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4698―サザンライド大冒険日記―第十二章sIs3/21 17:53:56121cfpcrV.0sJ6FI
最近小説が手放し気味になっています。久々に詩でも書こうかなぁ・・・

過去のお話  http://kamakura.cool.ne.jp/kadukiria/
入口→創作活動→sIsより閲覧可能です。

他のお二方の小説も面白いので、是非読んで下さい。

第十二章 『動物の内臓ってさぁ、うまいわけ?』

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十字暦1000年4月23日午前3時頃、リノルダム西の塔地下三階―――――

 キドーが見たもの―――
―――生々しい血を大量に見たこと(「あたしも見たわよ」とリディ)。男が食事をしていたこと(「それがどうかした?」とまたリディ)。その食料が、動物の内臓だったこと(「で?」とリディ)。死体の腹が真っ二つに裂けていて中身が見えたこと。その中身の内臓がヒクヒク動いていたこと―――
 ようするにグロかった、ということだろう。それはリディにも何となく分かった。だが、キドーのことだから少し大袈裟な表現もあるだろう。

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「何だ・・・そんなことか・・・っの馬鹿衛兵!

リディが怒鳴る。そして、喉元に突きつけられていた剣の切っ先を上手く避けて、魔札を取り出す。今度は「土」の絵だ。

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「そんなことで叫ぶんじゃないわよ、キドー!『アーシズ』!」

怒鳴りながら呪文を唱える。リディの声が地下三階一面に響き渡る。が・・・
何も来ない。石ころ一つさえ飛んでこない。

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「あ・・・あれぇ?」

リディは驚いている。それもそうだ。
 魔札は余程の事がない限り失敗することはない。魔力さえあればどんなに弱々しくとも何か効果は出る。

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「・・・?何だ、今のは。威勢だけはいい女だな

男はリディを嘲る。が、リディはそれに構わずもう一枚の魔札を取り出す。
しかし、もう土の魔札はないらしい。緑色、「風」の絵が描かれた魔札を取り出す。

「もう一回、サイクロ・・・」

リディは唱えるのをやめる。キドーも異変に気付く。
男は気付かないらしい。こいつも鈍くさい。っていうか、あほらしい。

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「何だ、怖気づいたのか?張り合いのない奴ら・・・!」

男もようやく異変に気付く。外見は若いが、意外と老けてるのかもしれない。
 何やらうるさい。地鳴りのような感じだが、それにしては規模が大きいような・・・。そしてキドーはダースの昔話を思い出す。

リノルダム地方は、地震が多いことでも有名だ。

 そう、これは地震なのだ。ちょっと大きいが。

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「地震程度で怖がってるのか?王家も落ちたも・・・・!」

ここで男が喋らなくなった。いや、喋れないのだ。何しろ、ものすごい揺れに見舞われていて、体のコントロールが出来ないのだから
 しかし、揺れていてダメージを受けているのは、不思議にも男だけ。何かおかしいような。地震って、そんなもんだっけ?違うよな。

「あ・・・これか・・・」

リディは使えなくなって床に捨てていた土の魔札を拾う。キドーも納得がいった。

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 この地震は、リディが意図的に呼び出したものだ。『アーシズ』の呪文で。証拠は、男だけがダメージを受けていること。リディは平気で立てている(キドーは足を怪我していて立てない)。
 男はまだ揺れている。第三者から見ればとても可笑しい場面間違いなしだろう。しかし男は苦痛の顔。二人を鋭い目つきで睨んでいる。
 もう勝ち負けは決まった。勿論二人(今回はリディ)の勝ちだ。そして、リディは火の魔札でとどめを刺そうとする。が・・・

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「全く、まだ完全体でもないのに、こんな遠くまで来ちゃあダメでしょう。これまで何度言い聞かせてきたと思ってるんですか?レイバー様」

どこかで聞いたことのあるトーンの声。リディもキドーも思わず目を見開く。

「お前は・・・あのときの・・・・」

キドーは驚きのあまり声もまともに出せない。
 そして声の主がキドー達に気付く。

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「おやぁ、これはこれは、サザンライド国王の近衛兵さんと、王女さんではないですか。そういや一週間前でしたねぇ。国王はどうしてますかねぇ?」

これを聞いて皆さんもお分かりになっていただけると思う。
 声の主。それは、八日前の朝、千年祭の開催時に王に薬を盛った張本人で、しかもキドーと戦ってまでいる、あの男だった。

sIs3/21 17:55:536121cfpcrV.0sJ6FI||987

「オイ、何の用だ、ザベル。俺はお前を呼んでなどいない」

レイバーが言う。

「まぁまぁ、そうカッカしなさんなって。時間がないから、必死で探して見つけたところなのに、そりゃないでしょう。まさか肥大化したフォレストラットを食いに行ってるなんて、思いもしませんでしたよ」
「うるせぇよ。神殿の食い物はロクなものがないからな。新鮮な食料を頂に来てもいいだろがボケ」

レイバーは怪我をしているというのに力む。リディ並の意地っ張りだ。

sIs3/21 17:56:106121cfpcrV.0sJ6FI||620

「もういいですから、早く帰りましょう。儀式の準備ならもうすぐ整いますしね。それに、もう邪魔が入ってきたでしょう」
「ケッ、もうちっとで決着がついたのによ」
「あんたの負けでね」

レイバーとザベルの会話にリディが突っ込む。キドーが「ナイスツッコミ!」と言ったのはいうまでもない。
 レイバーは冷たい目で睨む。リディはちょっと怯む。

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「それじゃ、帰りましょうか。あ、そこのお二人さん、縁があればまた」

ザベルはそう言って空中にジャンプする。レイバーもジャンプする。と、二人とも消えた
そして、消えたところから、レイバーの声がする。

「ケケケケ、面倒だから、次に会うまでに死.ねよ。いちいち殺すのも面倒だしな。そっちの女は特に早く死.ね。俺は王家が大嫌いだからな・・・・ケケケ」

ちょっと意味が分からない。っていうか、寧ろもう一度リピートして頂けませんか?って感じだ。

sIs3/21 17:56:406121cfpcrV.0sJ6FI||82

「・・・ふぅ。助けてくれてありがと、キドー」
「・・・助けたのはお前じゃねぇのか?」
「そうかもね・・・ふ・・・わぁ・・ぁぁ」

リディが欠伸をする。そして、血で汚れていない床に寝転ぶ。まぁ、よくもこんなところで無防備に寝れるものだ。リディの神経には毎回驚かされる。

「眠いから寝るわね。あんたは鏡取るまで寝ちゃダメよ」

リディが王女の特権を活かしてキドーに命令する。そして、リディは眠り始めた。

sIs3/21 17:56:586121cfpcrV.0sJ6FI||904

(・・・ったく・・・)

キドーは呆れる。
 最初の「お弁当の用意」から何となく感づいていたが、どうもリディはキドーを小バカにしているらしい。平民出身で、しかも鈍くさいから、とリディは言いそうだが、それ程鈍くさくはない(と本人は思っている)。

sIs3/21 17:57:186121cfpcrV.0sJ6FI||350
 しかし、今回はリディの活躍で助かったのだから、少しは優遇してもいいだろう。今回だけ。
 フロアの奥、死体の横にドアがあった。キドーはそれを開けて中に入る。同時に寒気がする。思わず震える。
 部屋の真ん中、小奇麗な台座に置かれていた鏡を手に取る。ようやく鏡が手に入った。かなり大きな銅鏡だ。っていうか、何これ。重っ。さっきのツボといい勝負で重い。
 キドーはそれを鞄の中に入れる。実は旅が始まってからずっと鞄を持っていたのだ。
 鏡が置いてある部屋から出てくると、リディはもう寝ていた。まぁ、体力的にきつかったのであろう。何しろずっと動きっぱなしだったのだ。

sIs3/21 17:57:336121cfpcrV.0sJ6FI||119
 そして、キドーはもう一つやり忘れていたことに気付く。
(ザベルって奴は確か『肥大化したフォレストラット』と言っていたな。ってことは、これがあの方言爺さんのペットか。
・・・無残だな。っていうかグロい。やっぱ苦手だぁ。内臓だけ食うなんてことするなよな)
キドーはそんな事を考えながら、死体の前に膝をついて、目を瞑って黙祷した。
やがて、目を開けると、自分もリディと同じように寝転がった。

sIs3/21 17:57:476121cfpcrV.0sJ6FI||840
〜作者の独り言〜
ついに序盤のお話終了です。長かったですねぇ。すみません。
さて、皆さんはお気づきになられたでしょうか。え、何がって?
この章から、やたらスペース入ってませんか?台詞とナレーションの間。見やすくするためです。スクロールバー小さくなってなきゃいいけど。
 次の章からは
『海の向こうの旅編』
が始まります。あまり海出てきませんが。
この章をパソに書き込むだけで3分の音楽を20回(つまり1時間)聞いちゃったよ(笑)


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