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11164超人戦争(B−1バルトーク11/28 22:38:462212cfBcsmysAsVME
前回で募集した様々なキャラが眠ってる超人戦争。
全員を動かす為に到った結論が、同じ時間軸で別々の視点をやるって言う話。

今回は
前回A−1 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-11143.html
と同じ時間軸。比較的近い別の場所でのお話。
既にグダグダになりそうな予感はしていますが、読んでいただければ嬉しいです! 

バルトーク11/28 22:40:42212cfBcsmysAsVME||636

 東側の山腹。
 日は既に沈みかけており、茜色の空は木々であろうが人であろうが問わずに、その色へと染め上げる。
 そんな光に目を細めつつ、白塗りの仮面は目の前の先程まで協力者であった二人の男を見つめていた。
 仮面の男は赤の特殊部隊の人間だ。その後ろには、気弱そうな少年が同じように特殊部隊の徽章を身につけている。
 その二人と対峙しているのは、傭兵が二人。


バルトーク11/28 22:40:152212cfBcsmysAsVME||180

「聖十字会を倒した途端にこれとは、傭兵という人種の変わり身の早さは驚嘆に値する」
 敵の敵は味方。
 その理論は共通の敵がいなくなった時点で瓦解した。
 結局奴等は殺すしかないか。赤の内情を迂闊にも知られすぎてしまったので、その内殺すつもりではいたからこの裏切りは却って好都合かも知れない、と仮面の男は考える。
 闇討ちなど後ろにいる相方が最も嫌いそうなことだ。


バルトーク11/28 22:41:432212cfBcsmysAsVME||420

 闇と同化するかのような、真っ黒な皮鎧に身を包んだ長髪の傭兵は不敵に笑う。
 まるで自分たちの勝利を疑っていないかのように。
「はっ、協力する価値がなくなったんなら切り捨てるまでだ。俺たち傭兵団の雇い主はあくまでも金の国なんでな、赤の特殊部隊を始末すれば金一封もんだぜ」
 静かに、死を宣告する裁判官のような口調で口端を歪める黒衣の傭兵の足元には、聖十字会の紋章をつけた死体が幾つも転がっていた。
 しかし地面には黒々とした血溜まりが広がっているにも関わらず、ヨシュアと名乗る傭兵の黒衣は一滴たりとも血で汚されていない。


バルトーク11/28 22:42:222212cfBcsmysAsVME||651

 人の急所を見切り、返り血を計算して刀を振るう。そんな計算高さに裏打ちされた太刀筋は芸術的ですらあった。
 殺しを日常としてきた人間しか持ち得ない達観した死生観、そして確実に相手を仕留める技術をこの男は持っている。同じく殺しを日常としてきた仮面の男は、それを直感していた。
 射抜くような殺気。
 それを仮面の男は受け流すが、後ろに控える少年は到底受け流すことなど出来ない。
 蛇に睨まれた雛鳥のようにすくみ上がり、あろうことか弱音を漏らす。
 

バルトーク11/28 22:42:592212cfBcsmysAsVME||451
 
「り、リオテルさん。戦いなんて無理ですよ、やめましょうよー!」
 この見るからに温和そうな少年は当然の如く戦いなど望んでいなかった。元々武官になるはずなどなかったのだ。
 しかし少年は本人の意思に関係なく選ばれた。
 だからここにいる。
 

バルトーク11/28 22:43:382212cfBcsmysAsVME||741
 
 少年の手には立派な装飾のなされた両刃剣が握られているが、初めて剣を握った素人のように腰が引けていて構える姿もまったく様になっていない。
 仮面の男やヨシュアに言わせればこのような少年が戦場に立つなど笑止千万なのだが、この少年が戦場に立つにはきちんとした理由があった。
 その理由も気に入らないが、仮面の男は同志を見捨てるほど非情に徹し切れているわけでは無い。
 きちんと少年を一人前にしてやらねば。そんな気負いを仮面の男は持っているのだった。 


バルトーク11/28 22:44:462212cfBcsmysAsVME||80

「奴らは殺しに来るぞ、クロウ……お前も覚悟を決めよ。DY! クロウのサポートを頼む」
「任せなさいって!! へたれクロウはあたしがばっちりしっかりサポートしてあげるから万事オッケーよ!」
 仮面の男の言葉に答えたのは存在するはずのない第三者、しかも若い女の声だった。
 それもそのはず、声を発したのは少年が握っている黒塗りの剣。
 魔剣DYであった。


バルトーク11/28 22:45:132212cfBcsmysAsVME||466

 魂を持つ魔剣というのは、この世界にそう珍しくもない。
 それどころか、万物には八百万の命が宿ると緑の国の宗教は宗えている。
 たとえそれが事実であったとしても、ここまで意思の相通が明確に出来る魔剣は珍しい。大陸広しと言っても数本あるかどうかだ。


バルトーク11/28 22:45:472212cfBcsmysAsVME||717

 DYも数ヶ月前までは、そう珍しくもない、根底に多少意識があるだけの魔剣であった。
 意識はあるにはあるが、それは明確に形のあるものではなく、アメーバのように一定の形を成さずどろどろしている半固形状のようなものだ。そんなアメーバが、突如として決まった形を取り始めた。
 それには一人の少年が関わっている。
 正確には分かっていないが、DYという意識は少年が剣に触れた瞬間に急激な化学変化でも起きたかのように、何の前触れもなく生れ落ちた。
 そしてDYが持ち主と認めるのは、かの少年。タイム・クロウリーことクロウのみである。


バルトーク11/28 22:46:212212cfBcsmysAsVME||799

 意志をもった魔剣というのはそれだけで奇跡だ。
 超人も奇跡であるが、それを問題にしないような奇跡。
 DYはそれ自体が先見の能力を持ち、能力無効のスキルを有する。
 能力無効とは、超人の能力を全く発現させないこと。
 DYを相手にした超人は能力を使用できず、凡人と同じように戦うしかなかった。故に“超人殺し”の異名をとるこの剣は、幾人もの名のある超人を葬ってきた。
 しかしクロウは修羅場を幾つ潜りぬけようが、全く成長する様子は無い。
 戦いを恐がり、人を殺すことを怖れる。


バルトーク11/28 22:47:22212cfBcsmysAsVME||91

 今も目前に明確な危機が迫っていながら、全く剣を振るう様子は無い。
「うひぃっ! ぼ、僕は戦う気なんてないのに!!」
 しかし本人に戦う意思がなくとも、火の粉は降りかかる。
 だが、クロウは剣を振るわない。ただ肉体をDYの動くままに任せているだけである。 
 事実クロウが剣を振るわなくとも、DYが自らの意思で攻撃を迎撃し反撃を行った。
 DYの主導する剣術は達人のそれであり、人が一生の鍛錬を積んだとしても習得できるかどうか怪しいものだ。
 数百年の間、人の血を吸ってきたDYは殺しの為の生命。
 自らの有効な使い方など、人間が二本の足で歩くのと同じように心得ているだろう。
  

バルトーク11/28 22:48:272212cfBcsmysAsVME||255
  
 そんな魔剣を剣の心得のある実力者が振るったとしたら、それは一国の王でさえ退けられる程の力を発揮することは容易に想像できる。
 だからヨシュアは交渉を持ちかけた。
「坊主、その剣を俺に渡す気は無いか? お前には宝の持ち腐れだ、俺ならもっとそいつをうまく使える」
「ふん、誰がアンタなんかに使われてやるもんですか。私にはクロウがいれば十分なの」
「そいつは、残念だ」
「っ―――!」
 クロウの意思を無視したやり取りの直後。
 がきん、とクロウの目前まで迫っていた弓矢をDYが咄嗟に反応して弾き落とす。


バルトーク11/28 22:49:112212cfBcsmysAsVME||106

 DYが反応したといっても、振るうのはクロウなのだから剣が予想外の方向に動くたびに各所の筋肉が悲鳴をあげていた。
 今では慣れたものの、予想外の動きには力を込めるのが間に合わず筋肉が断線しそうになる。
「すみません、外しました」
 事実を言うだけの感情の薄い言葉。
 ヨシュアよりも数歩後方。
 短弓を手にした小柄な少年は、普段何の感情も映さない瞳に、今は心底残念そうな表情を浮かべていた。
 こんな表情をするのか……仮面の男は多少感心しながらも、いつでも飛び出すべく身構えた。
 

バルトーク11/28 22:49:402212cfBcsmysAsVME||212

「厄介だな。ますます欲しくなったが」
 ヨシュアは単純に驚いていた。
 まさかあの剣は先見の能力や幻想破りの力まで有しているというのか。
 先見を有しているのならば飛び道具が意味を成さないのは分かる。
 しかし先程の弓矢もただの弓矢ではないのだ。


バルトーク11/28 22:50:52212cfBcsmysAsVME||505

 少年の持つ短弓の名は“幻想魔弓ポロネス”
 その一見はなんの変哲もない鉄弓から放たれた矢はたとえ一本だろうと、狙われた方には数百本にも感じられるという幻術効果が附加された弓矢である。
 先見だけではこの幻想魔弓を防ぐことは出来ない。
 しかし防いだ。
 という事は、幻想破りまで附加されていると容易に想像できる。
 

バルトーク11/28 22:51:42212cfBcsmysAsVME||172
 
 厄介だがますます気に入った。ヨシュアは飛び出すべく下半身へと力を込めると、後方で矢をつがえている少年へと声をかけた。 
「レン! お前は仮面の足止めをしろ。俺は剣を奪う」
「―――分かりました」
 本当はリオテルとか言う仮面の相手は、ヨシュア自身がする気でいた。
 しかし魔剣に弓矢が効かないとなった以上、仮面の足止めはレンに任せるしかない。


バルトーク11/28 22:51:182212cfBcsmysAsVME||378

 その采配に何の問題もないはずだが、あの仮面はとんでもない能力を潜めている―――そんな予感がするのだ。
 自分にそんな予感を与えているのは、長年の傭兵生活で培われた経験か、それともいままで何度も世話になった直感なのか。どちらかなど、ヨシュアには分からなかった。
 

バルトーク11/28 22:51:402212cfBcsmysAsVME||944
 
 そんな複雑な内情をしらず、ヨシュアの指示に小柄な少年―――レンはただ頷く。
 レンはヨシュアに育てられた。
 傭兵として村を焼いたヨシュアは、ただ一人生き残ったレンを引き取り、弓使いとして育てたのだった。
 それは手駒とするための打算だったのかもしれない。
 そうならば、その計略は完璧に成功したことになる。レンほどヨシュアに忠実な部下はいないだろう。
 しかし―――レンはそれだけでないと寡黙な頭で考えていた。
  

バルトーク11/28 22:52:62212cfBcsmysAsVME||566
  
 稀にヨシュアが自分を見るときにする申し訳なさそうな目。 
 その理由を、いつかレンはヨシュアへ問いただしたいと考えていた。 
 だからここで死ぬわけには行かない。
 大局としての勝敗などレンにはどうでもよかった。
 ヨシュアと自分が生き残ればいい。それがレンの戦う理由だった。


バルトーク11/28 22:52:392212cfBcsmysAsVME||89

 まるで空を覆い尽くすかのような弓矢の豪雨。
 しかしそれが幻覚だと分かっているから、白塗りの仮面は落ち着いたまま目を閉じる。
 あくまでも視覚に訴えかける幻術を破るには、単純だが見なければいい。
 敵前で目をつむるなど自殺行為であるにも関わらず、リオテルはその状況を愉しむかのように、何の躊躇もなく目を閉じた。


バルトーク11/28 22:53:152212cfBcsmysAsVME||240

 風きり音を察知して、白塗りの仮面は右へと跳躍する。
 まるでネコ化の肉食獣のような、しなやかな跳躍。
 それを繰り返しつつ、仮面は徐々にレンとの距離を詰めていく。
「っ!」
 弦を引き絞り、弓矢を放つ。
 しかしそれは仮面を掠めさえしなかった。すべてが空を切る。
 速い―――! 全く捉えられていない。
 それに加えて人間とは思えないほどの柔軟さ。そもそも、あの仮面からは感情というものが感じられないのだ。
 まるで殺すことが目的で作られたのような人形。
 自分はそもそも人間を相手にしているのだろうか。
 レンは自らの想像に震えながらも、果敢に矢を放った。


バルトーク11/28 22:53:482212cfBcsmysAsVME||351
 
 急に足を止めたリオテルがじゃらじゃらと取り出したのは、鉄製の鎖の先に錘(おもり)のついた見慣れない武装。
 分銅鎖(ふんどうさ)と呼ばれるそれは、緑の国の暗器である。
 遠心力を利用して先端の錘で敵を殴打する兵器であるが、使用するのに技術が必要な割に活躍する場面が限られるので愛用する者は緑の国でも少ない。
 そんな武装を、遠く離れた異国の地で仮面の男は使おうとしていた。


バルトーク11/28 22:54:122212cfBcsmysAsVME||511

 仮面の男の通り名は“鎖槌のリオテル”リオテルは大抵の武器を使いこなせるが、その中でも最も気に入っているのがこの分銅鎖だ。
 本来分銅鎖の使い勝手を考えれば、鎖の長さは使い手の顎のから爪先までを目安とするが、彼の鎖はそれの倍近くはあった。
 これくらいしなければ凡人の自分は、超人に太刀打ちできない。
 それこそ使いこなす為にリオテルは血のにじむような努力が必要だった。だが努力は無駄にならない。
 今やリオテルの分銅鎖の前には、幾人もの超人たちが屍を築いていた。


バルトーク11/28 22:55:62212cfBcsmysAsVME||694

 矢の豪雨に対するのは、さながら鎖の竜巻だった。
「はぁぁぁ!」
 迫る弓矢を、リオテルは分銅鎖を跳ね上げて弾き飛ばす。
 長身のリオテルが五体全ての力を総動員して振り回す分銅鎖を防御に使えば、それは守りの円盤のようなもの。
 前面に展開した円盤は、一寸の隙もない。
 現にリオテルは弓矢の豪雨を防いでいた。それが幻覚だとしても、目を開けているリオテルに幻覚を破る能力は無い。
 だからどうした。
 リオテルは竜巻を巻き起こしながら徐々にではあるが、レンとの間合いを詰めていった。


バルトーク11/28 22:56:02212cfBcsmysAsVME||757

 あと十歩ほどの間合い。
「まずい……」
 レンもこの状況の厄介さを理解していた。
 あの防御ならば百本幻想は役に立たないだろう。事実弓矢が百本飛んで来ようが防げる防御の前に、現実の劣化である幻想は役に立たない。
 そして徐々に詰められる間合い。
 それがゼロになった時点で自分の死は決定する。間合いを取ろうと少しでも矢を射る手を緩めた時もまた、防御の円盤が攻撃の鉄槌と化して襲い来るだろう。
 下手な超人よりも性質(たち)が悪いな。
 レンは分かっているのに抜けられないこの悪循環に、ぎりっと歯を鳴らした。


バルトーク11/28 22:57:162212cfBcsmysAsVME||732

 黒い影が躍る。
 必殺を期して的確に切り下ろされる長刀。それを剣の心得もないような少年は容易く防いだ。
「ちぃっ!」
 さながら猿人類のような不可思議な動きで距離を取るヨシュア。
 足がよろめいた危うい着地。
 肩で息をしながら、射抜くような視線で敵を見据える。
「ふんっ、大口叩いた割にはこの程度なの?」
「くっ、能力を封じておいてよく言う」
 忌々しげにヨシュアは吐き出す。
 ヨシュアは必殺の一撃、影絶閃を未だ放てずにいた。


バルトーク11/28 22:57:432212cfBcsmysAsVME||574
    
「ヨシュアさん、もうこんな戦いはやめましょうよ!」 
「坊主、それは出来るわけがない。一つ忠告するが―――戦う意思がないなら戦場に出てくるな!!」
 怒号と共に繰り出される一撃。
 隙の少ない脇からの切り上げ。それをDYは確実に防ぎに来る。
 しかしそれはフェイクだ。
 防がれる寸前、ヨシュアは手首を返しスイングするように横に薙ぐ。
  

バルトーク11/28 22:58:112212cfBcsmysAsVME||736
  
 首を絶つその軌道。
 手に伝わるのは肉を切った感触―――ではなく甲高い金属音と手首の痺れ。
「ぐぅぅぅっ!」
 一撃が失敗したとなれば、すかさず距離を取る。
 ヨシュアはクロウやDYと打ち合う気はなかった。


バルトーク11/28 22:58:462212cfBcsmysAsVME||712

 ヨシュアの得物は緑の国の職人が鍛えた片刃の長刀。
 倭刀と呼ばれるそれは刺突や斬撃には非常に適しているものの、単純な破壊力においてはロングソードなどと比べ物にならないほど低い。
 だから打ち合えば根を上げるのはこちらが先だ。
 しかも相手は魔剣。鍔ぜりを行った時点で刀が使える状況かどうかは分からない。


バルトーク11/28 22:59:52212cfBcsmysAsVME||436

 攻め込めない苛立ち。
 DYの力場の中ではどんな超人でも能力は封じられる。
 確かにDYは強いが、倒せないほどでは無かった。しかしそれは必殺が使えればの話。
 必殺が使えない状況で打ち合うなど……ヨシュアは勝機を見出せずにいた。


バルトーク11/28 22:59:362212cfBcsmysAsVME||954

 レンは思考した。
 ヨシュアさんは未だに苦戦している。
 ならば自分が退くわけには行かない。
 乾坤一擲の覚悟。
 レンとリオテルの距離は既に六歩ほどまで縮んでいた。
 安全圏は既に超えている。ならば、生き残る為にもこれしかない。
 覚悟を決め、レンは精神を集中させる。


バルトーク11/28 23:0:112212cfBcsmysAsVME||74

「いきますよ」
「甘い、間に合う理由がないぞ」
 手を止めたレンは、感情を隠したリオテルの仮面がまるで笑ったように錯覚した。
 リオテルの勝ったという確信。遠心力という火薬を得てはじき出された鉄槌は、一秒と経たずにレンの頭蓋を粉砕するだろう。
 それだけの間に、レンは必殺の一撃を叩き込まなければならない。
「貫け! 必中幻想プラインベル―――!」
 魔弓が咆哮した。
 幻想魔弓が放つ最大の幻想。
 それは実際に矢を放ちはしない。ただ、相手に貫かれたと錯覚させるだけの幻想だ。
 

バルトーク11/28 23:0:382212cfBcsmysAsVME||880
 
 この状況でそれがなんの役に立つだろうか。
 今リオテルを倒したところで、レンは死から逃れられない。


バルトーク11/28 23:0:542212cfBcsmysAsVME||446
 
 否、レンが狙ったのはリオテルではなく先端の錘。
 魔弓の幻想は人間に対してだけ作用するわけでは無い。
 魂は万物に存在する。幻想は肉体ではなく魂に作用するのだから、物質の魂さえも惑わすのは道理。


バルトーク11/28 23:1:162212cfBcsmysAsVME||646

 幻想の弓矢に穿たれた錘。
 それは自らが穿たれたと錯覚し、途端に勢いを失う。
 だからといってゼロになったわけではない。
 とうに避けられる距離ではなく、勢いを失いながらも錘はレンの額を打った。
「ぐぁっ!」
 額が割れ、おびただしい量の血が流れるが、レンはまだ生きている。
 しかし死は間近に迫っていた。
   

バルトーク11/28 23:2:62212cfBcsmysAsVME||359
   
 ムチのようにしなり、鎌首をまたげる鎖。
 先端の錘が再度、レンの額を狙う。
「ここ―――まで……か」
 レンが死を覚悟する。
 ヨシュアさんに問いただしたい事とか山ほどあったのに。
 どうせなら聞いておけばよかった。そんなことを最後に考える。
「―――レンっ!!」
 最初は錯覚かと思った。
 だけど違う。
 命を絶つべく迫った錘を、片刃の長刀が弾く。
 風になびく黒の長髪。趣味の悪い黒衣は、レンが尊敬する人のものだった。
 あぁ、この人はいつも都合よく現れて助けてくれる。普段はだらしないのに。
 そんな考えを最後に、レンの意識は暗黒へと沈んだ。


バルトーク11/28 23:2:332212cfBcsmysAsVME||379
  
「息はあるな……よかった」
 意識を失ったレンの小柄な体を、ヨシュアが抱え上げる。
 そしてリオテル達へ背を向けたまま歩き出した。
「っ―――まさか逃げられると思ってるわけではなかろうな!!」
 逃がすものかとリオテルが分銅鎖を再び振るう。
 禍根は早い内に潰す。それはリオテルの鉄則であった。


バルトーク11/28 23:3:102212cfBcsmysAsVME||873

 しかし鎖の蛇は得物を見つけられず、虚しく空を切った。
「気配遮断か……DY、気配は―――」
 追えるか、と言いかけたリオテルの先を突いてDYは答えた。
「無理よ。私は探知の能力を持ってないもの。能力無効だって五歩程度の領域にしか効果ないしね。それと、クロウも疲れてるし追いたくないみたいだから―――分かってても言わないかな」
 リオテルの白塗りの仮面が地面を見つめる。
 何を考えているか傍目からは分からないが、内心そう穏やかなでないことは想像がついた。


バルトーク11/28 23:3:512212cfBcsmysAsVME||103

 しかしDYに文句を言っても始まらないと、リオテルは今までの経験で理解している。
「神酒江たちは上手くやってくれているか……? クロウ、合流地点へ向うぞ」
「ちょっと、クロウは疲れてるって―――!」
「大丈夫だよ、DY。早いところお姫様を連れ戻さないと」
 そうして歩き出した一行であったが、DYの先見は不吉な予感を告げていた。
 何がどうなるってわけじゃないんだけど、凄い嫌な予感がする。
 しかし言うほどのことでもない。DYはそう思って心の中にそれを留めておいた。
 言っておけばよかったとDYが後悔することになるのは、そう時間の経たない未来である。

 B−1
 fin


バルトーク11/28 23:5:282212cfBcsmysAsVME||872
  
超人リスト


NO4 ヨシュア(男)
出身 不明
所属 傭兵
技能 剣技L2、指揮官L1
能力 気配遮断

能力評価 C−
戦闘評価 B
総合評価 C+

      
NO5 レン(男)
出身 不明
所属 傭兵
技能 射撃L2、魔弓耐性L1 
武装 幻想魔弓ポロネズ(魔弓L1)

武装評価 C−
戦闘評価 C
総合評価 C−


バルトーク11/28 23:5:392212cfBcsmysAsVME||15

NO6 リオテル(男)
出身 赤の国
所属 赤の国
技能 暗器L3、指揮官L1
武装 分銅鎖

武装評価 D  
戦闘評価 C
総合評価 C−


NO7 クロウ(男)
出身 赤の国
所属 赤の国
技能 -
武装 DY

武装評価 A−
戦闘評価 B
総合評価 B+


NO8 DY
出身 不明
所属 赤の国
技能 先見、剣技L3
能力 能力無効

能力評価 A−
戦闘評価 -
総合評価 -


バルトーク11/28 23:11:152212cfBcsmysAsVME||972

後書き
まった長いです。
最近短くまとまりません。それでも読んでくれた方、ホントにありがとうっ!!

反省として視点が変わりすぎとか色々あります。
まだまだ未熟です。徐々に直していければなーと。
それと超人じゃない一般人も出てきました。個人的には一般人にも頑張って欲しいですね。
それとBルートのヒロインはなんと言ってもDY。剣のヒロイン……ノリで書いたけど大丈夫かな……。
次回はC−1かA−2。
それと明後日からテスト。洒落なんないぜ、おい!


りゅ11/29 18:34:132184cfAU0jy/xyg/w||896
こんばんはー。
こっちはテスト結果もそれなりの結果ということで一夜漬けとしては上出来かと。
ん〜・・・見抜かれたか・・・。
やっぱバルトークさんの書いたキャラはきれいに動きますね〜。ホントに。
あとはなんかこう設定がちょくちょく変わってる気が・・・いや気のせい気のせい。
長くてもいい。むしろ長いほうが楽しいのですよ。というのが自分の考え。
テスト、がんばってください。
あ、そういえば学年に五科合計490点いたな・・・がんばってください!

バルトーク12/2 16:19:562212cfBcsmysAsVME||434
りゅさん、こんちわー。
金曜のテストは苦手な英語が案外出来がよかった感じでほっと一息です。
もう英語が終わればテストなんて半分くらい終わったようなもんすよw

本編は読み直してみると説明が多くかえって分かり難くなっていた感じがしたのですが、動いてる様子をしっかり読み取って頂いて感謝であります。
―――設定は変わっちゃってるんです、気のせいじゃないんです。既に別物な感じがorz
そこらへんはご容赦をー。

だはー。
五教科490……そんな点が取れてたら人生変わってたと思う。いや、マジで。


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