1936 | 魔道力学白書〜P3〜 | たけし | 7/25 14:14:50 | 2211cftSqWgpWefDU |
共通世界(仮) 突然だが、魔剣や聖剣といったものをまとめて魔法剣と言う。 多くは古代魔道によって産み出された、魔法を秘めた剣だ。 タリスマンは使っていないが古代魔道師はある特殊な魔法で、 剣に魔力を封じ込めたらしい。 その魔力は半永久的に続くといわれている。 当然、カシムの魔剣もその魔法剣である。 |
たけし | 7/25 14:15:24 | 2211cftSqWgpWefDU||800 | ||
(カシムってどっかで聞いたことがあるんだよなー) ベンは考え込んでいた。 首筋に剣を当てられたまま。 「あの…この剣なんとかなりません?」 「あーわりーわりー」 まったく反省の色がないその声でカシムは答える。 そしてその魔剣を背中の鞘にしまおうとした時だった。 ベンの目に奇妙なものが映った。 |
たけし | 7/25 14:15:59 | 2211cftSqWgpWefDU||229 | ||
カシムは右手に剣を持っているのに、腰にはあと2本の剣があった。 1つは柄の部分に宝石がちりばめられた剣。 もう1つは見た事もない、異国の剣。それを見てベンは 「あー思い出した。」 ベンのその声にカシムは驚いた。 「な…なにを?」 「あなたは3剣のカシムですね。3本の異なった剣を自在に操るという魔剣士の。」 |
たけし | 7/25 14:16:42 | 2211cftSqWgpWefDU||435 | ||
その瞬間カシムの表情は、ぱあっと輝いた。 「そっかー俺ってエージェントとしてよりもそっちの方で有名だったな。」 そしてカシムはデゥールゴーファを背中にしまい、腰に帯びたその2つの剣を取り出した。 「こっちの宝石がちりばめられたのはその昔栄えた、聖都市ルーナー王国の城跡で見つけた聖剣ルーナーだ。で、こっちの方ははるか東の海に浮かぶ黄金の都、ズパングでちょっと失敬した、刀って呼ばれるもので、銘は妖刀かまいたち(これも知ってる人は知ってる?)っていうんだ。」 |
たけし | 7/25 14:18:26 | 2211cftSqWgpWefDU||20 | ||
「お〜い」 聞いたことのある声が聞こえたような気がしたが、ベンはそれを無視して、 「ようするにカシムさんは盗掘と窃盗をしたわけですね?」 そう、3剣のカシムとして有名であると同時に窃盗、盗掘、詐欺の常習犯だった。 いやむしろ窃盗などで生計を立てているから、こっちの方が本業といってもいいくらいだ。 「リーシャが聞いたら泣きますよ。」 「なに、リーシャがいるのか?」 そして、カシムは犯罪者であると同時にリーシャの兄でもあった。 |
たけし | 7/25 14:23:11 | 2211cftSqWgpWefDU||848 | ||
そう、ベンがカシムの話を聞いたのは、都市でもこの田舎でもなく、リーシャから聞いたのだ。 リーシャには一人の兄がいたのだが、10年前に家出をしたっきり、会ったこともなかったらしい。 つい1年ほど前、都市にお出かけした時にそのうわさを耳にしたのだ。 「お〜い、助けてくれ〜」 瓦礫の下辺りから声が聞こえたような気がしたが、ベンは空耳と思いまた無視した。 |
たけし | 7/25 14:26:28 | 2211cftSqWgpWefDU||904 | ||
「そっかーリーシャはまだこんな村にいたんだ。へー」 カシムはニヤニヤしながらそう言った。すると、 「くらえっ」 背後から声が聞こえた。 その瞬間カシムの視界では、空と大地が入れ変えっこしていた。 カシムはリーシャに後ろから蹴飛ばされた。 |
たけし | 7/25 14:30:37 | 2211cftSqWgpWefDU||65 | ||
「故郷に錦を飾るって言ったくせに、錦を飾るどころか泥まで塗っちゃって、この親不孝もの!!」 リーシャは叫んだ。 「いや、俺の素性はバレテいない。」 「そんな問題じゃない!!」 「う〜頼むから助けてくれ〜」 ベンはカシムとリーシャの兄妹げんかの板ばさみになってしまっていた。 |
たけし | 7/25 14:35:19 | 2211cftSqWgpWefDU||273 | ||
「と…ところで少年。ん?ベンって言うのか?まぁいい。ベン、Drヤンクはどこにいるんだ?」 カシムは当初の目的を思い出した。 そう彼の任務はDrヤンクを護衛しながら『デイセカルッシ市』へと連れて行くことだった。 「あ…お師様ならあそこです。」 と、ベンは瓦礫の下を指で指す。 「助けてくれ〜」 そこからは先程から聞こえていた、謎の声が漏れていた。 |
たけし | 7/25 14:38:17 | 2211cftSqWgpWefDU||560 | ||
「みんなしてひどいぞ、わしのことを忘れるなんて。」 ヤンクはすねていた。 あの後、ベン、リーシャ、カシムの3人で瓦礫をどかして、たった今ヤンクを救出したところだった。 「すいません、Drヤンク。」 「お師様、てっきり死んだのかと…」 「私は関係ないもん。」 各々いい訳をヤンクに言った。 |
たけし | 7/25 14:42:46 | 2211cftSqWgpWefDU||524 | ||
「ふん、もういいわい。ところでカシム君、もうあの時期なのかね?」 「はい。予定より半年程早いですが、あの時期です。」 カシムとヤンクはこみいった話をしていた。 ベンはリーシャと一緒にどっかで遊んでいようと思ったそのとき、 「よし、善は急げじゃ。ベン荷物をまとめたら…そうか荷物はもうないんじゃったな。ベン、今すぐ旅立つぞ。馬車はカシム君のが村外れに置いてあるらしいからそこまで歩くぞ。」 |
たけし | 7/25 14:46:24 | 2211cftSqWgpWefDU||231 | ||
「え、でもお師様…」 (僕はリーシャと一緒にいたいのに…) ベンはリーシャの方を見た。 少年の濁りのないその純粋な眼差しは、1人の少女に向けられた。 「ベン、いってらっしゃい。お土産よろしく。」 ガッシャーン 少年の片思いは一瞬にして崩れた。 そして、ベンはその場に崩れる。 |
たけし | 7/25 14:52:50 | 2211cftSqWgpWefDU||702 | ||
カシムはベンを背負いながら、ヤンクと共に馬車が置いてある、村外れまで歩いていった。 ベンはとんでもないことに、巻き込まれているのにも気づかず、カシムの背中で寝ていた。 旅立つ彼らを見送るように、風が吹きぬけていく。 まだまだ始まりにしか過ぎない。 つづく |
たけし | 7/25 14:57:30 | 2211cftSqWgpWefDU||179 | ||
今回もこれで終わりです。 読んでくださった方、感想よろしくお願いします。 次回、カシムと妖刀かまいたちの出会いを書いた、 魔道力学白書(番外編)お江戸でござるを書きます。注:主人公はカシムじゃないです。 |
ラピ | 7/25 20:37:26 | 2182cf9yvMxFLorSs||584 | ||
前回も、今回も、ワクワクしながら読んでいました^^ 番外編、たのしみです・ω・ |
龍華 | 7/26 2:6:25 | 2201cf6DgCJlOIEio||951 | ||
Drヤンク氏じゃ生きてたんですね。 私もすっかり死んでいたものと…(笑) カシムさんがカッコいいっすね☆ 悪名と功名両方もったフワリとした兄ちゃんっていい感じです☆ |
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