3617 | 待っているから、早く受け止めて。 | 亜瑠華 | 11/28 19:45:45 | 2202cfqsO1maAX1vQ |
このお話は、諒と里緒が結婚する前の話です。なんとなく書きたくなったんで。 戒め→DREAM=REAL→待っているから、早く受け止めて。→青い空と休日 |
亜瑠華 | 11/28 19:46:13 | 2202cfqsO1maAX1vQ||685 | ||
「涼は本当は従兄よ。」 待ち望んでいた言葉を告げられて。 歓喜で涙が溢れてる。 あの人を愛してもいいのだと、全てから許しをもらって。 待ち望んでいた未来、のハズなのに・・・・。 |
亜瑠華 | 11/28 19:47:39 | 2202cfqsO1maAX1vQ||964 | ||
「涼兄。調子どう?」 コンコン、と開けっぱなしのドアを軽くノックしながら入る。 「ああ、今日やっと歩行の許可が出たよ。」 微笑みながら私をみる。 諒兄は、ヤクザにからまれて、二三日前は生死の境を彷徨っていた。 私は泣くほど心配したけど。 |
亜瑠華 | 11/28 19:49:4 | 2202cfqsO1maAX1vQ||34 | ||
諒兄は目覚めるとすぐに笑顔を向けてくれた。 そんな諒兄が、私は大好き。 あれから考えると、早い回復と言えるんだろう。 「ほんと?良かったね。」 ベットサイドに近寄って、椅子に腰掛ける。 涼兄は、ベットの柵にもたれるように座って、私をみる。 |
亜瑠華 | 11/28 19:49:43 | 2202cfqsO1maAX1vQ||332 | ||
「毎日里緒が見舞いに来てくれるおかげ、かな。」 さらりと髪をゆらす。 「なに、言ってんの・・・よ・・。」 視線が優しくて。 涼兄の顔を見なくたって私をみて、柔らかく微笑んでいるのがわかる。 わかって、私はなんだかいたたまれない気持ちになる。 |
亜瑠華 | 11/28 19:50:19 | 2202cfqsO1maAX1vQ||387 | ||
「里緒・・?」 椅子に腰掛けて、俯いたままじっと動かない私を、涼兄はいぶかしむ。 「シーツになんかついてるのか?」 私の視線を辿って首を傾げる。 「な、なんにも・・。」 だって、なんだか涼兄と目をあわせられない。 |
亜瑠華 | 11/28 19:50:49 | 2202cfqsO1maAX1vQ||477 | ||
思わずぎゅっとシーツを握る私の手を、包帯のまかれた大きな手が包む。 ドキッ・・・ 「どうして俺の方を見てくれない?」 きゅっと握られた手を解きほぐすように撫でる。 うわっ、ソレはちょっと・・反則だよぅ。 「わわわ私、もう、か帰るね・・!」 |
亜瑠華 | 11/28 19:51:15 | 2202cfqsO1maAX1vQ||671 | ||
ガッターンと椅子をひっくり返す勢いで私は立ち上がり、涼兄の手から逃げる。 「り、里緒?」 突然の私の行動に涼兄の驚いた気配が伝わる。 「じゃねッ、また明日くるからっ。」 カバンを持つとビュっと身体を翻し病室を飛び出す。 「・・・・まだ、早いのか・・・?」 |
亜瑠華 | 11/28 19:52:23 | 2202cfqsO1maAX1vQ||9 | ||
背後で涼兄が溜息とともに呟いたけれど、私には聞きとれなかった。 涼兄のことは大好き。 兄としてではなく、一人の男の人としとして、きっと好き。 私は涼兄の優しい眼差しの中で生きてきた。 けれども、それが時々変化を見せるようになった。 |
亜瑠華 | 11/28 19:52:59 | 2202cfqsO1maAX1vQ||408 | ||
優しさは変わらない、けれど時々強く真直ぐに私を射抜くようにして見る。 見つめられて私は怖くなる。 受け止めきれなくて怖くなる。 涼兄がまるで知らない男の人みたいに見えて、怖く、なる。 「あ―ッ、もう!!」 ぼすっと私は枕に顔を押さえつけた。 |
亜瑠華 | 11/28 19:53:18 | 2202cfqsO1maAX1vQ||807 | ||
今日は露骨に避けちゃったよね。 涼兄が気を悪くしてたらどうしよう。 嫌われたら・・・・・。 「そんなのイヤ!!」 嫌われるのはイヤ、絶対にイヤ! そうよ、私がきっと意識し過ぎてるんだ。 |
亜瑠華 | 11/28 19:53:58 | 2202cfqsO1maAX1vQ||802 | ||
自意識過剰になってるんだわ。 気のせい、気のせいなんだから。 涼兄が怖いなんて、そんなことあるはずない! 私はそう思い込むことにした。 そうでもしないと、私は諒兄にきっと会えないもの。 |
亜瑠華 | 11/28 19:54:21 | 2202cfqsO1maAX1vQ||699 | ||
「お前、この頃なんかおかしいぞ。」 いつものように学校帰りに病院へ寄ると、涼兄が私の顔を見て開口一番そう言った。 「え?そう?」 平静を装うけれど、内心どきどきしていた。 相変わらず涼兄は鋭い。 む〜と私のことをじっと見つめる。 |
亜瑠華 | 11/28 19:54:38 | 2202cfqsO1maAX1vQ||4 | ||
「ななななに?」 慌てて視線を逸らす。 どもってしまった。 わ―ん、これじゃあ何か隠してますって言ってるようなもんだよ〜。 「・・・俺に何か隠してることがあるだろう。」 「な、なんのこと?」 |
亜瑠華 | 11/28 19:55:4 | 2202cfqsO1maAX1vQ||581 | ||
すすっと無意識に逃げようとする体。 「逃げるな。」 がしっと二の腕を捕まれた。 えーん、そんなこと言ったって〜。 「お前に逃げられると、めちゃめちゃ傷つく。」 はぁ、と溜息。 |
亜瑠華 | 11/28 19:55:31 | 2202cfqsO1maAX1vQ||173 | ||
「ご、ごめんな・・。」 「俺が怖い?」 伏せていた長い睫を、ふとあげて、私を真直ぐにみる。 優しい中に深い光がある。 見ていると吸い込まれそうになるほどの。 前から一緒にいたのに、こんなのは初めて見る・・・・。 |
亜瑠華 | 11/28 19:55:55 | 2202cfqsO1maAX1vQ||557 | ||
ううん、時々感じてた。 背中に。 振り向くと涼兄はいつも瞬きで隠してしまっていたけれど。 だから私は優しい瞳しか知らなかったのかもしれない。 強く強く私を捕らえて離さない光。 一直線に私の中に入り込んで心を掴み取る。 |
亜瑠華 | 11/28 19:56:22 | 2202cfqsO1maAX1vQ||735 | ||
怖い。 私が私じゃなくなりそうで、怖い。 何もかもどうでもよくなって、涼兄しか見えなくなりそうで、怖い。 怖いのに、逸らせない。離せない。 長くて、少し冷たい指先が、頬のラインを確かめるように滑り落ちて、顎先で止まって。 |
亜瑠華 | 11/28 19:56:43 | 2202cfqsO1maAX1vQ||510 | ||
くいっと引き寄せられて。 強い光を宿した瞳がゆっくりと伏せられていくのを見ながら、私の瞼も意識とは関係なく落ちていくのを感じた。 風が、唇に触れる。 そして、以前感じたことのある、けれども初めて触れる感触に。 私は―――――酔った・・・・。 |
亜瑠華 | 11/28 19:57:2 | 2202cfqsO1maAX1vQ||347 | ||
「俺が、怖い?」 唇を少しだけ離して、涼兄は同じ言葉を繰り返す。 すっごい間近に覗きこまれて、私は恥ずかしさでいっぱいなのに。 涼兄は私の頬を両手で挟んだまま離してはくれない。 「答えてくれ。怖い・・・?」 真剣な表情。 |
亜瑠華 | 11/28 19:57:22 | 2202cfqsO1maAX1vQ||404 | ||
不安に揺れる声。 私は、素直に頷いた。 「なんか違う人みたいで、少し・・・怖い。」 「違う人、か・・・。」 ふむ、と頷く。 「当り前だろ。俺はもう、お前の『涼兄』じゃないんだから。」 |
亜瑠華 | 11/28 19:57:42 | 2202cfqsO1maAX1vQ||317 | ||
「え?!」 意外な言葉に私は思わず聞き返す。 「涼兄じゃないって・・・?」 「兄じゃないだろ?俺はお前を愛する一人の男なんだから。」 ちゅ、と軽いキス。 「もう兄のように優しく見守ってなんかやらない。俺は全身全霊をかけてお前を守るから。」 |
亜瑠華 | 11/28 19:58:7 | 2202cfqsO1maAX1vQ||532 | ||
そうだろう?と言うように涼兄は微笑む。 私は、なんだか感動してしまった。 そうまで言ってしまえる涼兄に。 そんなにも想ってくれるその心に。 「だから、早く慣れてくれると嬉しいのだけど。」 悪戯っぽく微笑んだ。 |
亜瑠華 | 11/28 19:58:29 | 2202cfqsO1maAX1vQ||325 | ||
どうしたって、里緒を見つめる視線が熱くなるのを止められない。 抑えつづけていた心を解放しても、それを受け止めてくれる相手がいるのだから。 けれど今はもう少しだけ抑えようと思う。 怖がって逃げられてしまわないように。 少しずつ少しずつ。 時間はまだ動き出したばかり。 |
亜瑠華 | 11/28 19:59:8 | 2202cfqsO1maAX1vQ||472 | ||
いつまでもまっているから。 だから早く受け止めて。 |
亜瑠華 | 11/28 20:1:5 | 2202cfqsO1maAX1vQ||686 | ||
完成しました。 自分でもよく分からないのですが・・・。でも、こういうことってありませんか?ずっと側にいた人が、急に見慣れない顔真剣な顔をしたりしたら、怖くなっちゃいますよね・・・。 |
亜瑠華 | 11/29 18:42:24 | 2202cfqsO1maAX1vQ||671 | ||
そういう感じのお話です。 |
亜瑠華 | 11/30 17:56:11 | 2202cfvnGEEDyMld6||607 | ||
感想などお待ちしております。 |
あいりん♪ | 12/11 22:8:36 | 6121cfa1tl/UZVmpU||209 | ||
あなた天才ですね。 本でもだしたらどうですか? |
りょうきち | 12/20 20:34:49 | 2203cfYw1zKopXByY||389 | ||
すごいね〜この作品! 何かすごいです! |
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