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1162350年火災ENGRAM5/13 17:39:492191cfBhfJKKiPlQs
〜登場人物〜

斉藤 次郎(さいとう じろう)

南森 優 (みなみもり ゆう)

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運が悪かった。
こんな事になるなんて思っても見なかった。
目の前には劫火と呼ぶに相応しいモノがあり、出口は塞がれている。
確かに、ここに入るなんていう無用心かつ、不用意な真似はしたが……

それでもこれは、無いだろう……

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斉藤次郎には何人か幼馴染がいる。
もちろん全員と仲が良く、いつも一緒にいた、なんて事はない。
それどころか最近は連絡すら取れない者や、連絡先自体分からない者までいる。
彼らは、時間と共に過ぎ去っていった一葉の木の葉のようなものだと思う。
それについては特に何も無い。
むしろ、それが普通だと思う。

しかし、それでも一人だけ残っている人間がいる。
それが南森優だった。

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幸か不幸か、彼女は斉藤次郎の初恋の人物であり、初失恋の相手でもある。
そんな過去も有り、大学に入学しても連絡を取り合えている最後の一人だ。

しかしある日、連絡を取り合うだけの彼女から友人を通じて「もう一度皆で会いたい」と連絡があった。場所は昔、子供たちの遊び場になっていた旧坑道だ。

坑道といっても町の中にあるし、途中で道は崩れているため安全。しかもエネルギー革命の余波で封鎖されているため車の出入りが無い。

なにも心配する事も無く、土曜に決まった待ち合わせに少しの恥ずかしさと、多くの楽しみを抱きながら準備をした。

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それから土曜までの大学の講義はうわの空。
なにを話そうか。どんな人間になっているか。変わってしまったのか。変わらなくていてくれたのか。

様々な不安や期待があるが、会うまで分からない。
そんな、気持ちで迎えた土曜日だが、あいにくの曇天。
次郎がまだ小学生だったなら、天気予報士を呪い殺している所だろう。
それでも、悪天候を押しても集まっている可能性を考えバスに乗り込んだ。
雨の中のバスの中には独特な匂いがあった。
味で表すなら苦い、しかしほんの少しだけ甘いといったところだ。

だが今日だけは、甘みが苦味に勝っているような気がした。

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坑道最寄のバス停に付き、乗り込んでいく休日の子供たちを横目に意気揚々と歩き出す。雨の日に傘を差しながら楽しそうに歩く。気にならない程度かもしれないが、周りを見回せば、皆背中が煩わしそうに曲がっている。
冷静になって考えてみると自分は少し滑稽だっただろうか。

それでも、そのままの気分で坑道入り口に辿り着いた。
「……なつかしい……か。」

そう素直に感じた。そこには公園があった。もちろん、次郎たちが子供の頃にはこんな立派な公園は無かった。しかし、それでも坑道の入り口や、そこから見える風景は変わっているものの面影が強く残り、思い出が溢れ出してくるのを感じた。

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しかし、誰もいない。
早く着き過ぎたかもしれない、そう思い時計を見ると時刻は既に過ぎていた。

少し休んで帰るか。
そう思った時、携帯がなった。
メールではなかった。

「今日は中止にするよ。また次の機会で集まろう。」

南森優からだった。
やっぱりか、と内心では思ったが口には出さず「わかった。」と短く伝えた。

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帰ろうと思い、見納めにもう一度坑道を見ると入り口に誰かが立っている。
淡い青の畳まれた傘、それを持っている優だった。
声やメールでは会話をしていたが……
久しぶりに顔を見た。

女は化けるというが、本当に美人になっていた。
昔の話とはいえ、惚れた女へのヒイキ目もあっただろうが、それでもカワイイ方だと思う。

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声だけ、声だけ掛けて帰ろう。
そう思い一歩を踏みしめた。
刹那、視界が大きくぶれ、立っていられなくなった。

それが地震だと確信したのは揺れが収まってからだ。
なかなか大きかっただろう。

「そうだ、優は……」

視線を向けてハッとした。
入り口が崩れている。

ENGRAM5/13 19:17:282191cfBhfJKKiPlQs||891
あまり重度の崩落では無いことは分かるが心配だった。
跳ねる泥を気にせずに駆け寄ると、淡い色の傘と、優を見つけることができた。
入り口は少し崩れただけで特に変化は無いようだ。
「……大丈夫か?」

それに気が付いた優は、はっと顔を上げ、笑顔でこう言った。

「久しぶり?」

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プロローグ終わり〜

感想あったらお願いします^^


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