| 11623 | 50年火災 | ENGRAM | 5/13 17:39:49 | 2191cfBhfJKKiPlQs |
| 〜登場人物〜 斉藤 次郎(さいとう じろう) 南森 優 (みなみもり ゆう) | ||||
| ENGRAM | 5/13 17:51:47 | 2191cfBhfJKKiPlQs||148 | ||
| 運が悪かった。 こんな事になるなんて思っても見なかった。 目の前には劫火と呼ぶに相応しいモノがあり、出口は塞がれている。 確かに、ここに入るなんていう無用心かつ、不用意な真似はしたが…… それでもこれは、無いだろう…… | ||||
| ENGRAM | 5/13 18:0:59 | 2191cfBhfJKKiPlQs||101 | ||
| 斉藤次郎には何人か幼馴染がいる。 もちろん全員と仲が良く、いつも一緒にいた、なんて事はない。 それどころか最近は連絡すら取れない者や、連絡先自体分からない者までいる。 彼らは、時間と共に過ぎ去っていった一葉の木の葉のようなものだと思う。 それについては特に何も無い。 むしろ、それが普通だと思う。 しかし、それでも一人だけ残っている人間がいる。 それが南森優だった。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 18:37:4 | 2191cfBhfJKKiPlQs||238 | ||
| 幸か不幸か、彼女は斉藤次郎の初恋の人物であり、初失恋の相手でもある。 そんな過去も有り、大学に入学しても連絡を取り合えている最後の一人だ。 しかしある日、連絡を取り合うだけの彼女から友人を通じて「もう一度皆で会いたい」と連絡があった。場所は昔、子供たちの遊び場になっていた旧坑道だ。 坑道といっても町の中にあるし、途中で道は崩れているため安全。しかもエネルギー革命の余波で封鎖されているため車の出入りが無い。 なにも心配する事も無く、土曜に決まった待ち合わせに少しの恥ずかしさと、多くの楽しみを抱きながら準備をした。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 18:47:34 | 2191cfBhfJKKiPlQs||874 | ||
| それから土曜までの大学の講義はうわの空。 なにを話そうか。どんな人間になっているか。変わってしまったのか。変わらなくていてくれたのか。 様々な不安や期待があるが、会うまで分からない。 そんな、気持ちで迎えた土曜日だが、あいにくの曇天。 次郎がまだ小学生だったなら、天気予報士を呪い殺している所だろう。 それでも、悪天候を押しても集まっている可能性を考えバスに乗り込んだ。 雨の中のバスの中には独特な匂いがあった。 味で表すなら苦い、しかしほんの少しだけ甘いといったところだ。 だが今日だけは、甘みが苦味に勝っているような気がした。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 18:57:1 | 2191cfBhfJKKiPlQs||788 | ||
| 坑道最寄のバス停に付き、乗り込んでいく休日の子供たちを横目に意気揚々と歩き出す。雨の日に傘を差しながら楽しそうに歩く。気にならない程度かもしれないが、周りを見回せば、皆背中が煩わしそうに曲がっている。 冷静になって考えてみると自分は少し滑稽だっただろうか。 それでも、そのままの気分で坑道入り口に辿り着いた。 「……なつかしい……か。」 そう素直に感じた。そこには公園があった。もちろん、次郎たちが子供の頃にはこんな立派な公園は無かった。しかし、それでも坑道の入り口や、そこから見える風景は変わっているものの面影が強く残り、思い出が溢れ出してくるのを感じた。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 19:3:5 | 2191cfBhfJKKiPlQs||327 | ||
| しかし、誰もいない。 早く着き過ぎたかもしれない、そう思い時計を見ると時刻は既に過ぎていた。 少し休んで帰るか。 そう思った時、携帯がなった。 メールではなかった。 「今日は中止にするよ。また次の機会で集まろう。」 南森優からだった。 やっぱりか、と内心では思ったが口には出さず「わかった。」と短く伝えた。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 19:7:40 | 2191cfBhfJKKiPlQs||539 | ||
| 帰ろうと思い、見納めにもう一度坑道を見ると入り口に誰かが立っている。 淡い青の畳まれた傘、それを持っている優だった。 声やメールでは会話をしていたが…… 久しぶりに顔を見た。 女は化けるというが、本当に美人になっていた。 昔の話とはいえ、惚れた女へのヒイキ目もあっただろうが、それでもカワイイ方だと思う。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 19:12:25 | 2191cfBhfJKKiPlQs||883 | ||
| 声だけ、声だけ掛けて帰ろう。 そう思い一歩を踏みしめた。 刹那、視界が大きくぶれ、立っていられなくなった。 それが地震だと確信したのは揺れが収まってからだ。 なかなか大きかっただろう。 「そうだ、優は……」 視線を向けてハッとした。 入り口が崩れている。 | ||||
| ENGRAM | 5/13 19:17:28 | 2191cfBhfJKKiPlQs||891 | ||
| あまり重度の崩落では無いことは分かるが心配だった。 跳ねる泥を気にせずに駆け寄ると、淡い色の傘と、優を見つけることができた。 入り口は少し崩れただけで特に変化は無いようだ。 「……大丈夫か?」 それに気が付いた優は、はっと顔を上げ、笑顔でこう言った。 「久しぶり?」 | ||||
| ENGRAM | 5/13 19:18:3 | 2191cfBhfJKKiPlQs||109 | ||
| プロローグ終わり〜 感想あったらお願いします^^ | ||||
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