1509 | 小説「DeathLost」 | イクス | 7/10 15:55:50 | 2202cfwKIgBablNMk |
「正しい」 森の中。 一人の男が湖で釣りをしていた。 男は暗闇を連想させる黒髪に、全身を覆う黒いコートを身に纏っている。 湖は蒼く澄んだスカイブルーで、砂浜には波がのどかに打ち寄せている。 「そろそろ帰ろうか?」 どこからともなく声が聞こえる。 「そうするか。」 男はそう言って道具をまとめ始める。 「で?結局釣れないんだ。キルはどこまでも才能無いね。」 「悪かったな。まあ、釣りが出来ないハウルには言われたくないけどな。」 「どういたしまして、フン!才能無しの戦闘馬鹿め。」 「何か言ったか?」 |
イクス | 7/10 15:56:53 | 2202cfwKIgBablNMk||581 | ||
キルはペンダントの首の鏡を覗き込む。 鏡にはコウモリと人間を足して二で割った様な生き物がいた。 「べつに〜。」 ハウルはいじけた声を出す。 「そろそろ行くぞ、いつまでも和んでいる時間は無い。」 キルは立ち上がり、歩き出す。 キルは街に足を踏み入れる。 街は森の拓けた場所にあり、まるで孤島を連想させる孤立感が漂っている。 しかし、街は飛び抜けて賑わっている。商店では沢山の人が買い付けをしているし、 屋台では食べ物を買っていく子供がたかっている。お祭りさながらだ。 「それにしても何でこれがこんなに?」 「さあな。人に聞けば別かもしれんが。」 「ちょっと!そこの人!」 |
イクス | 7/10 15:57:24 | 2202cfwKIgBablNMk||259 | ||
ハウルは勝手に事を進める。 「僕に何か?何でしょう?」 「ちょっと聞きたい。何でこんなに時計がある?」 キルが言った通り、街は時計で溢れていた。 全ての商店で時計を売っている。 秒単位で同じ動きを見せている。 「ああ、そのことですか!。」 男はよくぞ聞いてくれた、と言わんばかりに続ける。 「この街には時の意思があるんですよ。あ、時の意思って言うのは これぐらいの青い石なんですけどね。それが世界の正確な時を刻んでいるんですよ。 素晴らしいと思いませんか?!」 「そうか・・どこに行けば見れる?」 |
イクス | 7/10 16:23:22 | 2202cfwKIgBablNMk||384 | ||
「この街の中心にありますよ。何者もこの貴重な存在を独占する事はできない、 って言う街の意向に沿ってね。見に行かれるんですか?あれは本当に良いですよ。ウン。あなたもどうですか?正確な時計を持つのは良いことですよ。」 「いや結構。悪かったな。」 「いえいえ、とんでもない。これからもこの街をどうぞ宜しく〜。」 男は愛想良く手を振って立ち去る。 「神の産物?」 「かもな。まあ、見てみん事には分からんが。」 「もしそうだったら?」 「さあな。行くぞ。」 それは街の中心にあった。 そこは広場になっていて、真ん中には丸い台座がある。 その中心にそれはあった。 |
イクス | 7/10 16:23:40 | 2202cfwKIgBablNMk||661 | ||
完全な円の中には数字が絶えず動き回っている。 ちょうどデジタル時計の様だ。 「これか・・・」 「どうするの?」 「別に何もしない。壊せば街の敵扱いだろうからな。」 「それでいいの?」 「別に何もしてないからな。」 「ふ〜ん。」 次の日の朝。 キルは早朝に起き出す。 簡単なトレーニングをした後、朝食を食べてホテルを出た。 |
イクス | 7/10 16:23:55 | 2202cfwKIgBablNMk||538 | ||
「これからどうするの?」 「もうこの街には用は無い。」 キルはそう言って街を後にする。 森を抜けた草原。 そこに街が見えた。 街はとても賑わっていた。そして 街は時計で溢れている。 その街に着いた旅人は、どうしたことなのか?と聞く。 そばにいた男は、この街には、唯一無二の正確な時間を刻む物があるんですよ、と言う。 |
イクス | 7/10 16:24:12 | 2202cfwKIgBablNMk||809 | ||
「どういう事?」 「さあな。神の考える事なんて分からんよ。」 キルは肩をすくめる。 キルがちょうど広場に行こうとしたとき、それは聞こえた。 「いよいよ今日か・・・これであの生意気な奴らを黙らせられる。」 「そうだ!一体俺らはどれだけ我慢してきたことか。」 「血が騒ぐ。」「やっちまうんだ!」「制圧しろ!」 キルは声が聞こえた方を見る。 そこには街の男達がいた。それも大勢。 「こういう事だったか・・神も遠回りなことしやがる。おい!何してるんだ?」 |
イクス | 7/10 16:24:27 | 2202cfwKIgBablNMk||783 | ||
「ああ、旅の人か。俺達はこれから隣の街を攻めに行くんだ。あの生意気な街を 見ただろう?自分達が正しいと信じ込んで見下してるのさ!これを見ろ!」 男はそう言って一つの時計を差し出す。 時計には時間合わせのつまみが付いていなかった。 「いや、それだけでか?」 「そうともさ!」「当たり前じゃないか!」「他に何がある?!」 その他たくさん。 「そうか・・俺は別に止めない。好きにしろ。」 キルは立ち去ろうとする。 「ちょっと待てよ。そのまま返すと思うか?」 男達は武器を構え始める。 |
イクス | 7/10 16:24:42 | 2202cfwKIgBablNMk||923 | ||
「やるつもりかよ。しょうがない・・」 「止めた方がいいと思うけどなあ〜。」 「かかれぇ!」 声と同時に男達は襲いかかる。 キルは一瞬で背中のコートの中から大剣を抜き、五歩分程離れたところに居た男を 斬り伏せる。 黒い残像と共に赤い飛沫が飛ぶ中、男達はなおも攻撃する。 ナイフを持った男がキルの首筋を狙う。 バックステップでかわすキル。 そして後ろにいた男に蹴りをかまされた。 |
イクス | 7/10 16:25:51 | 2202cfwKIgBablNMk||512 | ||
体制を崩したキルは、追撃しようとした槍を持った男を懸命に殴りつけるが、その後ろ にいた銃を持った男に銃床で殴りつけられる。 横転したキルは途中で身体を反転、しなやかに着地。回転を殺さずに剣を振るう。 その常識はずれの大剣から繰り出された回転斬りは、周囲にあった全ての物を切り刻んだ 男の胴体から街灯、店のウィンドウ・・・ 三回転ほどしたキルは目が回ったのか少しよろけた。 残りの男達はこの隙を見逃さなかった。 |
イクス | 7/10 16:26:23 | 2202cfwKIgBablNMk||761 | ||
メリケンを着けた男が唸りとともに拳を繰り出す。 それはキルの腹に深々と潜り込む。 さらに別の男が吹き飛んでいるキルを蹴り上げる。 浮いてしまったキルは他の男達に高度な連続攻撃を食らう。 しかし、キルは黙っていなかった。 男に蹴りを放たれた瞬間、キルはその脚を踏み台にしてジャンプする。 さらにジャンプと同時に男を斬り上げる。 |
イクス | 7/10 16:26:40 | 2202cfwKIgBablNMk||938 | ||
身長の三倍ほどの驚異的な跳躍力を見せつけたキルは、斬り上げた男を踏み台にして さらにジャンプ。コートに手を突っ込む。 キルは小さなブロックをたくさん取り出し上に放り投げる。 そして大剣を両足に挟み、全体中を剣先に掛けた突きを真下、つまり 男達の中心に落下しながら放つ。 落下の加速と体重を併用した突きは凄まじかった。 剣は刃渡りの半分ほどがタイル張りの地面に突き刺さり、男達は衝撃で空中に跳ね上がる。 |
イクス | 7/10 16:26:55 | 2202cfwKIgBablNMk||778 | ||
そこにブロックが振ってきた。そう、それは爆弾だった。 何人かの男がブロックに当たった。 男はどれも当たった所が弾けて、ある者は上半身、又ある者は胸などをなくしながら倒れる。 その上にはもっと大きな拳ぐらいのブロックが振ってきた。 キルは剣を盾のように上に構え、その上にコートをかける。 ブロックが爆発した。 凄まじい衝撃が連続して起きる。 爆発音が立て続けに街に轟いた。 その爆風は全ての物を吹き飛ばし、その炎は渦を巻き、全ての物を焼き尽くす。 後には黒いコートがたなびいていた。 「キル、生きてる?」 「まあ、なんとかな。」 |
イクス | 7/10 16:27:3 | 2202cfwKIgBablNMk||97 | ||
キルはコートを着て、大剣をしまう。 「どうしてこんな無茶したのさ?」 「この街の機能を停止させるためだ。こんな街が二つもあったらどうせ共倒れだ。 死ぬのなら少ない方がいい。それにしてもコートが耐火性でよかったぜ。」 「そうですか。見事なもんで。」 ハウルがふざけた声を出す。 そしてキルは中心が黒に染まった街を出る。 「でもなんであの時時計を合わせなかったのさ?チャンスは二回もあったのに。」 草原を歩いていた、コートを着た男は足を止める。 「どうでも良いだろ。」 不機嫌な声で返す。 「ねえ、なんでなんで?」 「・・・それはな、俺の時計の方があっていると思ったから。」 「・・・・・」 |
イクス | 7/10 16:32:43 | 2202cfwKIgBablNMk||362 | ||
<あとがき> 窓から光が射す 雲の隙間から出る光は鋭く、暖かい。 「やっと雨がやんだか。」 パソコンの前から声がする。 疲れ切った声だ。 「誰か読んでくれるかなあ?」 パソコンのキーボードを打つ音が聞こえる。 「これでよし!と。」 そして人が倒れる音がした。 |
ベベル | 7/10 16:45:53 | 2191cf/8IB152zfVM||491 | ||
戦闘シーンがやったらカッコいい(〃 ̄∇ ̄ポ) 惚れるぜっ!!大剣・・・それをヒョイヒョイと振り回すキル しびれますなぁ・・(ノω`*)ノ ンフフフフッ 変な感想で申し訳ないです(o*。_。)oペコッ |
イクス | 7/10 19:19:42 | 2202cfwKIgBablNMk||923 | ||
ベベルさん今日は^^ 今回は一対多の戦闘を手がけてみましたが お気に召されたようなのでちょっと安心しました^^ 全然変な感想で無いのでこれからも宜しくお願いします^^ |
いおり♪ | 7/10 20:44:57 | 2101cfD6H8OCKlkfY||807 | ||
イクスさんの表現が想像しやすくて、とてもよかったです! そして、最後もかっこ良かったです! あとがきは笑えました。 面白かったです。 |
銀月 | 7/10 21:10:23 | 2182cfLMvpixotkc6||809 | ||
こんにちは〜^^ノシ やはり、戦闘シーンがみごたえがあって、どきどきしますw バックステップでかわして、や、ジャンプと同時に男を斬り上げる など、かっこいい表現が多くて(* ̄∇ ̄*) 次回を楽しみにしてますw |
イクス | 7/11 5:3:15 | 2202cfwKIgBablNMk||152 | ||
いおりさんこんにちは^^(名前正確でなくてすいません^^;) おもしろいと言っていただけるのが一番の幸せです 感想ありがとうございました^^ |
イクス | 7/11 5:5:22 | 2202cfwKIgBablNMk||317 | ||
銀月さんこんにちは^^ ちょっと派手目の戦闘シーンにしてみましたが おもしろいと言っていただけて 至福の瞬間を迎えています^^ 感想ありがとうございました^^ |
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