4090 | 樹海 | 千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:3:47 | 6111cfmi755CkVeWk |
その少年に・・・僕は見覚えがあった。 こちらを不思議そうに見つめる少年の顔を見ていると、懐かしさと物悲しさが同居したような気持ちになってくる。 あれは・・・いつの事だっただろう・・・。 君を知っている・・・知っているんだ。 思い出せないんじゃない。 思い出さなければいけないような気がするのに、思い出す気になれないんだ。 もう少しだけ、そっとしておいてほしい・・・。 そう思う気持ちとは裏腹に、記憶の糸は確実に答えへと向かっていくのを感じる。 どんなに減速しようと試みても、やがてそこへたどり着くであろう確信。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:5:7 | 6111cfmi755CkVeWk||907 | ||
じょじょに、じょじょに。 じょじょに、じょじょに。 なおも、こちらを見つめ続ける少年。 その瞳の奥に、うっすらとゴールが見え始めた時、僕はきまってある衝動に駆られてしまう。 ここにいちゃいけない・・・かえらなければ・・・。 少年は、いまだ僕を見つめている。 まるで時間が止まっているように、さっきまでと同じ、不思議そうな顔で・・・。 少年の持つ疑問と、僕の持つ疑問。 その答えは決して平行線ではないような、そんな気がしていた。 いかなくちゃ・・・。 僕が言ったのだろうか。 それとも彼が言ったのだろうか。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:5:52 | 6111cfmi755CkVeWk||916 | ||
ただ、そう聞こえたようだった。 不意に僕と彼の距離が、少しずつ遠ざかっている事に気がついた。 後ほんの少しで、平行線は交わりをみせようという時・・・。 ここでいつも終わりを迎える事を、何度も見た映画のように僕は知っていた。 さながらクイズの答えをじらすかのように・・・。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:7:33 | 6111cfmi755CkVeWk||544 | ||
1本の樹は、僕に安堵感を与えてくれた。 ここに来たことが、間違いでなかったのではないか。 ここまで来ただけのかいが、あったのではないか。 そう思わせてくれる程、その樹は雄大で、神秘的な魔力に満ち満ちていた。 何千年という時を超え、存在し続けるその樹は、神々しくさえもあった。 しかし、樹のあまりの大きさと、辺りを包み込む霧のせいで、全貌を見る事はかなわなかった。 僕は自分の矮小さを呪った。 さっきまでの安堵感を、自己嫌悪が覆っていくのを感じた。 僕には、ただただ、大きいとしか分からないのだから・・・。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:8:29 | 6111cfmi755CkVeWk||527 | ||
細部の様子はおろか、おおよそさえ僕にはつかむ事ができなかった。 ここまで来て良かった、そう思っていたはずが、いつの間にか、せっかくここまで来たのに・・・という落胆に姿を変えていた。 その場で粘る僕を尻目に、樹はなおも悠然と立ち尽くしている。 僕はまた、歩き続ける事にした。 もう一度だけ樹の方を振り返えってから、僕は深い霧の中を進んで行った。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:9:12 | 6111cfmi755CkVeWk||395 | ||
一体どれだけ歩き続けただろうか。 同じような景色が、僕の横を過ぎ去ったかと思うと、また眼前に広がってゆく。 もしかしたら同じなのかもしれない。 前に進んでいると思ってしまうのは、僕がそう思いたいだけの事。 ずっと同じ場所を彷徨い歩いていたのだろうか。 変化が無くなったのは景色だけではないような気がする。 さざ波一つ無い水面のように、僕の気持ちもまた、景色と同じく変化を見せなくなっていた。 変わらぬ景色を、変わらぬ心で見る意味も無く、僕はうつむきながら歩いて行った。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:10:13 | 6111cfmi755CkVeWk||47 | ||
意味という言葉に、人は特別なこだわりを持つ。 意味があるから、何かを成すんだという。 意味があるから、生きていくんだという。 人をどんな困難にも耐え抜かせ、執念とさえも呼べる力の原動力となるその言霊。 すべての事柄には意味があって、意味があるからこそ存在しうる、ということなのだろうか。 だとしたら、あの大樹がそこに、何千年も存在し続ける意味とはなんだろうか。 僕が彷徨い歩き続ける意味とは、なんなのであろうか。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:10:41 | 6111cfmi755CkVeWk||589 | ||
けれどその答えを出すには、僕の心は磨耗しすぎていた。 僕はもう、考える事をやめた。 そして連動するかのように、僕の足はゆっくりと、その歩みを止めていった。 ここで・・・ここで終わりだ・・・。 ここが僕の最後に見る場所だ・・・。 そう思って僕は顔を上げた。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:11:39 | 6111cfmi755CkVeWk||883 | ||
今までと同じ景色が広がっていた。 特別大きいわけでも、特別小さいわけでもない木々。 ところどころに盛り上りをみせる地面は、登れない程ではなく、かといって気づかない程でもない。 そこへ薄っすらと霧を覆いかぶせ、コケやカビでコーティングすれば、もはやどこの場所とも遜色ない。 何一つとして変わらない。 だけどただ一つ・・・、ただ一つだけ違っていた。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:12:33 | 6111cfmi755CkVeWk||362 | ||
そこには1人の少年が立っていた。 その少年に・・・僕は見覚えがあった・・・。 幾度となく出会った事がある・・・どこかで・・・。 いや、それ以前に、もっとずっと前から知っているような気がする。 彼は僕の方を見つめていた。 僕も彼の方を見つめ返した。不思議と抵抗は無かった。 何度も葛藤したような気がするのに。 僕は答えを知る手段を知っていた。 知っていながら、きっと今までやろうとしなかったんだと思う。 それにもう僕には、逃げ去るだけの力も残ってはいなかった。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:13:21 | 6111cfmi755CkVeWk||297 | ||
長い沈黙の後、少年はとうとう僕に問いかけてきた。 「どうしてそんな顔をしているの?」 僕は答えた。 「僕の歩いてきた長い道のりは、何の意味もなかったからだよ。」と。 それを聞いて少年は、不思議そうだった顔を笑顔に変えて言った。 「何でさ。お兄ちゃんは僕がまだ見てないものをた〜くさん見て、僕がまだ歩いていない場所をた〜くさん歩いてきたじゃないか。」 「え・・・。」 彼のその言葉を聞いた瞬間、僕は思い出すことができた。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:13:58 | 6111cfmi755CkVeWk||183 | ||
この少年は・・・幼い頃の僕だ・・・。 歩き始める前の僕・・・。 たった一人で歩きだす前の、僕の姿だ。 彼は、きっと幼い頃の僕が立てた道しるべ・・・。 もしも、ここに戻ってくるような事があっても、また歩き続けられるよう。 そして歩んできた道のりが、決して無意味ではないと、思い出させるために。 僕は怖かったのだ。 思い出すことが・・・。 そこから一歩も動いていない自分を認めるのが・・・。 でも、そうじゃなかった。 僕はここから動いていないんじゃない。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:14:46 | 6111cfmi755CkVeWk||268 | ||
長い、長い道のりを経て、僕はここへ戻ってきたのだ。 他人から見れば、何一つ成し遂げていないように見えるかもしれない。 一歩もここから動いていないように、見えるかもしれない。 でも僕は思い出すことができた。 意味があるから、歩き続けるんじゃない。 歩き続ける事が意味なんだ。 意味があるから、存在するんじゃない。 存在し続ける事が意味なんだ。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:15:27 | 6111cfmi755CkVeWk||196 | ||
少年はやがて、見つめる先に向かって歩き出すだろう。 その先に待つ意味など考えもせずに。 それでいい・・・。 僕もまた、歩き続けなければならない。 歩き続ける事ができるから、それが僕の歩き続ける意味であり、だからこそ歩き続けなければならない・・・。 |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 2:17:25 | 6111cfmi755CkVeWk||127 | ||
(後書き) なんつーか、人生って樹海を歩ってくよーなもんだなぁ、と思うわけで 前に進んでいるつもりでも、同じところを行き来していたり 抜け出したくたって、抜け出す事なんてできっこない ただ歩き続けるしかない それでなくとも、人生なんて元々楽しいものじゃない だからこそ、楽しまないといけない 少し変わった風景がひらけた時、幹しか見えぬ大樹に出会った時 そんなささいな事に、ささいな喜びを見出すから歩き続けられる 何も成し遂げられなくても、とりあえず歩むしかない。 そんなところを、樹海とかけて表現したかったんですが・・・書くのって難しいですねぇ・・・ |
月兎 | 1/13 3:9:18 | 2202cfdCHz6IUChRI||651 | ||
まぁ〜暇潰しにはなりました。 |
博多ダンディ(兄 | 1/13 4:13:22 | 6122cfoMAVqdadA4U||765 | ||
まぁ私がブラザーの芸板スレに感想書かない理由ってのは大体察しがつくと思うからさ てかブラザーが私の芸板スレに感想書かない理由ってのも私は分かってるつもりだしさ お互いいつもあえて何も言わない理由がさ だからまぁ今回もそうだと考えちくり あと月兎って人けっこう無視られてますね色んな人に 存在価値ないと見なされてるんじゃにゃーですか? とついでながらいじめてみる |
月兎 | 1/13 5:49:59 | 2202cfdCHz6IUChRI||671 | ||
うふふ。あちきいじめられてるのぉ〜。しゅん。。。 存在価値かぁ〜、樹海にマヨってしまうかも?ってぐらい無いかもねぇ〜。 無視って一番ヒドイと思います。無視はダメ、ゼッタイ。 でも無視しないでくれてありがとうございマイケル♪ ちゅ〜感じで暇だわな。あぁ〜〜〜むにゃむにゃ。 |
marinoe | 1/13 10:45:59 | 2202cf1C7RcvlML0I||542 | ||
ダン様、おはようございます。 言葉も無く、頭を垂れて、行くだけなのが一番な気もするのですが・・・ 私が一番最初に読んだ本というのが、 佐藤さとるの『誰も知らない小さな国』でした。 未だにその世界が一番好きでそこら辺をうろつき彷徨っているんですが その原風景には、やはり樹がしっかりと根付いています。 この本をもう一度読み返したくなるくらい、 懐かしくって、ちょっと切ない気持になってしまいました。 ぐるぐる意味も無く、回り続けるのは結構得意です。 |
*ローゼン* | 1/13 15:49:11 | 2031cfJ0yIjsTLEco||434 | ||
月兎って名前・・・前、私の友達が「私が子供生んだら月兎って名づけよ〜」って言ってました・・・。ゲットって読むんですよね・・・ |
千葉ダンディ(弟 | 1/13 22:55:23 | 6121cfbueEGDxlicI||222 | ||
感想どうもです 恐らくその人の作品とは似ても似つかないでしょうけれど・・・ ですが温かいお言葉いただきうれしいです きっと回れば回っただけ、何かプラスになっていますよ 足腰が強くなってたりとか と真面目な顔を維持できないタイプを露呈 |
銀月 | 1/14 13:25:42 | 2182cfLMvpixotkc6||618 | ||
だんさんは詩だけじゃなくて、文章の才もあったんですな(o^-^o) 意味はあるからどうこうではなく、後からついてくるものではないかな と思い出したこの頃です。 足腰が強くなれば、遠い場所へも歩いていけるんじゃないかな。 と、ちょっといい方向へ・・・。 素敵な翠の風をありがとう*^^* |
男のダンディズム | 1/14 22:6:25 | 2111cf7wSRGnEKFu6||965 | ||
とてもいいフォローありがとうです 銀さんに近い意見でっす ただ意味って言葉自体はあまり好きでないですが・・・変人なもので・・・ これからも変人の文をたまに読んでくれると幸いです どうも |
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