3159 | 掌編「島と鳥〜あるいは自由と束縛〜」 | ローグ | 10/2 17:43:24 | 2209cf98Z8I7.HxBw |
静かな月が猛き日を見上げ、 白き星が青い空へと変わる時、人は島になりました。 島となった人は叫びます。 「私は一体どうなってしまったのだ!?」と。 島の叫びを聞いたのか、渡り鳥が近づきながら答えます。 「あなたは島なのです」 島はそれを聞き、なおも叫び続けます。 「私は起きる前までは人だった。 鳥よ、何故人が島へと変わるのだ?」 |
ローグ | 10/2 17:47:58 | 2209cf98Z8I7.HxBw||962 | ||
鳥は自由を謳歌しながら答えます。 「分かりません。私には分かりません。 あなたが人であったのであっても、それは私達には関係無いのです。 私達は、そこに羽根を休める事が出来る場所がある事が重要なのですから」 「鳥よ、名も知らぬ鳥よ。それでは余りにも薄情ではないか!? 私が人であった時、私は随分とお前達を可愛がった。 それに対して何ら恩を返すことも無く、そのような言葉を吐く。 もう少し親切にしてくれても良いだろうに!」 |
ローグ | 10/2 17:52:28 | 2209cf98Z8I7.HxBw||936 | ||
鳥は答えます。 「ええ。それは感謝します。ですが、私達を可愛がってくれた以上に、 あなたは私達に恐怖を与えました」 島は悲しげに問います。 「鳥よ!それは生きる為に仕方の無い行為なのだ! お前達だって生きる為に虫を食べるだろう?」 「ええ。ですが私達は生きる為だけに食します。 そして、それを良く理解しています。あなた方とは違うのです」 島は叫びます。 「鳥よ。それは一部の心無い人間の仕業だ!」 |
ローグ | 10/2 17:56:40 | 2209cf98Z8I7.HxBw||77 | ||
鳥は歌うように答えます。 「私達は個として見るのではなく、全として見ます。 それはあなた達も同じでしょう。 一部の人がしたのなら、それはあなたがした事なのです。 答える事で、あなたの親切には応じました。 私の親切には、羽根を休めさせていただいた事で、充分満足しています」 島は内にある炎を灯しながら問いかけます。 「では鳥よ。私は人へと帰る事が出来るのだろうか?」 |
ローグ | 10/2 17:59:50 | 2209cf98Z8I7.HxBw||959 | ||
鳥は答えます。 「私には分かりません。分かるはずがありません。 では私は次の島へと飛び立ちます。あなたが幸せであるように祈っています」 島は迫り来る孤独感に震えながら問います。 「おお鳥よ!待ってくれ!お前に行ってしまわれたら、 私は一人になってしまう。次にお前に会えるのは何時なのだろう? 出来る事ならば、このまま此処に留まってくれないか?」 |
ローグ | 10/2 18:3:49 | 2209cf98Z8I7.HxBw||472 | ||
鳥は高らかに答えます。 「それは出来ません。出来るはずがありません。 私は渡り鳥なのですから。ですが私には又すぐに会えます。 あなたの元へ来る、全ての鳥が私なのですから それでは、さようなら」 こうして鳥は飛び去ってしまいました。 その後、島になった人は、今日も飛んでくる鳥に問い続けます。 「おお鳥よ!私は何時になったら人へと帰るのだ!?」と。 〜了〜 |
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