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10666STRAY−5×バツ×6/16 16:19:422191cf7LG0THWOXdw

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   *前回のあらすじ*
 俗に言うストリートチルドレンのミラヴィアスは、ある日不思議な青年と出会う。その青年に連れられて行ったのはブランド店の一角で、そこで青年の弟だというツバサという少年に出会う。二人の親切(?)をよそに、服を見繕ってもらっているミッラには果てしない不安と疑問が。果たして、バラッドの目的とは。


×バツ×6/16 16:20:262191cf7LG0THWOXdw||195

「んー? 付き人候補だよ」
 間延びした声を出しながら、ツバサは信じられないことをさらっと言ってのける。
「はあ?」
 さすがに、今日一番の驚きだ。鏡の中に、目を見開いて驚いている自分を見つけて、慌てて顔を引き締める。ちょっとどころではなく、間抜けな顔だ。
「なっ、何それ!? 付き人って、えっと…グレイブさん? みたいなことするわけ?」
「そうだよ」
 まるで歌うように、さらさらと答えるツバサは、ミッラの驚愕なんてものともしない。
「冗談じゃない、そんなの!」



×バツ×6/16 16:21:42191cf7LG0THWOXdw||533

「……どうして?」
 カチッとドライヤーを止めて、鏡越しに真剣な目が問い掛けてくる。どうしてもなにも、ミッラのような根無し草のような少年が、そんな仕事に就けるわけがない。それに、付き人と言ったらマネージャーのようなものではないか。バラッドがどのような人間かなんて関係なく、そんな面倒くさい仕事をする気はない。
「どうしてって……そんな、マネージャーのようなことできるわけないだろ」
 彼についてきたのは、過去を売ってくれと言われたからだ。自分の過去に価値なんてないとわかっていても、それを話すだけでバイト代をくれるというのなら、願ってもない話だと飛びついただけなのに。

×バツ×6/16 16:21:472191cf7LG0THWOXdw||769

「語弊があったんだけどさ。本当のことを言うと、付き人じゃなくて執事なんだ」
「執事!?」
 どっちにしろ驚きだ。今のこの時代に、執事を雇っている家なんて本当にあるのだろうか。彼らはそんな家の子息なのだろうか。
「うちは、本家にいる全員に一人ずつ執事がついてるんだ。まぁ、世話係みたいな感じなんだけど…。んで、兄貴はずっとグレイブさんの代わりを探してんだよ」
「だからって、何で俺なの。もちょっと、こう……信頼できそうなの探そうよ」
 無意識に眉間に皺が寄っているのを、鏡が教えてくれる。それでも、それをなおす気もなくツバサを凝視してしまう。


×バツ×6/16 16:22:422191cf7LG0THWOXdw||302

「兄貴はミッラが信頼できると思ったんだろ。俺には兄貴の考えてることなんて、半分もわからないけど」
「わかんないなら、別に執事候補じゃないかもしれないじゃないか」
 拗ねたような口調でぶつぶつと文句を言っていると、話をしながらも手を動かして続けていたツバサの表情が、まるで花が咲いたようにふわっと優しくなる。
「はい、出来た」
 いろいろなことを考えるのに没頭していたせいで意識していなかったが、ツバサはミッラのくせっ毛を利用して、サイドの髪が外に跳ねるようにヘアーワックスで少しいじったのだ。それだけでも、長年放って置かれ続けたミッラの髪は、見られるようになっただろう。


×バツ×6/16 16:23:102191cf7LG0THWOXdw||85

「あ、ありがとう……」
 少し茫然としながらも素直に御礼を言うと、ツバサはうんとにっこり笑う。
「あと、外は寒いと思うから、これも着て」
「ん……」
 手渡されたジャケットは、よく見ると複雑に糸が折り合って出来ている黒い生地で、見ようによっては黒に近い灰色にも見えるなと思いながら、それを羽織る。
「よし。じゃ、行こっか」
 満足そうにミッラの全身を見たツバサは、くるっと扉の方へと踵を返す。途端に大声を上げる。
「あー!」
「ぅわ、何?」
 目を見開いて固まってしまったツバサを覗き込むと、パクパクと口を動かしている。
「ツバサ?」


×バツ×6/16 16:25:142191cf7LG0THWOXdw||73

 もう一度呼びかけると、やっと反応があった。
「忘れてた……うわ、どうしよう! スイを放ったままにしてた!」
「スイ…?」
 そう言って、ばたばたと走っていくツバサを条件反射で追ってしまう。あんなところに一人残されても、どうしようもない。何よりも、バラッドのところへ戻れる自信なんてない。それに、スイっていうのもなんなのか気になる。
 ミッラよりもひとあし先に駆け出していたツバサの後を追って、ツバサが入っていった部屋のドアからそろそろと中を覗いてみる。
「ほんっと、ごめん!」
「はぁ……どうせまた気に入った外見の子がいたのでしょう?」


×バツ×6/16 16:26:202191cf7LG0THWOXdw||500

 ツバサが平謝りしているのは、ツバサよりも背も歳も上だろうけれども、少年と青年の中間のような容姿の男。灰色と茶色が混ざったような変わった色をした髪で、盛大にため息をついている様子さえも目が引きつけられてしまうほど、綺麗な人だ。
「ん、下に兄貴が来て……あ、ミッラ、こっち来て」
 ふとミッラに気づいたツバサは、助け船を出すような表情をしている。
「や、でも…」
 近づくことをなんとなく躊躇ってしまうのは、少年とも青年とも判断できない彼がほぼ裸に近い格好をしているからだ。ブランケットを羽織っているだけの彼は、ミッラを見つけて目を瞬かせてから、近くにあった服を身につけ始める。


×バツ×6/16 16:27:152191cf7LG0THWOXdw||961

「バラッド様が下にいらっしゃるのではないですか?」
「あぁ、いるけど…」
 ツバサにしては歯切れの悪い答えだ。その辺に落ちている布地やらメジャーやらを台の上に置きながら、子どものように口を尖らせている。
「じゃあ、こんなところでもたもたしてないで、早くバラッド様の所へ行ってください」
「だから、謝りに来たんじゃん。ゴメンって…」
 声は一定を保っているようなのに、言葉の端々に刺が見える。ツバサが忘れていたと言うくらいだから、ミッラがここに来てからずっと、彼はほぼ全裸の状態でここに待たされていたのだろう。


×バツ×6/16 16:28:382191cf7LG0THWOXdw||833

「別に怒ってませんよ。ツバサ様が一つのことにしか集中できないと言うのは、重々承知していますから。……ただもうすぐ冬が来るという時期に、こうも長い時間放っておかれるなら、一言頂きたかっただけです」
「やっぱ怒ってるし…」
 相手に見えないようにぼそっとツバサが呟くと、案外地獄耳なのかぎろりと睨んでくる。その間にもてきぱきと服を着ている。
「何か仰いましたか?」
「いいえー」
「間延びした返事をしないでください」
「っ………はい」


×バツ×6/16 16:30:32191cf7LG0THWOXdw||295

 綺麗な顔から発せられる毒舌に、ミッラは唖然とするしかない。ツバサは不機嫌そうに顔を顰めてそっぽ向いたままだし、今度は自分が彼の毒舌の餌食となるのではないかという不安さえ覚える。そのうち、しっかり服を着込んだ彼は、ミッラの傍にやってきてふわっと微笑む。
「初めまして。ツバサ様のお世話をさせて頂いている、スイと申します」
「あっ…初めまして。ミラヴィアス、です」
 毒舌を吐いていたとは思えないほどの優しい微笑みに、しどろもどろになりながらも答える。
「申し訳ございません。見苦しいところをお見せしてしまって…」
 本当に申し訳なさそうな困ったような表情に、ミッラこそが困ってしまう。


×バツ×6/16 16:58:572191cf7LG0THWOXdw||550

「や、あの…別に…」
 見苦しいなんてとんでもない、と素直に言おうとしてしまった言葉を飲み込む。実際、スイはミッラより少し長身なだけで、そこまで大きな体をしてはいない。ただ頭が小さくて、バランスの良い身体をしているのだ。近くで見ていると髪の色同様、瞳も変わった色をしているのがわかる。瞳の縁は灰色なのに中心は薄い緑で、いろんな国のミックスなのかなぁと頭の片隅で思う。
 ミッラがぶしつけにじぃっと見ていても、気分を害した風はなく、少しだけ首を傾げてきょとんとしてからツバサの方を振り向く。
「ツバサ様…バラッド様をお待たせしているのでしょう? 早く行かれた方がよろしいのでは?」


×バツ×6/16 17:9:562191cf7LG0THWOXdw||255

 中途半端ですが、ここまでにします^^
 御黙読ありがとうございました_(._.)_ペコリ



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