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2140単純系小説『鋭利な刃物』第三弾beloved7/31 6:10:432182cfCFg0mczfMpk
ネガティブアンダーグラウンド系泡沫唄胡が織りなす、血と涙と肉と輝きを求める感情の元成り立っている物語です。
下の方に第一弾と第二弾があると思います。たぶん。
今回が初めてという方は、まずそちらにさっと目を通してから読むのをオススメします。

beloved7/31 6:11:62182cfCFg0mczfMpk||679
 死にたくないって思ってても、結局死は来る。
 朝が来たら命が産まれ、終わりのない悲しみを湛えた死が、海へと落ちる。
 其れは余りに不条理。

beloved7/31 6:11:262182cfCFg0mczfMpk||775
 息を吸った。
 息を吐いた。
 最早意味のない行為だけど、『生きて』いれば誰だって染みついてしまう。
 まだ生きていたいのにと、心が疼いた。
 世の中にしがみついていたいと、切実に思う。

beloved7/31 6:11:432182cfCFg0mczfMpk||87
 酸素も水も塩も食料も何もかも要らなくなる。
 言葉も涙も凶器も衝動も全て全部根こそぎ奪われる。
 だからこそ、死は悲しいのだろうけど。

beloved7/31 6:12:02182cfCFg0mczfMpk||90
 まだ『魂』と思われる部分は死んじゃあいないらしい。
 物を考え、こうやって吐きだしてる。明白な意識もあるし意志もある。
 いずれ死ぬのだろうけど。
 魂も。

beloved7/31 6:12:192182cfCFg0mczfMpk||108
 またも息を吸い、吐く。
 この『死』に何か意味があったのだろうか。
 死んだところで、何もならないことは頭では解ってるけど、心が解ってない。
 仮に意味もなく『死』という制裁であたしが裁かれたのならば、もう一度だけ生きるチャンスが欲しい。

beloved7/31 6:12:372182cfCFg0mczfMpk||92
 泡沫唄胡は世の中にとって、不要分子なのですか?
 神様がいるなら教えて欲しい。

beloved7/31 6:13:02182cfCFg0mczfMpk||553
 あのビルに残ったあたしの抜け殻。
 誰かがそれを拾って燃やして捨てて。
 証はどこにもなくなる。
 存在するのは、怨恨の感情だけ。

beloved7/31 6:13:212182cfCFg0mczfMpk||923
 もがけば埋まって、届きそうにない。
 あたしという存在は、地上から消え去ってしまうのだろうか。
 『死』という只の虚無に、存在は食い尽くされてしまう。

beloved7/31 6:13:382182cfCFg0mczfMpk||358
 目の前に、死神が現れた。
 突然だった。
 瞑っていた目はこじ開けられた。

beloved7/31 6:13:552182cfCFg0mczfMpk||350
 正に容貌は、死神だ。
 闇色の衣をたゆたわせ、その内側はがらんどうの虚無。
 粘膜でも張ったようにきらきらと輝く手には、大きな鎌。
 だけどその様に、あたしは心惹かれる物があった。

beloved7/31 6:14:232182cfCFg0mczfMpk||870
 綺麗と思う。

 闇に生まれ闇を象徴するようなその躯に、どうしようもなく惹かれる。

 心に触れられた気がした。

 触らないでと心が騒ぐ。

 不快と思う心と快楽と感じる心がある。

 心とは何処にあって、如何様な形をして何色で。

 とりとめのないぐちゃぐちゃになった魂が、熱を放った気がした。

 死神の手が触れる、その寸前に。

 自然と口にしていた。

beloved7/31 6:14:462182cfCFg0mczfMpk||786
「触れるな」

beloved7/31 6:15:82182cfCFg0mczfMpk||455
 死神の手は瞬時に下げられた。
 腫れ物にでも扱うような仕草だ。
 何だあたしは腫れ物なんだと妙に納得した。

beloved7/31 6:15:342182cfCFg0mczfMpk||491
「あたしに触れるな」

beloved7/31 6:15:562182cfCFg0mczfMpk||5
 始め綺麗だど思った死神が、何故が色褪せて見える。
 手を伸ばしても簡単に届く輝きは、一瞬のことだった。

beloved7/31 6:16:122182cfCFg0mczfMpk||477
「触れるなと言ったんだ。さっさと消え失せろ」

beloved7/31 6:16:312182cfCFg0mczfMpk||843
 苛つく。
 死神に腹が立つ。
 消えてしまえと願う。

beloved7/31 6:17:02182cfCFg0mczfMpk||330
 死神ががらんどうの虚空をこちらに向けた。
 目こそ無い物の、其れは人が不快な物を見る目つき。
 軽蔑する目。
 目が無くても解る。
 あたしを必要としてない目。
 あたしを人としてみていない目。
 心をぎすぎすと切り裂き化膿させる。

beloved7/31 6:17:182182cfCFg0mczfMpk||561
 ただあたしを不快な物として。

beloved7/31 6:17:332182cfCFg0mczfMpk||777
「消えなさい!」

beloved7/31 6:17:522182cfCFg0mczfMpk||686
 言葉が放たれると同時に、死神の手は上げられた。
 手には大きな鎌。
 輝きは月。
 あたしの首だろうか、腹だろうか、心臓だろうが狙いは急所。
 殺すつもりだ。

beloved7/31 6:18:92182cfCFg0mczfMpk||395
「伏せろッ!」

beloved7/31 6:18:492182cfCFg0mczfMpk||167
 夏の暑い日に、澄んだ水面に触れた。
 そんな光景がフラッシュバックした。
 澄んだ声は有無を言わさずにあたしの躯を下げる。

beloved7/31 6:19:132182cfCFg0mczfMpk||102
 弾が打ち出され、したたかに鎌の方向を変えた。
 打ち出された方向には、一人の青年がいた。
 綺麗だ。

beloved7/31 6:19:292182cfCFg0mczfMpk||267
 手を伸ばせば捕まえられない、至高の輝き。
 黒衣が月なら、彼は太陽に近しいと思う。

beloved7/31 6:19:492182cfCFg0mczfMpk||86
 翡翠の瞳に金糸の様な髪の毛は結わえ、ドクロのシャツに薄手の上着。
 その手には太陽の輝き然とした、一丁の拳銃。
 銜え煙草に、シニカルな笑み。

beloved7/31 6:20:132182cfCFg0mczfMpk||29
 彼はその笑みを更に深める。
 傲慢な笑み。
 そんな印象を受けた。

 世の中の全てを知り尽くして尚、謎を求めるその笑み。

beloved7/31 6:21:282182cfCFg0mczfMpk||273
「よぅ…タマクイ」

 黒衣は死神じゃなく、タマクイという生物だということを認識する。
 タマクイはあたしにとって不要なモノだったらしい。

beloved7/31 6:21:532182cfCFg0mczfMpk||293
 不快感と美しいものに触れたいという感情がせめぎ合っている。
 彼の声はぞぅっとするほど綺麗だ。
 心惹かれる物には『綺麗』という褒め言葉しか知らないあたしだけど。

beloved7/31 6:22:162182cfCFg0mczfMpk||889
「貴様ここは霊喰いの領域じゃねぇぞ。
 わかったンならさっさと帰れ、いいから帰れ殺すぞ」

 タマクイはあたしと彼を交互に見やり、虚空にすぅっと消えた。
 呆然として何も言えないあたしに、彼は静かに笑いかけた。

beloved7/31 6:22:442182cfCFg0mczfMpk||330
「あんたスゲェよ。霊喰いを言霊で突き動かしたんだよ」
「……え?」

 霊喰いを言霊で突き動かした。
 きっと『触れるな』と連呼したことだ。
 アレの何処が『言霊』なんだろう。
 只あたしが触れて欲しくなくて、それを軽蔑した目で見るから。

beloved7/31 6:23:12182cfCFg0mczfMpk||154
「あ、ゴメン。言霊の意味解るか?」

 解るわけがない。
 あたしは静かに首を振った。

beloved7/31 6:23:202182cfCFg0mczfMpk||850
「言霊ってのは、自分自身の信念とか強い感情にまかせて吐き出す言葉のことだ。
 アンタたち人間が普段使ってるのが言葉。日常会話――とかな」


 言葉と言霊。
 その境界線は実に曖昧だと彼は言った。
 ただ強い感情にのせた言葉だけじゃ、言霊にはならない。
 信念が意味を通さなければ、言霊としての意味をなさない。
 人間は言霊を発することは非常に少ないらしいのだ。

beloved7/31 6:23:352182cfCFg0mczfMpk||996
 一通り説明を終えた彼は質問はあるか、と聞いた。
 大ありだった。
 あなたの名前を聞きたいと思った。
 その輝きに触れてみたい。
 綺麗な貴方に。

beloved7/31 6:23:582182cfCFg0mczfMpk||654
 此の感情はきっと憧れだろうか。
 唇から言霊が漏れそうだ。
 意味のない言葉の羅列が溢れ出しそうだ。
 胸の奥が疼く。
 堪らなく。

beloved7/31 6:24:162182cfCFg0mczfMpk||964
「それより貴方、一体誰?」
「よくぞ聞いてくれました」

 彼は煙草をぴっと跳ね上げた。

beloved7/31 6:24:352182cfCFg0mczfMpk||354
「わたくしめは死神、氷室朝霧205歳。
 泡沫唄胡嬢の魂を地獄へ送るために、使わされました。ってか」

beloved7/31 6:25:322182cfCFg0mczfMpk||519
先程から、ネタが溢れ出してます。
 一日に二弾と三弾(昨日書き上げました)を書き上げてしまうという、驚異のペースです。我ながら。

beloved7/31 6:25:502182cfCFg0mczfMpk||304
泡沫嬢は氷室君に恋をしたわけじゃないです。
 綺麗なものに触れてみたいという憧れの感情を抱いている様子なんで。
 しかし氷室君のキャラクター性が曖昧なせいか、全然魅力的じゃない平凡さんになってしまいました。
 しかも氷室君もう205歳。おじいちゃんです。まだ中身も若々しくピチピチですけど。

 霊喰いについて何ですけども、「ハリーポッターとアズカバンの囚人」のディメンターを参考に。
 違いと言えば口がないこと。ソレだけです。

 どんどん話が大それてく泡沫嬢と氷室君の物語。
 貴方さえよければ続きを読んでやってください。(ひたすら無理?)  

ベベル7/31 9:12:532191cfpybB.ZUT11g||828
おはようございますペコリ(o_ _)o))

非常に力強い言葉で綴られた文群。
あまりのも胸に響くその言葉に私は何だか圧倒されてしまいそうです。
イミテーション死神さんを、その言葉で怯ませた女の子。
私の脳裏に貴女の言葉だけでハッキリとその姿を焼き付けた本死神さん^^
泡沫嬢と氷室君の今後の展開に注目しちゃいます(´∀`*)ウフフ

beloved7/31 9:18:472201cfOpZCbY10QlQ||610
おはよーございます。
私自身、二人がどうなるか解りませんねぇ。(無責任)
泡沫嬢と氷室君は、名コンビとなるのか否か。
作者も長い目で、二人を見守っていきたいですね。

ぷっち7/31 10:56:172225cfe8oLkDhOLeU||527
口ぱっかり開いたまま見入ってしまいました(ぁ

スゴイ・・・続きがメチャきになる私の大好きな展開にッ!(ぉ

オホホ(キモイヨ  名コンビですか・・・
なることをひたすら祈っていますね♪

スゴイ表現とか上手だし・・・><;
憧れますよゥ><;;

beloved7/31 13:49:212191cfJkceN9FZCPo||749
こんにちはです。
続きは書き上がってるんですけども、明日の朝にでも投稿しておきますね(え)
作者自身も、泡沫嬢と氷室君が名コンビになってくれることを祈りますv

銀月7/31 17:45:402182cfLMvpixotkc6||581
こんにちは^^
先日ハリポタ見たばかりで、タマクイさんを自然にディメンターに思ってました。
映像で受けたモノを言葉にして表せる力、羨ましい限りですm(。_。;))m
>世の中の全てを知り尽くして尚、謎を求めるその笑み。
足りない想像力で一生懸命思い描いています(●´ω`●)ゞ
明日の朝に、もう続きが読めるなんてw週刊雑誌よりも早くてw(ぁ

loveless7/31 19:20:476119cfyDOGXfpG5uc||883
氷室さんが金髪で素敵でしたごちそうさまです
作品を読んだ第一声がこれという、何とも素敵な姉様ですw
しかしお前、成長したねえ。表現が私的に素敵に無敵よ。
しかし姉様、言葉遊びだけはお前に負けねえぞ。
それはうちのアイデンティティで。専売特許で。
それでは、唄胡嬢と氷室君と霊喰いなどの物語、楽しみにしております

beloved7/31 21:12:96119cfyDOGXfpG5uc||132
お二方、感想有難う御座いました。

→姉。
表現に命をおかけいたしてますから。(笑)
私は、言葉遊びと言うよりは只の言葉の連なりと思ってますよ。

→銀月様
ハリーポッターの「ナイトバス」の車掌さんが、無駄にかっこよかったですね(関係無し?)
私も足りない想像力で必死に書き下ろしました。
二人の行動を言葉に書き下ろすのは大変です。


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