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398私の光浅漬け5/24 21:5:12211cfwdGUp7imX5Q
いよいよ完全版です!
今までご愛読いただいた方、本当に有難うございました!!
未熟だった点などを治したので、ちょっと読みやすいかと思われます;;(汗
(いや、勿論今も未熟ですが(笑))
コレで私の光も完璧に終わりです。今まで本当に有難うございました!!
でわ完全版の方、どうぞお読み下さいませ。

浅漬け5/24 21:5:252211cfwdGUp7imX5Q||700
私の光
光に満ちた朝・・・のはずが。
起きたら突然目が見えなくなっていた。
「・・・!?」
どういうことなのか全く分からなかった。
昨日まではしっかりと見えていたのに・・・・・・・?
何か引っかかる。そう。昨日までの記憶がない。
「どういうことなの!?」
私は今までを思い出そうとしてみた。何も出てこない。
「どうなってんのよぉっっ!!!」
手探りで見つけた枕を床にたたきつける。涙が溢れてくる。

浅漬け5/24 21:5:422211cfwdGUp7imX5Q||40
「どうなってんのよぉっっ!!!」
手探りで見つけた枕を床にたたきつける。涙が溢れてくる。
「雪架!雪架!」
誰?私を呼んでるの?ココがどういうトコなのかも全く分からない。
自分の部屋なのに ここが何も知らないトコに思えてくる。怖い!!
「雪架!」
誰なの!?
「私だよ。なんかさっきから発狂しているが・・・どうしたんだ?」
「あ・・・あなた誰・・・!?誰なの!?本当にココは私の部屋なの!?」
記憶をなくしたはずなのに、何故か自分の部屋だけは覚えていた。
しかし記憶をなくした私は、もはや麻薬中毒者だと思われても仕方がないだろう。

浅漬け5/24 21:6:52211cfwdGUp7imX5Q||895
それでも声の持ち主は優しく語りかけてきた。
「雪架!一体どうしたんだ?何があったんだ!私だよ!」
「私って誰よぉ・・・!!ねぇアナタは誰なの!?もういやぁぁぁ!!!」
もはや私は自分が何を言っているかも分からない。何でこんな事になってしまったんだろう。
涙がベッドに滴り、頬を濡らす。何故いきなり目が見えなくなったのだろう。
そして何故記憶までもがなくなっているのだろう。
分からない。ここは本当に現実なんだろうか!?私は本当に生きているんだろうか。
全てが分からなくなったその時。
私を何かが抱きしめた。力強くて、優しい腕。

浅漬け5/24 21:6:422211cfwdGUp7imX5Q||412
「!?」
体の温もりとかぎ慣れた匂いが私を包んだ。この香りも覚えている・・・
「どうしたんだよ・・・何があったのか説明してくれ。」
「・・っ・・・うぅっ・・」
安心感と少しだけ残された記憶の中の香りに
また私の涙が滴る。
「そうか・・何か辛かったんだね。雪架・・」
・・雪架?さっきから呼ばれているその言葉。どうやら私の事らしい。
でも今はこの匂いに包まれているだけで十分だった。そして私はまた眠りに落ちた・・・。

浅漬け5/24 21:6:592211cfwdGUp7imX5Q||359
・・・・・・・
朝だ・・・ヤダ、私そのまま眠っちゃた・・・。
そして目をそっと開けてみる。
・・・見えない・・・・。でも今隣には人の温もりがある。
昨日より、私は落ち着いている。なんだか安心感がまたわいてきた・・・。
「あ、起きたのかい。おはよう。」
「・・・おはようございます。」
やっぱりいくらかぎ慣れた香りの持ち主でも うかつには信用できない。
「ははっ、急に礼儀正しくなったなぁ。まるで何もかも忘れているみたいだな。」
・・・まるでじゃなくて本当に忘れているのよ。

浅漬け5/24 21:7:412211cfwdGUp7imX5Q||226
でも・・なんとなくこの人の声は暖かい。なんだか私の心も暖かくなっていく。
「そうよ。私今全部忘れてしまっているの。私自身のことでさえ危ういわ。」
「そうだったのか・・・。」
・・・あら?
あまりびっくりしてないわね・・・。もしかして最初から分かっていたのかしら?
だとしたら本当に探りを入れるのが上手いわ・・・。
「ところで。あなたは・・・誰なの?」
「・・目まで見えないのかい?」
!勘が鋭い。
「どうして分かったの?」
「君の目と僕の目が合わないからね。虚ろな目をしている。」
なんだ・・そう言う事ね。吃驚した・・・。

浅漬け5/24 21:9:442211cfwdGUp7imX5Q||634
「・・・えぇ。起きてみたら見えなくなっていたのよ。」
「不思議なことがあるものだなぁ。でも今君は不安でいっぱいなわけだ。よし。僕のことを
教えてあげよう。僕は成海(なるみ)。君の夫だよ。」
・・!?私は結婚していたの・・・?!
ますます分からなくなってきた。
こういう時に記憶が曖昧なのは実にもどかしい。
「・・・分かった。じゃぁ今度は私のことを教えてちょうだい。さっきも言ったように
私は私が誰なのか分からないの。」
「困った姫君だな♪」
・・・なんか姫君っていう言葉が妙に引っかかる。
なんだか聞き慣れた言葉みたいね・・・。
「君は雪架(ゆきか)。僕の妻で22歳。僕の可愛い姫君さv」

浅漬け5/24 21:11:422211cfwdGUp7imX5Q||480
・・・優しい口調だわ。この人。
まるで私を心から愛してるみたいに。まぁ当然か。私はこの人の妻らしいもの。
でも目が見えないって言うのは悲しいわ・・・。この人がどんな人なのか見てみたい。
「これでちょっとは記憶の足しになったかい?」
「・・・えぇ。」

そして今日を境目に、自分が数々の奇跡を自分が体験することになる。
そしてそれを起こすキッカケとなる子が今日くることを、私は
まだ知る由もなかった。

「おはよう雪架」
「・・おはよう。」
朝・・・。やっぱし私の目はまだ暗いまま。光に満ちた朝なんて
まだまだ遠くの話だと感じる。
「そうそう。今日は雪架にプレゼントがあるんだ」
「なに?」

浅漬け5/24 21:12:562211cfwdGUp7imX5Q||510
わんっ!そう何かが鳴いたかと思うと いきなり私の上に乗ってきた。
「きゃっ!?何!?」
私の上にいきなり舞い込んできたそれは
私をいきなり舐め始めた。
「・・っくすぐったい!成海さんこれは何なの!?」
「子犬だよ!前君が欲しがっていたんだ。ゴールデンレトリーバーだよ。」
「へぇ・・・ふわふわしてて暖かい・・・。可愛い・・・」
「だろう?君は昔から動物が好きだったからね。」
・・・?昔からってどういう事かしら・・・。
「さぁ!僕たちの新しい家族に名前を付けてあげよう!」
「うー・・・ん・・・この子男の子?女の子?」
「女の子だよ。」

浅漬け5/24 21:13:142211cfwdGUp7imX5Q||178
「・・・・そうね・・・・・林檎。」
「林檎か!いい名前じゃないか!よーし林檎!パパだよ〜。」
・・ぷっ・・クスクス・・
「なっ!何がおかしいのさ!」
「だって・・・パパって・・・あははは!!!」
「・・・やっと笑ったね。」
「え?」
「だって君、発狂した日からずっと笑ってなかったじゃないか。」
「そういえば・・・そうね・・・。」
「だろう?」
・・あぁ。なんだか暖かいなぁ。
やっと 前の私に戻れて・・・ あれ?おかしい・・・今前の私って・・・どういうこと!?
まさか・・記憶が・・え・・・?何、前の私・・・何?何なの・・・うっ!!
「い・・痛・・・!!」

浅漬け5/24 21:14:122211cfwdGUp7imX5Q||790
「い・・痛・・・!!」
「どうした!雪架!雪架!?雪・・・」
激しい頭痛で成海さんと林檎が私の前から薄れていくのを感じた。

「ん・・・・。」
「気付いたか!良かった・・・」
・・私どうして・・・あぁ激しい頭痛が・・起きて・・・その後は?
「いきなり倒れて吃驚したよまだどこか具合が悪いのかい?」
「いえ・・もう平気・・・うっ・・」
「まだ頭が痛いのか・・今日はゆっくり寝た方がいい。」
「えぇそうさせてもらうわ・・・。林檎・・・林檎は?」
ぺろっと林檎が私のほっぺを舐めた。

浅漬け5/24 21:14:342211cfwdGUp7imX5Q||391
「良かった・・・いたのね・・。うふふくすぐったいわよ・・林檎・・」
「しばらく林檎と遊んでると良い。僕はちょっと出かけてくる。」
「何処に行くの?」
「スーパーで買い物だよ。今日の夕飯は僕が作らなくちゃぁね!」
「有難う・・・」
「じゃ、行って来るよ。」
「・・うん・・・。」
がちゃっ・・・ぱたん。
「はぁ・・ねぇ林檎。ママ目が見えないんだ・・・」
くぅーん・・・。
・・・私も自分自身でママって言っちゃってるわ・・・。ぷっ。
あの人と同じ。
「ねっ!林檎。ママとベッドで遊ぼっか!」
わんっ!
なんて穏やか・・・。心が晴れてくみたい。林檎が来て良かった・・・。

浅漬け5/24 21:15:112211cfwdGUp7imX5Q||810
朝・・・。
「林檎・・・林檎・・・」
林檎が来てから私はいつも朝は林檎を呼ぶ。林檎は驚くほど賢くて 呼ぶといつもすぐに
しっぽを振る音を鳴らしながら寄ってくる。
「林檎、成海さん起こしてきて」
わんっ!
まるで会話をするように。林檎は成海さんをお越しに行って来ます!
というように、わんっ!と元気な声を聞かせる
「ふぁぁ・・・林檎、舐めないでくれよ!くすぐったいなぁ」
幸せそうな成海さんの声が聞こえてきた。
「僕の姫君vおはよう!」

浅漬け5/24 21:16:12211cfwdGUp7imX5Q||689
「・・・おはよう。その姫君って言うの・・・」
「これが何か?」
「・・・何でもない。」
・・・成海さんは私のことをたまに姫君、と呼ぶ。
別に良いんだけどね。悪い気もしないし。
・・穏やかだなぁ・・・なんだか私、色々どうでも良くなってくる・・・・
いや、良くない。目が見えないってのは実に不便だし。
何より自由に動けないのが一番嫌だ。ココが何処なのか分からないからすぐぶつかってしまう。
だから最近はいつも林檎と一緒。林檎が賢くて良かった・・・
「成海さん、朝ご飯をお願いしていいかしら?」
「分かった。今日の朝食は何になさいますか?」
ぷっ・・・

浅漬け5/24 21:16:342211cfwdGUp7imX5Q||331
「クス・・そうね。ベーコンエッグとかがいいわ。」
「承知いたしました。」
・・・成海さんって・・・面白いなぁ。
なんだかこのヒトと一緒に住んでて良かったような・・・
「サイドメニューはいかが致しましょう?」
「うーん・・・コーヒーをお願いしちゃっていいかしら?」
「かしこまりました」
・・・いつも思うんだけど
成海さんのコーヒー美味しいのよね・・・。飲み過ぎって分かってるけど
ついつい朝は頼んじゃう。早く目が治ると良いなぁ・・
家事、何でも任せてるから申し訳なくなっちゃう。早く治して
家事をしなきゃ・・
そして・・・あぁ・・・病院に行かなきゃ・・・流宇香の為に・・・

浅漬け5/24 21:17:02211cfwdGUp7imX5Q||321
あれ・・・?流宇香って・・・誰・・・?誰なの!?
ぐっ・・・また・・・頭痛が・・・!!!
「うぅぅぅ・・っ!!」
「雪架!?雪架!雪架・・・」

私は記憶を一つ取り戻した。薄れゆく意識の中でそんな事を想いながら
成海さんと林檎が私の前から薄れていった。
流宇香・・・一体誰なんだろう・・・

流宇香・・流宇香・・・
「ワァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「流宇香!!!いやぁぁぁ・・・」

はっと私は目を覚ました。随分と汗をかいているみたい。

浅漬け5/24 21:17:142211cfwdGUp7imX5Q||993
「目が覚めたかい?」
「え・・えぇ・・」
「随分うなされてたみたいだけど・・・」
「・・大丈夫。心配しないで?」
「うん・・・ならいいんだけどね。僕は朝食の続きを作ってくるよ。」
カチャッという音がして、成海さんが出ていくのを感じた。
それにしても一体何だったの・・・?酷い夢・・・怖かった・・
子供・・?流宇香・・・・って子が・・車にひかれてた・・・何だったの 本当に・・
ドアが開く音がした。また成海さんが戻ってきたようだ。

浅漬け5/24 21:18:302211cfwdGUp7imX5Q||487
「お食事が用意できましたよ!お嬢様v」
「え・・えぇ。有難う。」
それにしても流宇香・・・誰なの?
「なんか元気がないみたいだったからサラダとセットにしておいたよ。」
「え、そんな!悪いわ・・でも有難う。」
「いえいえ♪」
いっつも思う。なんで目の見えない私にここまで親切にしてくれるのかしら。
普通の男性(ヒト)だったらウザいと思って家なんて出てくわよね・・・。
不思議・・・
「雪架?なんだかボーッとしてるよ?」
「あ、ごめんなさい・・・コーヒーのおかわりもらえる?」
「かしこまりました♪」
はぁ・・・せめてコーヒーでも飲んで
目を覚まさなくちゃ・・・

浅漬け5/24 21:19:282211cfwdGUp7imX5Q||272
「おまたせ♪はい、少し冷ましておいたよ」
「え・・有難う。なんか悪いわね。」
「ううん。いいんだよ♪」
コーヒーを一口飲んだ。暖かい・・・。そして私は一気に飲んでしまった。
「凄い勢いで飲んだね!よっぽどのどが渇いていたんだね。」
「えぇ、そうみたい。ごちそうさま。ちょっとまだ気分悪いから寝てくるわ。」
「大丈夫かい?」
「えぇ。心配しないで。ベーコンエッグとサラダとコーヒー。凄く美味しかったわ。
有難う。」
「いえいえ♪これも旦那のつとめですから♪」
・・パタン
ふぅ・・・なんだろう・・・流宇香って子が頭からこびりついて離れない。
御飯も美味しかった。可愛い林檎もいる。だけど・・・

浅漬け5/24 21:19:522211cfwdGUp7imX5Q||426
まぁいい。とにかく寝よう・・・

・・・コレ は 夢・・・?
誰かが必死に呼んでる・・・何を呼んでるの・・・?
「ママ!!ママー!!」「流宇香ぁぁぁー・・・」
コレは・・誰の気持ち・・・?流宇香って・・・確かに私の声 だった・・
看板・・・?鳥風総合病院・・あぁ・・そこへ行かなくちゃ・・そこ・・へ・・

「雪架!雪架!夕飯だよ!」
「あぁ・・・成海さん・・おはよう。今何時?」
「もう7:48だよ。夕飯を食べよう。」
「え・・・えぇ。今日のメニューは?」
「鶏肉の蒸し焼きに水菜のサラダのトマト入りにコンソメスープ。だよ?」

浅漬け5/24 21:20:302211cfwdGUp7imX5Q||479
「なんか・・豪華ね・・」
「え、まぁ・・うん。ちょっとね。」
・・・?
「あ、あと今日ドライブに行かないかい?ちょっと見せたいモノがあるんだ・・」
「?なぁに?私目が見えないから見えないわよ?」
「あ、そうか。まぁいいんだけど。とにかく、ちょっとドライブに行こう!気晴らしになるかもだろ?」
「え、えぇ・・まぁ・・そうね。」
「よし、じゃぁ夕飯にしよう。」
ー30分後ー
「ごちそうさま。」
「よし、じゃぁ行こうか。」
「林檎は?林檎は・・・どうするの?」
「連れてくかい?」
「うん・・・。」
「林檎ー。おいでー。」
わんっ!と林檎が元気よく答えた。

浅漬け5/24 21:21:102211cfwdGUp7imX5Q||527
「林檎・・・くすぐったいわよ・・フフ・・」
「林檎が来てから、君本当に楽しそうだね。」「だって林檎可愛いじゃない。」「まぁね。さぁとにかく行こう。」
私は林檎に引っ張られて成海さんの車に乗り込めた。
「じゃぁ出発しよう。」
「えぇ。林檎ー。出発だよーv」
ブオーーーーーッ・・・・・・・・・・・
「ねぇ成海さん。何処に行くの?」
「・・・鳥風総合病院。」
・・・!?何か・・聞き覚えがある・・あぁ夢だ・・夢に鳥風総合病院って・・
「え・・・何でそんなところに・・・」

浅漬け5/24 21:22:322211cfwdGUp7imX5Q||251
「え・・・何でそんなところに・・・」
「・・・驚かないでくれよ?」
・・・?
「君には・・・娘がいるんだ。流宇香っていって・・」
!!!!!流宇香!娘!?どういうこと!?何であの子が・・!!
どうしてあの子が私の娘なの!?
どういうことなの・・・!!車にひかれたあの子!!
私のことを必死に呼んで空(くう)を描いていたあの子!!あの子が私の娘・・・!?
「4歳の女の子だ。事故があったのは2年前丁度今日が事故があった日なんだ。
トラックにひかれて、今意識が戻らない状態なんだ。」
・・・・!!!!夢と現実がシンクロしている・・・!!

浅漬け5/24 21:23:102211cfwdGUp7imX5Q||415
私が今までに見てきた夢は現実だって事なの!?
「今 流宇香が入院している病院に向かっている今日。食事が豪華だったのも、せめて
流宇香がいなくてもちょっとは御祝いできたらな・・と思ったからなんだ。
そして今日ドライブに誘ったのも、その為だ。それに目は見えなくても君の子供だ。
手を握れば何か思い出すかもしれない。」
意味が分からない・・どういうことなんだろう。
「さぁ着いたよ。足下に気を付けて。」
あぁ・・・コレは夢なのよ。そう。夢に違いない。夢と現実がシンクロするなんて事・・・有り得ない。

浅漬け5/24 21:23:352211cfwdGUp7imX5Q||412
「水月流宇香の父の成海です。面会に来ました。」
「445番室です。」
「有難う。さぁ雪架、林檎、行くよ。」
「ちょっとお待ち下さい。当院ではペットの持ち込みは禁止とさせていただいております。」
「妻の雪架の盲導犬です。何か問題がありますでしょうか。」
「・・・!申し訳ございません。ハーネスを付けていなかったモノですから・・」
「いえ、こちらも悪かった。さぁ、行こう。」
成海さん・・・!!嘘をついてまで何で林檎を病院に入れたかったのかしら。
・・・不思議。
「成海さん・・・!!」
「雪架、いいんだ。言わなくて。僕は嘘をついていない。」
「え・・・?」

浅漬け5/24 21:24:322211cfwdGUp7imX5Q||837
「君には黙っていたんだけど・・・。こうなってしまったら話すしかないね。」
・・・・?
「林檎・・は。実は盲導犬として連れてきたんだ。子犬だけどね。盲導犬の協会も
認めている。異常に賢い子でね。天才としか言いようがない子なんだ。それでいて人懐こい。盲導犬にはピッタリだった。ただ僕の希望でハーネスを付けていなかった。それだけだ。」
そんな・・・
「じゃぁ・・林檎は・・・私が犬が好きだから、という理由で連れてきてくれたんじゃなかったの・・・!!」
「いや、そんな事はないんだ!君が動物嫌いだったら連れてこなかったよ。

浅漬け5/24 21:25:82211cfwdGUp7imX5Q||589
「いや、そんな事はないんだ!君が動物嫌いだったら連れてこなかったよ。
それに・・本当はラブラドールの方が向いているのだそうだがゴールデンにした。
君が前飼っていたのもゴールデンだったんだ。」
「そんな事はどうでも良い!結局は私が目が見えないから!!!そういう理由で連れてきたんでしょう!?嘘をついていたんでしょう!?」
あ・・!言い過ぎた。
「ご・・・ごめんなさい・・・」
「いや、しょうがない。君が怒るのも当然だね。ごめんね。」
「私こそ・・なんだかイライラしてしまって・・・。」
「いいんだよ。僕が悪いんだからさ。さっ!早く病室に行こう。」

浅漬け5/24 21:25:302211cfwdGUp7imX5Q||66
成海さんは暖かい。こんな風に怒ったって すぐに受け流してくれた。
こういうところ、好きだなぁ・・
「そうね・・・流宇香ちゃん・・は何処にいるの?」
「445室だよ。もうすぐ着くよ。」
カチャッ・・・
「流宇香ー!久しぶり〜v」
「ちょっ・・・!成海さ・・!病院でそんな大声出しちゃ・・・!」
「おっと、失礼。まぁでも他の方は居ない個室だからね。」
「そう・・良かった。」
「さぁ、雪架、流宇香だよ。」
・・・・!!!誰かの手が私の手をそっとさわった。
暖かい・・・心が満たされていく。前にもこんな事があった ・・・・・・・!?
また・・・記憶が・・・!!いや、今度は前よりもっと鮮烈・・・!!

浅漬け5/24 21:25:522211cfwdGUp7imX5Q||219
痛い・・・!!!
「うぅぅっ・・・!!」
「!!!雪架!!雪架!まだ具合が悪かったのか!?雪架!ゆき・・」
また・・薄れていった。病院が。成海さんが。意識が。
でもそれと引き替えに また記憶を一つ思い出した。流宇香が生まれたときのこと。流宇香の顔。生まれたときの声。流宇香という子について私は全てを思い出した。

今までで取り戻した記憶っていえば
暖かくて愛に満たされていた前の頃の「私」
「流宇香」の事故の現場。そして
「流宇香」という事について 全て。

浅漬け5/24 21:26:42211cfwdGUp7imX5Q||282
「・・・・・」
「良かった!気がついたんだね・・」
「成海・・・さ・・ん。私・・・思い出し・・・た。」
「え?」
「流宇香って子について・・・思い出した・・・!!!あぁそうよ流宇香は私の子供だった!!それで・・私あの子を守ってやれなかった!あの子が車にひかれたとき・・・!
今でも覚えてるわ・・!あぁ・・流宇香・・!!どうして私は・・・!守って・・・!」
「落ち着くんだ!雪架!何があったんだ!」
「守ってやれなかった・・・!流宇香・・!私の子を・・!守って・・!」
「落ち着け!まずは何があったのか話して!」
「成海さ・・・うっ・・」
うわぁぁぁぁぁぁ・・・!!!

浅漬け5/24 21:26:202211cfwdGUp7imX5Q||12
とめどなく溢れる涙を 私はどうすることも出来なかった。
成海さんはただ 私のそばにいて だまって抱きしめてくれていた。
林檎は私の涙を舐めてくれていた。ココが病院だということを忘れて
私は泣き続けていた。そして夜はふけていった。

ピチチチチチ・・・鳥の声だ。朝・・・?
「成海さん・・・?林檎・・・?」
「あぁ起きたのかい。おはよう。」
わんっ!
「ふふ・・・今日も林檎は元気ですね。私・・・あれからどうして・・」
「病院だよ。無理を言って泊めてもらったんだ。」

浅漬け5/24 21:28:42211cfwdGUp7imX5Q||463
「そう・・なの。」
「昨日は・・・色々とごめんなさい・・・なんか体の中から一気に何かが出されたみたい・・ 今はもう大丈夫。本当にごめんなさい。そして・・・有り難う。」
「良かった。最初どうしたのか分からなかったんだけど。いきなり目が見えなくなって
記憶もなくすなんて・・そりゃぁストレスもたまるよ。僕の方こそごめんな。」
クス・・・ウフフ・・・ハハハハハ・・
今、この病室内には昨日とうってかわって明るい笑い声が響いていた。
幸せに満ちた 嬉しくておかしい笑い声が。
林檎も嬉しそうに。心なしか、流宇香も少しだけ笑顔を見せたような気さえした。
そして、私の記憶も じょじょに息を吹き返していた。

浅漬け5/24 21:29:252211cfwdGUp7imX5Q||501
ゆっくりとだが。確実に。でも・・・
残りの私の記憶・・・一体何処にあるんだろう。
まだ忘れた記憶とかたくさんあるわよね きっと
早く目も治したい・・・林檎を 成海さんを 流宇香を
・・・私を・・・みたい。
どんな目をしてるのか どんな髪の色をしてるのか
・・・・・どんな笑顔で笑うのか 見てみたい。
もどかしい。あぁ 今すぐ目を治して 記憶も取り戻せたらどんなにいいだろう・・!
全部直して そして 成海さんに「有り難う」って・・・言いたいのに。
「さぁ もう病院から出よう。流宇香!またくるからねw」
そんな事を考えていると成海さんが言った。返事が来るはずのない我が子にむかって。

浅漬け5/24 21:29:392211cfwdGUp7imX5Q||652
「・・うん。そうね。流宇香、またくるからね。」
「え・・・・!?」
「? どうしたの?成海さん。」
「君、今流宇香って・・・!!」
「あら;;言ってなかったかしら;・・・私、
流宇香の事について全て思い出したわ。生まれたときの事も 何もかも。」
「そうだったのか・・・!良かったね。心からおめでとう!」
「そんな!・・恥ずかしいわ;;」
暖かい声で成海さんがそう言った。幸せ・・・私は今、満ちたりている。
つくづくそう感じる。あぁ・・幸せ。

浅漬け5/24 21:30:72211cfwdGUp7imX5Q||214
林檎がしっぽをパタパタ振ってるのが聞こえる。
林檎も私が嬉しそうだと嬉しいのかな・・・?そう考えるとちょっと嬉しくなった。
「林檎も嬉しいのかな・・・しっぽを振ってる音が聞こえる・・」
「嬉しいよ!きっと。君が嬉しそうにしてるだけで林檎は幸せだからね。」
・・あ・・・・そうなのか・・林檎は・・私が幸せにしてるだけで
嬉しいんだ・・・林檎が来て 本当に良かった・・・
「さぁ車に着いたよ!足下に気を付けてね;;」
アクセルを踏んで、私たちは病院を出発した。今はまだ見えない 朝日の中を走って。

浅漬け5/24 21:30:462211cfwdGUp7imX5Q||586
「着いたよ」
「有り難う。今は何時?」
「えー・・・と。9:30かな?」
「まだそんな時間なの!私が起きたのは一体何時なのかしら・・・」
「うーん・・だいたい8:30ぐらいじゃないかな?」
「そんなに早かったの!病院の方々に迷惑かけたちゃったわ・・・;;」
「うん;;今度お見舞いに行くときは謝ろう。」
「そうね・・・」
あぁ・・・色んな人に迷惑かけてしまっている・・・
早く目を治して償いたいわ・・・本当にもどかしい。
「さっ!朝ご飯を作らなくちゃ!君は寝てて!」
「何か手伝うこと無い?」

浅漬け5/24 21:31:62211cfwdGUp7imX5Q||954
あぁ・・・色んな人に迷惑かけてしまっている・・・
早く目を治して償いたいわ・・・本当にもどかしい。
「さっ!朝ご飯を作らなくちゃ!君は寝てて!」
「何か手伝うこと無い?」
「いいよ;;寝てて!ちゃんと美味しいの作るから!ね??;」
「うん・・・分かった。」
もどかしい。自分は無力なのだとつい思う。
何故にこうまで役に立てないのだろう・・・
歯がゆい。悔しい。でもこんな事を言ってても何も出来ない。
「とりあえず林檎と遊んでよう・・・・」

浅漬け5/24 21:31:322211cfwdGUp7imX5Q||954
そういって仕方なく私は自分の部屋へ林檎につられて戻った。
林檎は本当にいい子だ。何も言わなくても私の部屋に連れて行ってくれる。
「林檎は本当にいい子ねぇ・・・」
私がぽつりとつぶやいた。
林檎がパタパタと凄い勢いで尻尾を振っている音が聞こえる。
「なぁに。林檎・・今の言葉、そんなに嬉しいのかな??」
ヴー・・・
!!違う。林檎はうなっている。・・・威嚇している!
「どうしたの!?林檎!」
わんっ!わんっ!
林檎が凄い勢いでほえ始めた。どうしたというの!?

浅漬け5/24 21:31:582211cfwdGUp7imX5Q||150
「林檎!林檎!どうしたの!林檎!!!」
「大人しくしやがれ!このクソ犬が!!」
・・成海さん!?・・違う!
「雪架!今まで何処ほっつき歩いてやがった!帰るぞ!」
私の名前を知ってる・・・!!
「何!?アナタ誰なの!?何処から入ってきたのよ!!」
「はぁ?何馬鹿なこと言ってやがる!テメェの旦那だ!もっともテメェの事なんざ妻なんて思っちゃいなかったけどな!ハハハハハ・・・」
ばたんっ!ドアをあける音が聞こえた。
成海さんだ!

浅漬け5/24 21:32:222211cfwdGUp7imX5Q||196
「雪架!どうしたんだ!?・・・!!お前は・・・・!!!」
「おぅ。騎士(ナイト)さんのご登場かい?参ったな こりゃ!ハハハ・・」
「今更君が雪架に何のようだ!」
「恋人が俺のトコから全員逃げてったんだよ。
それで俺の女房のはずだったのに逃げ出してった雪架を連れ戻しに来たってワケだ。」
「なっ・・・!君は雪架をなんだと思っているんだ!」
何・・・・!?何がどうなっているの!?私の旦那さんは成海さんじゃなかったの!?
ワケが分からない・・・!!
「雪架の事何ざガラクタ人形としか思っていねェよ。俺が引き取ってやるだけでも有り難いと思いな!」
「!!!!!!キサマ・・・!」

浅漬け5/24 21:32:562211cfwdGUp7imX5Q||339
その瞬間。私は何が起こったか分からなかった。ヒュッという音とともにバキッという
音が聞こえた。それだけだった。
「ぐわっ・・・!!!!」
男の声が聞こえた。それと同時に成海さんの声も聞こえた。
「君に雪架の何が分かるって言うんだ・・・!!君のせいで雪架は泣いて僕のところに来たんだ。その時の雪架の気持ちがお前に分かるとでも言うのか・・・!!」
「ぐっ・・・!!痛ぇ・・・!!」
「君の今の痛みよりも雪架の心の傷の方がもっと深い。これ以上僕を怒らせないでくれ。
君を殺すかもしれない。殺されたくなければ2度と僕たちの前に姿を現さないでくれ。」

浅漬け5/24 21:33:542211cfwdGUp7imX5Q||575
「けっ!誰がこんなクソ女房に会いたいなんて思うかよ!離婚だ離婚!!じゃぁな。」
ばたんっ!乱暴にドアを閉める音が聞こえた。何がどうなっているのだろう・・
一瞬の出来事だった。それに・・・あんなに冷たい成海さんの声を初めて聞いた。
いつもはお日様みたいに優しい声の成海さんが あんな声を・・・!!
「雪架、大丈夫かい?」
・・いつもの成海さんの声だ・・・
「え・・・えぇ。大丈夫。それよりあの男は誰なの?成海さんが私の旦那じゃなかったの?」
「・・・・」
「成海さん?」


浅漬け5/24 21:34:322211cfwdGUp7imX5Q||434
「雪架・・・今まで嘘をついていたんだ・・本当は僕は君の旦那じゃない。
あの男・・素也(もとや)っていうんだが・・
そいつが君の本当の旦那だ・・・」
・・・・!?
「どういうこと!?アイツが・・・私の旦那!?嘘だと言って!成海さん!!!」
「すまない・・・!すまない・・・!!!君は本当はアイツの妻だった・・
何度も言おうとした!!!・・出来なかった・・君はあんなに辛い思いをしていたから・・・」
え・・・!?

浅漬け5/24 21:35:112211cfwdGUp7imX5Q||162
「君は素也の妻となった後、毎日仕事を押しつけられていた。そしてアイツは
他の恋人の元へいっていた。君が仕事をしている間に。君はソレを分かっていた!!そしてアイツは君に毎日のように因縁を付けては暴力を繰り返していた。酒を片手に。なのに・・・君は いいの、私は平気だから。 と青あざだらけの顔にいつも涙を濡らして・・・そう僕に言っていたんだ!僕は何故それを無理矢理にでも止めてあげなかったか・・・!!君が僕の元へ来たとき・・どんなに安心したか・・
君が寝た後 僕はいつも自分を責めていた。悔しくて 哀しくて。
僕はどうにかなってしまうんだろう。そこまで思ったほどだ。」

浅漬け5/24 21:36:202211cfwdGUp7imX5Q||241
「君の安らかな寝顔を見ては 僕は自分を責めていた。」
記憶がよみがえる。残酷で痛い記憶。痛い・・。頭が割れそうに痛い・・・!
よみがえる映像。忘れていた痛み。全て思い出す。
「うぅ・・・・!!!!痛っ・・い・・・!!!」
「僕は・・・君を昔から ・・・愛していたから。」

!!!!!!!
また新しい痛みが襲ってきた。「昔から」この言葉で
私はまた新たな記憶を戻した。

浅漬け5/24 21:36:452211cfwdGUp7imX5Q||208

私と成海さんは幼なじみだった。ということを。

そして、このとき私は確信した。
「記憶が全部戻った」事を。

よみがえる。あの日の記憶。 幸せだった日々。 青い空 白い雲。
飼っていた犬の桜のこととか 2人でワクワクして小学校の門をくぐったこととか
高校の合格発表の日、2人とも合格で抱き合って喜んで 泣いたこととか 
恋人通しみたい・・って言われて2人で必死で否定したこととか
全部全部 思い出した。

浅漬け5/24 21:36:592211cfwdGUp7imX5Q||567
「成海・・・・」
「!?雪架・・今・・・成海って・・・!!!」
「成海・・私とアナタは幼なじみだったね。2人で私の飼っていた犬を
よく散歩に連れて行ったよね。たまに冒険したよね。そして・・・
2人で 一生仲良くしようって・・・ずっとずっと 言ってたよね・・・」
「雪架・・・!!」
とめどなく溢れる涙と悔しさを 私は隠すことなど出来なかった。
どうして忘れることなどが出来たのだろう。 不思議でしょうがない。

浅漬け5/24 21:37:372211cfwdGUp7imX5Q||851
「雪架・・・!!」
とめどなく溢れる涙と悔しさを 私は隠すことなど出来なかった。
どうして忘れることなどが出来たのだろう。 不思議でしょうがない。
「本当に 本当にごめんなさい・・今まで忘れてて・・・!私 あんな奴と
なんで結婚したのか・・!分からない・・・!私の両親がアイツの両親とコネがあって・・・!無理やりお見合いさせられて・・!あの時何で無理にでも断らなかったんだろう・!私・・本当は・・あのころ・・あなたが好きだった・・のに・・・!!
そしたらこんな事にならなかった・・・!アナタの元に逃げたあの日・・!
やっと自分の居場所が見つかった・・・!それさえ思ったわ!」

浅漬け5/24 21:38:62211cfwdGUp7imX5Q||81
私は夢中で喋った。戸惑って吃驚している林檎のことも気付かずに。
「流宇香がアイツの子でなくて本当に良かった・・!!あんな奴の子だったら
今頃私、流宇香を虐待していたかもしれない!アイツの面影がきっと何処かに残るのだから!それを考えると本当に怖い・・・!あんなに可愛い子に暴力を振るってしてしまうかもしれないなんて・・・!今、流宇香がアイツの子じゃないってハッキリ言えるのも
アナタの元に逃げてそれからあの子が出来たから!今でも覚えてる・・あの時の嬉しさ・・・!」
成海さんも言わずにただただ黙ってそれを聞いてくれた。

浅漬け5/24 21:40:82211cfwdGUp7imX5Q||532
「流宇香の名前を2人で決めたよね・・・!一生懸命2人で育ててたよね・・・!本当に
有り難う・・・!そして・・・ごめんなさい・・・」
私の話が終わった後、成海は詰まった声で、私にこう言った。
「ごめんな・・・よく頑張ったよ。雪架。ここまで話すのがどんなに辛いか
僕には分からないけど・・・でも やっと自由になったね・・・」
「成海さん・!」
成海は私を抱きしめてくれた。暖かくて強い腕だった。
林檎は溢れる私の涙を舐めてくれた。林檎・・・成海さん・・有り難う・・・!

浅漬け5/24 21:44:172211cfwdGUp7imX5Q||366
「雪架。聞いてくれ。馬鹿げてるかもしれないけど・・大切な話なんだ。」
「なぁに?」
「アイツとの離婚が正式に決まったら・・・結婚してくれ。今度は ちゃんと。」
・・・・!!!かつでここまで嬉しいことがあっただろうか。幸せが私を満たしている。
どうやって返事をすればいいのか分からない。でも自然に私の口が動いていた。
「・・・・はい・・・・。」
「本当か・・・!雪架・・・!」

浅漬け5/24 21:44:382211cfwdGUp7imX5Q||637
その瞬間だった。目の前にぱぁっ・・・と。光が射し込んできた。
「え・・・?」
目の前に一人の男の人が見えた。優しそうで 落ち着いてて、何よりも  誰よりも
愛している 見慣れた男性。 彼は 成海。
「成海・・・・!!!私・・目が・・・目が見える・・・!!!」
「え!?・・・雪架・・僕が見えるのかい・・・?」
「えぇ!・・成海・・有り難う・・本当に・・有が・・と・・うっ・・」
それから後は声にならなかった。愛する人の姿がやっと目に見えて これ以上どんな幸せがあるというのだろう。

浅漬け5/24 21:45:172211cfwdGUp7imX5Q||792
林檎も見える・・・!今更だが、なんて可愛いのだろう・・!
「林檎・・ママ、目が見えるよ・・目が見えるよ・・・!」
林檎が私をぺろぺろなめてくる。あぁ・・林檎・・・!成海・・・!
そしてこの時 思いもかけない事が起こった。
トゥルルルルルルルル・・・・電話の音が鳴っている。
「電話・・成海さんとってきてくれないかしら?」
「あぁ。・・・もしもし?」
「こちら、鳥風総合病院です!流宇香ちゃんの・・意識が戻りました・・・・!!!」

浅漬け5/24 21:45:302211cfwdGUp7imX5Q||739
「・・・・!本当ですか・・・!?」
「それをお伝えしようと思って、電話をさせていただいた次第です!こちらに今すぐ来て頂けるでしょうか?お待ちしております!でわ。」
カチャン・・・
「どうしたの?成海。」
「流宇香の・・・!流宇香の意識が・・・!戻ったって・・・!!」
「・・・・!!!本当・・・?それ・・・!」
「あぁ!嘘じゃない!本当だ・・・!!病院に行こう・・!」
私たちは急いで家を出た。林檎を連れて。

浅漬け5/24 21:46:302211cfwdGUp7imX5Q||142
車に乗り込む。急いでアクセルを踏んで、私たちは病院へ出発した。

「着いた!急ごう!」
期待と不安が頭をよぎる。本当に意識が戻ったのかしら・・
もしかして嘘だったり・・・
そんな事を考えながら病院の扉をくぐった。

「水月流宇香の父です!先ほどお電話を頂いてこちらに伺いました!
「分かりました。445室です。流宇香ちゃん、お待ちしておりますよ!
それと、・・今日だけはペット同伴でいい事に致します。院長には内緒ですよ!」

浅漬け5/24 21:47:02211cfwdGUp7imX5Q||660
「有り難う!さぁ行こう!」
事情を知らない看護婦が「ペット」と言ったのも気にせずに
成海と私は急いだ。流宇香に会うために。
「流宇香!!!」
「ぱぱー!ままー!!」
感動で胸がいっぱいになった。流宇香が元気になって、私たちを呼んでいる・・・!
「流宇香ぁ・・・っ!!」
思わず私は抱きついてしまった。あぁ・・今日はなんて幸せな日なのだろう。
記憶も全部戻して、私に光が射し込んで 流宇香がこの目で見れて、意識を戻して・・・!
「ママー!ルウねぇ!お空飛んでたんだよーフワフワしてねー♪
それでねー突然わーっ!てお日様が光ってねー!気付いたらパパとママがいたんだー」

浅漬け5/24 21:47:132211cfwdGUp7imX5Q||737
流宇香にも光が差したんだ・・・!私のように・・
「そっかぁ!流宇香にもお日様が見えたんだねー。」
きっと私の顔は涙でぐちゃぐちゃだろう。成海も目頭を押さえていた。
「先生、この子・・いつ退院できますか?」
「うーん。怪我もなおってるようだしね。一週間後には退院できるでしょう!」
「本当ですか!有難うございます!!流宇香ー。一週間後には病院とバイバイだってー。」
「やったぁ!ままやぱぱとおうちに帰れるんだねー。」
「そうよ・・・あぁ・・流宇香・・・!!!成海・・!林檎・・!」

浅漬け5/24 21:47:332211cfwdGUp7imX5Q||680
「雪架・・・!」

一週間後

「本当に有難うございました・・・なんと言っていいか・・・!」
「いえいえ。こちらこそ有難うございました。流宇香ちゃんがなんで目が覚めたのか
こちらとしてもよく分からないんですが・・」
「いえ。もういいんです。さっ!流宇香!成海!林檎!行こう!」
「・・・なんか今日はやけに張り切ってないかい?」
「うん!だって流宇香が戻ってきた日だもの!お祝いしなくちゃね!
流宇香!病院とバイバイだよ〜。」

浅漬け5/24 21:47:532211cfwdGUp7imX5Q||113
「ばいばーい。」
「それでは!お気をつけて。」
「さようならー・・・。」
私たちは車に乗り込んだ。前は見えなかった朝日が眩しく私たちを照らす。
「光・・・か・・。」
「ん?」
「ううん。何でもない。ただ・・ちょっとね。」
「何だい?教えてよ!」
「いーやっ!ねぇ流宇香!」
前とは比べモノにならない幸せが私を満たしていた。

浅漬け5/24 21:48:142211cfwdGUp7imX5Q||484
いつも普通に見えている目。たどれば必ず分かる記憶。それをいっぺんに無くした私は
抜け殻も同然だった。でも・・愛する人がいて 私の心を少しずつ、解き放ってくれた。
そして 今は目も治って 記憶もちゃんとある。それがどんなに幸せで
どんなに平和なことか、前の私では分からなかっただろう。
・・・ただあんなときに戻るのはもうごめんだけど。
私は素也とも正式に離婚して、今は結婚の準備を進めている。満たされている。
光を探し求めて歩いたその先に、待っていたモノは
愛する家族と私の居場所。最初はあんなに辛かったけど 今はもうそんな事はない。

浅漬け5/24 21:48:322211cfwdGUp7imX5Q||587
大好きな家族。感謝してもしきれない思いが今募っている。
流宇香、林檎 ・・・そして成海。今私が一番に伝えたいこと。小さな言葉だけど
大きな意味。今言いたい。

「成海、流宇香、林檎。光をくれてありがとう。」  

浅漬け5/24 21:49:412211cfwdGUp7imX5Q||282
はい、如何でしたでしょうか!
凄く思い入れの深い作品となりました。
コレで完全に終わります。長い間ご愛読、本当に有難うございました!!
また何処かで成海や雪架に会えるかもしれませんが(笑
でわでわ!

はお5/24 21:50:272224cfmtWoSyy0ORo||22
なんどみても涙がでてきます(TT)

かりんとう5/24 22:16:452182cfuBLmEX4DLvs||666
ほへ〜
やっぱいつ見てもいいですなぁwww

o.y5/24 22:23:52022cfxZlA0FjmEAo||259
何回見ても感動しますね!

パワポケZ5/25 14:52:42206cfdeg1u1Ae/Aw||27
やっぱいいですねぇ^^
感動!!!!

@かおり@5/25 16:43:222181cfKChd5VwuvsA||785
 いいですねぇ感動です(TT)これからも頑張って下さい!浅漬けさん!


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