3507 | 戒め | 亜瑠華 | 11/14 15:55:7 | 2227cfpjgSY.MTSRQ |
前回書いてみた小説が、どうも最後までいきそうもなかったので、完了を押してしまいました。なので、あらたに全然違う話を書こうと思います。 これにでてくる、里緒という女の子と諒という男の子は、兄弟です。親が離婚してずっと別れて暮らしていたんだけど、諒の両親が死んでしまったため、一緒に住んでいます。 |
亜瑠華 | 11/14 15:59:26 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||725 | ||
僕たちは前に会ったことがあることを知っているかい? 君は公園で遊んでた。 僕はその笑顔に惹かれて、声を掛けたんだ。 そして、一緒に遊んだんだよ。 何日も。 僕は君に、恋をしていた。 君は無邪気でお転婆で、妹みたいだった。 |
亜瑠華 | 11/14 16:0:59 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||576 | ||
けれど。 僕たちは成長して。 妹のように思っていた女の子が本当の妹になってしまって。 誰よりも傍にいて、嬉しいはずなのに。 ずっと苦しかった。 今でも君に恋をしていると気づいたときから。 |
亜瑠華 | 11/14 16:2:45 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||605 | ||
「久しぶりだよね、涼兄。もっと帰って来てくれてもいいのに。」 ぷくっと頬を膨らませる里緒に涼は微笑む。 「ごめん。大学が忙しくって。なかなか時間が取れないんだよ。」 涼は全寮制の高校を出て医大へと進んだ。 今でも一人暮らしで家にはほとんど帰らない。 「それでも!もっと連絡くれてもいいじゃない。お母さんも寂しがってるのに。」 |
亜瑠華 | 11/14 16:4:3 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||782 | ||
言外に「私も寂しい」という声が聞こえてくる。 「本当にごめんって。」 「ま、でも、今日はこうして私の入学祝を持ってきたから特別に許してあげますか。」 今年の4月、里緒は高校へと進学した。 今日はその合格&入学祝をかねて、涼がプレゼントを持ってきたのだ。 「お心遣い、感謝いたします。姫。」 |
亜瑠華 | 11/14 16:4:50 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||842 | ||
片手を胸に当てて優雅にお辞儀をする涼に。 里緒は偉そうに頷く。 「・・ぷっ。」 「・・はははっっ」 顔を見合わせて、こらえ切れないように二人一緒に笑い出した。 笑って笑って、ふと笑いが途切れて。 |
亜瑠華 | 11/14 16:5:27 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||172 | ||
涼は、いまだ笑いを滲ませている里緒を見つめた。 肩のあたりより長くなった髪がさらさらと揺れる。 年に数回しか会わない所為もあってか、里緒は会うたびに驚くほどに変わっている。 綺麗に、なっていく。 すっと涼は手を伸ばした。 ようやく笑いが収まったらしい里緒の頬へと指を伸ばす。 |
亜瑠華 | 11/14 16:6:4 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||271 | ||
「涼兄?」 もう少しで触れる、というところで里緒が声を発し、涼の手の動きがぴたりと止まる。 「なに?何かついてる?涼兄?」 くるくるとよく動く大きな瞳で心配そうに涼を見つめる。 「・・・なんでもないよ。」 きゅっと握りしめると、無理やり降ろす。 |
亜瑠華 | 11/14 16:6:29 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||441 | ||
「さ、母さんたちのところに行こうか。もうすぐご飯だろ?」 「うん。そうだね。」 部屋を出て行く里緒に続いて、その背中を見つめた。 「涼兄、か・・。」 呟いた言葉は里緒に届かない・・・。 |
亜瑠華 | 11/14 16:9:41 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||935 | ||
苦しかった、ずっと。 『涼兄』と呼ばれるたびに。 兄ということを里緒から突きつけられるたびに。 |
亜瑠華 | 11/14 16:10:8 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||981 | ||
お前に向かって伸びていく手を、戒められる。 兄という名の理性でもって。 気づかれてはいけない。 心の中の醜い想いを・・・。 |
亜瑠華 | 11/14 16:10:39 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||778 | ||
「里緒?里ー緒?お風呂空いたぞ?」 こんこんとドアをノックしても、里緒からの返事は一向にない。 確かにドアの向こうからは人のいる気配はするのに。 「里緒?開けるよ?」 ノブを回して、そっとドアを開けると。 煌々とした電気の中で、ベッドに横たわり里緒が寝ていた。 |
亜瑠華 | 11/14 16:11:4 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||901 | ||
「里緒、起きなさい。風邪ひくぞ。」 近づいて声をかけても、なかなか起きる気配がない。 「こら、里―・・・。」 開いていた窓から、さわっと風が入り込む。 それは二人の髪を揺らして、頬を撫でて通り過ぎた。 「里緒?」 |
亜瑠華 | 11/14 16:11:33 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||233 | ||
起こすためにかけていた時とはうってかわって。 そっと、寝ていることを確認するように呼びかける。 答えがないのを見て取って、ゆっくりと頬に手を伸ばした。 昼間触れることの叶わなかった温もり。 穏やかな寝息。閉じられた瞼。 「里緒・・・。」 |
亜瑠華 | 11/14 16:13:57 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||590 | ||
いつもは戒めてくれる唇は、今は薄く開いたまま何の言葉も発しない。 理性が、奥深くに沈み込んだまま出てこない。 いや、自分で押さえ込んでいるのかもしれない。 眠る里緒に。 そっと顔を近づけて。 震える唇を寄せた。 |
亜瑠華 | 11/14 16:14:25 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||562 | ||
変わらない寝顔。乱れない寝息。 涼の胸は苦しく締め付けられる。 初めて触れた唇の甘さよりも、襲いかかるのは切なさ。 里緒を起こさないようにそっと自分の部屋に戻ると、ずるずるとその場に座り込んだ。 「・・・っ・・」 目頭が熱い。 |
亜瑠華 | 11/14 16:14:49 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||284 | ||
何の涙かはわからない。 歓喜と恐怖と罪悪感と幸福感と嫌悪感と・・。 すべてがないまぜになる。 「・・っ・く・・っ」 想いが止まらない。 想いが止められない。 |
亜瑠華 | 11/14 16:15:17 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||824 | ||
まっすぐに迷うことなく里緒に向かっていく心。 『涼兄』 いつかこの戒めも効かなくなる日が来る。 そっと唇に触れた感触を思い出す。 止められや、しない。 もうだめだ。触れてしまった。 |
亜瑠華 | 11/14 16:16:19 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||706 | ||
このままではきっといられない。 そんな予感がした。 |
亜瑠華 | 11/14 16:17:7 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||80 | ||
どこかで運命の歯車が回る音が聞こえた。 |
亜瑠華 | 11/14 16:17:59 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||411 | ||
えっと、一応これで一段落です。続きは、できるだけ早く書きます。 良かったら、感想などお願いします。 |
みりん☆ | 11/14 16:27:32 | 2022cfQW7bvXp7IeM||238 | ||
リアルで読ませて頂きました。 すみません、なんだかむっちゃツボにはまりました・・・(*・・*) すごく切なさが伝わってきてイイですね^^ 心理描写も丁寧で・・・。 次回がとても楽しみです。がんばってください(*´∇`*) でゎでゎ失礼致しました三((ノ*'-')ノ |
亜瑠華 | 11/14 16:57:52 | 2227cfpjgSY.MTSRQ||233 | ||
みりん☆さん、どうもありがとうございます。 そのような感想をいただけると、すごく嬉しいです。 これからもよろしくお願いいたします。 |
morotyu | 11/27 16:41:31 | 2202cfdjkocGudgWU||938 | ||
とてもいいですね σ (・ω・`) の好きなタイプです これからもがんばってください |
亜瑠華 | 11/28 19:34:21 | 2202cfqsO1maAX1vQ||24 | ||
morotyuさん、どうもありがとうございます。 |
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