11137 | この道の先には_*4.叫び | キーア | 11/20 20:5:1 | 2191cf/cZWdmfTKcw |
もやもやした、霧のようなものが一気に消えた。 しかし、消えたかと思ったもやが、再び現れた。 彼らの言葉に・・・重なる言葉に・・・戸惑っていた。 あの言葉が気になって、授業に身が入らない・・・。 とぼとぼと、考えながら俺は歩いて行く。 もやを抱えたまま・・・。 |
キーア | 11/20 20:8:59 | 2191cf/cZWdmfTKcw||939 | ||
この道の先には *4.叫び 次の日の朝。カーテンを開けると、外は暗かった。 空一面黒い雲で覆われ、大量の雨粒を降らせていた。 柳瀬準は、透明のビニール傘を片手に外へと出ていった。 「今日も雨か・・・。最近、雨・・・多いよな」 1人呟いた。周りには誰も居なかった。 いつも通る道は、自分しかしらないし、他の誰かが通る道でもなかった。 暗い道を所々ある水溜りを避けながらも、学校へと歩いていった。 |
キーア | 11/20 20:13:1 | 2191cf/cZWdmfTKcw||928 | ||
学校へ着く頃、ズボンの裾は濡れていてしっとりと重たかった。 ビニール傘を閉じると、靴を履き替え、部室へと向かった。 日は日曜日。学校には文芸部の生徒が部室で、それぞれの活動をしていた。 柳瀬もその1人だった。 『おっはよー準!今日もいい天気だねー』 部室のドアを開けると、そこから飛び出してきたのは、 双子の兄弟、水無月啓と椿だった。 彼らは、揃って声をそろえ、俺に飛びかかってきた。 「どこかいい天気なんだよ。大雨じゃん」 |
キーア | 11/20 20:17:15 | 2191cf/cZWdmfTKcw||125 | ||
部室に鞄を置くと、決まった椅子に座った。 決まったと言っても、場所はころころ変わるし、部員は柳瀬と水無月兄弟の2人だけだった。 「だってさー雨の日=依頼がこないじゃん!」 「そーそー。依頼こないなんて、幸せじゃん!」 この部は万事部という変わった部である。 いわば万事屋という奴だ。 依頼されれば、何でもやる。 勿論、正式な部であるため、金はとらない。 |
キーア | 11/20 20:20:3 | 2191cf/cZWdmfTKcw||90 | ||
「依頼っつっても、普段もこねぇだろ。ただのお喋り部だよ」 その通りだった。 普段、1ヶ月に1回、活動が行われるかどうかだった。 この部を知っているものも、少ないだろう。 柳瀬のファンである女子生徒でも、知られていない程だった。 だからこの部室を知るものは、教師とその他特定の生徒だった。 そのため、この場所が柳瀬にとって、唯一落ち着ける場所だった。 「まっ、その通りだけどね。部員もこの人数だしさー」 「でもさー啓、あんまり増えすぎても困るでしょ??」 |
キーア | 11/20 20:22:4 | 2191cf/cZWdmfTKcw||559 | ||
二人のやりとりを真剣には聞かないが、自然と耳に入ってくる。 濡れた靴下を脱ぎ捨て、鞄から新しい靴下を取り出した。 「あ、俺、1人この部に誘いたい奴いんだけど!!」 「え、まじで?俺もだよ!」 別に二人の会話に興味はなかった。 いつもふざけた会話しかしていないし、真剣に話す事も少ない。 だから、いつも二人の事を真剣には見ていなかった。 『篠崎 廉!!』 |
キーア | 11/20 20:23:52 | 2191cf/cZWdmfTKcw||478 | ||
思わず噴出しそうになった。 ―篠崎廉 再びもやのようなものが現れた。 そうだ・・・。 思い出したかのように、柳瀬は双子を見た。 「なんでソイツの名が出てくるんだよ」 「えーだってさぁ、最近俺の中の話題だよ」 「そうそう。話題になってる人物ナンバー1だよ」 以前、こいつら二人に言われた事、 “『準は篠崎の事が好きなんだよ』” |
キーア | 11/21 6:43:36 | 2191cf/cZWdmfTKcw||444 | ||
―好き・・・ 今まで寄りかかってくる女子生徒なんていくらでも見てきた。 でも、いつもただウザくて、邪魔で、どうでもよかった。 なのに、篠崎という女子生徒には、他の生徒と違う何かがあった。 「話題にしてんじゃねぇよ」 「え?何??準、ヤキモチやいてんの??おっもしれー!!」 「面白がるんじゃねぇよ」 本当の事がわからない。 自分の事なのに・・・。相手をどう思っているかさえわからない。 |
キーア | 11/21 6:46:50 | 2191cf/cZWdmfTKcw||797 | ||
* 日は暮れ、時刻は6時をまわっていた。 朝と同じ雲が一面に広がり、大雨だった。 今にも雷が鳴りそうな雰囲気を漂わせ、雨を降らせていた。 「じゃぁな馬鹿兄弟」 『じゃあなー。恋愛超鈍感超大馬鹿変態ストーカー』 「おい。俺を何だと思ってんだおめぇら」 双子はそのまま横に並んで帰っていった。 そして柳瀬準も、いつもの道へと帰っていった。 |
キーア | 11/21 6:50:9 | 2191cf/cZWdmfTKcw||125 | ||
そして、予想していたことが起きていた。 大雨の所為で、いつも帰る道が土砂崩れで塞がれていた。 「ハァ・・・ったくだから大雨は嫌なんだ・・・」 仕方なく、この間雨宿りしていた洞穴へと入った。 そこには、人影があった。 「あ・・・どうも・・・」 それは、先ほど話題になっていた篠崎廉だった。 |
キーア | 11/21 6:53:49 | 2191cf/cZWdmfTKcw||798 | ||
「おっ・・・おぉ・・・」 一瞬ためらってしまった。 出会った場所がこの場所で、そのときも大雨だった。 「今日は・・・・・・前よりも大雨だね」 初めて彼女から話しかけてきた。 綺麗な声だった。透き通るような・・・綺麗な・・・。 「あ、あぁ。そうだな・・・」 言葉が見つからない。何を喋っているのかも分からなかった。 |
キーア | 11/21 6:56:7 | 2191cf/cZWdmfTKcw||940 | ||
「雷・・・ならなかったらいいな・・・」 小さな声で呟いていた。 あまり気にも留めていなかったが、今この天気なら、雷はおそらくなるだろう。 雨は止む気配を止めなかった。 「やまねぇな・・・・・・もう6時30分過ぎてるっつぅのに・・・」 「うん・・・やまな・・・」 言葉が途切れた。雷が何処か遠くで鳴り響いた。 その雷は、だんだん近くで聞こえるようになった。 |
キーア | 11/21 6:58:24 | 2191cf/cZWdmfTKcw||78 | ||
「あ・・・雷だ・・・。やっぱなったな・・・おい、篠崎?」 言葉が途切れたかと思うと、篠崎は小さく体を丸め、耳を塞いでいた。 そして、なるべく洞穴の奥へと寄り添い、少し泣きそうになっていた。 「ご・・・ごめん・・・雷・・・駄目・・・な・・・んだ・・・」 まだ近くで雷はなっていた。光で篠崎の顔が時々うっすらと見える。 “「雷・・・ならなかったらいいな・・・」” この言葉は、彼女が本当に嫌だったから呟いた言葉だったのだろう。 「・・・・・・・・・・」 |
キーア | 11/21 7:0:32 | 2191cf/cZWdmfTKcw||11 | ||
「こうしてたら・・・・・・おち・・・つく・・・・から・・・・さ」 落ち着いている様子には見えなかった。 俺は静かに目をつぶって、篠崎の場所へ近付くと、そっと抱きしめた。 「大丈夫。俺がいるからさ・・・・・・怖くないし・・・」 彼女は安心したかのように、涙を流さなかった。 そして落ち着いてきたのか、ゆっくり目を閉じた。 「あり・・・がと・・・・・柳瀬君・・・」 |
キーア | 11/21 7:2:52 | 2191cf/cZWdmfTKcw||350 | ||
彼女はにっこり微笑んだ。 その微笑が、俺のもやを吹き飛ばした。 俺が何故、篠崎を抱いたのか・・・分からなかった。 けど、この微笑をみて分かった。 やっぱり俺は・・・ ―篠崎のことが好きなんだ 外の雨はしばらく止まなかった。 暗い空は、次第に綺麗な空を見せ始める―・・・。 *4.叫び 完 |
キーア | 11/21 7:4:24 | 2191cf/cZWdmfTKcw||640 | ||
**前回の作品 ・この道の先には*1.出会い 【 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-11013.html 】 *2.再び【 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-11063.html 】 *3.思いとそれから【 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-11112.html 】 |
キーア | 11/21 7:6:26 | 2191cf/cZWdmfTKcw||378 | ||
**あとがき** 今回は、短期間で話を終了させることができました。 実際、暇な時にしかかけないのですが、このまま長期間に渡ってかいていくのも・・・ と思いつつ、今日は頑張って短期間で終わらせました。 あとがきとして描くことはあんまりないのですが、 タイトルがおかしいです。サブタイが・・・。 叫びなんて何処にもなかったですね・・・。 篠崎が叫ぶ予定だったんですが、急遽なくなりました・・・忘れてました・・・。 でわ、5話であいましょう。 |
すみれ☆ | 11/22 20:47:24 | 2204cfnacloQpOVtw||412 | ||
こんばんは^^ いつも楽しく読ませてもらってます♪ 双子くんは「やられたら倍返し」みたいですね^^ 廉ちゃん、雷苦手ですか…。 ですよねぇ。音が激しいというか。 廉ちゃんが叫ぶところを忘れていたのはどんまいです>< 次回も楽しみにしてます^^ |
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