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3612〜魔剣〜「一年前の悲劇・2」いおり♪11/27 22:14:462181cfMPID9/JPYO2
前回、感想を下さった方、弥月様、流光様ありがとぉございます。返事おそくなってごめんなさい。
遅くなりましたが、魔剣物語の続きです。

あらすじ
伝説の魔剣を持って旅をしている。一穂、蓮、そして・・・魔剣を封印する謎の魔術師ルシファーは魔剣『幻』を持つ盗賊団のリーダー、リックとその魔剣に封印されていた『幻魔』がルシファーと激突。そして何とか幻魔を倒したルシファーは蓮に一年前に起こった事を話す。
 今から一年前、ルシファーの元にある物を封印して欲しいとの依頼がやってきた。その話しに興味津々だった一穂はそのある物の存在を確かめようとするが、その正体は魔剣で、さらに、死神の森が現れて・・・?

いおり♪11/27 22:15:372181cfMPID9/JPYO2||766
タイトル間違えました。「悲劇・3」です。すみません
 今までの話しは
第一章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1482.html
第二章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1515.html
第三章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1544.html
第四章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1688.html
第五章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1754.html
第六章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-1935.html
第七章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2072.html
第八章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2193.html
第九章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2257.html
第十章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-2632.html

いおり♪11/27 22:16:222181cfMPID9/JPYO2||627
第十一章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-3154.html
第十ニ章〜http://chibifantasy.com/bbs/t12-3291.html
                          です。
感想、意見、印象などがありましたら書いてくださいね。

いおり♪11/27 22:17:412181cfMPID9/JPYO2||562
「う・・・ううん・・・」
一穂は目を覚ました。部屋の外が騒々しかったからだ。
「村長!?早く避難しないと・・・」
「何を言っておる!ルシファー君が頑張っておるのにおちおち逃げておられるか!」
「しかし・・・」
「少し黙っておれ!いいか、この家には一穂ちゃんが寝ておる。彼女が起きてきたらどうする?彼女がルシファー君の事を聞いたらどうする?彼女には彼の事は内緒にしておくんじゃ」
部屋の外から大声がこだましていた。
―ルシファーって一体誰の事だろう・・・―
一穂は眠い目をこすりながら、部屋のドアを開けた。
「あ・・・」
一穂が部屋の外に出ると村の青年と村長が一穂の方を見た。

いおり♪11/27 22:18:22181cfMPID9/JPYO2||200
「うん・・・色々あって、ここに寝かせてもらってた・・・」
一穂はそんな青年の態度を不思議に思いながらも質問に答えた。
「そ、そう・・・」
青年は笑顔を取り繕っているようだ。一穂にはそれが見てとれた。
「それより、何があったの?」
一穂は心配そうな顔で聞いてきた。
「何にも無いよ!な〜にも危ない事は・・・」
「何か危ない事があったんだね?」
一穂は青年に聞き返した。
「あ・・・」
青年は絶句してしまった。隣では村長が青年に「バカモンッ」と言う顔を向けている。
「ねぇ、それよりお師匠様は?」
一穂は村長の方に顔を向けて聞いた。

いおり♪11/27 22:18:172181cfMPID9/JPYO2||94
「彼はその・・・」
「その危ない事になんかに関係してないよね?」
一穂は村長の顔を真っ直ぐ見据えながら聞いた。
「一穂ちゃん・・・良く聞くんじゃ」
村長のその態度を見て一穂は確信したようだ。彼が危ない目に遭っていると・・・・
「大怪我してるのに!?」
「か、一穂ちゃん落ち着いて!!」
青年が一穂をなだめようとするが、一穂は余計に取り乱すだけだった。
「どうして!?どうしてお師匠様ばかり危ない目に遭うの!?」
                     バンッ!
一穂は玄関のドアを慌しく開けて、家の外に出て行ってしまった。

いおり♪11/27 22:18:522181cfMPID9/JPYO2||104
「一穂ちゃん!?」
村長は慌てて一穂の後を追いかけようとするが、すでに一穂の姿は見えなくなっていた。
―どうして・・・―
一穂が家の外に出ると、村の皆が一斉に逃げていた。一穂は自分の師匠が何処にいるのかすぐに分かった。村の西に明らかに異様な物があったからだ。
「なにあれ・・・森なの?」
いつもは広い平原が広がっている場所に見た事も無い不気味な森が出現している・・・一穂の脳裏に次々に町を襲っている死神の森のことがよぎる。
―あそこにお師匠様が・・・!!―

いおり♪11/27 22:19:262181cfMPID9/JPYO2||629
「お師匠様ー!!」
一穂は森に向かって走った。一穂が森に近づいてくると、地震があった後かの様に地面があちこち盛り上がり、森の木々がたくさん倒れているのが見えてきた。地面はある一点から力が加わった様な形になっている。その中心に一穂が見覚えのあるローブが横たわっているのが見えた。
「お師匠様!?」
一穂が駆け寄るとルシファーが仰向けになっていた。肩の傷が前以上に酷くなっている。
「お師匠様・・・こんなに無理をして・・・」
「か・・・ず・・・ほ・・・・・さん、離れて・・・」
「え?」
一穂がルシファーの言葉の意味を捉えるより前にルシファーが起き上がる。

いおり♪11/27 22:19:512181cfMPID9/JPYO2||841
「ちょ、ちょっとお師匠様!?そんな傷で動いちゃ・・・」
『ホーリーアロー!!』
ルシファーが一穂の方に向けて光の矢を放った。
「きゃあ!?」
一穂は思わず身を伏せた。
                     バシッ!
『カ・・カカカ・・・』
一穂の背後に何かが当たる音と、奇妙な鳴き声のようなものが聞こえた。
「え?」
一穂が後ろを振り返ると、どくろの幽霊の様な生き物がばらばらになっていた。
「一穂さん・・・こんな所にいちゃいけません・・・」
「お師匠様!私を助けるために・・また無茶をして・・・」

いおり♪11/27 22:20:312181cfMPID9/JPYO2||519
ルシファーは一穂の声を聞いているのか聞いていないのか、体がふらふらになりながらもゆっくり立ち上がり、森の方へと歩き始めた。
「貴方は・・・早くここを離れてください」
ルシファーは森を真っ直ぐ見据え、一穂の顔を見ようともせず、言った。
「でも・・・」
「早く!!」
ルシファーが怒鳴った。一穂はびぐっとたじろいでしばらく動かなかった。こんな師匠の姿をみるのはこれが初めてだった。一穂はルシファーの剣幕に負けそうになったが、ルシファーの目の前に立ちはだかった。
「一穂さん・・・」

いおり♪11/27 22:21:52181cfMPID9/JPYO2||441
「駄目です!すでに酷い傷を負っているのにそれ以上動いたら本当に死んでしまいます!」
一穂の目は本物だった。どうあっても、師匠を森には行かせないつまりらしい。
「・・・私は死んでも構わない」
「!?」
ルシファーの言葉に一穂は驚いた。何故、彼はこれほどまでに必死になるのだろうか。例え、村が壊滅状態に陥ったとしても、村人が皆避難する事ができれば死傷者は出る事は無い。死神の森のターゲットは悪魔で村なのだから・・・
そして、今頃は彼が死神を食い止めているおかげで、村人も避難しきれたはずだ。なのに・・・なぜ・・・?

いおり♪11/27 22:21:322181cfMPID9/JPYO2||663
「村がこんな事になってしまったのも全て私のせいなんです・・・」
ルシファーは自分の前に立ちはだかる少女になおも語り続ける。
「恐らく・・・一穂さんをあんな目にあわせてしまったのも・・・全て・・・」
「お師匠様・・・」
一穂はそれ以上何もいえなかった。一穂は彼の事を全く知らなかったからだ。
「一穂さん・・・私は・・・実は・・・」
『あーはっはっはっはっ!!』
ルシファーが何か言いかけたその時、またしても邪魔が入った。大きな高笑いと共に先ほどの死神より一回り大きなリーダー格の死神が現れたのだ。

いおり♪11/27 22:22:292181cfMPID9/JPYO2||315
『なんだなんだ、貴様が来ていると手下達に聞いたからやって来たものの、すでに傷を負っているとはな・・・貴様ともあろう物が一体どいつにやられたんだ?』
「ぐっ」
一穂は思わずうめき声をもらす。ルシファーを傷つけたのは一穂自身、その事がずっと一穂の心に引っかかっているのだ。
『もう、ふらふらじゃないか・・・今の貴様だったらこのわしの出る幕ではないなぁ』
リーダーの死神の周りにはすでに何百もの手下達が集まっていた。一度に攻められたら一溜まりもないだろう。

いおり♪11/27 22:22:582181cfMPID9/JPYO2||6
『さあ、あいつらを殺せ!手負いの魔術師なんざ怖くねぇ!!』
リーダーの命令と共に手下達が一斉に襲い掛かってくる。もはや、一穂たちにはどうする事もできなかった。
「一穂さん・・・私の後ろに隠れていなさい・・・」
ルシファーは一穂をかばうように一穂の一歩前に出た。
「お師匠様!?」
「大丈夫です。貴方を死なせはしません・・・」
―・・・私のせいだ・・・私がお師匠様に傷を負わせたから、こんな大変な事に・・・誰か力を貸して・・・誰かお師匠様を守る力を―
一穂は心の中で祈り続けた。いるはずも無い神に・・・

いおり♪11/27 22:23:202181cfMPID9/JPYO2||288

                   力が欲しいか・・・

「え?」
一穂は誰かが自分の思いに答えた様に聞こえた。
「気のせい・・・?」
あまりにも動転して幻聴でも聞こえたのだろうか・・・現にルシファーには聞こえていないようだ。今にも死神達の総攻撃を喰らおうをしている。しかし、それにしては、はっきりすぎている声だった。

              力が欲しいなら俺の力を貸してやろう・・・

一穂の頭に再び声が響く。しかし、その声は神の声ではなかった。むしろ・・・その逆だ。
「だ、誰なの!?」

いおり♪11/27 22:23:582181cfMPID9/JPYO2||135

            俺を信じろ・・・そうすれば貴様に力が与えられる・・・

一穂にはこの声に聞き覚えがあった。もう、二度と聞きたくない声だった。だが、今はその声に従うしかない。
「私・・・信じる。貴方を・・・だから、お師匠様を守る力を!!」
                    ヒュンッ!!
一穂の声と共に風を斬る音が聞こえた。村の方から何かが飛んできた。
                     パシッ
一穂はそれをタイミング良く捕まえる。一穂が手に取ったそれは・・・一振りの大剣・・・一穂を一度操り、ルシファーに傷を作る原因となった魔剣だった。
―今はこれにかけるしかない!―

いおり♪11/27 22:24:132181cfMPID9/JPYO2||419
『あーはっはっはっ!!貴様もこれで終わりだな・・・ルシ・・・』
                     スパッ
リーダー格の死神の高笑いが急に止まった。一つの太刀音と共に死神の一匹が真っ二つになったからだ。
『なに!?』
「一穂さん!?」
リーダー格の死神とルシファーが同時に驚きの声を上げた。一穂はなおも死神達を斬り倒していく。
『ばかな!?死神も魔物の一種・・・人間ごときの剣で斬れるはずが・・・まさか!?』
リーダー格の死神に焦りの色が見えてきた。
『あの剣は・・・まさか・・・そんな、そんなはずが・・・』
―一度操れかけた剣を今度は使いこなしている・・・信じられない・・・―

いおり♪11/27 22:24:382181cfMPID9/JPYO2||546
ルシファーは魔剣を使っている一穂の姿を見て素直に関心していた。
                    スパッ!!バシッ!!
一穂は次々に死神達を倒していく。まさに修羅のごとく・・・
「ねえ!貴方の名前は!?」
一穂は自分が振るっている剣に向かって語りかけた。
『なに?』
剣もまたその問いに答えようとする。
「一緒に戦ってるんだから、自己紹介ぐらいはしとかなきゃ駄目でしょ?私の名前は一穂!」
『いいだろう・・・私の名は『延』と書いて『えん』読む・・・魔剣『延』だ。そして能力は・・・』

いおり♪11/27 22:24:542181cfMPID9/JPYO2||508
                      ズササッ!!
一穂の持っていた剣が急に伸び、死神達を一気に突き刺していく。そして、剣先は真っ直ぐリーダー格の死神へと突き進んでいく。
『!?』
リーダーの死神はなす術も無く、魔剣の餌食となった。
『カ・カカカ・・・』
                      フッ・・・
主がいなくなった森は完全に姿を消していく。後に残ったのは大きな平原だけだった。
「へぇ、凄いー!!」
一穂は素直に感嘆をもらした。しかし、剣はもう答えなかった。
「・・・?疲れちゃったのかな?」
「一穂さん・・・」
ルシファーは真剣な面差しで一穂を見ている。

いおり♪11/27 22:25:202181cfMPID9/JPYO2||544
「お師匠様!?大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・私は大丈夫です。ですが、その剣は封印しなければ・・・」
「大丈夫です!」
「へ?」
ルシファーは面食らったような顔をした。一穂の言った意味が良く分からなかった様だ。
「この剣が言ってたんです。『俺を信じれば力を貸す』って・・・だから、信じてみましょうよ・・・」
「し、しかし・・・貴方はその剣に操られかけて・・・」
「多分、魔剣さんも反省して良い子になったんですよ!だから大丈夫ですって!」

いおり♪11/27 22:25:412181cfMPID9/JPYO2||104
「そ・・・そうですか・・・」
ルシファーは一気に力が抜けた様だ。確かに引っかかる事がたくさんあるが、あの魔剣が一穂と同調して戦っていたのは事実・・・それに、今のルシファーに封印する力はとうてい残っていなかった。
「なんにしても、貴方が無事でよかっ・・・た・・・」
                    バタッ!!
ルシファーはそのまま倒れてしまった。
「お師匠様!?」
一穂は師匠の下に駆け寄る。どうやら、眠ってしまっただけのようだ。
「お師匠様ったら・・・」
一穂はにっこりと微笑んだ。
「一穂ちゃん!!」
その時、ちょうど村の方から一穂を呼ぶ声が聞こえてきた。

いおり♪11/27 22:26:172181cfMPID9/JPYO2||29
「村長さん!?」
一穂はびっくりしてそっちの方を向いた。村長が重そうな武装をしてこっちにやってきたのだ。となりでは、村の青年が村長に向かって必死に何か言っている。
「村長!?いくら何でも無茶です!早く避難しましょう!」
「何を言っておる!一穂ちゃんも危ない目に遭ってると言うのにおちおち逃げておられるか!・・・もう大丈夫じゃよ、一穂ちゃん。わしが来たからには死神など・・・ありゃりゃ??」
村長の目に、さっきまで大きな森があったはずの所に、何事も無かったかの様に広い平原がただ、たたずんでいるのが映った。
「村長さん、死神達は皆倒しちゃいましたよ」
一穂は笑いながら言った。

いおり♪11/27 22:26:382181cfMPID9/JPYO2||866
「な、なんじゃと!?そ、それに・・・その剣は・・・」
村長は一穂の手に持っている剣に気づいた。
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
「ど、どうしたんですか!?村長!」
村長が急に叫び声を上げるので村の青年がびっくりして聞いた。
「は、早く逃げるんじゃ!い、今の一穂ちゃんは一穂ちゃんでは無い!」
「は、はぁ?何を言ってるんですか?もしかして、ボケました?」
「違うんじゃ!と、とにかく早く・・・」
「く・・くくく・・・・」
一穂は村長の慌てぶりを見て笑いがこらえなくなった。
「へ?」
村長は間抜けな顔で恐る恐る一穂の目を見る。
「大丈夫ですよ。村長さん。もう操られたりしません」

いおり♪11/27 22:26:512181cfMPID9/JPYO2||357
「ほ、本当じゃろうな・・・?」
「ええ、大丈夫です。ねぇ、お師匠さ・・・あっ!」
一穂はルシファーが眠っている事にすっかり忘れていたようだ。
「大変!!早くお師匠様を村の方へ!」
「あ、ああ・・・ほれ!お前も手伝わんかい!」
村長は村の青年に向かって一喝する。
「は、はい!」
なんやかんやで、一穂達が村に戻ってきた時は村の皆から拍手かっさいが起こった。ルシファーの傷もしばらく休めば完治するらしい。ただ、傷跡は残ってしまうらしいが・・・そして、翌日・・・

いおり♪11/27 22:27:142181cfMPID9/JPYO2||85

「お師匠様、傷の具合はどうですか?」
「ええ、貴方のおかげで大分良くなってきましたよ」
ルシファーは一穂に向かってにっこりと微笑んだ。
「そんな、私はただ・・・せめてこれくらいはしないと・・・申し訳が・・・」
「・・・気にする事は無いといったでしょう?」
「はい!だからもう気にしません!」
                     ズルッ・・・
ルシファーは思わずこけそうになる。
「そ、そうですか・・・うむ、それでよろしい」
ルシファーは一穂の顔をジーっと眺めた。
「ど、どうしたんですか?お師匠様?」
「一穂さん、本格的に魔術を習ってみる気はありませんか?」

いおり♪11/27 22:27:332181cfMPID9/JPYO2||384
「え、それって・・・」
一穂の顔に喜びの笑顔が現れ始めた。
「ええ、貴方を正式に弟子にします」
「では、これからは私のお師匠様になるんですね!?」
「ええ、貴方は最初から師匠のつもりでしょうが・・・」
「ありがとうございます!」
一穂は村中を駆けずり回って喜んだ。「魔術を教えてもらえる」っと叫びながら・・・村人達はそれを微笑ましく眺めいている。
「それにしてものう、ルシファー君」
ふいに、ルシファーの後ろから村長が現れた。
「あ、村長いたんですか」
「いたんですかっとは失礼な・・・しかし、一穂ちゃんはたいしたものじゃ・・・魔剣に操られかけたばかりだと言うのに、あれほどの元気な姿に戻るとはな」

いおり♪11/27 22:27:472181cfMPID9/JPYO2||376
「ええ・・・それが彼女の強さなのでしょう」
ルシファーと村長はしばらく一穂が村を駆けずり回っているのを眺めていたが、急に村長が口を開く。
「もう50年になるんじゃのう・・・」
「何がです?」
「君がこの村に来てからじゃよ」
村長は昔を思い出すかの様に語り始めた。
「もう、そんなになるんですね」
「不思議なものじゃ・・・わしと君が最初に出会った時は同じぐらいの年だったのに、わしが老いぼれになっても君はちっとも年をとらん」
「・・・・」
「最初はてっきり魔術の力かとも思ったが・・・もしかしたら、君は・・・」
村長はルシファーの顔を見た。何もかも見透かしたかの様な目で・・・

いおり♪11/27 22:28:22181cfMPID9/JPYO2||413
「なんですか?」
「いや、なんでもないんじゃ・・・一穂ちゃんをしっかり鍛えてやるんじゃよ」
「ええ・・・分かっています」
魔術アカデミーに入っている者以外は魔術師に師匠として付いてもらい、共に旅をしていくのが魔術士としての普通だ。それは一穂とルシファーも例外ではないだろう。村長も村の人達もそれはなんとなく感じ取っていた。
―一穂たちがこの村からいなくなる事を―

いおり♪11/27 22:28:152181cfMPID9/JPYO2||598

「一穂ちゃん、ハンカチは持ったかい?」
村長が心配そうに聞いてきた。
「うん!」
「ティッシュは?お弁当も持っていかないと後でお腹とかも空いてしまうぞい・・・あと・・・」
「なんだありゃ?」
「心配してるんだろ。なんだかんだ言って、この村で一番一穂ちゃんを可愛がってたのは村長だからな」
「なるほど・・・ねぇ〜」
一穂にあれこれと言っている村長を見て村人達が次々とひそひそ話しをしている。
「大丈夫だよ!お師匠様と一緒だし、私しっかり者だから」
一穂は自信満々に言った。

いおり♪11/27 22:28:282181cfMPID9/JPYO2||610
「そうか・・・あの小さかった一穂ちゃんがこれほどまでに成長するとは・・・わしは・・わしは・・・」
「村長、自分の子じゃないんだから、泣かないで下さい。みっともない」
「うるさい!わかっとるわ」
村長はハンカチで目頭押さえながら怒鳴った。
「それ・・・私のハンカチ・・・」
一穂が何か訴える様な目で村長を見た。
「ああ、すまぬすまぬ」
村長はそのまま一穂にハンカチを返した。
「う・・・」
一穂は嫌そうな顔をしたが素直にハンカチを受け取る。
「それでは、一穂ちゃんをよろしく頼む」
村長はルシファーの方に向き直って言った。
「ええ、皆さんお世話になりました。それでは・・・」

いおり♪11/27 22:28:512181cfMPID9/JPYO2||448
「皆、ばいばい!またね〜」
一穂はルシファーと共に村の門をくぐっていった。
「もう、あの元気な声も聞けなくなるんだねぇ」
「ああ、村の元気の象徴みたいなものだったからな」
村の人々はそれぞれに見習い魔術士の旅立ちを見送っていった。
「一穂ちゃんは本当に大丈夫でしょうかね?村長」
村の青年が村長に聞いてきた。

いおり♪11/27 22:29:52181cfMPID9/JPYO2||231
「大丈夫じゃよ。何よりもルシファー君が付いておるのだから」
―そう、あの時・・・魔剣に操られていた一穂ちゃんがわしを殺そうとした時に言っていた言葉―

『それに・・・今、貴方がそんな事をすれば・・辛い思いをする人がいるんですよ』

―あれは、一穂ちゃんの事をさしていたのじゃろう?ルシファー君―
しっかり頑張ってきなさい・・・

いおり♪11/27 22:35:222181cfMPID9/JPYO2||276
すみません。ミスがありました。本文の最初のレスと二回目のレスの間に

「や、やぁ一穂ちゃん・・・こんな所で何してるんだい?」
青年はなるべく冷静をつくろって一穂に話しかけた。

っと言うのが入ります。これが無いので、話しの文脈がおかしくなってしまいました。ごめんなさい。
さて、この話しもようやく、十三章ですが、いつになったら終わるんでしょうか?(笑)
お師匠様の正体もいつになったら明かされることやら・・・(汗

スタイナー11/28 20:21:162029cfK0d7QT/CEUI||307
オ、面白すぎる

弥月11/29 17:19:342194cfHbfHKdEaBLw||318
(*´・ω・)ノ。:+* ゚コンバンヮ゚ *+:。
今回も楽しく読ませていただきました^^
これで回想編、終わりかな?

村長、キャラが良いですねw笑えますw

これからも頑張ってください(*・ω・*)ノシ

いおり♪12/2 14:26:262181cfMPID9/JPYO2||99
スタイナー様>ありがとぉございます!!僕の小説を面白い面白いだなんて・・・とっても嬉しいです

弥月様>毎回読んでくださって、ありがとぉございます。これで、長い回想シーンも終わりです。
さぁ、次の回はどうなることやら・・・(汗


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