3760 | BLACKANGEL | バスケ | 12/17 22:15:28 | 2219cfh.h9QyMJDQc |
バスケ | 12/17 22:16:27 | 2219cfh.h9QyMJDQc||876 | ||
闇に混じる黒衣は、罪の印。 |
バスケ | 12/17 22:16:35 | 2219cfh.h9QyMJDQc||587 | ||
黒き翼は、償いの証。 |
バスケ | 12/17 22:17:37 | 2219cfh.h9QyMJDQc||455 | ||
その姿は、堕天使の象徴。 |
バスケ | 12/17 22:17:41 | 2219cfh.h9QyMJDQc||674 | ||
−−我は、漆黒の天使。 |
バスケ | 12/17 22:21:15 | 2219cfh.h9QyMJDQc||455 | ||
Prologu 夜の街とは不思議なもので、地上は光が溢れているのに 、空中はそれにくらべて闇が溢れている。 その対照的な違いに、人が気づく事がそうあることではないのだろう。 |
バスケ | 12/17 22:21:33 | 2219cfh.h9QyMJDQc||874 | ||
夜闇を縫うように翼をはためかせる其れは、そうそう人間の目 には付かない。 ・・・否、人はそれに気付こうとしない。 いつだって地を見て歩く。俯き、溜息をつく。それに特に意味 も無いのだろうが、ヤケに目に付く。 空を見上げるのは、嫌になるくらい透き通った蒼が広がる時。 誰しもが“空”といえば、痛いくらいの蒼を想像するであろう 。無論、“空”とはそれだけの存在ではない。 |
バスケ | 12/17 22:21:46 | 2219cfh.h9QyMJDQc||336 | ||
光溢るる夜の街では、なかなか気付けないものがある。 満点の星空、とはまるで空想の世界。都心でその“空”を見た ことがある者は、ほとんどいないだろう。 「・・・まぁ、そっちのほうが好都合だがな」 そのほうが、空に紛れていられる。 身に纏う装束は、闇に染まっている。 その背ではためく翼は、果てのないほど深い黒。 夜空を舞うソレは、漆黒の羽根を幾つか降らせながら、街の空 を縫っていった。 |
バスケ | 12/17 22:21:57 | 2219cfh.h9QyMJDQc||371 | ||
「――何だ、コレ」 その声は、少年のもの。 深夜と呼ばれる時間、その少年は寝巻きのまま、手に持つもの を不思議そうに眺める。 「・・・・・・黒い・・・羽根・・・?」 |
バスケ | 12/17 22:22:7 | 2219cfh.h9QyMJDQc||163 | ||
いつの間にか寒々しさを孕んだ空を、星がひとつ、ふたつと輝 いている。 少年が呟いた刹那、ザァ・・・という葉の擦れる音と共に、冷 たい風が通り過ぎた。 |
バスケ | 12/17 22:22:19 | 2219cfh.h9QyMJDQc||980 | ||
Episode 1 |
バスケ | 12/17 22:22:32 | 2219cfh.h9QyMJDQc||549 | ||
人々は、足早に街を交差する。 忙しい月曜の朝。8時を過ぎると、人の行き交いが更に増す。 多いのはやはり会社員等の社会人、そして学生。 そうしてまた、一週間の喧騒が始まるのだ。 空は青く、いかにも秋晴れと言わんばかりの清々しい風が身を 包む。 時折強く吹く風に、身を竦める者もいる。そんな、朝。 |
バスケ | 12/17 22:22:50 | 2219cfh.h9QyMJDQc||319 | ||
「だーかーらー!」 朝の喧騒に紛れて、制服を着た少年の声が響く。 少年の名は、浅賀光流。あさか みつる、と読む。 街中からは少し外れた通りの道を歩きながら、光流は多少不機 嫌そうに言う。 「天使だとかそういうのはいない、っつってんだろーが!」 「わかんねーじゃん」 その隣を歩く彼は、麻野慎也。あさの しんや、という。因み に、出席番号だと光流の後ろである。 「ったく光流、お前夢ってもんがねーよ、夢ってもんが!」 「はぁ?」 拳を握り出した慎也に、光流は呆れた様子で返す。 「だから、いないもんはいないって・・・」 |
バスケ | 12/17 22:23:6 | 2219cfh.h9QyMJDQc||83 | ||
「馬鹿言え!」 言うと同時に慎也はぐっと拳を握り、いきなり感動し出した様 子で語りだす。 「世の中にはな、天使だとか妖精はいるんだ・・・!!」 「・・・・・・ドリーマー・・・」 「何だと!?」 「いや、何でもねぇ」 これ以上言うと掴みかかってきそうな慎也に、光流は目を合わ せないようにしながら返す。 こいつは昔からこうだと、光流は自分に言い聞かせる。 その間にも、慎也はひとりで語りながら、ずかずかと前を歩い ていった。 (・・・ったく・・・誰が天使だか妖精だか考えたんだ・・・ ・・・) |
バスケ | 12/17 22:23:18 | 2219cfh.h9QyMJDQc||18 | ||
後ろでひとり溜息をつきながら、光流も慎也の後を追う。 ・・・と、ふと気付いた光流は、ポケットから思い出したもの を取り出しつつ、てってと慎也へと駆け寄る。 「なぁ、慎也」 「何だ、夢のない少年。」 「・・・言っとけ。」 お互いに抑揚のない会話を返しあいながら、光流はそれを慎也 に見せる。 「コレ、昨日の夜ベランダに落ちてきたんだ。・・・何だと思 う?」 指先で弄びながらそれを見せると、相手もそれなりに興味あり げに眺める。 「羽根・・・だな。ただ、黒い」 「だろ?白ならまだしも、黒だと不吉で・・・」 |
バスケ | 12/17 22:23:33 | 2219cfh.h9QyMJDQc||37 | ||
小さく溜息をついてそう言うと、慎也はにやりとした笑みをよ こす。 「・・・光流。そういうのは信じないんじゃなかったのか?」 「何がだよ」 相手の言う意味がまるでわからず、光流が眉根を寄せると、慎 也は更に意地悪げに笑う。 「・・・この羽根の持ち主が、“黒い翼の天使”・・・だった りして」 「・・・・・・はあ?」 少しの沈黙を挟み、光流は嫌というほどに呆れた表情をする。 「お前なぁ・・・」 「冗談。信じてねぇヤツのとこに天使はこないぜ☆」 |
バスケ | 12/17 22:23:54 | 2219cfh.h9QyMJDQc||584 | ||
「・・・・・・馬鹿がここに・・・」 わざわざ親指を立ててまで言う慎也に聞こえないよう光流は呟 く。 当の慎也はその行動をまるで気にしていなかったようで、光流 に向き直る。 |
バスケ | 12/17 22:23:59 | 2219cfh.h9QyMJDQc||365 | ||
「カラスか何かじゃねぇの?」 「・・・・・・だろうな」 笑って言う慎也に、しばらく置いて光流も肯定の意を示す。 ・・・多少の疑問は、残っていたけれど。 (・・・カラスの羽ってこんなに黒かった・・・っけ) もう少し、光を跳ね返すような光沢があったと思っていたけど 。 その割には、黒い。深い黒。こういう色を“漆黒”と呼ぶのだ ろうか。 (・・・・・・まぁ、どっちでもいいけど) そう思い、その羽根をまたポケットへしまうと、通学に遅れぬ ようそのまま駆け出した。 |
バスケ | 12/17 22:25:25 | 2219cfh.h9QyMJDQc||28 | ||
冬になりかけたその季節、陽が暮れるのは予想以上に早い。 「――ただいまぁ」 家の玄関の扉を開けるなり、光流は乱雑に靴を脱ぐ。 「・・・っつっても今日は誰もいないんだったか・・・」 ぶつぶつと呟きながら、忍びなく2階の自室へと走っていく。 彼は両親と弟を含めた4人家族だったりするのだが、今日は皆 何かと用があるらしく、 朝家を出る時に「戸締りはしっかりしててね☆」などと母に言 われた覚えがある。 とは言え、夜も経てば帰ってくると言っていたので、あまり意 味がない気もするが。 (まだ6時だし適当に・・・) 過ごすか・・・、ということを考えていたのだが、部屋のドア を開いた瞬間、その思考が止まる。 |
バスケ | 12/17 22:25:39 | 2219cfh.h9QyMJDQc||932 | ||
「・・・・・・あははー」 引きつった笑みを浮かべながら、一度ドアをバタンと勢いよく 閉める。 「・・・・・・誰かいる」 おかしい。明らかに変だ。 今日は家には誰もいないはずだ。けれども、誰かが確かにいた 。 これは泥棒だろうか通報しないとああでも凶器とか持ってたら どうしようこうなったら張り合って以下略。 (・・・・・・誰だよ・・・) |
バスケ | 12/17 22:25:55 | 2219cfh.h9QyMJDQc||1 | ||
もしかしてただの弟だったりしたら。しかし、今日は弟も不在 のはずだ。 大体、居たとしても俺の部屋には入らないだろう。 そうすると、やはり不法侵入者だろうか。とりあえず落ち着け 、俺。 (・・・ああもう、ヤケだ!) 我ながら無謀だと思いながら、もう一度ゆっくりとその扉を開 いていく。 ほんの少し開いたところで、今度は向こう側から無理に開けら れ、唐突に声がする。 「・・・何をしているのだお前」 「うわああぁぁぁあぁっ!!」 思わずして不意を突かれ、光流はこれまた思わずして声を張り 上げる。 |
バスケ | 12/17 22:26:20 | 2219cfh.h9QyMJDQc||362 | ||
―――中から現れたのは、見慣れない青年。 「だだだだだ誰だよ!!」 「どもりすぎだ。何を言っているのかわからぬ」 嗚呼、間違いなく不法侵入だ。俺はこんな奴知らないぞ。 そう思うなり、光流は1階にある電話で警察に通報しようと駆 け出そうとする。 しかし、その青年の言葉でそれを阻まれる。 「えーっとぉ?お前が“アサカ ミツル”・・・だよな」 「・・・・・・・・・は?」 どことなく予想外のことを聞かれ、光流は足を止める。 「・・・どこかで・・・お会いしましたか・・・?」 その青年をまじまじと見つめながら訪ねると、彼は無表情のま ま応える。 |
バスケ | 12/17 22:26:32 | 2219cfh.h9QyMJDQc||276 | ||
「いや、初対面だ。で、お前がそいつだよな?」 「・・・・・・・・・」 初対面なのに何で俺の名前知ってんだよ、こいつ。 益々怪しく思い、光流は彼から一歩下がる。 「・・・とりあえず・・・そうだけど・・・・・・」 「・・・とりあえず、とはなんだ。まぁいいが」 どっちだよ。 内心ではそう思ったが敢えて突っ込まず、光流は多少睨むよう に彼を見る。 彼はというと、相変わらず表情を変えぬまま、そちらもじっと こちらを見てくる。 重ッ苦しい雰囲気、というのはこういうものなのかもしれない と、光流はしみじみと感じる。 |
バスケ | 12/17 22:26:46 | 2219cfh.h9QyMJDQc||235 | ||
・・・・・・と。 「・・・お前」 「え?」 「窓の鍵は閉めろよ」 「・・・・・・・・・はい?」 「俺みたいな奴がまた入ってくるぞ」 青年は腕を組み、それでもまだ無表情のままでいる。 光流はまたしみじみと、戸締りはきちんとすべきだと思った。 ・・・まさか本当に泥棒なるものが侵入してくるとは思ってな かったが。 そこまで思い、光流はふと、彼へと目が行く。 ・・・一度瞠目すると、ヤケにはっきりとした声で呟くように 彼へ言う。 「・・・・・・それ・・・」 「ああ・・・コレ、か?」 |
バスケ | 12/17 22:26:57 | 2219cfh.h9QyMJDQc||267 | ||
彼は自らの背にあるものを指差し、にやりと笑う。 「―――・・・堕天使の、証」 笑んだ青年の表情が、意味も無く怖く感じる。 光流は唖然とした様子で、小さく呟く。 「・・・・・・黒い・・・翼・・・」 呟きが聞こえた刹那、その翼はバサリと音を立て、見せ付ける ように広がる。 もともとこの部屋も狭いのだが、片翼だけで部屋いっぱいに広 がっている。 「え・・・・・・天使・・・なのか・・・?」 |
バスケ | 12/17 22:27:15 | 2219cfh.h9QyMJDQc||471 | ||
相手に聞こえるか否か、それぐらいの声で問うと、青年はまた すっと無表情になる。 「・・・残念だが、天使などではない」 淡々と告げるその声に、光流はふっと笑みさえ覚える。 「だ・・・よな、まさか天使なんていねぇもんな!」 「・・・・・・・・・」 引きつったような笑みを浮かべ、光流は少しだけ震える声で言 う。 腕を組み、その様子を無言で見ていた青年は、またもや淡々と 突拍子も無いことを言う。 「言っておくが、俺は“堕天使”というだけ。元は“天使”だ 、覚えておけ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 たっぷりと沈黙をおいて、光流は瞠目する。 |
バスケ | 12/17 22:27:38 | 2219cfh.h9QyMJDQc||18 | ||
「・・・お前、泥棒じゃないの?」 「何を言うか貴様。失礼極まりない奴だな・・・」 青年は溜息をつきながら、呆れた様子で光流を見た。 当の光流はというと、また呆然とした風で青年を眺めている。 「・・・ちょっと失礼」 唐突に光流が青年に近づく。彼はというと無表情を崩さなかっ たが、さすがに光流の行動には疑問を感じたらしい。 「・・・・・・おい」 「これ・・・本物?」 「・・・何を疑っているのだ」 光流がクイクイと引っ張るそれは、彼の翼。真顔で問う光流に 、彼は半ば諦め気味に溜息をつく。 |
バスケ | 12/17 22:27:57 | 2219cfh.h9QyMJDQc||263 | ||
「・・・本物だ」 「嘘だろぉ・・・この世に天使だとかいないって」 「・・・・・・やはり、貴様は信じていないのだな」 「当たり前だろ?大体、世の中そんなにファンタジーじゃねー よ」 言いながら、光流はようやく彼から離れる。 ・・・と、青年は無表情ながらも、真剣な目で光流を見る。 「―――貴様、昨夜羽根を拾っただろう」 「え・・・あ、ああ。拾ったけど・・・あれはお前のなのか? 」 「そうだ」 少しだけ開いている部屋の窓から、サァ・・・と涼しい風が入 り込む。 |
バスケ | 12/17 22:28:13 | 2219cfh.h9QyMJDQc||496 | ||
窓を背にしている青年の髪がさらさらと流れ、黒い装束にやけ に映える長い銀髪が、西日を受けてやわらかく光る。 「・・・・・・そして、お前は天使なるものの存在を信じてい なかった」 「当たり前だろ?」 言うと、青年は怒る風も無く、ただ淡々と述べる。 |
バスケ | 12/17 22:28:21 | 2219cfh.h9QyMJDQc||888 | ||
「俺が片翼だけしか持ち合わせていない理由は、それだ」 「・・・・・・え・・・」 言われて見れば、彼の背には右側の翼しか伸びていない。 ・・・だが、それはどういう意味だ。それが、俺のせいだとい うのは。 「―――この黒き翼は、堕落した天使の証」 淡々と告げるその声は、低く、それでいて透き通るような。 やわらかく、そして、痛々しい響きを残しながら、己の耳へと 届く。 |
バスケ | 12/17 22:28:35 | 2219cfh.h9QyMJDQc||917 | ||
「―――我が名は、“シン”。・・・漆黒の天使」 |
バスケ | 12/17 22:28:45 | 2219cfh.h9QyMJDQc||121 | ||
冷え切った風はいつの間にかその空間を包み、張り詰めた空気 は凛と冷たい音を立てた。 |
バスケ | 12/17 22:31:11 | 2219cfh.h9QyMJDQc||308 | ||
えぇっと呼んでくれてありがとうございました。 長くなったと思いますがどうでしたか?これでエピローグ1は終了です。 続きは遅くなると思いますが次からエピソード2なので楽しみにして置いてください!! |
バスケ | 12/17 22:38:59 | 2219cfh.h9QyMJDQc||213 | ||
感想お願いしますね!! |
55555 | 12/17 22:49:34 | 2194cfFwQ1LdxEZ0I||302 | ||
パチパチパチ〜(・く・)/ すごい長い! けどおもろ〜 |
バスケ | 12/17 22:59:1 | 2219cfh.h9QyMJDQc||745 | ||
ありがとうございます!!! そういってもらえるとうれしいです!! |
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