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1746odds-and-endscommon7/20 13:48:542221cfs1WKm9ijLQs
夏の風が教室のカーテンを優しく揺らし、私の髪をすりぬけていきます。 
私は考えていました。
普通の女子高生だったら、恋とか、バイトとかそんなことを考えてるんだろうけど、私は、違う事を考えていました。それに眼の色も容姿も、周りの子と違うのです。たったひとつを除いて。ひとりの女の子だと言う事以外は。


common7/20 13:49:572221cfs1WKm9ijLQs||453
(ただいま〜。)
誰も居ない家なのでに、心の中で言いました。
両親は、外国に行っているため私は1人暮らし。なのですが、ひょんなことから私は1人と1匹の生活をしているのです。その一匹というのが、犬でもなく猫でもない、なんとも言えない動物で、一週間前に家の前で死に掛けていたのを、私が見つけたことがはじまりだったのです・・・・・・。

common7/20 13:52:12221cfs1WKm9ijLQs||79
− 一週間前 −
夕飯の買い物を終えて家路に着いた私は、家の前に黒い動物が倒れているのに気付きました。その動物の体色は漆黒の闇のように黒く、首周りは対照的に真っ白だったのですが、大量の血に染まり原色が赤だと思ってしまうくらいに出血がひどく、抱きかかえた私の手は、血に染まっていました。

common7/20 13:52:392221cfs1WKm9ijLQs||957
「ピクッ。」
(あっ、動いた!)
その動物は、ゆっくりと瞼を開け・・・何と!言葉を発したのです!
眼を丸くして、口をパクパクしている私の姿を見慣れているかのように、その動物は動じず淡々と語りかけてきました。
「貴方のお陰で助かった。礼を言う。」
「いえ。・・・・あの〜聞きたいんですけど・・なんで話せる・・・んですか?」
驚きのあまり、何故か敬語に・・・。(これじゃあ挙動不審な子だと思われちゃうよー!!(泣)

common7/20 13:53:102221cfs1WKm9ijLQs||137
「・・・・・・・・助けてくれた礼に特別に話そう。・・・私は、何らかの実験で作られたサンプルのような物だ。たくさんの動物を組み合わせた、何にも属さない生き物だ。」
凛としている声からは、淋しさや深い孤独が私には伝わってきました。そのことを振り払うかのように、私は尋ねました。
「これからどこかに行く予定ってない・・よね?」
意外な質問にだったらしく、少しばかり驚いていました。
「あぁ・・。何だ?」
私はあることを思いつきました!
「じゃあ、ここに住まない?」

common7/20 13:53:362221cfs1WKm9ijLQs||251
(驚いた。こんな事を言う人間がまだいたのか・・・。あの人以外にも・・・。)
少女の方に視線を向けた。答えを不安そうに待っている瑠維の顔がある。
(・・・・そういえば・・なぜだ?何も言わずに帰ろうとしたのにも関わらず、ついあのことを話してしまった・・・・・。いや、駄目だ、何も知らない彼女を、巻き込むわけには行かない・・・。頃合を見計らって・・・。)

common7/20 13:54:242221cfs1WKm9ijLQs||394
丸く大きな瞳を覗かせて、彼女は私に尋ねた。
「私の名前は、柚木瑠維。あなたは?」
「私の名は・・・・・無いんだ・・・。」
私は、目を伏せてそう答える動物様を見て、英語の辞書を持ってきて言いました。
「どうせなら、何か意味のある名前にしない?何がいいかな〜。」

common7/20 13:59:582221cfs1WKm9ijLQs||415
訂正:この上↑(丸く大きな・・・)の上にこの部分↓が入ります。
私はなぜだかこの動物に惹かれてしまっていました。そしてなにやら深く考え込んでいる動物様(微妙に敬語?)の様子を見て、つい口だけが動いていました。
「イヤになったら、出てってもいいからそれまで、それまで私と一緒に暮らしてくれない?」
半ば必死な感じで、私は言いました。
「あぁ。」
「やったァ〜。」
(つい口から本音が出てしまった・・・・・。)

common7/20 14:1:62221cfs1WKm9ijLQs||405
(彼女はなんという名を付けてくれるんだろう・・。あの人が呼んでくれた名は・・・・・私だけが、知っていることにしよう、私とあの人だけのものとして・・・。)
「う〜ん・・・・・・・。あ、これ、いいかも。どうこれ?」
ゆっくりと立ち上がり、瑠維の指した単語に、目を向けた。
 【bell】・・・・・ベル,鐘
「いいと思うが・・・・・。なぜこれにしたんだ?」

私は段々と、敬語を使わなくなってきていることに気付き、嬉しさを感じながら答えました。
「何か意味を込めたものにしようかと思ったんだけど、気付いたらこの単語が浮かんでて・・・。」

common7/20 14:2:02221cfs1WKm9ijLQs||724
(そういえばあの人も、同じような事を言っていたな・・・・。)
優しく微笑んだその瞳には、人間と同じようにあたたかなものが映っていた。【ベル】と名付けられたその動物は、凛とした姿でこう言った。
「私の名はベル。これから世話になる。・・・・瑠維。」
「うん!」

common7/20 14:2:282221cfs1WKm9ijLQs||204
私は、これから始まる生活に喜びを感じていました。この生活がずっと続くわけではないことはわかっています。でも、ベルと一緒にいたいと思ったのです。ベルの抱えている何かを、全て持ってあげることは出来ない、だけど少しでも持ってあげることができたら・・・。私は、ベルの力に、支えになってあげたいと思いました。会ってまだ一週間だというのにです。でも、そう思えることが私は嬉しかった。だって、誰かのことを思いやることほど、素敵な事はないのだから。



common7/20 14:4:542221cfs1WKm9ijLQs||92
                               第一部 完
☆感想お待ちしております*^0^*ノシ

スタイナー7/20 14:20:12102cfW0IjF0g9jlM||137
おっもしろーーい^^

loveless7/20 15:59:72182cfS8xnPUEfkdE||219
はじめまして(ぺこり)
おもしろいですw
最後の一文が心に響きました><
コレからの展開を期待しますですw

common7/20 16:21:522184cfDiqOQsRmbcE||668
お二人ともありがとうございます〜^^


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