3737 | Report | 亜瑠華 | 12/14 19:32:25 | 2228cfmIhN3en6DLc |
前回同様、草薙 忍& 鈴原 由紀のお話です。 |
亜瑠華 | 12/14 19:33:8 | 2228cfmIhN3en6DLc||431 | ||
「先輩?」 部室のドアをノックしても、何の返事もなくて、私はそおっとドアを開けた。 鍵がかかっていないというところを見ると、先輩はちゃんと部室にいるはず。 こっそり覗くと、窓辺に先輩がいた。 冬にむかって、ずいぶんの日差しが弱くなっていて。 その陽だまりの中、椅子に腰掛け窓辺に肘を付いて、頬を支えるようにして・・・・ 「寝てる・・・?」 音を立てないように傍に近づくと眼鏡を机の上に置いたまま、ガラスのない顔で目を閉じていた。 「先輩?」 |
亜瑠華 | 12/14 19:33:47 | 2228cfmIhN3en6DLc||974 | ||
私はもう一度呼びかける。 それは眠りを起こす為じゃなくって、寝てる事を確認する為の。 けれど、先輩の瞳は開くことはなかった。 私はそおっと、そおっと細心の注意を払って、先輩の傍に椅子を一つ持ってくる。 先輩の顔が良く見える位置で、尚且つ同じ陽だまりの中で。 かすかに開いた窓からかずが吹き込み白いカーテンを揺らす。 冷たい、と思うよりは手前の温かさで。 私は杖の上に両手を置いて、そこに頬を寄せ。 そして、先輩を見上げるように姿勢を決める。 柔らかく吹き込んだ風が先輩の髪をさらさらと揺らしながら通り過ぎていく。 |
亜瑠華 | 12/14 19:34:33 | 2228cfmIhN3en6DLc||733 | ||
光に透かすとその髪は、少しだけ深緑がかって見える。 木々の色ではなく深海の緑。 それは本当に光の加減で、その色に見える瞬間が私は一番好きだ。 少し長めの前髪はいつもは眼鏡にかかっているけれど、その眼鏡も今はなくって。 鋭く、時として冷たくも見える瞳はいまは閉じられている。 たったそれだけなのにすごく雰囲気が違う。 なんていうか、すごく優しい感じ。 だからといって普段が冷たいって言うわけでもない。 本当は面倒見がよくって、親切丁寧。 それはなかなか解り辛いのかもしれないけれど。 くすっと笑いが零れてしまう。 |
亜瑠華 | 12/14 19:36:10 | 2228cfmIhN3en6DLc||164 | ||
『クールボーイ』とか、言われてるけれど、先輩は『熱い男の人』だと思う。 これと決めたことはや絶対にやり抜こうとする精神力と行動力。 なんて言うか、生き抜こうとする力が強いって言うか・・・? 今はほんの暫しの休息って感じで、頬杖を付いているけれども、その背筋はピンっと伸びている。 「・・・きれ―。」 思わず呟きが零れた。 陽だまりの中、一枚の絵がそこにある。 先輩もあの人みたいに自画像画いて貰ったらいいのに、なんて思ってしまった。 けれどもこれは二次元ではなく三次元で。 触れればちゃんと温かくって。 |
亜瑠華 | 12/14 19:36:25 | 2228cfmIhN3en6DLc||458 | ||
なんだかほっとする。 ほっとして目を閉じる。 この穏やかな空気を感じていたい、包まれていたい。 このまま、ずっと―――・・・・・ |
亜瑠華 | 12/14 19:37:33 | 2228cfmIhN3en6DLc||761 | ||
「・・・眠っているのか?」 遠くの方で声がする。 小さな静かな気づかう声で。 そっと頬から髪をかきあげて、頬に風が当たる。 「もう下校時刻だ。起きないか。」 耳元で囁くような息遣い。 起きろ、と言う割には何故か睡眠を促すような甘い囁き方。 私の意識はゆらゆらと夢と現の狭間を漂う。 ゆらゆら、ゆらゆら・・・・ 「起きないというのなら・・・・今度の部会のテーマを実行するぞ?」 |
亜瑠華 | 12/14 19:38:8 | 2228cfmIhN3en6DLc||761 | ||
部会のテーマ?何だっけ? 現実味の強い言葉に私の意識は夢よりも現へと傾く。 ああそうだ。確か・・・今回のテーマは「御伽噺や童話の信憑性について」だったかな。 御伽噺や童話の中には、歴史的な逸話や、それぞれの地方に伝わる迷信、親が子供に言い聞かせる為のシツケなんかも含まれていて。 それがどこまで信憑性が強いのかを自分なりに一つ御伽噺をあげてレポートする、と言ったものだった。 そのための資料を取りに私は部室へ来たんだっけ。 ああ、そうだ思い出した。早く目覚めなきゃ。 |
亜瑠華 | 12/14 19:38:38 | 2228cfmIhN3en6DLc||57 | ||
そうは思うのだけれども瞼が一向に開いてくれない。 困ったな、ってそう思っていたら。 ふわりと頬にくすぐったい感触がして。 唇に触れる温かくて柔らかい・・・・ 軽く触れて少しだけ離れてまた戻ってくる。 これは・・・これって・・・・・ ぱち、っとスイッチが入ってみたいに勢いよく瞼を持ち上げる。 さっきまでの重さが嘘のように。 開けた先には眼鏡のない先輩の顔。 とても間近に目を細めて私をみている。 |
亜瑠華 | 12/14 19:39:46 | 2228cfmIhN3en6DLc||413 | ||
「童話も、まんざら嘘ばかりではないらしい。」 呟いて、眼鏡をかけると私から離れて行く。 「もう下校時刻は過ぎた。帰るとしよう。」 ぼーっとする私の前で先輩はてきぱきと下校支度を整えていく。 私はその姿を見ながら次第に頭がはっきりしてきた。 指でそっと唇に触れて、そして一気に赤くなる。 いま、いま、先輩私にキス、したよね!? 童話!?王子さまの目覚めのキスって事!? 「早くしないか。鍵をかけるぞ。」 |
亜瑠華 | 12/14 19:40:18 | 2228cfmIhN3en6DLc||243 | ||
「は、はいぃっっ」 私は慌ててカバンを取ると部屋を出た。 「先輩、今度の部会のレポート。先輩のテーマはなんですか?」 送ってくれている先輩の横に並んで、私は思い切って聞いてみた。 ちらりと私をみると、その目の縁を赤く染める。 「まだはっきりとは決めていなかったが・・・先ほど面白いテーマを見つけた。」 |
亜瑠華 | 12/14 19:40:51 | 2228cfmIhN3en6DLc||528 | ||
「なんですか?」 「・・・王子のキスで姫君は目覚めるのか・・・。」 小さな小さな声で先輩は呟いたけれども、私にはちゃんと聞こえてしまった。 「先輩、それ私との共同テーマにしませんか?」 私の提案に先輩は・・・・・ 今度の部会では今までとは違った先輩の評価が生まれるかもしれない。 |
亜瑠華 | 12/14 19:41:22 | 2228cfmIhN3en6DLc||582 | ||
完成です。なんだかよく分からない微妙な話になってしまいましたが・・・。すみません。 感想などいただければ嬉しいです。 |
ベリ子 | 12/14 20:1:2 | 2031cfmsEA.FDLOL6||534 | ||
こんにちはぁ〜^^ 偶然見たらUPしていたのでwもぉ〜キュンって私の心もくすぐったくなりますわぁ〜ww なんか先輩の素もちょっとずつ出てきてこれからが楽しみです! これからも頑張って下さいね〜 |
亜瑠華 | 12/14 20:8:48 | 2228cfmIhN3en6DLc||25 | ||
ベリ子さん、感想ありがとうございます。 そのような感想をいただけると、ちょっぴり自信がもてます。 それから、青箱大どうもありがとうございます。私も贈りたいのですが、私のlvでは危ういので・・・。 |
ベリ子 | 12/14 21:22:43 | 2031cfmsEA.FDLOL6||463 | ||
いえいえ^^かなり自信をもって頑張って下さい! あれは鑑賞料としてもらっていてください〜 |
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