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4437輝く草原にて影海2/26 3:54:556034cf7ZBpUQgttqY
刻は黄昏。
黄金色に波打つ草原に、人影がふたつ。

ひとりは男。その手には淡く燐光を放つ杖。
ひとりは女。両手にしかと握られた、身の丈よりも巨大な剣。

ひゅう、と一陣の風が静寂を攫ってゆく。

――始まりは、何の前触れもなく。
女のたった一歩の踏み込みは、普通に歩けば十歩の距離を、一瞬でゼロに縮める。

その速度と、超重量の大剣が織り成す衝撃はいかほどか。
ソレは真っ直ぐに、男の脳天を打ち据えんと振り下ろされる。

「  」

男は何事かを呟く。

刹那、ガラスがひび割れるような鈍い音。
それは男の頭蓋が砕けた音ではなく、そのわずか十センチ足らずの位置で初撃が止まった音だった。

影海2/26 3:55:266034cf7ZBpUQgttqY||574
男が呟いたのは結界の言霊。全ての物理的干渉を撥ね退ける、絶対魔力障壁――。
その力場に易々と傷をつけることは、並みの破壊では成し得ない。

「  」

男はもう一度呟く。今度は二重に。

同時に女の体が沈む。剣の自重と遠心力、ゼロ距離での一回転。
迅さではなく、重さに意識を置いた渾身の第二撃。

「  」

激突の瞬間、男はさらに壁を重ねる。
剣は傷ついた最初の障壁を通り抜け、二枚目を叩き割り、三枚目と四枚目に突き刺さって止まった。最後の一枚がなければ、彼の身体は骨ごと叩き折られていただろう。

女は大剣を引き抜く、と同時に振りかぶる。しかしその一瞬が隙を生む。
魔術師は杖を突き出して叫んだ。

影海2/26 3:58:436034cf7ZBpUQgttqY||929
「     」

蛍のようだった燐光が眩く輝き、それはそのまま洪水となって女剣士を呑み込んだ。
燃え盛る焔よりも熱い、質量を伴う光の渦。

光量がおさまった頃には、野性に近い勘で横に飛びのいたとはいえ、彼女の半身は赤黒く爛れていた。意識はすでに無いも同然だった。
――それでも、カラダが覚えている。
剣を握り締める感覚。
踏み込みは小さく、それでいて深く。
何千何万と繰り返した動作には、一分の淀みもない。

影海2/26 4:4:226034cf7ZBpUQgttqY||519
彼女はただ肉体が動くままに、魔術師の首を刎ね飛ばした。

男の首は僅かの時間を宙に舞い、そして焦土と化した大地へ還る。
女の意識もまた高みへ引き上げられ、遂にその力を失った体は地面へ倒れ伏した。


――彼らの亡骸は未だそこに眠る、という。

遥か、昔の話である。

影海2/26 4:13:76034cf7ZBpUQgttqY||353
あとがき?のようなもの。

…こんなの小説でもありませんね。ただの描写、とでも言うのでしょうか。
漢字が難しいかもしれないので、「この漢字なんて読むの〜」ってな質問から感想まで、少しでも頂けたらうれしいです(^_^)

ではでは。


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