| 11633 | 幸福な少女。 | ピゅナ | 5/19 0:13:39 | 1221cfoEM5u4AxgQw |
| ―――――― ある森には孤独な男が、ある街には幸福な少女がいました。 孤独な森の男は幸福な少女と出会います。 そして「ごめんね」と謝ります。 その理由は…。 ―――――― | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:14:7 | 1221cfoEM5u4AxgQw||521 | ||
| そう言われて、幸福な女の子はさっき撫でようとした野兎の方に 視線をやりました。その途端、幸福な女の子は顔を隠して泣き出しました。 兎は血を流して死んでいたのです。 兎の血を見ることが初めてだった衝撃と、兎への、可哀想だと思う気持ちが いっぱいになって、幸福な女の子の目から、ぼろりぼろりと溢れて零れました。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:14:37 | 1221cfoEM5u4AxgQw||791 | ||
| 「…どうしてこんなことをするのですか?」 幸福な女の子は、出来るだけ涙を見せないように拭ってから言いました。 幸福な女の子は、涙は人を悲しくさせると知っていたのです。 「…さみしかったから」 男はただでさえ虚ろなその目をより一層、虚ろにしました。 幸福な女の子は、なんだかその男が可哀想になりました。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:15:0 | 1221cfoEM5u4AxgQw||528 | ||
「…どうしてさみしいと、兎を殺すの?」 「話を聴いてもらいたくて。僕の話をただ聴いて欲しくて」 「…誰もいないの?話を聴いてくれるのは兎だけなの?」 幸福な女の子は、自分の中から湧き出る苦しさから、男に訊きます。 「誰もいない。…兎も死んじゃったから、僕はまた独りだ」 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:15:21 | 1221cfoEM5u4AxgQw||208 | ||
想像すら出来ませんでした。 幸福な女の子は、独りになったことが一度もなかったからです。 その分、その男が可哀想で可愛そうで、また気持ちが溢れそうになりました。 「独りじゃないわ。今は、貴方は独りじゃないの。私が此処にいるから」 溢れた気持ちが、今度は目ではなく口から零れてしまいました。 幸福な女の子は、責任を持てない言葉を言ってしまったのです。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:15:44 | 1221cfoEM5u4AxgQw||978 | ||
「…本当に?…嬉しい。すごく嬉しいよ。僕はずっとずっと君が欲しかった」 虚ろだったあの眼に、暖かい光が宿りました。 無邪気に喜ぶ男は、とても可愛くみえました。 幸福な女の子もつられて無邪気に笑いました。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:16:8 | 1221cfoEM5u4AxgQw||838 | ||
「お家においで。今日はパーティーだ」 男にそう言われて、幸福な女の子は自分が何故ここにいるのかを思い出しました。 そして、森の人はとても危険だということも思い出しました。 「いけないわ。私、薪を集めて帰らなきゃ…」 幸福な女の子がそう言うと、男は無邪気な表情を消しました。 途端に、あの虚ろな、邪気で満たされたような表情になりました。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:16:29 | 1221cfoEM5u4AxgQw||91 | ||
「…そうか。君は僕に、嘘をついたんだね」 「嘘なんてついてないわ。…またここに来るわ。お話、聴いてあげる」 幸福な女の子は、男に優しくそう言うと、男のその手を優しく包みました。 それでも男は虚ろな眼のままでした。 それがどんなに、幸福な女の子を傷つけたことでしょう。 「…そうだわ。パーティーは私のお家でやりましょう。 今日は私のお誕生日パーティーの日なの。 貴方と出会えたパーティーも、一緒にやりましょう」 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:16:48 | 1221cfoEM5u4AxgQw||372 | ||
「…ありがとう」 男は力なく、微笑ました。 幸福な女の子は、とても複雑な気持ちになりました。 無理して笑ってくれなくていいのに、と思ったからです。 「…じゃあさよならだね。元気でね」 男の言葉に、女の子はわけが解らなくなりました。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:17:10 | 1221cfoEM5u4AxgQw||821 | ||
| 「僕は森の孤独な狩人だから、幸福に包まれている君の家には入れない。 君がこっちに入ってくれないと、僕は君にさよならすることしか出来ないよ」 とうとう、幸福な女の子は泣き出してしまいました。 涙は隠せる量を超えてしまいました。 もう、幸福な女の子は幸福な女の子だけではどうしようもないのです。 もう、幸福な女の子は幸福な女の子ではなくなってしまったのです。 「…じゃあもう一度だけ」 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:17:30 | 1221cfoEM5u4AxgQw||145 | ||
男は虚ろな眼で言いました。 「兎さん、兎さん、白くて小さな可愛い兎さん。僕のお家へおいでよ」 幸福な女の子は、こっくりと頷きました。 もう、幸福な女の子は幸福な女の子ではなくなってしまったのです。 幸福な女の子は、幸福な女の子ではなく、 白くて小さな可愛い兎さんになってしまったのです。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:18:36 | 1221cfoEM5u4AxgQw||584 | ||
幸福な女の子は、もうこの森にはいません。 白くて小さな可愛い兎さんは、 森の中の孤独な狩人の兎さんになってしまいました。 白くて小さな可愛いだけの兎さんは、森の中の孤独な狩人と いつまでもいつまでも、何年も何十年も幸福に暮らしました。 | ||||
| ピゅナ | 5/19 0:19:7 | 1221cfoEM5u4AxgQw||941 | ||
| ***―――――――――――――――――――――――*** こんばんゎ。 前回の後篇を書かせて頂きました。 読んで下さった方、コメントを下さった方に感謝致します。 自分自身苦しい時に思いついたのがこの物語。 自分自身が幸福な少女だったのかもしれません。 そして孤独な森の男が少女を成長させてくれたような… そんな気がします。 また読んで下さる方がいらっしゃれば、物語や詩を載せたいと 思っております。 ではでは。 ***―――――――――――――――――――――――*** | ||||
| taijun | 5/19 1:23:23 | 1251cfcjrsgRq5UqA||235 | ||
| こんばんは。 期待していましたが、期待以上でした。 少女(兎)の「幸福」がテーマになっているようですが、ちょっと視点を変えて、少女の家族から見ると、少女はパーティ途中に行方不明になっています。少女の幸福が変化することで、家族は不幸になっています。 孤独な狩人は、「兎を殺せる」男です。男は元少女と幸福に暮らしながらも、兎がどこかに行かないか、びくびくしていたのではないかと、想像してしまいます。幸福な中に孤独がありそうです。 ホント、幸福ってなんなんでしょうね。 ちょっと荒削りですが、寓話としては、グリムより面白いと思いました。天賦の才ですね。他の作品、楽しみです。是非お願いします。 | ||||
| 林 | 5/19 12:58:43 | 1223cfcl92ZiKQU86||274 | ||
| おぉ。 やはり物語の作り方が上手ですね>< これは道徳の教科書にも載せることできるかも・・・ 何かどこか切ないような・・・そして嬉しいような・・・ そんな感じのお話ですね。 私も見習わなければっ>< | ||||
| イズナ | 5/19 18:57:33 | 2115cfRQmfYsMh8bE||291 | ||
| こんにちは。 前回、コメントのタイミング逃しちゃって…続編を楽しみにしていた一人です。 taijunさんと同じく、想像、期待以上でした(*ノノ) 2度、読み返して思った事がひとつ。 最後の1レスがあるか無いかで、物語の角度が変わって見えました。 最後の1レスが無ければホラー感すら感じ取れました。 ドキドキしながら最後まで読ませて頂きました♪ とてもステキな作品だと思います。 | ||||
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