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1508心を探す旅PINGPONG7/10 15:28:512181cfroHG3MSJ/uw
前回は二人が森の中にいるところで終わってしまったと思います。
(1483の、『小説、作ってみます。』というスレです。)
今回はその続きを〜^^

PINGPONG7/10 15:57:212181cfroHG3MSJ/uw||996
「………あ、あのさ………。」
ふいに裕子が声をかけてきた。
ゆっくりと、頭の中で言葉を選ぶように話す。
「ん? 何?」
私は振り向き尋ねた。
「………なんか…さ、嫌だよね……。」
「何が?」
さらに尋ねる。
「……先輩が……さ、言ってた……事。『私達には心が無い』って……。」
その言葉を聞いたとたん、頭がカッと熱くなるのが分かった。
よほど怒ったような顔をしたのだろう。裕子がごめんね、と誤った。
「……べつに……先輩が言ったことは関係ない。裕子が誤ること無いよ。」
どうにか理性で封じ込めてそれだけ言う。
裕子に怒りをぶつけたって何にもならない。怒ったらダメだ……。


PINGPONG7/10 15:58:192181cfroHG3MSJ/uw||319
訂正
よほど怒ったような顔をしたのだろう。裕子がごめんね、と謝った。
「……べつに……先輩が言ったことは関係ない。裕子が謝ること無いよ。」


PINGPONG7/10 16:29:552181cfroHG3MSJ/uw||508
ガサガサッ!! ガサッ!
「?!」
急に近くの草陰で物音がした。
私と裕子は慌てて木の陰に隠れようとした、そのとき―――
「君達、森にいたら危ないよ!夜は獣が活性化して、オオカミとか熊とか出てくるんだから!」
草陰から出てきた女の人に、腕を捕まれてしまった。
びっくりして顔を見ると、その人はなんと、
「森山先生?!」
音楽の教科を受け持っている、森山先生だった。
森山先生は薬草のようなものの入った籠を持ち、不思議そうに私達を見ていた。

PINGPONG7/10 16:58:562181cfroHG3MSJ/uw||400
「………もりやま? なんだいそれ? 私は『草守者』だよ。」
森山先生は変な子だねぇ、と呟くと、私達の腕をぐいぐいと引っ張り草陰の方に連れて行った。
「え?な、なんですか?!どこに行くんですか?!」
「森を出るに決まっているじゃないか。こんな時間に、女の子が二人で。」
草陰を抜けると、そこは小さな村だった。
「あ、あの……『草守者』って……なんですか……?」
つかまれた腕を痛そうにさせながら、裕子が言った。
それを聞いて、また不思議そうな顔をしながら森山先生が答える。

PINGPONG7/10 17:4:62181cfroHG3MSJ/uw||827
「…本当に変な子達だねぇ。 『草守者』っていうのは、私の心の形だよ。
 草を守り、育てる者。それが、草守者。 私は医者をしているんだ。」
それを聞き、裕子がビクッ、と体を震わせた。
ここでは、心の形が名前になっているんだ。それが、先輩の作り出した世界…。

「ん……?あんた達の心の形はなんだい…?ちょっと手を横にして。気をつけの姿勢でじっとして。」
胸の前で手を組み、考え事をしていた私の手を掴み、森山先生が言った。
不安げに自分の手を握っていた裕子は慌てて気をつけの姿勢をとる。
目を凝らし、じっと私達を見ている。 

――10秒ほどたって、急に先生は声を上げた。

PINGPONG7/10 17:18:112181cfroHG3MSJ/uw||274
「あんた達……!『カラッポ』だね!!」
「…え?!」
馬鹿にするような顔をして、私達を見下す。
私達は訳がわからず、唖然としていた。
「『カラッポ』って言ったんだよ。あんた達には心が無い。」
「……どういうことですか……?!」
急変した態度に驚き、私は言った。
それに、心が無いって言うのも気に入らない。
私は私。感情だってある。 それは心じゃないの?
「心が無いんだよ。あんたらには。ああ、なんでこんな奴ら連れてきちゃったんだろう。
 ほら、さっさと出て行きな!!カラッポを村に呼んだなんて、皆に知られたくないよ!!」

PINGPONG7/10 17:22:02181cfroHG3MSJ/uw||535
森山先生は裕子を突き飛ばし、冷たく言った。
倒れた裕子に駆けより声をかける。
「さっさと出て行け!!」
そんな私達に、先生は罵声を浴びせる。
「…………………裕子………………行こう…………。」
涙目の裕子を立たせ、私達はその村を出て行った。
「二度とくるな!カラッポなんか、心無しなんか消えろっ!!!」
私の耳に、先生の怒鳴り声が響いて消えた。

PINGPONG7/10 17:23:582181cfroHG3MSJ/uw||664
一区切りつきました。今日はここまでです(*^^*)/
良かったら感想等書き込んでください。
では〜 (#^_^#)

祥大7/10 23:31:552192cfjwWTQQyXEQ.||935
こんばんは^^祥大です
う〜ん、人それぞれ心の形が名になるんだ・・・俺は「トゲトゲ」とかな?(笑)
カラッポ・・・それで追い出すなんてひどい人ですね、本当に!
では、次も待ってます^^

PINGPONG7/11 11:28:162181cfroHG3MSJ/uw||297
山道に、広がる音。
「ぅっ………ひっぐ……ぅぐっ……」
「裕子、もう泣くのやめな。泣いてもどうにもならないよ。」
裕子の、押し殺した泣き声。
地面にへたりこみ、流れる涙もそのままに、裕子は微かな泣き声を上げる。

村を追い出されてから、だいぶ経った時。
もう空は完全に真っ暗で。 それでもどこにも行けなくて。
何か無いかとポケットを探ると、中には昨日の喫茶店でもらったマッチ箱。
枝を集めて火をおこし、休んでいると急に裕子が泣き出した。


PINGPONG7/11 11:33:272181cfroHG3MSJ/uw||248
「裕子……。泣かないでよ……。」
人が泣く所は苦手だ。特に、親しい人が泣く時は。
なんにもできない。力になれない。
そんな思いで胸がつぶされそうになる。
「ね、裕子?元気出してよ。大丈夫だって…。やめなって…。」
何か無いか。そう思い、学校指定のカバンを探る。
「あ………。」
出てきたのは、飴。昨日友達から押し付けられた、二つの飴。
「………裕子……これ、あげる……。」
「…………ぇ……?」
裕子の握り締めた手をゆっくりと開かせ、飴を乗せる。

PINGPONG7/11 11:39:402181cfroHG3MSJ/uw||840
小さな子供じゃないから、これでどうにかなるわけじゃないと思う。
それでも、私にできるのはこれだけだった。

「夕食、今日は食べてないでしょ?…お昼もだけど。」
不思議そうな顔をして飴を見る裕子に、言う。
「今日は、学校に行ってないから昼食用の弁当が残ってるはずだよね?
 食べようよ。食べないと、本当に帰れなくなるから……。」
カバンを探り、朝作ってきた弁当を取り出す。
「…………そだね…。泣いてても、何にもならないもんね……。……咲、ごめんね…。迷惑かけて…。」
そう、裕子は言った。私はなんだか恥ずかしくって、裕子の顔が見れなかった。

PINGPONG7/11 11:42:482181cfroHG3MSJ/uw||527
そうして、一日は終わった。
お互いの手を握り、私達は眠りについた。

『大丈夫。一人じゃないもの。絶対帰れる。』

星が瞬き、月が優しい光で照らす森に、ホゥ、と梟の声が響いた。

PINGPONG7/11 11:43:502181cfroHG3MSJ/uw||34
一区切りつきました^^
今日はここまでです (#^_^#)
良かったら感想等書き込んでください。
読者が増えることを願って…。
では。



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