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10492セイクリッド・ブルー第五部(2)istint4/25 1:42:462182cfGW0xlQLN8Sc
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すっかり錆びれてしまったグランデュールの宿に珍しい客が姿を見せていた。
立派な青いマントと磨きぬかれた鎧を身につけている。

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「こんな汚いところで申し訳ございません。
 この一ヶ月あまりでここもすっかり変ってしまいまして…。
 ダンナはきっと名のある騎士様なんでしょう?
 どこからきなすった?」

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宿の主人があれこれと世話を焼きながらグラスにブランデーを注ぐ。
男はそれをグイッと飲み干した。

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「俺は、グランデュール出身だ。
 俺たち軍人の戦争に巻き込まれて犠牲になるのはいつも民だ。
 申し訳なく思っている。
 …すまんな、苦労をかけて。
 だが、それももう終わる。
 俺が帰ってきた。」

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主人は目を丸くした。
そして首を傾げる。
良く判らないまま愛想笑を浮かべて、部屋を後にした。

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その夜…。

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騎士の部屋にいくつか忍び込む影があった。
黒装束に身を包んだ男たちは手で合図を送りあう。
そして、騎士の眠っているベッドを音もたてずに取り囲むと、一斉に刃を振り下ろした。

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しかし、手ごたえは無く、ベッドの中はもぬけの殻だった。
「!?いないぞ!どういうことだ…グ…」

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突如、男の腹から血が吹き出す。
男たちは一斉に身構えたが、そのうちの一人は既に首を落とされて絶命していた。

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「ルームサービスを頼んだ覚えは無いんだが。
 ここのホテルのサービスマンかな?」

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騎士は男たちの気配に気付き、ベッドを抜け出していた。
ただの騎士とは思えぬほどの威圧感がある。

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「…そうか、貴様等は十神老のエクセキューター(処刑執行人)だな?
 今まで狙った獲物を逃した事は無い。
 暗殺の成功率は100%だ、違うか?
 この俺に何の用だ?」

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男たちは完全に騎士から発する気に圧されて動けないでいた。
どの間合いを取っても殺される。
彼らは暗殺のプロなので、相手の強さにも敏感だった。
想像していたよりも遥かに実力に開きがある。

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「カーティス将軍、お前はここで死ぬんだ。
 知る必要は無い。」

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男たちは懐に忍ばせた爆弾を取り出した。
が、見えない刃に指や腕を飛ばされて爆弾を取落とす。
次の瞬間、無数の刃に刻まれて男たちは絶命した。

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「…十神老め…何を企んでいるのだ。」

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カーティスは刃にこびり付いた血を払うと、そのまま宿を後にした。

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彼が向かった先はグランデュール北西の、カーティス邸だった。
カーティスはグランデュール屈指の大貴族出身で、城から少しはなれた場所の広大な土地を治めていた。
しかし、彼がこの地に足を踏み入れるのはもう五年ぶりくらいだ。
彼は聖蒼教団の騎士団に志願してからはほとんどここへもどってくることは無かった。

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もし彼がこのままこの地に留まっていればグランデュールが教団と癒着し、エラド大臣が実権を握る事も無かったかもしれない。
屋敷は彼が不在にも関わらず綺麗に手入れされていた。
「アリステア(彼の実弟)か…。」

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彼は様々な思いをめぐらせながら門をくぐった。
すると、庭の手入れをしていた老執事が驚きの声を上げる。

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「これは…!
 カーティス様ではございませぬか!
 もうお戻りにはなられないかと思っておりました。」

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彼はドルガヴァーレ家に父の代から仕えている。

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カーティスは挨拶もそこそこに、屋敷へと足を踏み入れた。
あんなに人が溢れ返っていた屋敷はすっかり静まり返っている。
アリステアの姿も無かった。
あの時、行方不明になり、もうこの世にはいないかもしれない。
思えばアリステアは最期までグランデュールの為に、ドルガヴァーレの為にたった一人で戦い続けていたのだ。

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背後から老執事が声を掛ける。
「アリステア様は、いつもこう言っておられました。
 兄上が戻られたら…と。
 表向きはいがみ合っていてもやはり弟は兄を頼るものなのですよ。」

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カーティスは背中を向けたままで、しかし力強く答えた。
「すまなかったな、だが私は帰ってきた。」

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彼は早速仕事に取り掛かった。
まずはグランデュールを復興させ、かつての栄光を取り戻せるだけの国力を付けなければならない。
サリエナの皇帝は彼と旧知の仲だったので、まずは皇帝に支援を要請する文を書き上げた。

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それから、兵を集めなければならない。
その点も、彼は聖蒼教団五聖将軍の一人であり、更にグランデュール一の大貴族だったため、容易に集められそうに思えた。
しかし、これが中々うまくいかない。
なぜなら、グランデュールは教団に軍を借りていたので、国には騎士が殆ど残っていなかったのだ。
これではサリエナやルナグディの属国にされてしまうだろう。

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そこで彼は直々に城下へ出向き、兵を募る事にした。
数は少なくても彼が鍛え上げれば屈強の騎士団へと変貌するだろう。
だが、兵が集まるどころか、誰も彼の声に耳を貸そうとはしない。
それもそのはず、城下がこうなってしまったのも教団の責任だからだ。
カーティスは毎日毎日根気よく城下へ通い続けた。

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そして、遂に志願する者が現れたのだ。
しかし、それは女だった。
女は銀の弓を抱えていて、実に威風堂々としている。

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その女はいらいらした様子でカーティスを押しのけて城下の男たちを怒鳴りつけた。
「あんたら!いつまでそうやっていじけてるつもりなの!
 子供たちが戦ってるのに恥ずかしくないの!?
 このままこの国が滅ぶのをそうやって見てるの?
 今はすがりついてでも子供たちが帰ってくる場所を守らないといけないんじゃないの?」

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その勢いにカーティスでさえ気圧された。
それにこの女性はどこかで見たことがある気がする。
「君の名は?」

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女は美しく長い髪をバサッと翻す。
「ヘレナよ。ヘレナ=スタイン。」

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カーティスは驚いた。
道理で見覚えがあると…。

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彼女はルヴィンの母親だったのだ。
しかも、「銀の弓のスタイン」は神の射手として有名だった。
まさか女性だとは思いもよらなかったが。

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ヘレナに大喝され、男たちは少しずつカーティスの下へ集まってきた。
およそ50人程だろうか。
カーティスは各地からデビル狩りにやってきた冒険者達も積極的に騎士として抱えた。
体面は気にせず、剣の腕に長けた者、能力のある者に重要な仕事を与える。
ヘレナは、娘がいるというので、むりやりカーティスが城下へ帰らせた。
しかし、週に一度くらいのペースで彼女は男たちに弓さばきを指導しに屋敷へ足を運んだ。

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そんなおり、更に嬉しいニュースがカーティスの下へ届く。
突然屋敷の上空に聖蒼教団の幹部専用機が現れ、何事かと彼が外へ出る。
すると、その専用機からはかつての彼の守護聖の三人が現れ、数十人の部下を連れて再びカーティスに仕えたいと申し出たのだ。
彼は教団の将軍の中では人柄、強さ、カリスマ性、どれを取ってもただの軍人上がりの幹部とは違い、多くの部下に慕われていた。

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ほんの一ヶ月ほどで彼の軍は千を超えるほどになる。
サリエナの皇帝も有事の際には快く協力すると返事をくれた。
だが、教団の力を借りずに暗雲の塔を制圧するにはまだまだ準備が必要だった。
それに教団の真の狙いも気になる。

istint4/25 1:52:142182cfGW0xlQLN8Sc||115
噂ではシェリフェル将軍が切り捨てられたらしい。
彼はシェリフェルを嫌っていたが、大義名分が無いまま一将校を斬り捨てるような行為はもっと嫌いだった。
彼は三人の守護聖に軍を任せると、単身教団本部へと赴く決心をする。

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旅立とうとするカーティスの下へドルガヴァーレ家の執事が一つの美しい装飾が施された大きな木箱を持ってきた。
執事が恭しく木箱を開けると、中には呪術で黒く染められた布で何かが封印されていた。
カーティスはそっとその布をほどいていく。

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はらり、はらりとめくるたびに魔力が解けて弱い光を放つ。
「これは…!」

istint4/25 1:53:142182cfGW0xlQLN8Sc||281
カーティスが見たのは一振りの宝剣だった。
これはドルガヴァーレ家に伝わる剣、「ロイヤルハント」という剣だった。
カーティスはその剣の存在は知っていたがどこにあるのか知らなかったし、本当に存在するのかも疑っていた。

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箱の中には一通の手紙が入っていた。
それは初代当主が残したものだった。
口語訳すると、こう書かれていた。

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「私はこの剣でグランデュールとドルガヴァーレの未来を切り開いた。
 しかし、この剣は余りに強力すぎた。
 私の子等に危機が迫った時、正統なドルガヴァーレの血筋の者だけに解ける封印を施す。
 グランデュール、いや、世界の為に使って欲しい。
 実際に剣を使うかどうかはその時代の当主の考えに委ねる。
 願わくは永久にこの剣が使われぬことを…。
 トリスティ・ドルガヴァーレ」

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執事はカーティスが出て行った後、先代からこの剣のありかを聞いたらしい。
この剣は生体金属で作られた古の武具の一つだった。
カーティスは五聖将軍で唯一、汎用金属で作られた剣を使っていた。

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純粋に剣技のみで今まで戦ってきたのだ。

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彼は剣を箱から取り出した。
刀身は薄いグリーンで不思議な輝きを放ち、刃にはアンシェント・ソーサリングで呪紋が施されていた。
手に吸い付くような感触で、握った瞬間身体から核力が剣へ流れ込んだ。
今まで持っていた剣を空中に投げるとそれに向かって軽く剣閃を放った。
音もたてず、剣は真っ二つになる。
彼の剣技と剣の鋭さが初めて一体化した瞬間だった。

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「すばらしい…。
 初代様、私の代でこの剣を再び使うべきときがやってきました。
 私の力量不足をお許しください。
 …だが、剣の力を開放するためにはまた鍛錬せねばな。」

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最強の剣士、カーティスは天才的な才能でこれから一週間後、ロイヤル・ハントの開放を体得する。

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「君が持っているのは銃か?」

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ファディルがスネイクの銃に目を付けた。
この世界では銃は非常に珍しく、古代の遺産としてしかお目にかかれることは無いから、骨董品として博物館に展示してあるか、お金持ちが装飾品代わりに身につけているだけだった。

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スネイクが黙ってファディルに銃を投げてよこした。
ファディルは珍しそうに銃を眺めている。

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「すばらしい。
 これは実弾を撃ち出せるように改造…いや、復元されているじゃないか。
 君の組織の技術者は本当に優秀だな。」

istint4/25 1:58:432182cfGW0xlQLN8Sc||850
「ああ、カリは元々王立の大学出で聖蒼教団の研究施設の所長だったらしいからな。
 昔のことは良く判らんが、あいつのお陰でウチの古代技術の研究は王立のものと比べても遜色ないってレンティーニが言ってたぜ。」

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「カリ!?カリと言ったのか!
 彼が盗賊組織の一員になってるとは…。」

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スネイクが訝しげにファディルの顔を覗き込む。

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「い、いや、すまない。
 かの天才技師カリニクスの名をこんなところで聞けるとは思ってなかったものでね。」

istint4/25 1:59:542182cfGW0xlQLN8Sc||188
ファディルの話によると、カリは技術大国サリエナ王立大学に在籍中、現在の飛空艇の飛行原理を古代の文献から蘇らせ、更にそれらを利用した戦略推進システムを開発。
その後教団に認められ、様々な研究を行い教団本部の完全防御システムを始めとした発明をした後に歴史から姿を消した人物で、飛空艇も銃も魔力稼動式エンジンも核力収束型の大砲も彼の発明らしい。

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「それに、ミュウリは彼の実の妹だよ。
 彼女も優秀な技師だがいつも『兄の足元にも及ばない』と愚痴っていたな。」
と、その時船体が大きく揺れた。

istint4/25 2:0:222182cfGW0xlQLN8Sc||903
同時にミュウリが駆け込んでくる。
「ファディル様、200キロ先に大きな魔力回路が開くのを確認しました。
 規模は半島を消し飛ばすほどのものです。
 この船の速度では確実に巻き込まれますが、いかが致しましょう?」

istint4/25 2:0:302182cfGW0xlQLN8Sc||214
ファディルはクックと笑うと、副操縦席に座った。
「相変わらず冷静だな。
 君も消えることになるんだぞ。」

istint4/25 2:0:402182cfGW0xlQLN8Sc||247
「私の仕事は情報を正確に分析する事です。
 もしそうなるのなら、それは計算が正しいという事。
 それだけです。」

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揺れに気付いてみんな操縦席に集まってきた。
しかし、ルヴィンの様子だけどこか変だ。
突如、彼が口を開く。

istint4/25 2:1:42182cfGW0xlQLN8Sc||603
「多分…大きな魔力の根源は一つじゃない…。
 二つ、感じる。
 一つはもう消えかかってるけど。」

istint4/25 2:1:162182cfGW0xlQLN8Sc||776
ファディルは驚いてルヴィンを振り返った。
その後、ミュウリを見ると彼女は頷き、分析を始める。
「ルヴィンさんのおっしゃるとおりです。
 震源は二つ確認されました。
 一方は波形から闇ソーサラーのものと特定されます。
 もう一方はデータにはありませんね。
 消えかかっていますが。」

istint4/25 2:1:262182cfGW0xlQLN8Sc||277
ルヴィンだけは気付いていた。
この魔力には覚えがある。
そう、あのグランデュール崩壊時に彼が闇ソーサラーベアンと対峙した時に感じたものと似ていた。
怖いような…懐かしいような…。

istint4/25 2:1:372182cfGW0xlQLN8Sc||431
「そんな事はどうでもいいんだよ!
 何とかなんねえのか?
 シールドは?ブースターは付いてねえのか?」
スネイクが怒鳴り散らす。

istint4/25 2:1:472182cfGW0xlQLN8Sc||707
彼の船「ヴァージルガルディ」の出力なら200キロも離れていれば地の果てまでだって逃げられる。
シールドも強力だから完全に魔力の波動を遮蔽できるだろう。
だが…

istint4/25 2:1:592182cfGW0xlQLN8Sc||130
「この船は民間用だ。
 君の組織の艦のように最新の設備は何一つ無い。
 シールドもあるにはあるが、せいぜいレベル3に魔力を遮断出来る程度だ。
 ブースターなどもちろんついていない。
 どうしたものか。」

istint4/25 2:2:262182cfGW0xlQLN8Sc||440
レベル3の魔力とは魔法詠唱に使う糸が10本未満の魔法の事だ。
闇ソーサラーの禁呪は縄のように太い糸を何十本も立体的に織り上げたものだから勿論防げるはずも無かった。
ルヴィンも感覚的に悟っていた。
青龍の最強の破壊魔法アブソリュート・ゼロでもその魔力の波濤にかき消されてしまうだろう。
氷の壁を作っても溶かされる速度の方がきっと早い。

istint4/25 2:2:392182cfGW0xlQLN8Sc||190
ニナはこんな状況だが、ルヴィンの感覚に驚いていた。
エルフよりも早く魔力を知覚できるなんて…。
こんな事を考えている場合でないのは判っていたが興味深かった。

istint4/25 2:2:512182cfGW0xlQLN8Sc||15
マサムネは刀をじっと見つめている。
彼はこの状況で自分に出来る事は無いと悟っていた。
ズパングの国宝「絶」の奥義書があれば魔力の渦も絶てるだろうが。
あれはそういう性質の技だ。
だがマサムネはその技のことは名前しか知らない。

istint4/25 2:3:32182cfGW0xlQLN8Sc||989
混乱する艦の中に静かだが凛としたミュウリの声が響き渡る。
「上空2万メートルに新たに核力の集束を確認。
 波形は…カリニクス型の核力集束砲のものです。
 が、規模は地上に現存する兵器とは比べ物になりません。」

istint4/25 2:3:112182cfGW0xlQLN8Sc||176
ファディルが微笑を浮かべながらモニターのボタンを操作する。
(やはり動いたか…。
 あの計画の噂は本当らしいな。
 教団のジジイ共め、何を企んでいる?)

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「よし、衝撃に備えシールドを全開で展開しろ。
 それから…」

istint4/25 2:3:292182cfGW0xlQLN8Sc||268
「承知しております。
 先程より記録媒体は稼動しております。
 シールド、展開。」

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スネイクがヒュウっと口笛を吹く。
ファディルも満足げな表情だ。
「いい子だ、ミュウリ。
 またとない機会だからしっかり観察させてもらう…」

istint4/25 2:3:542182cfGW0xlQLN8Sc||683
言いかけたとき、更に大きく船体が揺れる。
遂に神の雷が発動した瞬間だった。
200キロ先だというのに、ルヴィンたちにもはっきりと光の柱が見えた。

istint4/25 2:4:42182cfGW0xlQLN8Sc||404
「な、何なんだ、あれは。」
船の計器類の針は振り切れ、測定値の限界を超えていることを示唆していた。

istint4/25 2:4:402182cfGW0xlQLN8Sc||520
「グランジュ!素晴らしい!
 あれこそ聖蒼教団十神老が切り札、神の雷だ。
 闇ソーサラーすらも一撃で焼き尽くす程の地上最強の兵器さ。
 君たちも厄介なのを敵に回したな。
 しかし、今日はなんてついてるんだ!
 伝説の光をこんな所で崇めるなんて!」
ファディルは不思議と、はしゃいでいても落ち着いて見える。

istint4/25 2:4:502182cfGW0xlQLN8Sc||29
ミュウリはその隣で冷静に状況を分析していた。
「ログ、取れました。
 指向性の核力放射、質量の影響で一部空間歪曲を確認。
 闇ソーサラーの禁呪の魔力を完全に中和しました。
 ここからは生命反応は計測できませんが、魔力と術者の因果関係から死亡したものと思われます。
 ついでに、サリエナの大艦隊はほぼ壊滅したみたいですね。
 熱反応が消えていますので、エンジンが停止している証拠です。
 それから、アークフェルト曲線上のヒルベルト空間が…」

istint4/25 2:4:582182cfGW0xlQLN8Sc||341
「もういい、結構、十分だ。
 それ以上説明されても私には理解できん。
 部下が聡明すぎるのも問題だな。」

istint4/25 2:5:92182cfGW0xlQLN8Sc||533
ファディルは両手を顔の前で大きく振ってミュウリの言葉を遮った。
ミュウリは少しふくれっ面をしてみせる。
「まあ!ファディル様ったら!」

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スネイクは思わず噴出しそうになる。
本当にカリにそっくりだな、あいつも一度口を開くとウンチクが止まらんからな。
顔は似てないけど理系オタクなとこなんかやっぱり兄妹なんだな。

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「スネイク、何笑ってるんだよ!
 あんな大砲持った奴らにどうやって勝てばいいんだ?」
ルヴィンがスネイクの思考をかき消す。

istint4/25 2:5:492182cfGW0xlQLN8Sc||518
「ああ?
 あんなでかいだけの砲がヴァージルガルディに当たるかよ。
 それに恐らくあんなでかい獲物なんだから操作は地上でやってんだろ。
 場所は十中八九教団本部だ。
 そこに潜りこんじまえばあいつらはアレを撃つ事はねえ。
 自滅しちまうからな。」
なるほど、とルヴィンは感心する。

istint4/25 2:5:592182cfGW0xlQLN8Sc||424
流石一組織のボスは違うな。
一見単細胞に見えても色々考えているんだ。
でもこれは口には出さない。きっと拳骨が飛んでくるに違いないから。

istint4/25 2:6:172182cfGW0xlQLN8Sc||297
船は何事も無かったかのように通常の航行に戻った。
後からファディルに聞いた話では、シールドを展開した後、ミュウリが一瞬で衝撃を最小限にする為に最適な角度を方程式から導き出し、戦闘パイロット顔負けのアクロバット操作をしたお陰で皆助かったらしい。

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その三日後、教団の通信チャンネルをミュウリがハッキングしてサリエナとルナグディが停戦協定を結んだ事を知った。
ルヴィンはあの時感じたあの懐かしい感覚が気になって仕方が無かった。
それは闇ソーサラーベアンのものか、ルヴィンを救ってくれた黒衣の暗殺者から感じられたものなのかは判らないが…。

istint4/25 2:11:162182cfGW0xlQLN8Sc||812
今回はここまでです。
バルトークさん、前回は久し振りに感想を寄せていただいてありがとうございます。
何だかかっこいい予告みたいで嬉しかったです!
シェイラさんもいつも忙しい中マメに感想下さって本当にありがとうございます。
色々話が飛び飛びになってますが、今回の話はの時期はカーティス編はサリエナ・ルナグディ戦争中〜後。
ルヴィン編は戦争のクライマックスとなっております。
ここんとこ調子いいですが、またサボリ癖が出ないようにしないと…はあ


シェイラ4/27 0:21:142202cf2v3CBW8G/As||246
こんばんわw
カーティスさんの大活躍にすごい嬉しいです☆
しかも、ルヴィンのお母様まで登場するとは、幸せです。
今回、意外なキャラの意外な一面が見れてホクホクしてます(笑)
ミュウリが少しふくれっ面……。普段、冷静な女性がふくれっ面……かわい(殴)
深みのある物語に更に謎が加わっていってますます目が離せないです♪

バルトーク4/30 18:20:262212cfBcsmysAsVME||346
こんばんわー!!
時系列的に、矛盾を発生させる余地もなく、そのときそこでは?をやられるのは流石です。
一度やってみたのですが、どうして全体の行動に矛盾が発生しちゃって;

神の雷に対する一行の反応が好きです。
こういう、微妙に意味深な用語が飛び交う場面に弱いんです。いや、ツボを抑えてらっしゃるw
さてさて、各地で起こっている事態、そして集う英傑達がどのような道を辿るのか、とても楽しみッス。サボリ癖になんか負けないよう、頑張って下さい!!


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