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2139ナクシモノ3龍華7/31 2:42:02201cf0aIwOLrofu6
前スレはこちら→http://chibifantasy.com/bbs/t12-1886.html

あらすじ:
愛犬ウヅキを目の前で交通事故で亡くし、『僕』は傷のいえないままでいた。
それから一年のたったある日、季節のズレタ転校生『天野卯月』がやってきた。
その卯月と話をしていたその時、ふと聞こえてきたのは死んだはずの愛犬ウヅキの声だった…

龍華7/31 2:42:392201cf0aIwOLrofu6||722
「おーい!置いてくなよ!!」

帰路の途中、後ろから大声を上げて誰かが来た。
卯月君だ…。

「卯月君…、どうしたのさそんなに息切らして。」

僕の後を追って全速力で走ってきたのか、コノ時期に汗をかいていた。

「だから、俺のことは…!」
「呼び捨てていいんだろ、わかったよ。」
「それでいい。…つうかさ、自分から帰り誘ったのに人置いて帰るか普通?!」

そうだった。
何を考えていたのか、そういえば僕は卯月と
『方向が同じだったら一緒に帰ろう』と誘っていたんだった。

龍華7/31 2:43:142201cf0aIwOLrofu6||261
「あぁ…と…ゴメン。」
「いや謝る事なんてないよ。ただ犬がどうのって言ってから様子が変だったからさ。」

ほっとけない達なんだ、と卯月は笑った。

「よく笑うんだね卯月は」
「笑う角には福来る、コレうちの家訓。」

会ったのは今日が始めてなのに、何でも話せそうな雰囲気すら卯月は漂わせていた。
ウヅキと名前が同じだから?

「さっき教室で聞こえたんだよ、犬の声が。」

気がつくと僕は卯月に話し始めていた。

「多分皆には聞こえてなかったと思う。昔飼ってた犬の声だったんだ」
「飼ってた犬ね…」

僕は説明しながらまた歩き始めた。

龍華7/31 2:44:72201cf0aIwOLrofu6||850
その横を卯月が付いて来る。

「雑種の中型犬で名前が『ウヅキ』名前の由来も卯月と一緒。
四月の桜の季節にうちに拾われてきたんだ。」
「中々センス有るじゃん」
「僕が小学校4年の時に妹が拾ってきてさ、そりゃもめにもめたのを覚えてるんだ。
一戸建てだけど所詮借家だから大家さんに許可取ったり、近所迷惑にならないようにしつけしたり、
御飯当番決めたり、散歩のコースを考えたり…」

16号沿いは行かないようにしよう。

なんで?

お前達でも危ないんだ、ウヅキが事故にあったらどうする?

…やだ…

だろ?なら16号から一本横に入ったこの道までだな。

わかった!

くれぐれも車には気をつけるんだぞ。

龍華7/31 2:44:452201cf0aIwOLrofu6||934
ふと思い出される家族会議の風景
僕は足を止めた。

「…ここ…」

目の前に広がったのは国道16号線
昼間は沢山の乗用車やトラックが行きかっている。

「去年、ウヅキが車に引かれて死んだんだ。丁度この辺。」

ここに足を踏み入れられるようになったのはつい最近だ。
それまで現場を見るのも嫌だった。

「で、去年のことを今まで引っ張ってるのか。」
「引っ張ってる?!」

さらりと言った卯月の言葉が気に食わなかった。

龍華7/31 2:45:302201cf0aIwOLrofu6||245
「ずっと悲しんでればウヅキが喜んでくれるとでも思ってるのか?」
「なんだよその言い方…」
「いい加減吹っ切れた方がいいぞ。」

そういって卯月は事故現場を凝視した。
場所は指定してないのに…なんで?

「愛犬を自縛霊にでもするきか?」

 プツ…

何かが僕の中で切れた。

「…うるさいうるさいうるさいうるさぁい!!
お前に相談した僕が馬鹿だったよ!!
簡単に言ってくれるよな?!
所詮他人だから、ナンとでもいえるよな!
なにも知らないくせに、何も見てないくせに、なにもなにも…」

最後のほうは涙が止まらなくあふれてきた。

龍華7/31 2:46:62201cf0aIwOLrofu6||580
「あいつの…シを…見たのは僕だけだ…、忘れられるはずないだろ…」
「忘れなくていいじゃん」

卯月はそういうと合掌をして目を瞑った。

「むしろ忘れるな。」
「…今…お前が…ふっきれろ…って」
「お〜い、ウヅキとやら聞いてるか?
お前のご主人はなんとも頼りない感じだな。
お前の事が大事すぎて霊体のお前すら束縛してる。
しかもその事には気づいてないらしい。」
「…卯月…?」

僕が顔を上げると卯月は合掌を解いて空を見上げる。

龍華7/31 2:46:522201cf0aIwOLrofu6||621
「空気ってさ、見えないんだよね。確かに其処に有るのにさ。」

その日は白い雲が浮かぶ気持ちのいい春空が広がっていた。
そういえば確かあの日も…

「霊魂も空気みたいなもんだよ、其処に有るのに見えないだけ。
多分横に並んで立ってるんじゃないかな?ウヅキそこら辺に」

卯月は僕の足元を指して、笑った。
横に立ってる?
ウヅキ?其処にいるの?

龍華7/31 2:47:152201cf0aIwOLrofu6||655
「だからそうやって束縛するなって。」
「え?」
「さて、俺は帰るかな〜。じゃあなまた明日!」
「えぇ?!」

不思議だった。
一連のやり取りは30分とたってない。
そのあいだに僕は、怒って、泣いて、戸惑って…今少しだけ笑ってる。
今日出会ったばかりなのに…
気持ちが楽になった。

龍華7/31 2:47:512201cf0aIwOLrofu6||675
それから何年かたったが卯月とはあれ以来いい友人関係が続いている。

「なぁ、卯月…」

俺は思い切って長年の疑問を聞いた。

「お前もしかして、お化けとか見えるの?」
「さあな。見えると思えば見えるかも、見えないと思えば見えないんじゃないかな〜」

相変わらずこいつはつかみ所がない。
最近思うのだが、もしかしたらウヅキが卯月とであわせてくれたのかもしれない。


ウヅキありがとう…
お前と出会えて本当によかった…

龍華7/31 10:20:412211cfnpnT9GpTRp6||315
終わった終わった☆
読んでる人いないかもしれないけど書き終えたよ〜
もしかしたら題名と本文が一致しない人もいたりして(笑)


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