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2383魔道力学白書〜P11〜第一章:終たけし8/12 16:26:192211cftSqWgpWefDU
「着いた―」
ベン達はデイセカルッシ市にいた。
オソワレ村を出てから3ヶ月たっていた。
「んーこの風、懐かしいねぇ。」
カシムがそう言う。
「では、行ってきまーす。」
ベンが元気良く馬車から降りようとした。すると、
ガシッ
後ろから強い力で引き戻されてしまった。

たけし8/12 16:30:72211cftSqWgpWefDU||840
「おいおいベンちゃん、今日のノルマは終わってないだろう?」
カシムがそう言う。
「ええ、でも今日くらいは息抜きしたいなぁ…なんて…」
「子供のうちから甘えるんじゃねぇ。」
(じゃぁいつ甘えればいいんだよ?)
カシムの言葉にベンは心の中でツッコム。
「さぁさぁさぁ、素振り1000回、筋トレ50回ずつ5セット。早く、早く、」
カシムがベンをせかす。
これはなんなのか?

たけし8/12 16:35:152211cftSqWgpWefDU||984
これは別にカシムのベンに対する新手のいじめではない。
ベンを鍛えているのだ。
オソワレ村を出てから毎日続けているので、もう3ヶ月になる。
何故、こんなことをしているのかというと…それはオソワレ村での闘いが原因である。
ベンはシャモンに負けてしまい、自分の弱さを痛感してしまった。
そこで、ベンはカシムに鍛えてもらおうと頼んだのだが…
「死ぬ―絶対死ぬーーーー」
ベンは毎日悲鳴をあげていた。
「ほれほれ、これじゃぁまた負けるぞ。」
パシン パシン
カシムはベンが泣き言を言うたびにベンを剣の腹で叩く。

たけし8/12 16:40:162211cftSqWgpWefDU||863

「よし、今日はこれで終わり。礼!!」
カシムがそう言う。
ベンは床にへばりついている。
「し、死ぬかと思ったー」
とつぶやく。
「そうだ、ベン。デイセカルッシ市はお前にとっちゃ珍しいけどな、勝手にうろうろすんなよ。特に路地裏とかは行くな。危ないからな。」
「へーい」
ベンは適当に返事をする。

たけし8/12 16:46:72211cftSqWgpWefDU||904
「ベン、わしとカシムはこれから本部の方へ行ってくるからこの屋敷で待っとるんじゃぞ。」
「何を話すんですか?」
ベンがヤンクに聞く。
「この戦争のことに決まっているじゃねぇか。」
カシムが言う。
「これから戦争は激しくなる。俺達はその戦争にうち勝ち、平和をてにしなければならない。そして、一般市民を護り続けなければならない。その為の話し合いだ。」
珍しく真剣な眼差しでカシムが喋るもんだから、ベンはそれに気押された。
「じゃ、行ってくるぞ。」
ヤンクがそう言い、カシムと一緒に外へ出ていった。

たけし8/12 16:52:382211cftSqWgpWefDU||875

「ヒマだなぁ」
ベンがそうつぶやいたのは、ヤンク達が出てから30分後のことだった。
今、ベンがいるのはカシムの屋敷なのだが、これがとにかく広い。
ベン一人ではヒマをもてあましてしまうほど。
ベンがヒマそうに窓の外を見ていると、
外には一輪の花が咲いていた。

まぁ、つまりベン好みの女の子がいて、ベンがその子の跡をつけるために、
外へ出てしまったというだけのことだが…

たけし8/12 16:58:422211cftSqWgpWefDU||148

(どこに行くんだろう?あの子。)
ベンはその女の子の跡をつけながら考えた。
髪は赤毛で、歳は自分より1〜2歳ほど下に見える。
そんなことを考えているとその子は路地裏に入ってしまった。
ベンは少し躊躇したが、
(ええい、後は野となれ山となれだ!!)
そう自分にいいきかせ、路地裏に入っていった。

たけし8/12 17:1:132211cftSqWgpWefDU||347

「くっそー、あいつどこに行ったんだ?」
カシムは苛立っていた。
ヤンクも複雑な表情をしている。
屋敷に帰ったら、ベンがいなくなっていたのだ。
「あれほど出るなっつったのに・・・」
「まぁそんなことよりベンを探すのが先じゃ。」
苛立つカシムにヤンクが言う。
「そうだな。」
そして、カシムとヤンクは二手に分かれてベンを探し始めた。

たけし8/12 17:7:62211cftSqWgpWefDU||924

「あ、どうもすいません。」
ベンはよく冷えたお茶をもらいそう言った。
今ベンがいるのは、ベンがつけていった女の子の家である。
尾行(いや、単なるストーカーか?)がその子にバレたのだが、その子が、
「あなた見かけない顔ね。迷子なの?迷子ならうちにいらっしゃい、お茶をご馳走するわ。」
と言ったので、ベンは自分を偽り、
「そうなんだー。僕東の方の都から来たんだけど道に迷っちゃって…」
「えーうそー。都だなんて。うちに来て都の話をいっぱいして。」
「あーいいよ。そんな話しでいいならいっぱいするよ」
と言って、その子の家へ行ったのだ。

たけし8/12 17:10:402211cftSqWgpWefDU||408
その子のうちはお世辞にも裕福には見えなかった。
(うわーこれならサイハテ村にあったお師様の研究所の方がまだマシだ。)
正直それがベンの感想だった。
「はいどうぞ。」
女の子の母親がベンにお茶を渡す。
「あ、どうもすいません。」
と言った。
女の子の名前はアンという名前だった。
「ねぇねぇ、東の都ってどんなところだった?」
アンがそう聞いてくる。

たけし8/12 17:14:402211cftSqWgpWefDU||166
「東の都はねすごいよ。みんな毎日が楽しくてしょうがなくてさー、笑顔が絶えないところだよ。」
ベンが適当に言う。
(まぁ、うそじゃないもんね。一応都には住んだ事はあるし…)
ベンは自分にいいわけをした。
「いいなぁ、東の都は。」
アンがそう言う。
「何言ってるんだよ。デイセカルッシ市は魔道同盟機構やルード教団の勢力とは違って自由な思想のところじゃないか。」
ベンがそう言う。

たけし8/12 17:20:432211cftSqWgpWefDU||59
そう、魔道同盟機構では魔道に、ルード教団では宗教に縛り付けられる…それが一般的な考え方だった。しかし、
「そんなこと言ってるのはあなただけよ。」
ベンはアンにそう言われた。
「ここはね、いろんな考え方の人が来るの。でも軍としてまとまるには考え方を統一しなければいけないでしょ。だからね、軍に反する考え方の人は…消されるの。」
アンは続ける。
「それに魔道同盟機構やルード教団よりは魔道の知識もノウハウも少ないから軍としての力が劣っているの。だから、だから、一般市民も強制的に連れて行かれるの。」
そこで、アンは涙を浮かべる。
その後はアンの母親が続ける。

たけし8/12 17:24:312211cftSqWgpWefDU||825
「この子の父親、私の夫でもあるけど…も軍に連れて行かれたのよ。それでもあの人は軍の中で『我々市民の自由を返せ』なんて言ってデモをしたから、あの人は…ぅぅ」
そして、母親も泣き崩れる。
その先のことはベンにも想像できた。
つまり、軍に抹殺された―
ベンの頭は真白だった。
(カシムさんどういうことですか?)

たけし8/12 17:26:542211cftSqWgpWefDU||278

日も落ちて辺りが暗くなり始めた頃…
「ベン、そこにいたか!?探したぞ、こいつ心配かけや…」
そこで、カシムの声が止まる。
ベンの様子が違っていた。
「カシムさん…」
ベンはうつむいている。
「言ったのか?…・」
カシムがベンに聞く。
ベンはうなずく。

たけし8/12 17:33:422211cftSqWgpWefDU||271
「どういうことですか。デイセカルッシ市は…デイセカルッシ市は…」
ベンの言葉がつまる。
「カシムさん言ってたじゃないですか!!『俺達はその戦争にうち勝ち、平和をてにしなければならない。そして、一般市民を護り続けなければならない』ってあれはでまかせですか?」
ベンが一気にまくしたてる。
「それは違う。」
「違うってなんですか。一般市民を巻き込んでまでそんなことを…。
大の為には小を切り捨てる。そんなやり方シャモンと一緒ですよ。」
ベンはなお、叫び続ける。
「そいつは違うな。」

たけし8/12 17:35:452211cftSqWgpWefDU||753
カシムが言い返す。
「シャモンの奴はそれができないからデイセカルッシ市を抜けた。事実奴は口には出しても、村の奴を殺さなかっただろう。」
「じゃぁ、カシムさんなら……殺しましたか?村の人を…」
そしてカシムは、

たけし8/12 17:41:352211cftSqWgpWefDU||66
「ああ。必要とあらばな。」
ベンは膝を地面に落とす。
「ベン、勘違いをするな。戦争とは、どっちも正しい者同士が戦い、知らない奴同士で殺し合い、そして、闘いたくもない奴も戦わなくてはならないものなんだ。」
カシムは続ける。
「お前は忘れているだろう。俺が何人もの人間を殺していることを。お前は知らないだろう。Drが研究に携わった魔道兵器が何人もの命を奪っていることを。それが戦争だ。」
「…」
ベンは無言。
「目先のちんけな正義感に捕らわれるな!!ベン。」

たけし8/12 17:47:32211cftSqWgpWefDU||70
そして、カシムは背を向ける。
「帰るぞ、ベン。」
しかし、ベンは動かない。そして、
「…らない」
ボソッと何かを言う。
「何?」
カシムが聞き返す。
「もう、帰らない。」
ベンが言う。
「何を言い出すんだ。」

たけし8/12 17:51:572211cftSqWgpWefDU||13
「カシム、知ってる?あそこの路地裏に住む人は皆貧乏ってこと。」
「ああ。」
「じゃぁ、そのほとんどが戦争のせいで父親を失ったせいで一家の稼ぎ手を失った人達だってことを。」
ベンは続ける。
「じゃぁ、これは。父親を軍に連れて行かれて、その父親が軍に反発したからって殺された可愛そうな女の子のことを…」
「…」
カシムは無言。
「こんなことするなら僕はこの街を出てやる。そして、いつかお前等デイセカルッシ市の中枢を壊してやる。」

たけし8/12 17:55:442211cftSqWgpWefDU||462
「何を…そんなことができるわけないだろう。」
カシムが言うが、
「できる…いや、必ずしてやる。」
ベンは決意する。
「はっ、ガキみたいなことを言うな。もう少し大人になれ。さぁ帰るぞ。」
カシムは手を差し出すが、ベンは
パシンッ
それを払いのける。
「ガキで結構。大人になんかなれなくてもいい。」
「人はいつか大人になるぜ。ベン。」

たけし8/12 17:59:92211cftSqWgpWefDU||762
「もうベンじゃない。ベンは今日限りで死んだ。大人にならないためにも、今日から僕は『キッド』だ。」
そう言ってベン…いやキッドは懐から何かを出した。
紫色の玉、そう毒が出てくる玉だった。
(やべぇ、今の風向きは)
カシムは風向きを確かめる。
(こっちは風下だ。)
そう判断した瞬間、キッドの投げた玉が割れて、毒ガスが出た。

たけし8/12 18:2:192211cftSqWgpWefDU||229
そして、その間にキッドは逃げ出した。
デイセカルッシ市の外へ向かって。
(待ってろよ、デイセカルッシ市。いつか、いつか必ずこの僕…いや、この俺がお前等の軍を叩き潰してやる…)
少年はそう決意し、デイセカルッシ市の外へ出ていった。
腰には魔銃をつけて…

魔道力学白書第1章 完

たけし8/12 18:13:212211cftSqWgpWefDU||155
以上、魔道力学白書第1章終わりです。
え〜ベンの名前を変えたのは、「べんは」を変換する時「弁は」になってしまうからです。
決して、某電撃文庫の某小説(魔○師 オ○フ○ン)を真似たわけではないです。スイマセン
ところで、次の章ですが、次は八巻小五郎(覚えている人いるかな?番外編の「お江戸でござる」の主人公だった奴…)が主人公です。
舞台はベン(キッド)がカシム達と別れてから5年後のズパング。
小五郎はどうなっているでしょう?
ではでは、呼んで下さった方ありがとうございました。
できれば、感想よろしくお願いします。

祥大8/12 18:39:182192cfjwWTQQyXEQ.||467
 こんにちは^^祥大です
マナ「マナで〜す^^」
 すごいです、ホントに・・・ベンが裏切るとは・・・
マナ「そういえば・・・魔○師 オ○フ○ンはまだ読んでないなぁ〜」
 関係ない。ふむ・・・今度は小五郎が主人公に返り咲きしますか・・・楽しみです^^
マナ「ではでは、次章もまってます〜」

たけし8/12 18:45:542211cftSqWgpWefDU||616
感想ありがとう。
祥大のも読んだよ。
やっぱり祥大のは面白いよ。


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