戻る
10933ぼくの夏休み――小説の夏休みKozue8/28 19:5:305917cf7BT68HOsrhg
主催者のKozueです。
皆様参加ありがとうございます^^
えっと、今現在宿と言う名の題に追われているため、まだ読めていません;
時間が取れるようになったら必ず読みますm(__;)m

今回は主催者として一本くらい載せてみようかな、と思ったので書きました。
初めに断っておきますが、駄作です。
ここ4ヶ月ほどスランプに見舞われているからですOTL

そんなですが、ふてぶてしくも本編開始させていただきます。

Kozue8/28 19:6:225917cf7BT68HOsrhg||285
  
 
 
 
□残り香□
 
 
 
 

Kozue8/28 19:6:505917cf7BT68HOsrhg||5
  
 
――ドアががちゃりと音を立てて空いた。彼女が町から帰ってきたらしい。
 
 

Kozue8/28 19:14:45917cf7BT68HOsrhg||69
「ふいー……。やっぱり夏は暑いわねえ。ちょっと亜優、クーラー入れてよ。」
 母・美礼(みゆき)は出先の町で配っていたうちわを仰いで背中に風を入れながら、L字型キッチンで夕飯を作り私に命令した。私はヤレヤレといった風に首をすくめ、キッチンの前に鎮座する小さな机の上にあったリモコンでクーラーの電源を入れた。奴はウィーン、と音を立てながら徐に冷風を噴き出した。
 あー、やっぱり夏はクーラーに限るね、と言って目を細めながら、母はソファーに横たわった。
 
 
 

Kozue8/28 19:14:155917cf7BT68HOsrhg||866
 
 彼女は、やっとの思いで取った1週間の夏休みを、私をこき使って家事をさせることで楽に過していた。宿題が例年の2倍近くあって言っている私にとっては、何かと五月蠅い母が家にいる事は相当な損失だ。とはいえ、普段寝る間も惜しんで生活を仕事をする母に感謝もしているので、暑さで茹る体を動かして何時もの通り家事をこなす。
 

Kozue8/28 19:14:515917cf7BT68HOsrhg||331
 
 だが、動かなければ当然食べた分のカロリーが消費されないため、太る。事実、母の身体は休み3日目にして少し横に広がったように感じた。
「お母さん、久しぶりのお休みで動きたくないのは分かるけど、あんまり自堕落な生活を送ってたら太るよ?」
 それを聞いた母は突然体を起こし、真っ青な顔ですぐさま風呂場にある、傷だらけの体重計へと走っていった。私は笑いながらその様子を見ていた。
 

Kozue8/28 19:14:595917cf7BT68HOsrhg||215
 
 思えば、母がお世話になっているその体重計は、10年前に家を出て行ったきり戻ってこない父から、母へのプレゼントだった。私はその夏の日をよく覚えている。暑かった。とても暑かった。クーラーの出す不自然な冷風が嫌いだった父のお陰で、家には冷房機がなかった。私はまだ5歳で、父がその時何を考えて季節はずれのクリスマスプレゼントを贈ったのか、窺い知ることすら適わなかった。
 

Kozue8/28 19:15:185917cf7BT68HOsrhg||104
 
 
 
 
「美礼にはいつまでも美しくいてほしいから。」
 
 
 
 

Kozue8/28 19:16:325917cf7BT68HOsrhg||491
 
 母は薄っすらと頬を上気させ、大切そうにその体重計を抱き締めた。そんな妻に、父は戸惑いながらも一つの茶封筒を渡した。
 母が中に入っていた手紙を読んだ瞬間、彼女の抱えていた体重計はがしゃんと床へ落ちた。
 
 
 
 
 もう、何年も前のことだ。
 

Kozue8/28 19:18:305917cf7BT68HOsrhg||522
…………
  
「亜優ー、もっと温度下げてよおー。」
 回想に耽る私を、突然母は呼覚ました。体重計の目盛りは母に残酷な事実を示したらしく、彼女はぷくっと頬を膨らませたり、自らの腹をつまんだりしている。
 私は、きゅうりを切る手を止め、母にリモコンを渡した。
「お母さん、私も忙しいの。今お料理してるんだから、お母さん自分で調整してよ。」
「まあいいじゃないのおー。私の為にそれくらいしなさいよおー。」
 やけにだらけた口調で語りかけながら、母はまた自分の塒であるソファーへと逆戻りした。温度をピッピッと3度下げ、クーラーは尚足掻くかのようにウィンウィンと鳴った。
 
 

Kozue8/28 19:18:535917cf7BT68HOsrhg||504
 
 きゅうりをすべて刻み終わり、私はまとめてそれらをサラダボールへと投げ込んだ。
――そういえばこの間歴史の先生言ってたっけ……。アメリカはサラダボールの国なんだって……。
 
 
…………

Kozue8/28 19:19:585917cf7BT68HOsrhg||78
 
 我が家でアメリカと父の名は事実上禁句となっている。母はわざと父のことを思い出さないようにしているし、私もあまり意識はしていない。しかし父と母が結婚して以来住み続けているこのマンションの部屋には、ところどころに父の残り香が漂う。母を苦しめ、そしてこの場所を去れずにいるのはこいつのせいだ。日常に無数に散らばる父の面影や思い出は、甘い香りをばら蒔きながら鋭い刃となり母の心に突き刺さる。
 

Kozue8/28 19:20:105917cf7BT68HOsrhg||342
 
 顔も覚束ない父・重秋は10年前の夏、母と私を捨てアメリカへと旅立った。愛に走った訳ではない。何かを探しに行った訳でもない。ただ一言を残し、私たちの前から姿を消してしまった。夕立の降る、冷たい夏の夜のことだ。
 

Kozue8/28 19:20:215917cf7BT68HOsrhg||254
 
 
 
 
「ここは僕がいるべき場所じゃないんだ。」
 
 
 
 

Kozue8/28 19:21:365917cf7BT68HOsrhg||94
 薄暗く闇を落とす玄関に佇む父は、私の頭に手を置き、自分と同じように立ち尽くす妻と目をあわさないよう警戒しつつ静かに言った。私にはその言葉の意味が分からなかったけれど、母はその一言で一切を承知したらしく、物も言わずじっと父の目を見ていた。
 
「じゃあもう行くから。」
 
 父はそういい残し、ドアを開け、夜の街へと出て行った。それが、私の見た父の最後の姿だった。
 

Kozue8/28 19:21:535917cf7BT68HOsrhg||653
 
 何分何時間、そこに2人立ち尽くしていたのかは分からないけれど、ただ一つ分かっていた事は、もう二度と父に会う事は出来ないだろうと言うこと。父は戻ってはこない。行ってしまった。か弱い私たち母子を残して。
 
 母は泣かなかった。あの日に体重計と共に渡された一通の手紙にはきっと、彼の思いや決意が書かれていたのだろう。もしかしたら謝罪の言葉も在ったかも知れない。だからきっと、彼女は泣けなかった。私の愛した人はこういう人なんだから、総てを受け入れる。それが私の運命なのだと悟ったのか。その時には分からなかった。
 

Kozue8/28 19:24:145917cf7BT68HOsrhg||798
 
――父が出て行ってから1年後のことだ。私の入学式前日に、アメリカからエアメールが届いた。差出人の欄にはは、紛れもなく父の名前がボールペンで書かれており、知らない異国の住所があった。
 母はその手紙を手に持ったまま、しばし動きを止めた。
「お母さん、それお父さんからのお手紙なんでしょう?空けてみてよ。」
 中々空けようとしない母の様子に焦れた私は、母のエプロンの袖を引っ張った。
「あ……。でもこれはきっと善くない知らせだよ……。私はそんな物見たくもない……。」
「ねえどうして?折角のお父さんからのお手紙だよ?空けないとお父さん悲しむんじゃないの?」
  

Kozue8/28 19:24:575917cf7BT68HOsrhg||330
 必死に手紙を母に空けさせようとした私は、尚せがんだ。しかし母は顔をしかめたまま、中を見詰めるだけだった。
「お母さんてばあ。ねえお母さん?」
 母は応えない。しばらく沈黙が在った。普段陽気な母の只ならぬ様子に、私は口を噤んだ。
「……私ね、これ空けないでおくことにする。」
 どれ位時が経過したのか計ることはできない。ただ、幼い私には10分とも、1時間とも感じられた長い時を経て、母は薄っすらと口を開いた。
「だけど、それにはきっと大事なことが書いてあるんだよ、だから読まないと……。」
 

Kozue8/28 19:25:325917cf7BT68HOsrhg||463
 
 この機会を逃してしまったら、もう父は帰ってこないと盲目的に考えていた。手紙がもし来なかったとしても父は帰ってこないことは分かっていたけれど。絶望から抜け出そうと、私は必死で希望の光を探した。
 私の顔と手紙とを母は交互に見比べ、突如彼女は顔を強張らせ叫んだ。
「だから嫌なの!だから……、だから耐えられないのよおおおおっ!」 
「お母さん……?」
「あの人は何でもないときに手紙を寄越すような人じゃないの、分かるでしょう?家庭に縛られるのが嫌だから海外に逃げた人だもの!そういう卑怯な人だもの!」
「お母さん、お母さん……。」
 

Kozue8/28 19:25:595917cf7BT68HOsrhg||561
 
 母は目を潤ませながら、すがる様に私を抱き締めた。父が思い付いたようにアメリカに行って以来、初めての涙だった。
 私は切なくてどうしようもなくなり、母をただ呼び続けた。小さな部屋には、ただ母の嗚咽と私のひ弱な声が反響する。外で烏の啼き声が響く。
「帰ってこないかなあ……。帰ってこないよねえ……帰ってなんかこないよねえ……。」
 母の声は微かに震えて、その震えは振動となって私に伝わった。
 
 
 
 

Kozue8/28 19:29:155917cf7BT68HOsrhg||792
…………  
 
 
 
 それから10年がたち、母子だけの生活もとうに軌道に乗り、父の気配は驚くほど薄らいだ。
 だがなくなってはいない。決してなくなってはいない。ここに父は確かに、いた。
「亜優ー?ねえ夕飯まだなのー?」
 私が思いに耽っているとは知らず、突如母は気楽に声をかけた。
 私は微かに笑いながら答える。
「まだだよ、お母さん。」
 
 
 
 
 お母さん、お父さんはまだ、帰って……
 

Kozue8/28 19:30:155917cf7BT68HOsrhg||543
□後書き□

はあ…。隠れたい(´・ω・`)

感想・文句等ございましたらお書きくださいませm(__*)m

ホルン8/29 0:59:326141cfF43gPHJ1Tfc||829
こんばんは。
悲しい悲しい話ですね・・・
読み終わったあとなんか胸がキュンとしました。

キキョウ8/29 17:23:382192cfBkVEKUKuVbY||763
こんにちは^−^

隠れちゃだめですよ、Kozueさん。
穴があったら埋め立てさせていただきます(ぁ
面白いって言うとあれですけど、うーん・・・
なんというのでしょうか^−^;
切なくて悲しい物語なのに、前向きというか。
・・・とにかく面白かったです!!(言ってしまった

バルトーク8/30 20:27:82212cfBcsmysAsVME||759
こんばんわー。
スランプドマイです。傍目にはどこがスランプなんじゃいと突っ込みたくもありますが。
あれですよ。スランプのときは全く違うタイプの話を気分転換に書いてみるとか。案外面白くなって、いつのまにか・・・・・・みたいなことに。それよりも、宿という名の題を頑張らなきゃー。ですけど。

作品の方は、お父さんのキャラがうまく掴めなかったっす。男としてこういうのはどんなんだと言ってやりたいですね。家庭に責任もてと。

主催ご苦労様でした。開催してくれたときは素で嬉しかったっす。

☆桃☆9/1 15:22:321255cfQ5dkjPmxSls||120
こんにちはw

本人がスランプって言ってますがスランプに見えないのは気のせいですか?(ぁ
凄く切ないお話でしたね。
夢中になって読んでしまってました。。;

胸にぐっさりと突き刺さるお話でしたm(__)m(ぁ


本文(<>," shift+7使用不可)
 ※メルアドや電話番号を公表してはいけません、荒らしを批判するのは「俺が神掲示板」以外は禁止!
 
特殊文字 by.チビファンタジー 過去ログ
無料ゲーム総合サイト: おもしろフラッシュ総合サイト: PS2:GBA:PSP:NDS:GC:XBOX