4698 | ―サザンライド大冒険日記―第十二章 | sIs | 3/21 17:53:5 | 6121cfpcrV.0sJ6FI |
最近小説が手放し気味になっています。久々に詩でも書こうかなぁ・・・ 過去のお話 http://kamakura.cool.ne.jp/kadukiria/ 入口→創作活動→sIsより閲覧可能です。 他のお二方の小説も面白いので、是非読んで下さい。 第十二章 『動物の内臓ってさぁ、うまいわけ?』 |
sIs | 3/21 17:53:30 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||935 | ||
十字暦1000年4月23日午前3時頃、リノルダム西の塔地下三階――――― キドーが見たもの――― ―――生々しい血を大量に見たこと(「あたしも見たわよ」とリディ)。男が食事をしていたこと(「それがどうかした?」とまたリディ)。その食料が、動物の内臓だったこと(「で?」とリディ)。死体の腹が真っ二つに裂けていて中身が見えたこと。その中身の内臓がヒクヒク動いていたこと――― ようするにグロかった、ということだろう。それはリディにも何となく分かった。だが、キドーのことだから少し大袈裟な表現もあるだろう。 |
sIs | 3/21 17:53:42 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||845 | ||
「何だ・・・そんなことか・・・っの馬鹿衛兵!」 リディが怒鳴る。そして、喉元に突きつけられていた剣の切っ先を上手く避けて、魔札を取り出す。今度は「土」の絵だ。 |
sIs | 3/21 17:53:55 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||918 | ||
「そんなことで叫ぶんじゃないわよ、キドー!『アーシズ』!」 怒鳴りながら呪文を唱える。リディの声が地下三階一面に響き渡る。が・・・ 何も来ない。石ころ一つさえ飛んでこない。 |
sIs | 3/21 17:54:5 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||943 | ||
「あ・・・あれぇ?」 リディは驚いている。それもそうだ。 魔札は余程の事がない限り失敗することはない。魔力さえあればどんなに弱々しくとも何か効果は出る。 |
sIs | 3/21 17:54:16 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||346 | ||
「・・・?何だ、今のは。威勢だけはいい女だな」 男はリディを嘲る。が、リディはそれに構わずもう一枚の魔札を取り出す。 しかし、もう土の魔札はないらしい。緑色、「風」の絵が描かれた魔札を取り出す。 「もう一回、サイクロ・・・」 リディは唱えるのをやめる。キドーも異変に気付く。 男は気付かないらしい。こいつも鈍くさい。っていうか、あほらしい。 |
sIs | 3/21 17:54:43 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||921 | ||
「何だ、怖気づいたのか?張り合いのない奴ら・・・!」 男もようやく異変に気付く。外見は若いが、意外と老けてるのかもしれない。 何やらうるさい。地鳴りのような感じだが、それにしては規模が大きいような・・・。そしてキドーはダースの昔話を思い出す。 リノルダム地方は、地震が多いことでも有名だ。 そう、これは地震なのだ。ちょっと大きいが。 |
sIs | 3/21 17:54:56 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||377 | ||
「地震程度で怖がってるのか?王家も落ちたも・・・・!」 ここで男が喋らなくなった。いや、喋れないのだ。何しろ、ものすごい揺れに見舞われていて、体のコントロールが出来ないのだから。 しかし、揺れていてダメージを受けているのは、不思議にも男だけ。何かおかしいような。地震って、そんなもんだっけ?違うよな。 「あ・・・これか・・・」 リディは使えなくなって床に捨てていた土の魔札を拾う。キドーも納得がいった。 |
sIs | 3/21 17:55:8 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||977 | ||
この地震は、リディが意図的に呼び出したものだ。『アーシズ』の呪文で。証拠は、男だけがダメージを受けていること。リディは平気で立てている(キドーは足を怪我していて立てない)。 男はまだ揺れている。第三者から見ればとても可笑しい場面間違いなしだろう。しかし男は苦痛の顔。二人を鋭い目つきで睨んでいる。 もう勝ち負けは決まった。勿論二人(今回はリディ)の勝ちだ。そして、リディは火の魔札でとどめを刺そうとする。が・・・ |
sIs | 3/21 17:55:24 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||29 | ||
「全く、まだ完全体でもないのに、こんな遠くまで来ちゃあダメでしょう。これまで何度言い聞かせてきたと思ってるんですか?レイバー様」 どこかで聞いたことのあるトーンの声。リディもキドーも思わず目を見開く。 「お前は・・・あのときの・・・・」 キドーは驚きのあまり声もまともに出せない。 そして声の主がキドー達に気付く。 |
sIs | 3/21 17:55:39 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||751 | ||
「おやぁ、これはこれは、サザンライド国王の近衛兵さんと、王女さんではないですか。そういや一週間前でしたねぇ。国王はどうしてますかねぇ?」 これを聞いて皆さんもお分かりになっていただけると思う。 声の主。それは、八日前の朝、千年祭の開催時に王に薬を盛った張本人で、しかもキドーと戦ってまでいる、あの男だった。 |
sIs | 3/21 17:55:53 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||987 | ||
「オイ、何の用だ、ザベル。俺はお前を呼んでなどいない」 レイバーが言う。 「まぁまぁ、そうカッカしなさんなって。時間がないから、必死で探して見つけたところなのに、そりゃないでしょう。まさか肥大化したフォレストラットを食いに行ってるなんて、思いもしませんでしたよ」 「うるせぇよ。神殿の食い物はロクなものがないからな。新鮮な食料を頂に来てもいいだろがボケ」 レイバーは怪我をしているというのに力む。リディ並の意地っ張りだ。 |
sIs | 3/21 17:56:10 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||620 | ||
「もういいですから、早く帰りましょう。儀式の準備ならもうすぐ整いますしね。それに、もう邪魔が入ってきたでしょう」 「ケッ、もうちっとで決着がついたのによ」 「あんたの負けでね」 レイバーとザベルの会話にリディが突っ込む。キドーが「ナイスツッコミ!」と言ったのはいうまでもない。 レイバーは冷たい目で睨む。リディはちょっと怯む。 |
sIs | 3/21 17:56:24 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||899 | ||
「それじゃ、帰りましょうか。あ、そこのお二人さん、縁があればまた」 ザベルはそう言って空中にジャンプする。レイバーもジャンプする。と、二人とも消えた。 そして、消えたところから、レイバーの声がする。 「ケケケケ、面倒だから、次に会うまでに死.ねよ。いちいち殺すのも面倒だしな。そっちの女は特に早く死.ね。俺は王家が大嫌いだからな・・・・ケケケ」 ちょっと意味が分からない。っていうか、寧ろもう一度リピートして頂けませんか?って感じだ。 |
sIs | 3/21 17:56:40 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||82 | ||
「・・・ふぅ。助けてくれてありがと、キドー」 「・・・助けたのはお前じゃねぇのか?」 「そうかもね・・・ふ・・・わぁ・・ぁぁ」 リディが欠伸をする。そして、血で汚れていない床に寝転ぶ。まぁ、よくもこんなところで無防備に寝れるものだ。リディの神経には毎回驚かされる。 「眠いから寝るわね。あんたは鏡取るまで寝ちゃダメよ」 リディが王女の特権を活かしてキドーに命令する。そして、リディは眠り始めた。 |
sIs | 3/21 17:56:58 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||904 | ||
(・・・ったく・・・) キドーは呆れる。 最初の「お弁当の用意」から何となく感づいていたが、どうもリディはキドーを小バカにしているらしい。平民出身で、しかも鈍くさいから、とリディは言いそうだが、それ程鈍くさくはない(と本人は思っている)。 |
sIs | 3/21 17:57:18 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||350 | ||
しかし、今回はリディの活躍で助かったのだから、少しは優遇してもいいだろう。今回だけ。 フロアの奥、死体の横にドアがあった。キドーはそれを開けて中に入る。同時に寒気がする。思わず震える。 部屋の真ん中、小奇麗な台座に置かれていた鏡を手に取る。ようやく鏡が手に入った。かなり大きな銅鏡だ。っていうか、何これ。重っ。さっきのツボといい勝負で重い。 キドーはそれを鞄の中に入れる。実は旅が始まってからずっと鞄を持っていたのだ。 鏡が置いてある部屋から出てくると、リディはもう寝ていた。まぁ、体力的にきつかったのであろう。何しろずっと動きっぱなしだったのだ。 |
sIs | 3/21 17:57:33 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||119 | ||
そして、キドーはもう一つやり忘れていたことに気付く。 (ザベルって奴は確か『肥大化したフォレストラット』と言っていたな。ってことは、これがあの方言爺さんのペットか。 ・・・無残だな。っていうかグロい。やっぱ苦手だぁ。内臓だけ食うなんてことするなよな) キドーはそんな事を考えながら、死体の前に膝をついて、目を瞑って黙祷した。 やがて、目を開けると、自分もリディと同じように寝転がった。 |
sIs | 3/21 17:57:47 | 6121cfpcrV.0sJ6FI||840 | ||
〜作者の独り言〜 ついに序盤のお話終了です。長かったですねぇ。すみません。 さて、皆さんはお気づきになられたでしょうか。え、何がって? この章から、やたらスペース入ってませんか?台詞とナレーションの間。見やすくするためです。スクロールバー小さくなってなきゃいいけど。 次の章からは 『海の向こうの旅編』 が始まります。あまり海出てきませんが。 この章をパソに書き込むだけで3分の音楽を20回(つまり1時間)聞いちゃったよ(笑) |
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