1126 | 小説 IRU 「小さな空想世界」 | イクス | 6/24 18:18:22 | 2202cfwKIgBablNMk |
「なんだろうね?これ。」 イルは手にしているゴムに似た感触の青い半球を指して言う。 「さあ?」 問われたレフィリスは困惑した声を出す。 イルがいる場所、そこは黄色い花が咲き乱れる美しい花畑だった。 どこまでも澄みきった青い空の下、桜に似た花びらはそよ風に揺れる。 遠くには白い城壁のお城がかすかに霞んで見える。 |
イクス | 6/24 18:18:48 | 2202cfwKIgBablNMk||857 | ||
イルは城に目をやって、手にしている謎の物体に意識を戻す。 「痛っ」 イルが驚いて持っていたモノを手放す。 指には小さくて浅い歯形が付いていた。 急に声がかけられる。 「それは”ぽよ”だよ。」 イルは突然の声に訝しげに振り返る。 「やあ、初めまして。」 そこには一人の男が少し気取って立っていた。 「初めまして。貴方は?」 |
イクス | 6/24 18:19:7 | 2202cfwKIgBablNMk||23 | ||
イルはそう言って相手の服装を眺める。 鉄兜に青い胸当て、目に黒い眼帯を付けていて、鋭い目をしている。 手には両刃の剣と盾を持っている。 「おっと、忘れていた。俺はイクス。君は?」 男の快活な声を聞いて、イルは話す。 「私はイル。こちらはレフィリス。」 帽子を指して言う。 |
イクス | 6/24 18:19:27 | 2202cfwKIgBablNMk||829 | ||
「どうもー。」 「ところで”ぽよ”とは?」 イルはもそもそ這っているモノを指して聞く。 「それはぽよって名前の動物さ。ここの世界の生き物は人を襲う傾向にあるけどそいつは まともに動けもしないから大丈夫。安心していい。」 イクスは”ぽよ”なるモノを指して言う。 |
イクス | 6/24 18:19:49 | 2202cfwKIgBablNMk||281 | ||
「そうですか・・・ところで私たちはここに来たばかりで何も知りません。よかったら いろいろ案内などをしていただけないですか?」 「もちろんさ!ここは危険もたくさんあるからね。」 イクスはそう言って城下町の方に歩を進める。 様々な格好をした人達の中にくたびれた茶色い帽子をかぶった男がいた。 城下町は飲食店や、安宿で埋め尽くされていて住居らしき物は見あたらない。 |
イクス | 6/24 18:21:11 | 2202cfwKIgBablNMk||702 | ||
所々に武器や防具を扱っている店や薬を売っている店が建っている。 男は興味深そうに通りを行く人達を眺めていた。 兜をかぶっている者、ジーンズにシャツを着ている人、全身を甲冑で覆っている性別 不詳の者・・・およそ統一されていない。他にはフリルの付いた白い宗教服、 頭に柏餅を乗せて手に爆弾を握っている人、和服にうちわ、鎖帷子にスノボズボン、 皆妙な格好をしている。 |
イクス | 6/24 18:21:26 | 2202cfwKIgBablNMk||348 | ||
「ここだ、ここだ」 イルの隣にいた人間が話す。 「小さいね、イル。」 「しっ。」 と呼ばれた男は帽子を叩く。 イルが見上げている建物は小さくて小綺麗な事務所だった。 |
イクス | 6/24 18:21:41 | 2202cfwKIgBablNMk||48 | ||
看板には「何でもこなす便利屋事務所」と書かれている。 イクスはいるかな?、と言って中に入っていく。 中には女の人が椅子に座っていた。 「何かつかめましたか?ー」 |
イクス | 6/24 18:21:56 | 2202cfwKIgBablNMk||767 | ||
間延びした、のんびりした口調で女の人はイクスに話しかける。 「はい、例の物は花畑の奥にある、いば・・・」 「ところでその人はー?」 イクスの話を遮って女の人はイルを指す。 「あ、忘れてました。この人は花畑にいたイルさんです。来たばかりだと言うので連れてきました。それと・・・。」 「初めましてー。」 |
イクス | 6/24 18:22:20 | 2202cfwKIgBablNMk||982 | ||
またもイクスの話を聞かないで言う 「どうも。貴方は?」 「私は銀月。この事務所のオーナーなのー。」 銀月はそう言って目の前の男を眺める。 すっきりした顔立ちにくたびれた茶色い帽子、黒いワイシャツの白いベストを着ている。 防具らしき物は見あたらない。武器はといえばホルスターに入ったリヴォリバーだけ。 妙な格好ねー、と銀月は思う。 |
イクス | 6/24 18:22:33 | 2202cfwKIgBablNMk||609 | ||
「初めまして。私はイル、こちらはレフィリス。」 「どうもー」 イルは自己紹介をして銀月の服装を見る。 白いフリルの付いたドレスを着て、手に弓を持っている。かぶっているドクロの兜との ギャップがすごい。 「ところで例の物は?」 「はい、いばらの洞窟です。」 イクスが嬉しそうに言う。 「例の物って?」 |
イクス | 6/24 18:23:2 | 2202cfwKIgBablNMk||298 | ||
レフィリスが割り込む。 「王のおふれで出された”青い石”のことなのー。見つけた者には莫大な報酬を出すって。」 「そうだ、イクスさんも手伝ってくれないか?報酬は山分けって事で。」 イクスは、名案だ、と言うように手を打つ。 「そうねー。さすがに二人じゃ大変そうだし。」 「どうする?イル。」 イルは少し考えて言う。 「はい、ではよろしくお願いします。」 「報酬は捨てがたいよね。」 イルは帽子を叩く。 |
イクス | 6/24 18:23:20 | 2202cfwKIgBablNMk||56 | ||
「じゃあ、早速いばらの洞窟に行きましょう。」 三人はドアをくぐる。 花畑の奥にいばらで出来たトンネルがあった。 名の通り洞窟のように暗い。 「この中にあるのー?」 銀月が大人四人が並んで歩けるほどのトンネルに入りながら言う。 「そのはずです。」 イクスが胸当てにひっかかったいばらをはずして言う。 トンネルは更に奥に続いていた。 三人は暗く、湿った道を歩き続ける。 と、そのとき |
イクス | 6/24 18:23:43 | 2202cfwKIgBablNMk||435 | ||
「あれを見て下さい。」 イルが前方を指して言う。 二人は顔を上げる。そして見た。 黒い狼の大群だった。 「ブラックウルフ・・こんな所に?」 イクスが剣を抜きながら言う。 イルと銀月も武器をかまえる。 |
イクス | 6/24 18:23:59 | 2202cfwKIgBablNMk||457 | ||
最初に動いたのはイルだった。「ハウル」の照準を瞬時につけてトリガーを引く。 唸りとともに流星のように尾を引く高圧の蒼い火球が放たれた。 それは先頭の狼の顔に当たり爆発。周りの狼も炎に飲まれる。 イクスが剣を斜めに構えて斬り込んでいった。 最初の狼を縦に切り裂いて、返す刃で隣の狼を逆袈裟に斬る。 刃の勢いを残したまま後ろから飛び込んできた狼を回転しながら一文字に刻む。 まるで踊っているようだった。 銀月は持っていた弓に火矢をつがえて速射。次の矢をつがえて射る。 連射された火矢は雨の様に群に降り注ぎ、一面を火の海にする。 表情はいつものおっとりした顔だった。 |
イクス | 6/24 18:24:18 | 2202cfwKIgBablNMk||344 | ||
「どいて下さい!」 イルはそう言ってイクスの隣に移る。 撃鉄の横にある、つまみをショットからバーストに切り替えて指に力を込める。 銃口から放射状に渦を巻く炎が放たれる。 真紅の炎が狼達を舐める。「ハウル」から放たれた熱は、狼達を焦がし、溶かした。 「ごくろうさま、イル。」 「大変だったよ。」 |
イクス | 6/24 18:24:31 | 2202cfwKIgBablNMk||752 | ||
イルは狼達のなれの果てを見つめながら答える。 「行きましょうかー?」 銀月が何ごとも無かったかの様に言う。 三人は少なからず傷を負っていた。 トンネルの奥は、卵のようなドームになっていた。 てっぺんには穴が空いており、真下にある祭壇に光を落としている。 祭壇、その上には空と同じ色に輝く拳大の石が乗っていた。 |
イクス | 6/24 18:26:6 | 2202cfwKIgBablNMk||764 | ||
「やっと見つけられたか・・・」 イクスは疲労を隠さずに言う。 次の瞬間、パキンと言う小気味よい音とともに石が砕け散る。 「はい?」 「あ。」 イクスと銀月が同時に振り向く。 後ろには煙が漂うリヴォルバーを握ったイルが立っていた。 「すいません、私の誤発で報酬が台無しになってしまいました。私はこれで行きます。今までありがとうございました。」 |
イクス | 6/24 18:26:15 | 2202cfwKIgBablNMk||610 | ||
イルはそう言って押していたスクーターに乗り込む。 残されたイクスと銀月は呆然と立っていた 「ねえイル、どうして撃ったのさ?」 お城が見えなくなってからレフィリスが聞く。 「あの石は人に快楽を与えられる、ただし同時に傲慢を植え込む。あれ以上王に悪政をさせちゃいけない。」 「まあ、そうだけどさ。」 レフィリスは腑に落ちない声で言う。 そのころお城では兵士達がクーデターを企てていた。 |
イクス | 6/24 18:31:6 | 2202cfwKIgBablNMk||450 | ||
<あとがき> 読んで下さってありがとうございます^^ 今回は番外編と言う事でチビファンの世界を書いてみました。 短編で落ちを付けるため、花畑の奥に”いばらの洞窟”なるものを作ってしまいました^^; 長くなってしまったのでコピペミス等々があるかもしれません^^; ご容赦ください でわ |
銀月 | 6/24 19:25:27 | 2182cfLMvpixotkc6||996 | ||
こんばんは^^ノシ 出して頂いてありがとうございましたm(__)m ストーリーがチビなだけに、自分がそこにいる様な気分で いつも以上に楽しかったです^^ 戦闘シーンの描写がかっこ良くて、ちょっと勉強になりました..._〆(゚▽゚*) 次作も楽しみにしてます〜w |
イクス | 6/24 19:47:55 | 2202cfwKIgBablNMk||417 | ||
感想ありがとうございます^^ 次回もがんばります |
胡月★ | 6/25 2:34:9 | 2196cftvtqiBuq4NA||414 | ||
おー、銀姉がまったりキャラに・・・口調がかわいいです^^ 今回は、ブラックウルフとの戦闘シーンが見所ですね いばらの洞窟も本当に花畑にありそうな感じで、違和感がありませんでした それでは 次回も楽しみにしています☆ |
イクス | 6/25 6:27:14 | 2202cfwKIgBablNMk||815 | ||
知人にバリバリの戦闘シーンを書いてくれとせがまれたので 迫力を追求して見たつもりです^^ そう言ってくれると嬉しいです^^ |
特殊文字 by.チビファンタジー |