11063 | この道の先には_*2.再び | キーア | 10/20 11:48:48 | 2191cf/cZWdmfTKcw |
1週間前の大雨の日、帰る途中の道が土砂崩れで道を塞いでいたため、 近くの洞穴で、雨宿りをしていた。 少し経つと、1人の女子生徒が洞穴に入ってきた。 どうやら俺と同じ理由らしい。 腹の減っていた俺に、何の興味もそそらないまま、女子生徒は俺に、 調理実習で作ったクッキーを手渡した。 それを俺は、食べていった。 雨が上がると、女子生徒は「またね」と言って、 何処かへ消え去っていった。 |
キーア | 10/20 11:52:54 | 2191cf/cZWdmfTKcw||301 | ||
この道の先には *2.再び 今日の空は晴天。太陽の日差しが、カーテンの隙間から入り込んでくる。 時より、風が吹きカーテンがヒラヒラと揺れる。 「じゅーん!じゅーん!」 少し低い声が耳元でした。その声は、だんだんとはっきりとした言葉になり、声は止んだ。 俺は、ゆっくりと顔を上げた。 「あ、やっと起きたー」 「ずっと寝てたもんな」 |
キーア | 10/20 11:55:14 | 2191cf/cZWdmfTKcw||220 | ||
2つの声が交互に響いた。 目の前には、薄茶の髪をした同じ顔、同じ背丈の2人の男子生徒が立っていた。 「準、起きてる??」 「まだ寝てるんじゃねぇの?」 声は微妙に違うかもしれないが、普通に聞いていたのでは、全くと言って良いほど 似ている。 「・・・起きてるよバーカ」 俺は二人に言った。 |
キーア | 10/20 15:25:54 | 2191cf/cZWdmfTKcw||385 | ||
彼らは水無月 啓・椿の双子の兄弟。 「あ、起きてた。お前がバカ」 二人が声を揃えて言った。 準は目を閉じたり開いたりさせながら、ゆっくりと伸びをした。 「でさ、起きたらまたアレだよね?」 「うん。アレだよ。絶対」 彼らは交互に顔を見合わせて、同じことを同時に言った。 「例の女子生徒の夢!」 |
キーア | 10/20 15:31:24 | 2191cf/cZWdmfTKcw||393 | ||
あの雨の日、洞穴で出合った女子生徒の夢をよく見るようになった。 それも、同じ夢を何度も繰り返して―・・・。 「ってかさー。準もよく見るよねー」 「そーそー。寝る度に夢見てるから幸せだよねー」 二人はからかっているのかいないのか、分からないような会話をする。 準は机に頬杖をついて、啓と椿を見比べる。 「るっせーな。おめぇらだって見るだろ。夢ぐらい」 すると、二人は顔を見合わせた。 |
キーア | 10/20 15:35:44 | 2191cf/cZWdmfTKcw||740 | ||
目は点としていたが、二人は同時に準を見ると、 少し笑いながら答えた。 『準いじりの楽しい夢なら結構見るよ』 「何だそれ。俺を勝手に夢でいじんじゃねぇよ」 二人は揃って笑っていた。 そして、何かを思い出したように、啓が手を叩いた。 「あ、そうだ。準、また来てるよ。例の―・・・」 |
キーア | 10/20 15:39:35 | 2191cf/cZWdmfTKcw||55 | ||
と、言いかけて、椿が教室の後ろのドアを開けた。 「女子生徒たちが」 廊下には、三角巾とバラバラの柄のエプロン姿の女子生徒が、小さな袋を持って、 叫んでいた。 今にもドアが潰れそうな勢いだったが、すぐにドアを閉めた。 ドアが閉まった状態でも、声はよく聞こえる。 「調理実習で、クッキー作ったんだとさ。で、準に食べてもらいたいって」 「しかもA組女子生徒1名を除いて全員」 |
キーア | 10/20 15:43:40 | 2191cf/cZWdmfTKcw||202 | ||
「は?1名除いて?」 いつもなら、全員と言うところが、何故か1名を除かれていた。 「うん、準に何の反応も無し。女子なのにね」 「多分他の女子より鈍いだけだと思うけどねー」 俺は即座に席を立った。 何故だか勝手に体が動いていた。考えるよりも先に。 前のドアを勢い良く開けると、まだ女子生徒が群れていた。 そんな事は気にせず、隣のA組の教室へと入っていった。 |
キーア | 10/20 15:49:18 | 2191cf/cZWdmfTKcw||335 | ||
教室にいたのは、男子だけで、その女子生徒はいなかった。 間もなくチャイムが鳴り響き、4時限目が始まった。 * それから昼休みのチャイムが鳴り響き、それぞれが弁当を拡げていた。 準はチャイムが鳴ると同時に、ダッシュで屋上へと向かった。 他の女子は、弁当を二つ持ち、準の所へ来るため、ダッシュで逃げるのだった...。 いつもの屋上なら、誰も居ないはずなのだが、この日は違った。 屋上に、1つの人影が見えた。 |
キーア | 10/20 15:53:1 | 2191cf/cZWdmfTKcw||322 | ||
その影は、1週間前の女子生徒だった。 「あっ・・・・・」 「・・・どうも・・・邪魔・・・かな・・・」 「あっ、いや・・・邪魔じゃねぇ・・・よ」 どこか他の女子生徒とは違った匂いがあった。 物静かで、冷静な・・・言葉では言表せないような、感じがした。 「この間は・・・ありがと・・・。助かった・・・」 「いえ。アレ・・・あげる人居なかったし」 |
キーア | 10/27 9:13:39 | 2191cf/cZWdmfTKcw||902 | ||
女子生徒は残りの弁当を続けて食べていた。 準は女子生徒と少し距離をとって座った。 「いつも1人で喰ってんの?」 「いや・・・時々」 どこか素気ない言葉だった。 感情がイマイチ分からない。いつもこんな風なのだろうか? そう思った。 「そろそろ教室に戻るね」 女子生徒が弁当箱を布に包み、その場に立った。 |
キーア | 10/27 9:17:18 | 2191cf/cZWdmfTKcw||802 | ||
「えっちょっ、あ、あぁ・・・えっと・・・その・・・」 「ん?何?」 言葉につまった。何故か自然に女子生徒を止めてしまったのだ。 「名前・・・名前!!君の・・・名前は?」 一番気になっていた事だった。 女子生徒は、準の目を見て言った。 「廉。1−A 篠崎 廉」 |
キーア | 10/27 9:22:4 | 2191cf/cZWdmfTKcw||682 | ||
廉。そう名乗った。 準は慌てて立ち上がると、あたふたとしながらも、廉の目を見て言う。 「お、俺は・・・1ーB、柳瀬 準!」 彼女は少し小さく口を開けて、何かに驚いた表情をして準を見ていた。 その表情は、準の行動がおかしかったからなのか、名前を聞いたからなのかは、 分からない。 しかし、廉はすぐに元の表情に戻ると、順に向かって軽く微笑んだ。 「またね。柳瀬君」 そう言って、廉は屋上から去っていった。 *2.再び 完 |
キーア | 10/27 9:24:5 | 2191cf/cZWdmfTKcw||798 | ||
**前回の作品 ・この道の先には*1.出会い 【 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-11013.html 】 |
キーア | 10/27 9:26:46 | 2191cf/cZWdmfTKcw||232 | ||
*あとがき* 長い日にわたって、読んでくださってありがとうございました。 どうにもINする回数が減り・・・。 INはできるのですが、最近では、チビ自体に興味がひかなくなり・・・。 またINしない日々が続くかと思われます。 正直、この小説も、そう長くは続かないかと思います。 ですが、もし読んでくださる方がいるのでしたら、続行して書き続けて いきたいと思います。 |
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