 お通ししてもよろしいですか?」

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ファディルはいつもの笑みを口元に浮かべ、はっきりとした声で答えた。
「ああ、通してくれ。」

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間もなく、白い鎧に身を包んだ男たちが部屋へ案内されてきた。
マークス司令は鉄仮面を被っているため表情が見えなかった。
戦闘で負った傷を隠すためらしい。

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「これはこれは、遠いところからご苦労様です。
 今回の上納金はお帰りの際、そこのミュウリからお受け取り下さい。
 さ、お茶でも。
 ああ、司令殿はお召し上がりになれないのでしたね、フフ。」

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「久し振りだな、ファディル。
 今日の用はそれだけでは無いのだ。
 ここ数日、この町に手配書の人物が現れたと情報が入ったのでな。
 何か隠してはいないか?」

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ファディルは紅茶をすすりながら涼しい顔で答えた。
「私のもとにもそのような情報は入っておりますが、何分多忙なもので。
 ま、何かあればすぐにお知らせしますよ。」

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マークスはじっとファディルを見つめていたがやがてミュウリからふんだくるように金を受け取ると、部屋を後にした。
廊下を歩きながらマークスの隣を固めている騎士が口を開いた。

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「司令、よろしいのですか?
 奴の言葉を信じても?」

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マークスは忌々しげに答える。
「…相変わらず食えん奴だ。
 恐らくあいつは何かを隠している。
 探り出すぞ。
 これで一つでも汚点が見つかれば奴は終わりだ。
 そうなれば奴の抱えている莫大な資金源は全て我が教団に流れる。
 でっち上げでもいい、あの男に一資本家ごときが教団に逆らえばどうなるか思い知らせてやるがいい。」

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教団の目的は資金受け取りだけではなかった。
ファディルにとって不利な情報を手に入れ、彼を潰してしまう事が本当の目的だったのだ。
そして、聖域への鍵を握るファディルからその権利を奪い取り、教団が聖獣の塔を制圧するつもりだった。
勿論、ファディルとてバカな男ではない。
既に彼らの目論見などお見通しだった。

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「次はどのような手を打ってくるか…まあ、彼らもここでは手荒な真似はせんだろう。」
ファディルは立派な革張りの椅子に座ると、テーブルの前に山積みになった書類に目を通し始めた。

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istint3/21 23:22:552182cfWfnH6RZlnpc||275
ニナが男を操り、屋敷の探索を開始してから既に小一時間が経過していた。
しかし、部屋の数が多すぎて牢を開く為の手がかりは全くといっていいほど見つからない。
それに先ほど白い鎧兜に身を包んだ聖蒼教団の騎士達がこの館をうろついていた。
自分たちには賞金が掛かってる為、彼らに売り渡されてもおかしくは無かった。
でもなぜ、騎士団自らここへやってきたのか?
引き渡すだけなら騎士団を館に呼び込む必要は無い。
それに、騎士達は何かを探しているようだった。

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ニナは会話を聞き取れるように魔力のフィールドを広げた。
「いよいよ司令殿はファディルからこの館を奪うつもりらしいな。」
「ああ、しかし奴らが捕らえられている牢を見つけぬことには大儀名文が無いからな。」

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どうやら騎士達はニナたちの事を探しているらしい。
彼女は暫らくそこに留まって情報を集めた。
騎士達の話題はニナたちの事よりも別の事だった。
そう、サリエナとルナグディの戦争の事だ。
ルナグディ軍に教団の将軍シェリフェルが就いてから戦局が一変したらしい。
騎士達はシェリフェルの事を畏怖し、だが憧れもしているようだった。

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「しかし、今回はシェリフェル将軍もサリエナ相手では分が悪かろう。
 あそこの古代技術は世界一だからな。
 まさか剣で艦隊と斬り合うわけにもいくまい。」
「何を言っておる。
 お主はシェリフェル将軍の事を何も判っておらんな。
 あのグランデュール崩壊時と、第三戦役を知らぬからそういう事をいえるのだ。
 第三戦役では単体で一国を滅ぼしたのだぞ。」

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そこへ上官らしき男が駆け込んできた。
「おい!
 何をグズグズしておる!
 司令殿がお呼びだぞ!」
騎士達は慌てて上官に付いて去っていった。

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そこでニナは一息ついて、ルヴィンたちに状況を説明する。
「…と、いうわけなのよ。
 もしかしたらもうすぐここへ騎士団がやって来るかもしれない。」

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一同は暫らく沈黙していたが、やがてスネイクが口を開いた。
「教団とファディルの挟み撃ちかよ…。
 どっちに転んでも助かる可能性は低いな。
 司令クラスの奴が来てるなら団長含めた小隊もいくつか率いてるだろ。
 それにこの牢の鍵は恐らくファディルじゃねえと開けられないんじゃねえかな。
 そうなると、答えは一つ。
 この牢を破って、混乱に乗じて抜け出すしかねえ。」

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しかし、誰もその案には賛成する様子は無かった。
牢を破り、逃げ出す為には武器が要るが、肝心の武器が無いのだ。
ニナは開錠の魔法を使えないし、スネイクの全身武器も全て取り上げられていた。
こうしている間にも時間は迫ってきている。
突然ルヴィンが立ち上がった。

istint3/21 23:27:322182cfWfnH6RZlnpc||895
「俺が、牢を破壊した後皆を逃がすよ。
 青龍の力も戻ってきてるし、何とかなるかも。
 マサムネは俺が食い止めてる間、ニナとスネイクを頼む。
 きっと素手で武器を持った兵士とまともに戦えるのはあんただけだ。
 ここで斬鉄を使って無駄に核力を消耗させるわけにはいかない。」

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そして、ルヴィンは指をポキポキ鳴らすと両腕に核力を集中し始めた。
彼の腕から青白い核力が徐々に吹き上げられていく。
ルヴィンは格子を掴むと、思い切り力を込めて左右に引っ張った。
牢はビクともしない。
ルヴィンの身体を包む光はバチバチと音を立てて徐々に強さを増していく。

istint3/21 23:27:542182cfWfnH6RZlnpc||706
「そこまでだ。」
突如声がかかり、牢の奥の階段からファディルが姿を現した。

istint3/21 23:28:92182cfWfnH6RZlnpc||19
彼は黒いスーツを着て、いかにも実業家といった風貌だ。
しかし、落ち着きのある目元には野心の光が灯っている。

istint3/21 23:30:562182cfWfnH6RZlnpc||997
少し中途半端ですが、今回はここまでにしておきます。
いつもいつも感想ありがとうございます。
新しいキャラクターも出てきたのですが、気に入っていただけるか少し心配です。
いつもながら展開がダラダラしててすみません…

バルトーク3/23 17:54:322212cfBcsmysAsVME||402
こんばんわー!
いやっ、いいところで終わりますね〜続きが気になります><

そしてそっと優しく女の腰を抱く―――そういう描写が出来る事に尊敬というか、軽く嫉妬しちゃいますよ!(何故
そういう描写、恥ずかしくて、展開を避けていたり;
いや、ボクもまだまだのようです。

ファディル、案外いい奴そうですね^^
問題は悪どい教団。
さてさてどうなるのか?次回も楽しみにさせて頂きますv

シェイラ3/23 22:44:442184cfbqOf7e9m0O6||321
遅い時間に失礼します。
正直、ファディルがびっくりしました。てっきりごつい中年の男を想像してたんでいい意味で裏切られました♪
それ以上に、ルヴィンに似ている所がとっても気になります。
どんな、関係があるのでしょうか。ものすごい想像力を掻き立てられます。
だらだらなんてしてませんよ〜。
自分の方が眠くなるような展開しか書けないっす;


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