3539 | ◆見上げれば月◆ | 有芽 | 11/19 16:38:41 | 2182cfD2WKtSEYqq6 |
えー。まず、前作の紹介します(オイ +++++++++++++++++++++++ +くすりゆび+ http://chibifantasy.com/bbs/t12-3398.html ■合法ドラッグ■ http://chibifantasy.com/bbs/t12-3489.html ◆見上げれば月◆ http://chibifantasy.com/bbs/t12-3511.html (↑大竹視点) +++++++++++++++++++++++ では本編は↓からスタートです |
有芽 | 11/19 16:39:9 | 2182cfD2WKtSEYqq6||184 | ||
◆見上げれば月◆ 「うわ〜!まだ7時なのに真っ暗!」 |
有芽 | 11/19 16:39:23 | 2182cfD2WKtSEYqq6||479 | ||
そんなことを言いながら空を見上げたとき、 目に入ったのは蒼い蒼い月 私を不安にさせる 愛しくも憎くてたまらない存在 |
有芽 | 11/19 16:39:40 | 2182cfD2WKtSEYqq6||192 | ||
「馬鹿やってねぇでさっさと帰るぞ」 低い声と共に、頭に軽い衝撃 隣を見ると私の彼氏である大竹が不機嫌そうな面持ちで立っていた 大竹はいつも恐い顔をしてるから、 私は少しでも彼に笑って欲しくて彼を見るたびに微笑みかける 大竹は気付いてないかもしれないけど、 私が微笑むと大竹は滅多に見せない優しい顔をするのを私は知っている そんな大竹が好き 世界で一番大切 絶対に失いたくない人 |
有芽 | 11/19 16:39:54 | 2182cfD2WKtSEYqq6||134 | ||
「ねー、ねー、大竹!寒いから手繋ご!」 「冗談ぬかしてんじゃねーよ!」 口ではそんなこと言うけど、本当は嫌じゃないってことも知ってる 「あははは」 私はポケットに突っ込んでいる大竹の左手を引っ張り出して無理矢理手を繋いだ 「うわ!大竹の手冷た!!」 「だったら繋ぐな ボケ」 「手の冷たい人って優しいんだよ?大竹優しいんだ」 |
有芽 | 11/19 16:40:7 | 2182cfD2WKtSEYqq6||648 | ||
他愛も無い会話で不安を退ける 寒いから手を繋いだんじゃない 捕まえてないとどこか遠くへ行ってしまいそうだから 空に浮かぶ“アレ”に連れて行かれそうだから |
有芽 | 11/19 16:40:24 | 2182cfD2WKtSEYqq6||186 | ||
「大竹手袋なしじゃ寒くない?」 「んな煩わしいもん、してられっか。 それに俺はこれぐらいで寒がるほどやわな作りじゃねーんだよ」 大竹は強い ケンカだけじゃない 心も体も強い 「そっか・・・じゃあ大丈夫だよね?」 「あ?」 |
有芽 | 11/19 16:40:38 | 2182cfD2WKtSEYqq6||825 | ||
空を見上げれば月 私の好きな人はとても月が似合うから 恐くて恐くてたまらない お願い 連れて行かないで 私から大竹を盗らないで |
有芽 | 11/19 16:40:56 | 2182cfD2WKtSEYqq6||499 | ||
沈黙を破ったのは遠くで聞こえた救急車のサイレン 心なしか、体が震えたような気がした 「死んだのかな?」 「あ?」 「満月だから・・・人、死んじゃう・・・」 |
有芽 | 11/19 16:41:7 | 2182cfD2WKtSEYqq6||775 | ||
お願い 連れて行かないで お願いだから |
有芽 | 11/19 16:42:4 | 2182cfD2WKtSEYqq6||194 | ||
「何言ってんだ?」 大竹の問いかけは私に届かなかった 不安でたまらなくて 月から目が放せなかった 暫くそうしてると、目の前で大竹が手を振って現実に戻された 私の馬鹿らしい不安を悟られないように、私はいつもみたく微笑んで見せた 大竹は 不思議そうな顔で私を見ていた |
有芽 | 11/19 16:42:21 | 2182cfD2WKtSEYqq6||237 | ||
満月と新月が近づく度 祈るようになったのはいつからだろう? 恐くて 恐くて 一晩中祈り続けた日だって何度もある 大竹を失ったら 私きっと生きていけないから |
有芽 | 11/19 16:42:39 | 2182cfD2WKtSEYqq6||743 | ||
「月ってさ、毎年3pずつ地球から遠ざかってるんだって」 突然の私の言葉に大竹は返事をする代わりにタバコの煙を吐いた 「それでさ、計算上ではこれから46億年後には月が完全に離れちゃうらしいよ?」 不安 「それがどうかしたのかよ?」 短くなったタバコを地面に落とし、火を消す 当たり前なその動作が、安堵感をくれる それでもこの計り知れない不安を拭い去ることは出来なくて、 私は微笑みながら月へ視線を戻した |
有芽 | 11/19 16:43:7 | 2182cfD2WKtSEYqq6||739 | ||
「月には私たちみたいな生命体が存在しないでしょ? だから寂しくないように満月と新月の時に気に入った人を連れてっちゃうの」 連れて行かないで 「月が似合う人はすぐに連れて行かれるみたいだからさ、大竹が連れて行かれないか心配なんだ」 存在を強く感じたくて、大竹の手を握るそれに、自然と力が入る 「大竹、すっごく月が似合う。私の理想の人だから」 お願いだから |
有芽 | 11/19 16:43:28 | 2182cfD2WKtSEYqq6||763 | ||
「私をおいて行かないでね」 |
有芽 | 11/19 16:44:0 | 2182cfD2WKtSEYqq6||380 | ||
大竹ヲ盗ラナイデ 連レテ行カナイデ オ願イ オ願イ オ願イ 世界デ1番大切ナ人ナノ 大竹ガイナクナッタラ 私 死ンジャウヨ |
有芽 | 11/19 16:44:15 | 2182cfD2WKtSEYqq6||152 | ||
いつの間にか家の近くまで来ていた 私たちはいつもここで別れる 「じゃーね、大竹。また明日!」 大竹は勘がいいから私の不安に気付いていたみたい 心配させたくないから、私は大げさに手を振って大丈夫なことをアピールした 「ああ」 短く答えて、大竹は私に背を向けて歩き出した |
有芽 | 11/19 16:44:37 | 2182cfD2WKtSEYqq6||293 | ||
行カナイデ 行カナイデ 行カナイデ |
有芽 | 11/19 16:44:51 | 2182cfD2WKtSEYqq6||61 | ||
空に浮かぶ月が、恐いほど似合っていて不安を我慢しきれなくなった 「月に連れて行かれないでねー!」 心からの叫び 私はできるだけ明るく言った それを聞いて振り返った大竹は、苦笑していた 「お前こそ死ぬんじゃねーぞ」 「それ、こっちの台詞―!」 |
有芽 | 11/19 16:45:4 | 2182cfD2WKtSEYqq6||359 | ||
「最高じゃねーか」 |
有芽 | 11/19 16:45:18 | 2182cfD2WKtSEYqq6||75 | ||
冬の冷たい空気は、大竹が呟いた言葉を正確に私の耳に伝えてくれた そして恐くてたまらない月は、大竹の優しい微笑を鮮明に教えてくれた それだけで 涙が出るほど嬉しかった 一瞬で不安が吹き飛んだ 「大竹、大好きー!!」 最後にそう叫んで、私は家へと走り出した |
有芽 | 11/19 16:45:29 | 2182cfD2WKtSEYqq6||968 | ||
もう、不安じゃない 大竹の言葉は私に勇気をくれる 大丈夫だよ 大竹は優しいもの 私をおいて行ったりしない |
有芽 | 11/19 16:45:43 | 2182cfD2WKtSEYqq6||832 | ||
どんなに月が似合っていても 大竹は 大竹だけは 絶対 |
有芽 | 11/19 16:45:55 | 2182cfD2WKtSEYqq6||596 | ||
大丈夫 |
有芽 | 11/19 16:46:12 | 2182cfD2WKtSEYqq6||626 | ||
そう思いかけたその一瞬 けたたましいブレーキ音と 目が眩むほどの光が私を包み込み 体が 宙を舞った |
有芽 | 11/19 16:46:31 | 2182cfD2WKtSEYqq6||107 | ||
何が起きたなんて分からなかった 気が付くと道路に倒れてて、 私の周りは 赤い液体が地面をぬらしていた |
有芽 | 11/19 16:47:6 | 2182cfD2WKtSEYqq6||237 | ||
ああ、私車に撥ねられたんだ |
有芽 | 11/19 16:47:27 | 2182cfD2WKtSEYqq6||170 | ||
痛みなんて無かった ただ 体が思うように動かなかった 霞む目を必死に凝らすと 目の前には跳ね飛ばされたときに散乱してであろう、 私の持ち物であるスケッチブックとペンが幾つか転がっていた |
有芽 | 11/19 16:47:40 | 2182cfD2WKtSEYqq6||6 | ||
そのスケッチブックは私が大竹と付き合うきっかけになったモノだった 絵を描くのが好きだった私は、暇な時ノートに何かをスケッチする癖があった そのノートがいつの間にかスケッチブックになって その日、私は新しいスケッチブックを持って屋上へ行った その時、私は初めて大竹を見たんだっけ・・・ 大竹は気持ちよさそうに居眠りしてて その寝顔が綺麗過ぎて、私は思わず鉛筆を取った 風景しか描かない私が初めて人物画を描いたのもその時 あの後、すっごく怒られたけど大竹は私の絵を見て |
有芽 | 11/19 16:47:52 | 2182cfD2WKtSEYqq6||332 | ||
『うまいじゃん』 |
有芽 | 11/19 16:48:4 | 2182cfD2WKtSEYqq6||791 | ||
そう言った その言葉が私に勇気と自信をくれた それからそのスケッチブックは大竹専用になった 私も、大竹専用になってた |
有芽 | 11/19 16:48:21 | 2182cfD2WKtSEYqq6||103 | ||
私は動かない右腕を何とか動かし、スケッチブックに最期になる大竹への言葉を書いた 『最期に大竹に“最高”って言われて、嬉しかった ごめん、約束守れなかった 大好きだよ』 |
有芽 | 11/19 16:48:35 | 2182cfD2WKtSEYqq6||164 | ||
死ぬほど大切にしてたスケッチブックにこんなこと書くことになるなんて 自嘲的な笑みを浮かべた私の口の中いっぱいに、鉄の味がする液体がこみ上げてきた 俯けになっていた体を仰向けにして見た最期の景色は 空と血のように赤い月 |
有芽 | 11/19 16:48:50 | 2182cfD2WKtSEYqq6||730 | ||
見上げれば月 いつもとは違う 血のように赤い月 人を連れて行く化物と化した神秘の星 |
有芽 | 11/19 16:49:3 | 2182cfD2WKtSEYqq6||261 | ||
これは罰なのかな? 私が大竹を連れて行かないでって願ったから 一番大切な思い出を血で汚して 彼を独りにしてしまうなんて 私が欲を出したから・・・? |
有芽 | 11/19 16:49:20 | 2182cfD2WKtSEYqq6||192 | ||
私は 月に憑かれた彼の代わりに招かれた 風化されるであろう記憶や想いと引き換えに end... |
有芽 | 11/19 16:53:19 | 2182cfD2WKtSEYqq6||941 | ||
藤夜颯騎視点終わりました〜ww 感想、意見などがあったらお願いします(人´∀`):.*゚::.。:..*.゚:.. 今後の参考に致します。 あ・・・次は、5作目記念なんで、『短編集』をアップ予定・・です。 |
ベベル | 11/19 18:49:53 | 2201cfM2tWRPZYVcs||755 | ||
(´・ω・)ノ★*゚*☆*゚*こんばんみ*゚*☆*゚*★ヽ(・ω・`) うぁ・・凄い・・・とても一度読んだ作品の別観点とは思えないぐらい、 のめり込んで読ませて頂きましたペコリ(o_ _)o)) 知らなかった颯騎の想い、彼への気持ちが文字から溢れてきて(w_−; ウゥ・・ ドコか不安にさせる月とは違いやけに現実的な「死」への描写・・・ その純粋な想いに彼もまた救われていた事でしょうね゚+.│*´∩ω・`│゚+.ジーン 感動 読みやすく・・なのにしっかりと心に残る有芽さんの作品にまたまた尊敬する方が一人増えました♪ |
儡 | 11/19 20:31:1 | 2221cf7LWoQYDYcyo||555 | ||
すごぃです…なんか、感動的な文章で…泣 月と死とー…すごいですー…。 |
有芽 | 11/19 23:42:32 | 2182cfD2WKtSEYqq6||622 | ||
ベベル様>こんばんわぁ〜wまたまた感想ありりです〜ヾ(´∀`*)ノ なんか、私的にもずいぶん違うモノ・・・となったような気がしますヨ・・・ というよりも別の話みたいで;;申し訳ないです。。 しかも感動してくださったみたいで・・www 凄い嬉しいですw 、なんか大竹視点よりも暗いーーー...てカンジになってしまいました・・ 尊敬...なんか凄い感激ですよぅヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃 イヤ・・1人で舞い上がってしまって・・ww 本当に感想有難うございました((。´・ω・)。´_ _))ペコ |
有芽 | 11/19 23:45:26 | 2182cfD2WKtSEYqq6||817 | ||
儡様>こんばんわぁ〜&感想有難うございます♪(*・д・)ノ か・・・感動的ですか・・w有難うございますww すっごく嬉しいですよww ちなみにこの月の話は、私が昔聞いたものなんです。。 それを信じ込んでしまいましてねぇ・・・ こんな話を・・・ 感想有難うございましたww これからも頑張っていきますのでw |
儡 | 11/22 19:38:20 | 2201cfXMObGm6JhjU||151 | ||
様なんてつけなくていぃですよ〜w 私も、小説書いてみたんですけど…なかなかうまくいかなくて。もしよかったらアドバイス欲しいです。 がんばってください!!!! |
弥月 | 11/23 21:52:43 | 2194cfHbfHKdEaBLw||138 | ||
彼方何者ですか?(マティ 題名がめだってたので開いただけなのに・・・ ファンになりましたwそして前作全部読みましたw 悲しく、それでいてどこかほんわりする話・・・ 一つの話を違う視点からみて、 まったく別の話にしてしまう。 才能有りますねぇ・・・・うらやましいですw 次回作、楽しみにしています^^ |
有芽 | 11/24 20:4:29 | 2182cfD2WKtSEYqq6||42 | ||
弥月様>コメント有難うございます((。´・ω・)。´_ _)) おぉw前作も読んでくださりましたかぁww いやいやぁ・・・・才能なんて・・・ あたしもまだまだ未熟者なので・・w すっごい感激ですよぅ! 次回作、良かったら見てくださいw でわでわ感想有難うですw |
特殊文字 by.チビファンタジー |