1474 | 世界ずん作劇場Part1 | ダンディずん | 7/9 5:50:24 | 6122cfaPfN/MXucrA |
とある方からお題を出された上、「書かんとシバくぞオンドリャー」と ムチ持って脅されたので、「夢なのか」というテーマで文をつづりました。 というわけです、はい。 |
ダンディずん | 7/9 5:52:27 | 6122cfaPfN/MXucrA||71 | ||
「ある典型的な日」 、目覚めるとまたここにいるのだ。 しかたないので、私は体にかかった苔のシートをどけると、ひとつ大きなあくびをする。 暗闇に目をこらして、そこかしこに飛び出た木の根っこをよけながら窓にかかるツタを わきに押しやると、その下に薄くかかる蜘蛛の巣を通して明け方の陽光が差し込み、い つもとなんら変わらない一日の始まりが外に満ちあふれていることを知る。 |
ダンディずん | 7/9 5:52:36 | 6122cfaPfN/MXucrA||771 | ||
鼻をすすりながら玄武岩の六角柱を踏み降りてキッチンに入る。納戸の隣のカバの腹を 開いて紙パックを取り出し、ダイニングのイノシシのところまで裸足をぺたぺた言わせな がら歩いていくと、その背にパックを置く。仔イノシシの上に腰掛けると、用意されてあ った皿に、やはり用意されていた箱から銀鼠色の雲母片をざばざばとつぎ、持ってきた紙 パックから白濁した発煙硫酸を注ぐ。 |
ダンディずん | 7/9 5:52:57 | 6122cfaPfN/MXucrA||379 | ||
液体がしみこむ、しゅわしゅわという音にしばし耳を傾けた後、あの世の銀スプーンで 皿から雲母片をすくう。口に運びたいのだが、スプーンがあまりに大きいので自分の口に は持っていけない。だから空気の裏側に映っている自分に食べさせてやる。雲母片を噛み 砕きながらこっちを見つめるその顔のさらに裏側では、もうひとつの顔が目をつぶったまま歌を 歌っている。私は自分の後頭部に彼女の歌を聴く。今朝はスズメも鳴いていない。 |
ダンディずん | 7/9 5:53:2 | 6122cfaPfN/MXucrA||19 | ||
舞、あなた、時間は大丈夫なの? そういいながらウシの顔をした歩く大樹が、濡れた木の葉を揺さぶりながら目の前を通 った。その葉の一枚一枚につけられた鈴が、しゃらしゃらとせわしなく壁に響く。 母さん、今日は先生のとこだから遅くなるわ。六時くらいだけど、鍵おいとくわぁ。い つものとこ。 和室で叫ぶ声を知らぬ振りして、私は鉛の制服をのろのろと着始める。いつまで経って もあの日の獣の匂いがとれない。 |
ダンディずん | 7/9 5:53:20 | 6122cfaPfN/MXucrA||761 | ||
* 関節がたくさんの芋虫の中、目の前で紙細工たちが相撲を取っている。振動のたびに前 後左右にゆれ、それでもぶつからぬ方が勝ちと決めたようだ。 手が出せないなら足を出せ。 芋虫の気門から見える、時速一兆Kmの風景。 考える10mの葦たちが互いに手をつないで沈鬱な顔のまま、水平線に縁取られた田の水面 を吹き抜ける死の数をパーセカンド単位で数えている。 早回しの雲。なのに何故その形を崩さないのか。 アーモンドバター味の川を南極まで旅するフランス顔の少女の薄汚れた商標がちらり。 |
ダンディずん | 7/9 5:53:36 | 6122cfaPfN/MXucrA||707 | ||
突如ふたつを分かつDrosophila melanogaster の前胸部と腹部の体節。平均棍。羽音。 ふと振り向くと、周りは紙細工から考える1.65mの葦たちになっていて、私は思わずうつ むいてしまうのだ。 |
ダンディずん | 7/9 5:53:51 | 6122cfaPfN/MXucrA||213 | ||
* ここは近未来都市ですか?私は生身の姿に不安を抱く。 重金属機械の伊藤くん、はい。重金属機械の緒方さん、はい。重金属機械の木下さん、 はい。重金属機械の田中さん。田中さん? …はい、ここです。重金属機械の田中はここにいます。 ネジを外して自爆するなら、それは今。 だけど私は今日の行動をプログラムすると、黙ってあまりのメモリーを数えた。 |
ダンディずん | 7/9 5:54:4 | 6122cfaPfN/MXucrA||438 | ||
* まいはとてもいいこです。 おかねをひろったらこうばんにとどけます。 こまっているひとをみかけたらたすけてあげます。 だけど、しらないひとにはついていきません。 ブランコを蹴飛ばしたら一回転して戻ってきた。 どうせなら私にもぶつかれよ、バカ。 |
ダンディずん | 7/9 5:54:16 | 6122cfaPfN/MXucrA||826 | ||
* 白いラッコの腹を満たす生暖かい漿液から起き上がり、鏡に自分の体をさらして見た。 正中線に隠れた境界線。黒い影に潜む、悪の実。 この無垢の木が芽生えたのはいつだったのか… |
ダンディずん | 7/9 5:54:29 | 6122cfaPfN/MXucrA||153 | ||
* ぱたん、と扉が閉まる音。 そこかしこに飛び出た木の根っこをよけながら天井から下がるツタを引くと、その下に ツキヨタケの光がはじけ、次の瞬間、暗闇が訪れる。 私は苔の下にもぐりこんで、目の中心から外側に向かって飛ぶ幾匹もの光るDrosophila melanogasterを数えながら、涙を流し願う。 明日はきっと、違うはず。 それなのに |
ダンディずん | 7/9 7:37:44 | 6122cfaPfN/MXucrA||505 | ||
--------<リバース>---------- |
marinoe | 7/9 12:3:49 | 2181cfN6k5bnBFzRM||527 | ||
満場の期待の中、真打ち登場ですね。 裏切られない筆運びにグウの音も出ないです。 ずん様の物語の舞姫が狂喜の夢から、 反転の後、目覚める事を。。。。 でも、夢に沈んでいく方が幸せなのでしょうか このごろ、鉛の制服を着たガンダム達が闊歩しているような これはやはり、気のせいなんでしょうか。。。 雲母のコンフレークに色をのせて、乳酸菌も添えて、 食べながら、考える事にします。 逆さまに映る影を見つめ続けないように注意しなくては。。。。 |
ダンディずん | 7/9 18:24:12 | 6122cfaPfN/MXucrA||506 | ||
marinoeさん、感想ありがとうございます 真打ちなどとんでもありませんが、自分なりの書き方で書けたと思っています メタファーに美を預ける場合、メッセージ性との兼ね合いで苦しむものなのですが 今回、思い切ってメッセージ性を排した文体に挑戦したのに このようにきちんと意図を読み取ってくださって、非常に心が軽くなりました まぁ一般ウケが悪いというのは、もうだいぶ昔から分かっていて、覚悟の上ではありますが… あなたの詩のように、純化された美とその影の深遠が同時に言葉に隠されているような 美しい世界が描きあげれればいいなぁ、と思っています |
銀月 | 7/10 7:19:14 | 2182cfLMvpixotkc6||127 | ||
明日はきっと、違うはず。 それなのに この言葉は、今の銀にとても響いています。 ただ、願うことしかしてない時点でダメだなぁとか思いつつ 舞と同じで、ネジを外して自爆する勇気も根性もなかったり・・・。 彼女はこの繰り返される夢から出られるんでしょうか・・・。 きっと、出られる。そう願ってやまない朝です。 ・・・もうずんさんが見てない事を願って(;´▽`A`` お二人の素敵なレスの下につけてしまう事を許してね^^; もっと一杯感想はあるんですが・・・上手く言葉になりませんでしたm(__)m |
ベベル | 7/10 12:38:59 | 2031cf5ptVJXcsK06||591 | ||
ありきたりな言葉ぢゃないのに酷く現実的、 日常的に目にしているのにヤケに幻想的です 現実と夢の境界線なんて、案外いい加減なもので、 寝る・起きるがなくなったりしたら区別なんてつかないのかもしれない 舞 が目にしたのは 夢か現か・・・ あぁ・・・この文体で書店に並んでたら惹かれるだろうなぁヽ(=´▽`=)ノ もちろんずんブランドで(笑) |
特殊文字 by.チビファンタジー |