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3285君の魔法有芽10/16 11:30:72182cfD2WKtSEYqq6
素直じゃないあたしに彼ができると、一体どうなってしまうのか。

「何やってんの? 沙夜。」


親友の裕子に話しかけられて、あたしは編み物の手を止めた。

「何って、見たとおりよ。マフラーあんでんの。」
「えっこれマフラーだったの?!」

心底驚いた顔をして裕子がマフラー(らしき物)をつまみあげた。


「失礼ね。正真正銘どっからどー見てもマフラーよ。」

「あんたね、 こんなところどころに穴あいてて しかも途中からはばが狭くなってる物の
どこをどー見たらマフラーに見えるの?」

有芽10/16 11:31:52182cfD2WKtSEYqq6||86
裕子に言われて改めて自分の編んでる物をまじまじと見ると、
なるほど穴は5,6個あいており(恐らくめをとばした)、半分あたりから少し幅が狭くなっていた。

「・・・・うるさいな。愛がこもってりゃいいのよ。」

「愛って、誰かにあげるの?」


「雅」

「関谷くん?そりゃまた何で。」


「・・・・・だってあたしたち付き合ってるし、もーすぐ雅の誕生日だし・・・」

「・・・・・・・・・え―――――――っ?!」
一呼吸おいたあと、裕子はあらん限りの声を出して驚いた。


有芽10/16 11:31:362182cfD2WKtSEYqq6||182
裕子の無礼な行動の数々にあたしは怒る気も起きなかった。
――ま、驚かれても無理はないか。

あたしと雅は元々ケンカ友達のようなものだった。
  ――というか、奴の何でもソツなくこなすのに腹がたったあたしが色々つっかかって
いっただけ、とも言うが。

とにかくあたしは口を開けば裕子に雅の悪口(?)を言っていた。

それが人間とは不思議なもので、雅に何かと言ってるうちにいつの間にか
好きになっていた。

有芽10/16 11:32:402182cfD2WKtSEYqq6||258
そんな時、雅も何を血迷ったかあたしに告白をしてきて、
はれて(?)あたし達は付き合うことになったのだ。

そうしてもうすぐ付き合って初めてのイベント・クリスマス+雅の誕生日がくる。
私も慣れない手つきで一ヶ月前からマフラーを編み始め、それももう完成間近だ。

――――ただしここで問題が一つ。

あたしはまだ雅に「24日一緒にいよう」と誘っていない。

ハッキリ言って ケンカ友達から恋人になったあたしは
何かと恥ずかしくて、二人で遊んだことすらまだない。

でも誕生日だけは、クリスマスだけは何が何でもいっしょにいたい。
       ―――――絶対誘わなくちゃ。


有芽10/16 11:32:562182cfD2WKtSEYqq6||367
「沙夜」
「うひゃぁっ?!」

ぐるぐると考え事をしていると、後ろから雅の声がしてあたしの心臓は跳ね上がった。


「・・・うるさい。」
「驚かすからよっ」

「驚かしてなんかないんだけど。・・・ところで、話あるんだけど・・・・」

「あ、あたしもある!!」
よし、今がチャンスじゃん!

「み、雅!」

「何?」

有芽10/16 11:33:242182cfD2WKtSEYqq6||55
「あ、あのさ、にに24日って雅の誕生日じゃん。」
「ぁ・・・うん。」

「そ、それで・・・」
あたしの心臓はこれ以上ないほどばっくんばっくんいっていて、
雅の目をマトモに見れない。

「それで、その日一緒に――」
「沙夜っ」


一番肝心なところで裕子がわって入ってきた。


「・・・・はぁ・・なんなのよ裕子」

有芽10/16 11:33:452182cfD2WKtSEYqq6||994
「英語の先生が探してたわよ!あんたまた小テストで一桁とったんだって?」
呆れたように裕子が言った。

―――このバカ、何も今ここでそんなこと言わなくてもいいのに!
   今あたしがどれくらい勇気ふりしぼってたかわかってんの?!


「・・・そ、そう。後で行っとくね・・・」
とにかく裕子は早くむこうへ行かせたいので、それだけ言った。

有芽10/16 11:34:162182cfD2WKtSEYqq6||798
「・・・沙夜、また英語の小テスト悪かったんだ?」
「う、うるさいわね。日本人なんだから日本語がしゃべれりゃ十分なのよ」

雅にやれやれという顔をされてあたしはムカっときた。

「・・・ほんっとダメダメだね。」

「何よ、あんたなんかあたしより小さいくせに!」
「何だよ それ全然関係ないだろ。しかも2cmだし。」
「うるさいな!英語できるからってえらそーにすんな!」

「してないだろ!」

「してる!」
「してない!」

ヤバイ、いつものパターンだ。
今日こそは乙女チックモード全開でイブの日の約束をするつもりだったのに・・・・!

けれど一度火がついてしまったものは止められない。

有芽10/16 11:34:432182cfD2WKtSEYqq6||523
「なによチビ―――!!」

「だから今それ関係ないだろ!」

「バカ―――〜!!」
「バカはどー考えても沙夜だろ!」


雅が勢いで言った言葉にあたしは完全にブチ切れた。

「言ったわねバカ雅!あんたなんて大ッ嫌いだ!!別れてやる〜〜〜」

「オレだって同じだよ。勝手にすれば?!」


低レベルなケンカに終止符をつけると、あたし達はフン と顔をそむけ、
そのまま雅は教室を出て行ってしまった。

有芽10/16 11:35:492182cfD2WKtSEYqq6||806
・・・とりあえずつづきは月曜日・・・ぐらいに書きますw

有芽10/17 9:39:522182cfD2WKtSEYqq6||805
良かったら感想くださいw

有芽10/17 10:6:432182cfD2WKtSEYqq6||846
おろおろと傍で見ていた裕子は
「ご、ごめん 沙夜。タイミング悪すぎた・・・・」
と心底申し訳なさそうに言った。

「本当だよ!全部裕子のせいなんだから!!」

ついカッとなってそう責めたてたが、すぐ我にかえり
「・・・・あ、ゴメン。・・・・裕子のせいじゃないよ。あたしが短気だから、いけなかったのよ・・・」
と訂正した。


自分でも情けなくって涙が出そうだ。こんなのケンカ友達のころと変わらないじゃない・・・
あたしどうしてこう可愛くないのかな・・・
マフラー編んでもぼろぼろだし、いつもけんか腰だし

雅はあたしのどこを好きになって、告白してくれたんだろう

有芽10/17 10:7:212182cfD2WKtSEYqq6||49
今日は、今日だけは女らしくしているつもりだったのに・・・・


とうとう仲直りのできないまま、放課後になった。


明日からはもう午前中授業で、何かもうチャンスはなさそうだ。


「はぁ・・・・」
ため息をついて校門をでようとすると、誰かに腕をつかまれ、引き止められた。

「・・・沙夜!」
「雅?!」

急いでいたのか、靴を履き替えておらず 上履きのままだ。

「な、なによ。 帰るんだから手 離してよ。」
―――また思ってもないことを言ってしまった。

自分のバカさ加減に自己嫌悪に陥っていると

「さっきは、ゴメン!」
雅が言った。

「・・・へ・・・・・」

有芽10/17 10:7:462182cfD2WKtSEYqq6||325
「勝手にしろなんて全部ウソ!それに、勢いにのせて何かひどいこと言って、・・・ゴメン」

「・・・・」

「だから、別れるとか、言うなよ・・・」


「ち、違う。悪いのはあたしだから・・・あたしこんなんだから、
ついカッとしちゃって・・・こんな可愛くない性格直さなきゃって思ってんだけど・・・・」

あたしはいつになく素直に言えた。

そしたら雅はあたしを抱きしめて
「いいよ。オレ沙夜の全部が好きだもん」
と言ってくれた。

校門の前だから、いつものあたしなら恥ずかしくてつきとばしちゃってるとこだけど
何か今日はこのままでいたいって思えた。

有芽10/17 10:8:172182cfD2WKtSEYqq6||52
「・・・・24日、雅の誕生日一緒に祝おうね・・・」
「うん。サンキュー」
「今日はもっと早くこう言いたかったんだけど、時間かかっちゃってごめんね。」

「いいよ・・・・・好きだよ、沙夜」

「・・・・・・あたしも・・・」

有芽10/17 10:8:332182cfD2WKtSEYqq6||414
あたしを素直にする魔法の言葉はいつも君から。

君があたしの「全部を好き」と言ってくれたから、少し変われた気がした。



有芽10/17 10:9:42182cfD2WKtSEYqq6||290
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クリスマスイブの日、雅にマフラーを渡したら やっぱり少し笑ったけど、
一日中つけてくれていた。

今度の誕生日までにはもっと上達するからって言うと雅は少し照れたような顔をした。


有芽10/17 10:9:432182cfD2WKtSEYqq6||784
来年も、次の年も  ずっとずっと一緒にいよう?

  いつまでも誕生日を一緒に祝おう?


END...


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