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3786泣いてしまうほど・・・。亜瑠華12/20 17:59:72101cfVHeEx6eF4SE
草薙と、由紀のお話です。前回よりは甘くないかな・・・?

亜瑠華12/20 18:1:292101cfVHeEx6eF4SE||908
こんなに、こんなに、私、あなたが・・・・。

そっと手を伸ばして、草薙先輩の袖を掴んだ。
「どうした?」
すぐに気づいて私を見てくれる。
「なんでも、ありません。」
私は曖昧に笑って、首を振る。
怪訝そうな顔をしたけれど、それ以上は問い詰められることなく。
再び前を向いて歩き出す。
とりあえず手を振り解かれなかったことに安堵して、私も並んで歩く。


亜瑠華12/20 18:2:382101cfVHeEx6eF4SE||138
付き合い始めて、一ヶ月が過ぎた。
最初は先輩の歩く速さに合わせていた私だけど、最近は、私に速度に先輩が合わせてくれる。
手を繋ぐのも私の方からだったのに、気がつけば、先輩から手を重ねてくることが多くなった。
そんな些細なことに気づいた瞬間、私は天にも昇る気持ちで。
それと同時に、泣きたくなった。
悲しいから、じゃない。嬉しいから、じゃない。
ただ、不意に胸が締め付けられてとてもとても泣きたくなった。
どうしてだろう?
わからなくて俯く。
重力に負けて私の瞳から雫が落ちようとした。

亜瑠華12/20 18:3:392101cfVHeEx6eF4SE||647
私は慌てて瞬きを繰り返し涙を払う。
こんなとこ見つかったらきっと言われる。
どうして泣いているのか、と。
でも私にだってその理由がわからないんだから説明なんてできなくて。
そうしたら先輩きっと呆れてしまう。
自分の気持ちさえもわからないのか、なんて言いながらメガネの奥の切れ長の瞳をさらにきつく細めて。
嫌われるのが怖い。
先輩はきっと面倒な子は嫌い。
そう思った瞬間、まぶたがさっきと同じように熱くなった。
ぐずっと思わず鼻が鳴る。
あ、っと思ったときには、先輩は歩みを止めて私を振り向いた。

亜瑠華12/20 18:4:312101cfVHeEx6eF4SE||895
「・・・何を泣いている?」
思ったとおりの問いかけ。
私はやっぱり答えることなんかできなくて首を振った。
さすがに顔を上げることはできなくて。
でも声なんて出したらやっぱり泣いてるのがわかるくらいには震えてしまうだろうから。
もう一度しっかりと首を横に振る。
ぱらぱらと飛び散る雫たち。
はぁ、とため息が頭上で聞こえた。
その重さに、びくっと体が震える。
や、やだ・・嫌わないで・・・・!!
必死に涙を止めようとしているのに、私の思いとは裏腹にぱらぱらと涙は飛び散るばかり。
「顔を、上げなさい。」

亜瑠華12/20 18:5:252101cfVHeEx6eF4SE||667
静かに命令する声。
ふるふるを首を振る私。
「顔を上げろと言ってるんだ。」
少し強めの言い方は逆らうことなど許さない、といっているようで。
ああ、やっぱり嫌われてしまった・・・。
最悪な結果に私はますます俯く。
涙に滲む視界の中で、ふっと何かが動いて、頬に当てられた。
驚くほどに暖かいそれが、先輩の手だとわかるまでに少し時間がかかった。
ゆっくりと力を込められて、強制的に上を向かされる。
先輩の姿を下から上へ、確認するみたいに私の視界が変わっていく。
たどり着いた先は先輩の寄せられた眉。
「なぜ、泣く?」

亜瑠華12/20 18:6:52101cfVHeEx6eF4SE||115
「わ・・・か、りませ・・・」
「自分のことなのに?」
問いかけられて言葉はひどく優しくて。
まるでどんなことでも許すから、と言っているみたいで。
思わず、言葉が零れた。
「好き、です・・。」
「ん?」
「先輩が・・好き、だから・・・」
「俺が好きだから?」
そう、先輩が好きだから。
私の原点はすべてそこにあるから。
笑うのも、泣くのも。

亜瑠華12/20 18:7:252101cfVHeEx6eF4SE||705
先輩が好きだから。
先輩に嫌われるのが怖い・・・。
「わかった。」
何がどうわかったのだろうか、先輩はそう言うと私の頬に流れる涙を指で拭う。
きゅっと拭って、それから私を抱きしめた。
「わかった。わかっている。だから泣く必要なんてない。」
髪を撫で、背中をあやし、優しい言葉を囁いてくれる。
限りなく優しい腕の中で。
苦しかった胸が、すぅっと楽になる。
「はい。」
もう声は震えてはいなかった。
でも。

亜瑠華12/20 18:8:452101cfVHeEx6eF4SE||809
ここは商店街で。
意外と人目につく、そしてウチの学校の生徒たちも多く使っている道で。
落ち着いた途端、喧騒が耳に飛び込んで私は慌てて先輩から身体を離した。
どきどきとなる胸で、先輩って意外と人目を気にしないほうなのね、なんて思っていたら。
「仕方ないだろう?好きな女性が泣いてるんだから。・・・・俺を好きだと言いながら、な。」
え?と仰ぎ見ると先輩はにやっと笑って、私の真っ赤な耳に唇を寄せる。
ずっと、聞こえていた。心に直接、迷いもなく飛び込んできたから。聞こえないはずはない。
「泣くほど俺が好きだ、とね。」



亜瑠華12/20 18:10:352101cfVHeEx6eF4SE||989
完成です。微妙に短めです。

両思いになるまでって、その人に好かれようと必死なんだけど、いざ両思いになってみると今度は嫌われるのが怖くて必死になっちゃうんですよね・・・。そんな感じの想いを書いてみたかったのですが・・・。いまいち納得できない方も、もしかしたらいるかもしれません。すみません。

感想などお待ちしております。

りょうきち12/20 20:54:42203cfYw1zKopXByY||854
すっごくよかったですぅ〜!
次回も頑張ってくださいね〜

ベリ子12/21 20:2:122031cfmsEA.FDLOL6||656
や〜!!先輩かっこいい〜><ww
好きすぎて泣いちゃう・・・こんな子はめっちゃかわゆぃですねww
自分の心が相手から離れないように離れないようにって無理してたんでしょうか。初初しいですねw
これからも頑張って下さいね^^

亜瑠華12/22 17:52:252101cfVHeEx6eF4SE||117
りょうきちさん、ベリ子さん、またまた感想ありがとうございます。すごく嬉しいです。


メロディ12/22 19:6:252211cfH1oY8ZU6tvg||62
その先輩!!
パーフェクトちゃうの!?
優しすぎやわあw。
でも、優しいのがすべてじゃないしね。
でも、優しさ以外のこともあってステキな彼ですね


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