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1650我慢できない春巻行者7/15 23:33:142101cfPts7SluXurQ
おヒサです。
話長いです。
何か微妙気。

春巻行者7/15 23:34:422101cfPts7SluXurQ||7
貴方は将来、家のお寺を継ぐんだってね。
小さい頃からの教育で滅多に起こったりせず、いつも静かに微笑んでいる。
でも髪は肩よりも少し長いくらいの綺麗な黒髪。

今年、私達は高校三年生。
あとたった一年弱で別れ別れになってしまうかもしれない。
思えば小学校からの長い年月を貴方と共に過ごした。

この桜が色づく季節には、貴方の家の広い庭も薄紅の色へと、ちらほら。
…お庭掃除が大変そうね。
でも、修行の一環だと言って、貴方は朝早くから手馴れた手つきでホウキを滑らせると言う。

春巻行者7/15 23:36:82101cfPts7SluXurQ||604

手をかけているからこそ、とっても綺麗なお庭。
今日の昼の木漏れ日は、微風が吹いて木の枝を靡かせ、桜の花弁をいっそう舞い上がらせる。
時を感じる…。
刻がどんどん進んでいってしまうね。

「もう、卯月だね…」
「…ああ」
縁側に座って、貴方は答える。
私は散りゆく薄紅いろの傍ら、上を見上げて柔らかな色合いをした桜をジッと見守る。
「…進路は、どうするつもりなの?」
今更なんだけど聞いてみる。
「家を継ぐ」
スッと立ち上がり、こっちに歩み寄りながら言う、貴方。

春巻行者7/15 23:37:342101cfPts7SluXurQ||382
「私は、ね、…まだちょっと決め兼ねてるの」
「己のことだ、じっくり悩んだ方が良い時もある」
…小さい頃から両親が厳しかったって言うだけのことはあるね。
悪いけど、なんか言葉使いが古めかしい。
「どうしたらいいと思う?」
風に靡く貴方の黒髪が、視界のギリギリに入ってくる。
立ち止まる貴方に軽いけど、大切な気持ちで相談。
「それは私が判断するものじゃあない」

春巻行者7/15 23:38:262101cfPts7SluXurQ||810
……いじわる。
心細い時って人に頼りたいもんなんだよ。
乙女心……どころかひとの気持ちすら分かって無いんじゃない、と言いたくなる。
…ホントに悟り開いて、生き仏にでもなっちゃえば?
御免、冗談だから…。
だって、私はこんなにも貴方を想っていて、今現在も思っているのに…それなのに。
それなのにいっつもマイペース過ぎる貴方は、まだ欠片も気づかない。
こんなに長い付き合いだったから、この恋心を貴方に告げるのは些か照れくさくって、今の今まで引きずってきた。

春巻行者7/15 23:39:162101cfPts7SluXurQ||675

長い沈黙が通りがかり、間にも、薄紅色の舞やその隙間をかわるがわる突き向ける陽の光もが絶える刹那はなかった。
これからの季節、もっと日が落ちるまでの時間が長くなる。
でも、それはピークを迎えればどんどん暮れるのが早くなる。
そう…、私の気持ちも今伝えなければ、太陽と共に隠れてしまう。
伝えなければ。

春巻行者7/15 23:39:582101cfPts7SluXurQ||908

「あの、ね…」
「なんだ」
「…………………」
「?」
話しを切り出しておいて、中々喋り出さない私に、不思議そうな顔が向けられる。
「…私………私…あの・ね」
「ああ」
「惣太郎のことが..好き」
…名前なんて何時ぶりに呼んだだろう。
もうずっと前からそれでは呼んだことがない。
本当に仲が良かったものだから、「おい」「ちょっと」で事足りてしまっていた。
だけど、貴方の名前を口にするだけで、なんという充実感だろう。
語尾は弱々しくなってしまったけれど、今まで貯めて来たものが吐き出された気分だ。

春巻行者7/15 23:40:282101cfPts7SluXurQ||189

その時、春一番ではないが、それほどもある強い強い春風が辺りを煽る。
私も、貴方も、そして二人の今までを見守ってきた桜の木をも…。
桜の様に、私の気持ちは散ってしまうだろうか。

春巻行者7/15 23:41:02101cfPts7SluXurQ||912
「……誠か」
それに私は黙って頷く。
私が、思ってきたものは……。
「…自分もお前と、同じ気持ち…なんだという気がするのだ。昔から」
え…………?
「え、それじゃあ、今のって…」
「何と言ったら良いか分からないが、その…お前を好きだ」
「ほん、…と、う?」
嬉しくって、嬉しくって涙が出てきた。
普段は結構涙腺は強いほうなのに、止めれない。

春巻行者7/15 23:42:122101cfPts7SluXurQ||313

私はこっちを見つめる貴方へと、飛び込んだ。
貴方は吃驚したみたいだけど、直ぐに温かく柔らかに、それでいて力強く、背へと腕をまわして抱きしめてくれた。
「…名前、呼んでよ」
私は、貴方に要求してみた。
「…れ、い」
ちょっと照れくさそうに言ってくれた。
貴方が私をそう呼ぶのも、一体どれくらいの年月封印されていたのだろう。
もう、思い出せない位。

春巻行者7/15 23:42:352101cfPts7SluXurQ||70

そして私は、我慢しない。
ずっと触れたかった貴方の顔に手を寄せて、そして互いの顔を近づけてみて、間を置く。
貴方が上から、私は下から見つめ合う。
瞬間、私の方から貴方の唇へと、自分のをつけた。

フフ、あの時の貴方は目を見開いて、静かな微笑みを崩してしまったね

幸せの余韻に浸りながら、縁側で繋いだ手をぎゅっと握る。
「…少し嘘になっちゃった」
「何?」
「進路、もう決めたの。今だけどね」
「ほう、どうするんだ?」
「…あのねぇ……」

−−私はもう、惣太郎の傍から、離れません−−

春巻行者7/15 23:48:82101cfPts7SluXurQ||58

たけし7/16 0:15:372211cftSqWgpWefDU||496
繊細な感じの内容で、感動する作品でした。
主人公の感情の変化がうまく表現されていたり、
まわりの風景の描写の仕方も効果的で、うまいなぁと思いました。
また今度、春巻行者さんの作品を見たいです。

春巻行者7/16 1:47:392101cfPts7SluXurQ||343
有難う御座います!^^
時期はずれなものですが、読んで下さって嬉しいですv
ご期待に添えないかもしれませんが、またいつか書いて見たいと思います。

恵梨7/16 17:56:582192cfLD0fwPo7xmU||322
言葉が素敵ですw丁寧というか・・・(たとえるのへたくそなんで^^;)
がんばってください♪

春巻行者7/16 22:22:182101cfPts7SluXurQ||850
恵梨さん有難うございます。(ヘコリ
ネタができれば、また書かせていただきます。

ほふー7/16 23:52:282182cfNvJJEAcilV.||826
わぁww春巻さん(省略しちゃいました(ぁ))の久し振りに読みましたぁww

今までで一番好きです!!なんか・・・良いですねぇ(ぇ
これからも頑張ってくださいね!!><

春巻行者7/18 1:31:412101cfPts7SluXurQ||335
どうも、そんなお言葉、勿体無いかぎりです^^。返事遅れてすいません;
バンバン略しちゃってください♪
これはメモ張で書いたものなんで、結構丁寧っぽいのです。
ここで書いてて、直せないのはキツイと知りました。
頑b……、出来る限りですが……。


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