| 10530 | STRAY | ×バツ× | 5/2 20:1:3 | 2191cf7LG0THWOXdw |
| 今回はまず、今までのレスのまとめをします。 *あらすじ* 帰る場所も行く場所もなく、その日暮らしをしているミラヴィアス。 夢も希望もなく、ただ生きている彼は、そんな自分を忌み嫌っていた。そんな事を心の奥底の箱に入れて蓋をして、気づいていない振りをして…。そしてミラヴィアスにのびた救いの手は…? | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:3:35 | 2191cf7LG0THWOXdw||10 | ||
| 俺の最初の記憶はろくでもない。 路地裏で知らない男達にしこたま殴られたから…ともいえるが、その男達は暴力団の人たちであり、そんな人たちと諍いを起こした過去の自分が憎く思える。 とりあえず覚えていたことは、自分の名前がミラヴィアスという名前の男だということだけだ。この状況を見ると、自分は今、トティーノという人が借りた金の返済をしなければならないらしいことがわかった。 あれから7年…そんなろくでもない記憶から始まった人生は、まだろくでもなく続いてしまっている。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:4:40 | 2191cf7LG0THWOXdw||405 | ||
住み込みで働かせてくれていた、ありがたいバイト先だったのに、つい先程追い出されてしまった。今までに何度もあったことだから、慣れてはいるが、冬の気配が近づいてきたこの時期に放り出されてしまったのは痛い。 「仕方ない…今日は公園で寝るか」 本当は嫌だけど。寒くて嫌だけど、きっと誰か知り合いがいるはずだ。この数年、大抵は住み込みのバイト先で寝るか、ストリートチルドレンやホームレスたちと一緒に行動するかのどちらかだったからだ。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:8:38 | 2191cf7LG0THWOXdw||449 | ||
そんなことを気もそぞろに考えながら大通りを歩く。薄手のジャケットを着込んでいても、風が冷たくて肌を露出しているのがつらくなってくる。下を向いて、両手をポケットに突っ込んで歩いていると、案の定いろいろな人にぶつかってしまう。けれど、ぶつかった人たちは振り返りはするものの、悪態をつくか嫌な顔をするかのどちらかしかしない。誰だって、薄汚く俯いて歩き続けている少年に関わり合いたくなんかないのだろう。 ドンッ また誰かにぶつかった。でも、何も気にせず歩みを進めようとすると声をかけられる。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:11:8 | 2191cf7LG0THWOXdw||165 | ||
が、普段声をかけられることがないミラヴィアスは、それが自分に向けたものとは思えなかった。 「おい」 と、腕を掴まれてはっとする。 「えっ…?」 振り向くと、見るからにミラヴィアスには一生縁のなさそうな青年が立っていた。その少し後ろには、まるで従者のような男がいることから、ヤバい人間にぶつかってしまったと自分を恨む。すぐにでも逃げ出したい衝動をどうにか抑えて、恐る恐る謝る。 「あっと、すみません」 | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:48:40 | 2191cf7LG0THWOXdw||661 | ||
見るからに貧相な自分が背の高い男二人組に絡まれているのに、こちらが足止めをしている気分になってくるのは何でだろう。 青年の後ろの男の冷たい視線が痛い。目の前の青年も、ただ腕を掴んでいるのは勘弁して欲しい。スリをしようとして捕まったみたいだ。言うことがあるなら、早く言ってくれ。 「……何でそんなに、周りを拒絶する?」 「え…?」 意味がわからない。見ず知らずの人間を捕まえて言うことが、それか。失礼ながらも変わった人だと思う。ミラヴィアス自身は、自分の容姿を気にする余裕がないほど、生活が緊迫している。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:53:3 | 2191cf7LG0THWOXdw||109 | ||
だから、鏡すらあまり見ないのだが、目の前の青年は、同じ男だと思えないほど綺麗な人だった。男の人に綺麗という形容詞はどうだとか、そういうのをすっとばして、もちろん女性的な意味などなく男性的に綺麗なのだ。その抜きでた容姿と発言にぽかんと見上げていると、青年は相手に有無を言わせないような笑みを浮かべる。自分の容姿を知り尽くしている確信犯だ。 「ちょっと……付き合ってくれないか?」 「は? あの、意味がわからないんですけど…」 そういう趣味ならお断りだ。少しだけ身の危険を感じたが、次の言葉でその考えは霧散する。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 20:58:41 | 2191cf7LG0THWOXdw||250 | ||
「話し相手のバイトだと思えばいい」 「バイト…ですか」 バイトなら、願ってもない話だ。金はいくらあっても困らない。 でも、と思う。何せ会ったこともない人間にそんなことを言われても、騙されてるんじゃないかと疑ってしまうからだ。そんなミラヴィアスを見透かすように青年は、こう嘯く。 「怪しいと思うなら、受けなくていい。そうだな……簡単に言えば、君の過去を売って欲しい」 「過去…ですか?」 「あぁ…。君が生きてきた歴史を…聞かせて欲しい。別に記録に残すようなものではないし、吹聴もしない。何なら、そういう誓約書を書いたっていい」 | ||||
| ×バツ× | 5/2 21:56:18 | 2191cf7LG0THWOXdw||457 | ||
「っ…条件をつけますが……それでもよければ」 こういう人には、虚勢でも何でも張れる意地は張り通した方がいいと、経験が訴えている。そこで引くならば、それだけの人間だったということだ。引かないなら…まぁ、その時に考えよう。 それにしても、外見からしてみすぼらしく、薄汚い自分を捕まえて、一体どんな過去を期待しているのだ。自慢じゃないが、今まで人様に迷惑だけをかけて生きてきた自信がある。世間一般では犯罪となることも、生きるためならやってきた。生きるためだという大義名分を振りかざして、嫌気がさすほどのことでも出来てしまう自分を知っている。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 21:59:17 | 2191cf7LG0THWOXdw||526 | ||
なのに青年は、まるで何かを企むように目を細めて、かすかに微笑んだ。 「…いいだろう。ただし、こちらの出す条件も呑んでもらうからな」 「なっ…!」 まさかそのままそっくり返されるとは思っていなかったミラヴィアスは、息を呑んで瞠目する。 「ついて来い」 勝ったな、とでも言うように軽快に歩を進めてしまう青年の瞳が、やたらと楽しそうに輝く。それを見た瞬間に感じた悪寒は、気づかなかったことにしよう。仕方なく、青年とその従者のような男二人組の後を追う。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 22:4:35 | 2191cf7LG0THWOXdw||152 | ||
先導して歩く二人はミラヴィアスの方を振り向かない。ついて来ないということを考えないのだろうか。名前すら聞いてなかったなとか悶々と考えながらふらふらとついていくうちに、自分がとんでもなく場違いなところに来てしまったと悟る。 俗にいう、ブランド専門街だ。自分とは対角線上に位置する、最も縁のない場所に来てしまった。嘘だろ、と頭を抱えたくなるがもう遅い。ブランド服で身を固めた周りの連中から与えられる、冷たく痛い視線になんとか耐えていると、目的地にでも着いたのか、真新しいビルに入っていく。通り過ぎるだけならまだしも、入っちゃうのかよと内心ツッコミながらも、渋々ミラヴィアスも入る。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 22:29:37 | 2191cf7LG0THWOXdw||980 | ||
あまりの居心地の悪さに、表情が歪んでいくのがわかるから嫌だ。 青年は近くにいた店員に何かを尋ねているが、店員と顔を合わせることすらしたくなくて俯いていると、周りがざわざわと騒ぎ出す。 「兄貴? どうしたんだよ、ここ来るの初めてじゃない?」 店の階段からぱたぱたと出てきた少年は、心底不思議そうに目を丸くしている。会話から察するに兄弟なのだろう。それにしても似てない兄弟だ。髪と瞳の色が同じなだけで、人に与える印象も雰囲気も、全然違う。そんな少年は、ミラヴィアスと同い年くらいに見える。 「こいつを…見られるようにしたいんだ」 | ||||
| ×バツ× | 5/2 22:36:40 | 2191cf7LG0THWOXdw||440 | ||
青年の親指に指されて、ぎくっと身体を強張らせる。確かに見られない格好をしている自覚はある。風呂に入ったのは三日前だし、最後に服を洗ったのはいつかなんて覚えていない。でも、こんなブランド店で見積もられるなんて冗談じゃない。 「ちょっ…待っ…!」 「ふぅん…とりあえずはシャワーが先かな」 ミラヴィアスの姿を上から下まで見た少年は、小首を傾げながらぶつぶつ呟いているが、声が小さくて聞き取れない。どうでもいいが、こんなときに似てる点を見つけた。こいつら二人、人の話を聞かないんだ。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 22:44:26 | 2191cf7LG0THWOXdw||794 | ||
「じゃあ、兄貴は上のカフェにでもいてよ。三十分くらいで連れてくから」 「わかった。…頼む」 「うん。……じゃあ、君はこっちね」 ぐいっと引っ張られて、仕方なく少年に引きずられつつも店の奥に入っていく。ミラヴィアスよりも少しだけ背が低い少年の髪は綺麗な金髪で、つんつんとあちこちに飛んでいる。ミラヴィアスの髪も不精とくせっ毛のせいでとんではいるが、少年ほどではない。そんな風に観察しているうちにエレベーターで三階につく。ここには客は来ないようで、段ボール箱と一緒にスタッフルームのようなものがある。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 23:0:3 | 2191cf7LG0THWOXdw||186 | ||
「ここの奥のシャワー使って。ソープとかも適当に使っていいから」 「あの…」 疑問に思うことはたくさんある。けれど、とりあえず一つ聞きたい。 「ん…?」 「あの人…どういう人なんですか?」 これだけ。自分は面倒くさいことに巻き込まれていないか。変な人についてきてしまっていはいないのか。今考えると、何を素直についてくる必要があったんだろう、と思う。途中でバックレたってよかったんじゃないだろうか。 「あの人って…?」 「えぇと、君のお兄さん?」 | ||||
| ×バツ× | 5/2 23:3:19 | 2191cf7LG0THWOXdw||36 | ||
疑問系で自信なさげに問うと、少年は目を丸くしてぱちぱちと瞬きをする。 「知らないでついてきたのか? それとも、つれてこられた?」 どっちだろう。これは真剣に悩んでしまう。確かについてきたはずだけれど、彼らはミラヴィアスがついてきてるか確認をしてはいなかった。けれど、ついて来いって言ったのはあの青年だし、とどっちつかずで考えがまとまらない。 「っ……どっちとも言えないんだけど…」 「ふぅん? なぁ、名前は?」 何がおもしろいのか、子どもが悪巧みをしているような表情をのせて、少年は問う。 「え? ミラヴィアス…」 | ||||
| ×バツ× | 5/2 23:19:4 | 2191cf7LG0THWOXdw||645 | ||
さらっと本名を答えてしまった。悪意も裏表も何もない少年につられたのかもしれないけど、それくらい素直な印象を受けて、無意識のうちにそれに倣ったのかもしれない。 「長いなぁ…んー…ミッラでいい?」 少しだけ眉を顰めて考え込んでいたのは、ミラヴィアスの名前の略し方を思案していたらしい。 「ぁ…うん」 「っと、ほら早くシャワーシャワー」 ぐいぐいとミッラはシャワールームに押し込められてしまう。さすがのミッラもそろそろ風呂に入ろうと思っていたので、ありがたく使わせて貰おうと思い直す。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 23:46:23 | 2191cf7LG0THWOXdw||749 | ||
「あ、そうだ。俺、ツバサって言うんだ。隣の部屋にいると思うから、終わったら呼んでくれる? 服は着なくていいからさ」 「っ…わかった」 ……………いや、わかんない。服着ないで、人を呼びに行けるか!っていうか、あの人の名前、聞くの忘れてた。弟の名前を知ったところで、結局なにひとつ、あの青年のことを知らないままだ。 | ||||
| ×バツ× | 5/2 23:48:36 | 2191cf7LG0THWOXdw||321 | ||
えぇと、このへんでお暇させて頂きます。 こんななっがい、しかも稚拙なものを読んで頂けましたら…えっと、貴重なお時間ありがとうございました^^ | ||||
| グラさんぴっぴ | 7/2 20:54:3 | 2196cfk7oiMU/pVPY||366 | ||
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