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5448―サザンライド大冒険日記―第二十四章sIs5/23 17:55:252182cf9tXTCvemDjk
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一章〜十九章までは、二十章にURLが載っています。
尚、十一章までは過去スレではございませんのでご了承を。

第二十四章 「シヅオカ家と五人と茶畑と」

sIs5/23 17:55:542182cf9tXTCvemDjk||404
―――・・・ここは・・・どこ?
私は・・・何をしてるの―――?この感覚は―――何・・・?
―――・・・痛っ―――

”君は死んだんだよ”

sIs5/23 17:56:262182cf9tXTCvemDjk||727

―――・・・誰?誰なの―――?
その声は・・・誰?―――

”私に名前や姿は無い”

―――死んだって、誰が・・・?

”君が、さ”

―――・・・どうして・・・?

”君の住んでいた街が爆破されて、それに巻き込まれたからさ”

sIs5/23 17:57:92182cf9tXTCvemDjk||708

―――ラグラストが、・・・爆破された・・・?
・・・嘘よ―――そんな事は絶対・・・

ここには「有り得ない」という言葉は存在しない

―――・・・。

”君が帰る場所はもうない。しかし、行くところならある”

―――・・・それは・・・どこ?

”私のいる世界さ”

sIs5/23 17:58:212182cf9tXTCvemDjk||16

―――・・・それって、つまり「死後の世界」ってこと・・・?

”そう・・・かもな。どちらにしろ、早く来たほうが楽になれる。どうせ君は生き返られないのだ。早くここに来て楽になったほうが得だ”

―――でも、行きたくない・・・。

”我侭を言っている暇はないぞ”

―――・・・。
・・・分かったわ、行きましょう。その代わり、そちらでの生活は保障されるのでしょうね?

”それは私にも分からないな。全ては来次第決まることだ”

sIs5/23 17:58:242182cf9tXTCvemDjk||548
―――変な人ね、貴方は・・・。

”私は人ではないぞ”

―――分かってるわ。だって・・・私の瞳で見抜けないものはないもの

”随分な自信だな。なかなか有望だ”

―――何の有望かしら・・・?
楽しみね・・・―――。


sIs5/23 17:58:422182cf9tXTCvemDjk||427
こうして、ラグラスト大祭司エミリアは、その短い生涯に幕を閉じた。

sIs5/23 17:58:582182cf9tXTCvemDjk||525
十字暦1000年5月10日午前11時頃、シヅオカ家茶畑―――――

「八十八夜も過ぎて、暑くなってきたなぁ。そろそろお茶も美味いのが採れる頃だな」

半袖に半ズボン、そして麦わら帽子を被った少年が呟く。
彼の遥か上空からは沢山の太陽光が降り注ぎ、彼の肌を確実に黒くしていく。

そういえば、そろそろリュウロクの爺ちゃんが来る頃だな。今日は沢山収穫しねぇとな」

そういうと、彼は背中に籠を背負い、広大な茶畑の中に入っていった。

sIs5/23 17:59:152182cf9tXTCvemDjk||861
山裾の一面に広がる彼と彼の父親の茶畑は、サザンライド国内でも随一大きい。
しかし、その四分の一ほどは自分達が飲む用の畑だったりする。
だからそんなに裕福でもない。しかし、彼は別に裕福になりたいとも思っていない。

sIs5/23 17:59:262182cf9tXTCvemDjk||412

「そういえば、あの人たち起きたかな?三日前に突然空から降ってきたけど・・・大丈夫かどうかさえ分からないよな、あれじゃ」


sIs5/23 17:59:402182cf9tXTCvemDjk||9
リディは眠っていた。夢を見ていた。
雷が城の上で鳴っている。城には一応避雷針があるが、それでも何だか心配だ。
決して口に出したことはないが、リディはネズミの他に雷も嫌いなのだ。
そんな自分が情けない、と思う。キドーよりも弱くなる時間が一瞬でもあるなんて、と思う。
そう思いながら部屋の隅で少し震えている彼女の後ろで、ドアが開く音がする。

「リディ、大丈夫か?雷ぐらいで部屋の隅に縮こまったら駄目じゃないか」

彼女は後ろを振り返る。
そこにいたのは、彼女の肉親である国王。

sIs5/23 17:59:592182cf9tXTCvemDjk||10

お、お父様・・・?どうして?まだ起きてないはずなのに・・・)

と思ったところで目が覚めた。

sIs5/23 18:0:132182cf9tXTCvemDjk||403

「・・・おっ、起きたか。いやいや、二度と目が覚めないんじゃないかと思って心配してたんだが、良かった」

中年の男の声がする。目の前に立っている男だろうか。
リディは目を擦って、その人物をしっかり見ようとした。

「貴方は・・・誰・・・?」

少し頭痛がする中、リディはそう言う。

sIs5/23 18:0:262182cf9tXTCvemDjk||721

「わしゃあキュウスだよ。君こそ誰だね?」
「私は・・・リディ・・・。ここは・・・どこ?」
「わしの家だよ。ラグラストの少し北かな」


sIs5/23 18:0:412182cf9tXTCvemDjk||788
・・・ラグラストの少し北?
リディは下を向いて考える。
私はラグラストでキドーとシノとアバルトとトリスとキャストと・・・と・・・何してたんだっけ・・・
とにかく何かをしてて、そしたらいつの間にかここにいたんだ。
何か抜けてる・・・?

上を向いてみると、キュウスの姿がなくなっていた。

sIs5/23 18:0:562182cf9tXTCvemDjk||673

「・・・?どこ行ったんだろ?」

取りあえず水が飲みたいと思い、ベッドから降りて水道まで行こうとする。
が、降りられない。
・・・床の上で寝ていたのか?違う、確かにベッドなんだけど・・・?

彼女が寝ていたのは「布団」である。
茶畑から布団まで、和風の匂いが強い家はサザンライドでは珍しい。


sIs5/23 18:1:92182cf9tXTCvemDjk||993
取りあえず立って、水道まで行く。
勝手に飲んで良いのかどうか分からないが、まぁ王女だから許されるだろう。

流しに溜まっている水を掬い、飲んでみる。
かなり冷たくて、気持ちがいい。
リディは思わず夢中になって沢山飲む。

sIs5/23 18:1:302182cf9tXTCvemDjk||825

「こらこら、水を飲むときは許可を貰わなきゃ」

ふと後ろを振り返ると、キュウスと、彼女と同い年ぐらいの少年がいた。

「こっちはわしの息子、チャバ。仲良くしてやってくれな」
「やっと起きたかぁ。心配してたんだけど、良かった」


sIs5/23 18:1:452182cf9tXTCvemDjk||739
キュウスと似たようなことを言って安心するチャバ。
この親にしてこの子あり、とはよく言ったものだ。

「ところでリディ、君はどうしてこんな所に?」

キュウスが呼び捨てで呼ぶが、頭痛のせいでどうでもいいように感じる。

sIs5/23 18:1:572182cf9tXTCvemDjk||184

「分からない。ラグラストにいたはずなんだけど・・・」
「おいら、二日前にラグラスト行ったけど、全部なくなってたぞ?」
「チャバ・・・君、なくなっていたってどういうこと?」

いくら王女とはいえ、ここは最低限の礼儀として呼び捨てはやめた。

sIs5/23 18:2:152182cf9tXTCvemDjk||926

「何ていうか、廃墟って言うのかな?爆発した後のような感じだったぞ」

・・・爆発?廃墟?全部なくなっていた?
リディは考えるが、そこで大事なことを思い出す。
一番聞かなければならない大事なこと。今まで忘れてたけど。

「私の他に五人いたでしょう?どこにいるの?」

リディの質問にキュウスが首をかしげる。

sIs5/23 18:2:312182cf9tXTCvemDjk||407

「五人?君の他にいるのは四人だけだよ」

・・・。
リディの顔が一気に青ざめた。

―――キドーとかだったらどうしようか。それだけは非常に困る。
アイツには鏡を渡している。アレがこの旅の目的なのだ。
あ、トリスとキャストはどうでもいいや。勝手についてきただけだし

「どこにいるの?」

動揺を隠そうと必死に質問する。

sIs5/23 18:2:542182cf9tXTCvemDjk||905

「外でのんびりしてるよ。怪我してたのに、危ない外で過ごすとはなぁ」

チャバが言うや否や、リディはいきなり走り出し、外に出る。
その顔には冷や汗が伝う。

―――キドーだけは絶対にいますように・・・!

そんな心配も杞憂に終わった。
なぜなら、目の前に見慣れた金髪があったからだ。

「ぅぎゃぁっ!?」

叫びとも分からぬ大声を出して、リディが急ブレーキをした。

sIs5/23 18:3:102182cf9tXTCvemDjk||724

「お、リディだ。やっと起きたのか」

どこか寝ぼけたような声、嫌というほど視界に入った金髪、そして顔を見る。
その人物はやはり・・・

「キドーっ!」
「んぁ?うるせぇよ。傷に響くっつーのに」

そんなのどうでもいいってば。
リディは心の中で突っ込んだ。ぶっちゃけ、彼女はキドーが死んでも鏡が大丈夫なら結果オーライだと思っている。
さっすが黒い王女リディ。考えることに白いことは皆無。

sIs5/23 18:3:322182cf9tXTCvemDjk||560

「えっと・・・他の三人は?」

キドーの他に誰がいるのかが気になる。

「シノは向こうで茶を観察してる。アバルトは・・・あ、アイツ寝てやがる。後はトリスなんだけど・・・アレ、いねぇな」

キドーは辺りを見回し始めた。
ところが、それと同時に叫び声が民家から聞こえた。

キャストー、出てこないと殴るわよぉー!

この金属音みたいな声は勿論トリスだ。
ということは、キャストだけがどこか別の場所へ吹き飛んだわけだ。

sIs5/23 18:4:22182cf9tXTCvemDjk||796

「キャストがいないのね・・・」
「あぁ、アイツだけいない。別のところで寝てるかもな」

キドーは空を見上げている。
いつでもマイペースな男だ。

「キャストがいないんなら、別にここを出発してもいいわよね?」

リディがキドーに訊く。
まぁ、答えは見えているものだが。

「アイツとトリスは元々関係ないしな。ここで別れても大丈夫だな」

sIs5/23 18:4:132182cf9tXTCvemDjk||815

うん、まぁ、そりゃあね。
勝手についてきただけだし、五月蝿いし、何よりヒロインのあたしが影薄くなった気がするから

―――気にしなくても貴方は充分人気があるし、影も濃いです、リディさん。

sIs5/23 18:4:262182cf9tXTCvemDjk||108

「あの濃いぃ人、あたし苦手だったな」
「俺も、少し馴染みにくかったな」

意見が珍しく一致し、笑う二人。
それを見下ろすかのように、雲がゆっくり流れている。

sIs5/23 18:4:412182cf9tXTCvemDjk||189
〜作者の独り言〜
やった、やった、やっと二十四章更新。テスト期間中頑張りました。
久々に書いてコレかよ、なんて言わないで下さい。ホンット忙しかったんですよ。許してorz

さて、エミリアさん御免なさい。いきなり死なせて御免なさい。
本当ならもう少し出したかったキャラだったのですが・・・。

キドー達五人が無事なのはアレです。裏事情。
だけど、どうしても矛盾するので敢えて言います。
シノの補助魔札で助かったんです。彼女何気に凄いんです。
結局吹き飛ばされましたけど。

sIs5/23 18:5:62182cf9tXTCvemDjk||333
訂正箇所が2つ。
特殊文字の命令を間違えました。
今から訂正を始めます。

sIs5/23 18:5:482182cf9tXTCvemDjk||253
5/23 17:59:40
リディは眠っていた。夢を見ていた。
雷が城の上で鳴っている。城には一応避雷針があるが、それでも何だか心配だ。
決して口に出したことはないが、リディはネズミの他に雷も嫌いなのだ
そんな自分が情けない、と思う。キドーよりも弱くなる時間が一瞬でもあるなんて、と思う。
そう思いながら部屋の隅で少し震えている彼女の後ろで、ドアが開く音がする。

「リディ、大丈夫か?雷ぐらいで部屋の隅に縮こまったら駄目じゃないか」

彼女は後ろを振り返る。
そこにいたのは、彼女の肉親である国王。

sIs5/23 18:6:322182cf9tXTCvemDjk||543
5/23 18:2:31

「五人?君の他にいるのは四人だけだよ」

・・・。
リディの顔が一気に青ざめた。

―――キドーとかだったらどうしようか。それだけは非常に困る。
アイツには鏡を渡している。アレがこの旅の目的なのだ。
あ、トリスとキャストはどうでもいいや。勝手についてきただけだし

「どこにいるの?」

動揺を隠そうと必死に質問する。



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