戻る
3154第十一章〜魔剣の章〜「一年前の悲劇」いおり♪9/30 19:51:582202cffTwLnixmzc.
本当に久しぶりです・・・覚えている人はいないかと思います。
でもあらすじを載せるので初めての人も読んでくださいね。

あらすじ
伝説の魔剣を持って旅をしている。一穂、蓮、そして・・・魔剣を封印する謎の魔術師ルシファーは魔剣『幻』を持つ盗賊団のリーダー、リックに会う。さらにそのリックが魔剣『幻』に封印されていた『幻魔』に支配されてしまい、ルシファーに襲い掛かった。何とかそれをはねのけたものの、魔剣『幻』は封印する事ができなかった。そして、一穂が魔剣を手に入れた時の話しを聞かせて欲しいと言う蓮にルシファーが口を開くが・・・?

いおり♪9/30 19:54:592202cffTwLnixmzc.||549
 今までの話しは
第一章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1482.html
第二章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1515.html
第三章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1544.html
第四章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1688.html
第五章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1754.html
第六章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1935.html
第七章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2072.html
第八章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2193.html
第九章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2257.html
第十章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2632.html
です。

感想、意見、印象などがありましたら書いてくださいね!

いおり♪9/30 19:56:172202cffTwLnixmzc.||464
            今からちょうど一年前・・・・
「お師匠様〜!」
小さな村にある奇妙な柄の小屋の玄関が勢い良く開くと共に元気な女の子の声がこだました。
「お師匠様〜いるんですか〜?」
「何ですか、騒々しい・・・」
女の子の声に答えたのは大きなゆったりとした椅子に座っている青年だった。ローブを身にまとっていて、フードの影で顔がよく見えないがとても筋が通った端整な顔立ちをしている。読書の途中だったらしく、片手に本を持っている。
「あ、お師匠様いたんですかぁ〜。今日も魔術を教えてください!」
「だめ」
青年は本に落としている目線を変えずに言った。

いおり♪9/30 19:56:302202cffTwLnixmzc.||980
「え・・・」
一瞬沈黙が訪れたが、女の子はすぐに気を取り直して口を開く。
「そんな事を言わずに、教えてくださいよぉ」
「駄目」
「・・・」
女の子は青年に取り付く暇も無い。
「え・・・と、じゃあ・・・見てもらうだけでも・・・」
女の子がそう言うと、青年は初めて女の子の方を向いた。良く見れば、女の子は修行中の人が良く着る様な白い胴着を着ている。
「一穂さん・・・私はいつから貴方の師匠になったんでしょうか?」
「えっと・・・それは・・・」
一穂と呼ばれた少女はしばらく考える振りをする。

いおり♪9/30 19:56:502202cffTwLnixmzc.||242
「出会った時から」
(おいおい・・・)
一部始終を見ていた通りすがりのおじさんが心の中で突っ込みを入れる。
「貴方と言う方は・・・私は弟子は取らないといつも言ってるでしょう・・・」
「お師匠様♪今日はどんな魔術を教えてくれるんですか?」
一穂は聞いているのか聞いていないのか、魔術の事しか頭の中に無いようだ。
「はぁ・・・あなたねぇ・・・」
青年は思いっきりため息をついた後、一息ついて口を開く。
「この前教えた「ただ光るだけ」の魔術、できるようになりましたか?」
「う・・・」
一穂は珍しくうろたえた。一穂の顔の表情を見れば答えは聞かなくても分かる。

いおり♪9/30 19:57:52202cffTwLnixmzc.||113
「えっと〜・・・それはですね」
一穂は目線を泳がせながら何とか言い繕うとしている様だ。
「役に立ちそうで全く役に立たないこんな魔術でさえ、満足に使えない魔術士の方が役に立たないものはありませんね」
                 グサッ!
一穂の胸に何かが突き刺さるような音が聞こえた。
「長いセリフで酷い事言いますね・・・」
「本当の事でしょうが」
                グサッ!グサッ!グサグサッ!
青年の言葉が何本かに分かれて一穂の胸に突き刺さる。
「だから・・・今日は新しい魔術を・・・」
「あれ以上、簡単な魔術なんてありませんよ」

いおり♪9/30 19:57:172202cffTwLnixmzc.||219
「だから、それは・・・あの魔術はたまたま私と相性が悪かっただけかも・・・」
「それでは、貴方は魔術との相性が悪いんですね」
「えっと・・・」
一穂はそれ以上言い繕う事ができない様だ。一穂と青年の間に長い沈黙が生まれる。
「あの・・・ちょっと、いいかね?」
その沈黙は玄関からこちらを伺う様な声によって打ち破られた。
「はい、なんでしょう?」
青年が玄関に目をやると目を少ししょぼつかせている老人がこちらを見ている。
「あ、村長さんだ」
一穂はそれを見てすぐに誰か分かった。
「やぁ、一穂ちゃんも元気かい?」
「うん、とっても!」
そう言って、一穂はにっこりと笑った。

いおり♪9/30 19:57:312202cffTwLnixmzc.||555
「そうかい、そりゃ良い事だ」
村長も嬉しそうに笑った。村長に関わらず、村の皆は一穂の笑顔が大好きだった。
「それはそうと、君に依頼したいことがあるんだが・・・」
「はい、いつものですね」
「あ・・まぁ・・・そうだ」
この家に住んでいる青年は一見風変わりな家に住んでいるただの人間の様に見えるが、実際の所はかなり凄腕の魔術師らしい。
だから、この村の周辺から隣国まで、色んな所から魔術師としての依頼がやってくる。一穂はそんな青年に憧れているのだったが・・・
「お師匠様、私もご一緒させてもいいですか?」
「駄目に決まっているでしょう?」

いおり♪9/30 19:57:532202cffTwLnixmzc.||586
一穂は魔術に関してはからっきし才能が無かった。一応、青年から簡単な魔術は教えてもらったみたいだが、一穂がいくら呪文を唱えても発動はしない。発動してもポンッと音を立てるぐらいが、せいぜいよい所だった。
「じゃあ、見るだけでも!」
「同じことですよ。いい加減、私は貴方の師匠にはならないっと何度言ったら分かるんです?」
因みに、魔術師と魔術士の違いだが、魔術師の方は師匠としての資格がある者、魔術士は見習いの事だ。
「・・・分かりました。今日の所は引き下がりましょう・・・でも、今度はちゃんと私も連れて行ってくださいね」
一穂はそう言うと、青年の家を走って出て行った。

いおり♪9/30 19:58:142202cffTwLnixmzc.||981
「今度はともかく、それでよろしい」
青年は去ってゆく一穂の背中に対して声を掛けた。
「さようなら〜お師匠様〜!!」
一穂が走りながら元気に手を振っている。
「私は貴方のお師匠様じゃありませんよ〜!!」
青年も一穂に負けじと大声で言った。
「ははは・・・今日も大変そうだな。ルシファー君?」
「ええ、せめて魔術が少しでも使える様になってから来て欲しいものですよ」

いおり♪9/30 19:58:252202cffTwLnixmzc.||176
村長にルシファーと呼ばれた青年は、深くため息をついた。
「それは、君がきちんと教えてやれば良いのではないか?」
村長がいたずらっぽく言った。
「冗談はよしてください・・・」
「それで、さっそく依頼についてなんだが・・・」
「ええ、分かってます」
青年は顔を引き締め、村長と向かい合って言った。

いおり♪9/30 19:58:362202cffTwLnixmzc.||90

―・・・ここは何処だ・・・―
辺りが布のような物で囲まれていて周りの景色がいっさい見えないそんな中、「何か」が思った。「何か」は体を動かそうしてみたが身動きが取れない。かなり窮屈な所に押し込められているようだった。
―・・・そうか、「俺」は・・・―
それでも、「何か」は指一本さえ動かす事ができない。いや、できるはずがなかった。かつての体はとっくの前に失っているのだから。

いおり♪9/30 19:58:542202cffTwLnixmzc.||969
―あいつだ・・・あいつを殺すんだ―
「何か」は思った。今の自分には目的がある。何故、今になって目が覚めたのかは分からなかったが、長い間眠りについていたにも関わらず昔の記憶が鮮明に残っている。自分を封印してしまった憎き人間の事も・・・
―・・・誰か一人、人間の力が必要だな・・・―
すでに身動きが取れない今、手段を選んでいる暇はなかった。「何か」は辺りに集中する。

いおり♪9/30 19:59:52202cffTwLnixmzc.||366
―ほう・・・―
「何か」は自分に近づいて来る人間の『気』を感じとったようだ。まだ、若い・・・女の子の『気』だ。
―ちょうどいい・・・貴様の体、少しばかり借りるぞ―
急に、「何か」の周りにまがまがしい黒い邪気があふれ出した。

いおり♪9/30 19:59:202202cffTwLnixmzc.||189
「るん♪るん♪」
一穂は村の一番大きな道をスキップしながら走っている。
「へへ〜さっきはあんな事言ったけど、村長さんの家に先回りしちゃえばどんな依頼か分かるかもしれないもんね〜」
先ほどの青年、ルシファーの所に来る依頼はいつもまず村長の所にやってくる。遠くから依頼人がやってくるので、村長の家が一番旅人を受け入れやすいからだ。一穂が向かっている先はもちろん村長の家だった。一穂がスキップしていると、道の先に大きな家が見えてきた。
「おお、ターゲット発見!」
一穂の走りはスキップから猛ダッシュに変化した。目の前の家がぐんぐんと大きさを増していく。

いおり♪9/30 19:59:332202cffTwLnixmzc.||850
「到着!」
ピタッと一穂の足が止まる。一穂はすでに村長の家の玄関の前まで来ていた。
「へへ〜、お邪魔しま〜す」
一穂はこっそりと玄関のドアを開けた。
「・・・・」
家の中はしーんっと静まり返っている。村長は一人暮らしなので中には誰もいなかった。
「でも、この家広すぎて何処から探したらよいのか分かんな・・・」
ふと、一穂の動きが固まる。何かを感じたようだ。
「今、何か聞こえたような・・・」
一穂は耳を立ててみるが何も聞こえない。
「・・・幻聴かな?」
一穂はそのまま最初の目的に移ろうとした。だが・・・

いおり♪9/30 19:59:482202cffTwLnixmzc.||102
『こっちに来い・・・』
今度は確かに一穂の耳に不気味な声が響いた。
「もしかして・・・幽霊じゃないよね・・・」
『お前の目的の物がある・・・』
一穂は辺りを見回してみるが誰もいない。一穂には幻聴か幽霊の言霊としか思えなかった。
『こっちだ・・・そこの階段を上って、一番左奥にある部屋・・・』
「・・・・・!?」
一穂は再び辺りを見回すがやはり誰もいない。しかし、これは幻聴ではなかった。一穂は恐怖で叫び声もあげることができない。

いおり♪9/30 19:59:582202cffTwLnixmzc.||75
―階段を上って、一番奥にある部屋・・・―
一穂は下から、その部屋を覗いてみた。部屋のドアは閉め切っているが、黒い影が部屋の中から溢れてくるようだった。一穂は本能的に「あの部屋に行っては駄目だ」っと思ったが、体が言う事をきかない。勝手に声の通りに階段を上り始めた。
―駄目・・・そっちにいっちゃ駄目だって―
一穂の体はすでに部屋のノブへと手が伸びていた。

いおり♪9/30 20:0:132202cffTwLnixmzc.||690

「依頼人が不明なんですか?」
青年はオウム返しの様に聞き返した。
「ああ、わしが朝起きてみたら、とても長い箱と一緒に手紙が玄関に置いてあったんじゃ・・・差出人は不明、手紙にはこう書かれておった」
村長は白い手紙をルシファーに渡す。

いおり♪9/30 20:0:252202cffTwLnixmzc.||68
「・・・拝啓、ルシファー殿。突然のご無礼申し訳いたしません。急用なので単調に申しあげます。この手紙と一緒に貴方の所に送った箱の中身はある商人から買った代物です。しかし、あれが家に来てから不幸な事ばかり起こるのです。仕事が順調だった父は急に、仕事からくるストレスで死に、健康だった母は急病に悩まされています。どうか、貴方の力で封印をしてくださる様お願いします・・・」
ルシファーは手紙に書いてある事を淡々と読み上げた。
「どう思うかの?」
村長はいぶしげな顔で聞いた。

いおり♪9/30 20:0:372202cffTwLnixmzc.||330
「・・・まず、差出人不明が気になりますね・・・封印して欲しい代物がなんなのかはっきり書いてありませんし・・・箱の中身は確かめたんですか?」
「いや、まだ開けておらん。まず君に知らせようっと思っての・・・」
「そうですか・・・」
実際、封印の依頼は何度もルシファーの所に来ている。鬼の呪いだの、魔族の呪いだの色々奇妙な物がたくさんあったが、今回は特に奇妙だった。

いおり♪9/30 20:0:532202cffTwLnixmzc.||941
「とにかく、実際に見てみないと・・・」
ルシファーの言葉が止まった。どうやら、何かを感じた様だった。
「どうしたんじゃ?顔色が悪いぞ?」
村長がルシファーの顔を覗き込んで言った。彼の顔色は村長が言ったように明らかに悪かった。今まで誰も見た事が無い程に・・・
「な・・・まさか、これは・・・」
ルシファーは脱兎のごとく自分の家を走りぬける。

いおり♪9/30 20:1:62202cffTwLnixmzc.||117
「な・・・ちょっと待つんじゃ!ルシファー君!いったい、どうしたんじゃ!?」
村長もルシファーの後を追いかける。
―このまがまがしい『魔』は・・・まさか!?・・・そんなはずが無い!そんなはずが・・・―
ルシファーはかなりのスピードで村長の家に向かった。村長が追いかけているはずなのに姿がすでに見えなくなっていた。
                     バンッ!!
ルシファーは村長の家の玄関を荒々しく開いた。

いおり♪9/30 20:2:262202cffTwLnixmzc.||428
久しぶりなので、読んでくれる人がいるかどうか心配かどうか、それだけが心配です。
もし、読んでくれたら、何でもいいのでレスしてくださいね。

流光10/1 18:58:206120cf/nTyc155QfE||258
前のも見てました^^面白かったです^^今度からも書いてくださいね^^

みりん☆10/7 17:42:22102cfi1iXVIMqawQ||42
作品紹介スレをたてるのですが、
いおり♪さんの『魔剣』が推薦されたので掲載してもよろしいでしょうか?
お返事お待ちしております。。

いおり♪10/15 20:35:292202cffTwLnixmzc.||660
返事おくれました〜、本当にごめんなさい。紹介してくれるなんて嬉しいです。もちろんOKですよw

いおり♪10/15 21:7:382202cffTwLnixmzc.||305
改めて返事を書かせてもらいますw
流光さん>前に続いて、見てくださってありがとぉございますw続き頑張って書きますw

みりんさん>作品紹介してるのですか、素敵ですね。僕も推薦されたなんて嬉しいですw
みりんさんと推薦してくれた人に感謝します


本文(<>," shift+7使用不可)
 ※メルアドや電話番号を公表してはいけません、荒らしを批判するのは「俺が神掲示板」以外は禁止!
 
特殊文字 by.チビファンタジー