10980 | 砂羅洒 | 武 | 9/14 18:2:42 | 2211cfZil4nzvBl8k |
ある晴れた日の朝 罪人が次々と肉塊となっていく様を呆然と眺めていた自分 首にかかる縄と体を支えていた兵士の腕が上がるのを感じる 恐怖で顔をひきつらせながらも体は浮いていく それまで平静を装っていた家族の顔が青くなり 自分を愛してくれた父上が決して逞しいとは言えない 白く滑らかな肌で覆われた手でついに短刀を引き抜こうとした瞬間 小さなナイフが縄を裂ききった 驚いて後ろを見れば自分を死に落とすはずの まだどこかあどけなさが残っている若い兵士が死刑執行の縄を裂いていた 小さなナイフを捨て、前を向き敬礼する兵士と自分の前には この国の、王がいた |
武 | 9/14 18:3:39 | 2211cfZil4nzvBl8k||817 | ||
砂羅洒〜影と神 |
武 | 9/14 18:24:48 | 2211cfZil4nzvBl8k||838 | ||
黒髪は異端の証 黒眼は異端の証 黒衣は 死刑囚の証 少し昔にこの国にとある国から一家が亡命してきた 漆黒の髪に漆黒の瞳の長男は この国の伝説の災いの種と類似していた 同じ村の住民はいたって穏やかに接してやった 何も問題は無いと思えた だが 彼が十を迎えた雨季に 彼らの住んだ村は雨が降らなかった 苗は枯れ田畑は干からびた 有無を言わさぬ傲慢な金持ちの会議にて、下されたのは生贄の刑 己の身で神に詫びんと少年は静止する父をちらと見、首に縄をかけた それからこうして、今に至る |
武 | 9/14 18:39:6 | 2211cfZil4nzvBl8k||963 | ||
少年の父はいたって冷静に現実を受け止めた 我らの長男は、この国にでは否定される存在なのだと 愛する息子が自分から刑を希望した時、 当人は現実から逃げたがっているのだと判断した 茨の道から逃げさせてやりたいと思っていた 息子の首に縄がかかり体が持ち上げられていく様をみて 思わず短刀に手がかかったが、抑制した 息子の選んだ道を守ってやらなければと思っていた だが、あの瞳を見ただろうか あの強い瞳を たった十の男児が今自らの命を絶とうとしている |
武 | 9/14 18:41:9 | 2211cfZil4nzvBl8k||823 | ||
現実から逃れようとしているのは己だと 彼が理解するのにそう時間はかからなかった 当人の意図を履き違えたのは己だと理解した 息子は我々のために命を投げようとしているのだ ためらわずに短刀に手をかけた、その時 小さなナイフは縄を切り裂いて落ちた 小さなナイフはそれだけで一人の命を救った 彼の一番愛した息子の命を救った それはごく簡単ではあるが彼にはできなかったことであり それはごく希少ではあるが彼の居る国の王にだけできたことである |
武 | 9/14 18:54:55 | 2211cfZil4nzvBl8k||484 | ||
王は少年を気に入り 少年は王に敬意を表し 少年の父は王に少年を託した これの何に問題があろうか 静かに涙を流す両親と妹は 少年にそれぞれ、宝物を預けた 父は少年の欲しがっていた家宝、永柄の刀を 母は祖国の宝珠の首飾りを 妹は沢山の思いの篭った人形を 少年は泣かなかった 哀しくは無かった ただ少し、さびしかっただけだった 王の後ろを付いていく少年は 一度も家をふりかえることはなかった |
武 | 9/14 18:59:13 | 2211cfZil4nzvBl8k||291 | ||
「花砂丸、お前はこれからどうする」 逃げても良いのだぞと呟く王に少年は答えた 「自分は、貴方様の大切なものをお守りしたいと思います」 それが、自分の命と引き換えだったとしても 黒髪は異端の証 黒眼は異端の証 黒衣は 死も恐れない服従の証 |
武 | 9/14 19:3:41 | 2211cfZil4nzvBl8k||183 | ||
+++(・・l壁 砂羅洒(詩)→http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-10874.html 砂羅洒(小説版・光と影) →http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-10938.html 調子に乗って駄文を綴っておりました 影が光と出会うきっかけの話です 続くような続かないような マイペースにのろのろ進むかもな予想はまだ続きます お目汚し失礼しました |
popo | 9/14 21:22:51 | 1252cf8v2/WKQZSIw||612 | ||
今晩は♪ 楽しみにしておりました。 独特な雰囲気があって大好きです^^ 次回も楽しみに待っています(^皿^) |
武 | 9/17 10:52:25 | 2211cfZil4nzvBl8k||76 | ||
今日はです(・・l壁 楽しみにしてくださっていたなんて いやはや、ありがたい限りです* 続けられるかは分かりませんが 頑張ってみます^^ 感想、有難う御座いましたm(__*)m |
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