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5578―サザンライド大冒険日記―第二十五章sIs6/2 22:35:352182cf9tXTCvemDjk
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一章〜十九章までは、二十章にURLが載っています。
尚、十一章までは過去スレではございませんのでご了承を。

第二十五章 「カナカン大聖堂」

sIs6/2 22:35:472182cf9tXTCvemDjk||487
十字暦1000年5月13日午後2時頃、カナカン大聖堂より少し南―――――

カナカン大聖堂、というのは町の名前である。
その中心部となるのが「カナカン大聖堂本館」であって、そこを勘違いする旅人があまりにも多すぎるのは言うまでもない。

sIs6/2 22:35:592182cf9tXTCvemDjk||830

「カナカン大聖堂・・・かぁ。どんな建物なんだろう」

天然、そして世間知らずのシノが言う。
彼女の地元が田舎だから仕方ないことであろうか。

「カナカン大司祭は460歳を越えているらしいな」

今まで出番の少なかったアバルトが言う。
彼の故郷はサザンライドから遠く離れた地なのに、よく知っているものだ。

sIs6/2 22:36:292182cf9tXTCvemDjk||771

「・・・年齢だけで言えば神様なのね」

何やら勘違いしているリディを横に、キドーが震える。

「有り得ねぇ・・・」
(・・・口に出して言わなくても分かるわよ、それぐらい・・・)

※( )はリディの思考です。

sIs6/2 22:36:422182cf9tXTCvemDjk||326

「大聖堂に入るときに入場料を払うらしいな。確か千ライだったか?」

アバルトが言う。
千ライといえば、リディがライグライのカジノでスッた金額と同額だ。

「随分高いわね。ったく、どこの金の亡者なのかしら
「金の亡者とは限らないわよ。もしかしたら物乞いが不正に取ってるとか」
「あ、それも有り得るかもー。着いたら殴りましょ」

女子二人の馬鹿会話は置いといて、さっさと歩きましょう。

sIs6/2 22:37:22182cf9tXTCvemDjk||894

青空の下で、雲が流れている。
方角は東南東のようだ。明日は多分晴れるだろう。

「あの門がそうかしら?」

先ほどの会話から少し経った頃、リディが遥か向こうを指差して言う。
そこには、重そうな鉄の門が一箇所。

「この辺に他の町はないから、多分あれがカナカン大聖堂だろう」

博学アバルトが言う。
彼の故郷は遠く離れているのに、よくこんな国のことを知っているものだ(二度目)。

sIs6/2 22:37:182182cf9tXTCvemDjk||313

「カナカン大聖堂ってさ、一日に何人もの人が出入りするんでしょう?
それにしては、やけに静か過ぎない?

辺りを見回してシノが言う。
確かに、沢山の旅人が訪れると言われるほど賑やかではない。
寧ろ誰も訪れない辺境に見える。

「・・・門の両脇に傭兵がいて、金を取るんだったよな?」

不安げに言いながら、キドーはアバルトに視線を向ける。
見つめられたアバルトは思わず目を逸らした。

詳しいことは知らん。俺も来るのは初めてだ」

・・・博学の割には頼りない人。

sIs6/2 22:37:372182cf9tXTCvemDjk||910
傭兵が不在の上、門が開いていたので勝手に入ることにした四人。
これが犯罪にならないか、と心配したのはキドーだけ。

sIs6/2 22:37:512182cf9tXTCvemDjk||123

「・・・この臭いは・・・」

鼻が敏感なリディが言う。
まるで犬から生まれた女のようだ、とキドーは思った。
鼻をピクピク動かすリディに、アバルトが問う。

「・・・何の臭いだ?」
「強い、血の臭いがする・・・。街中に広がってる感じ」

四人全員の背筋が震える。
これが恐らく「戦慄」というものなのだろう。

sIs6/2 22:38:22182cf9tXTCvemDjk||539

「町の大通りに誰もいない、というのもおかしいな。取りあえず進んでみるか」

アバルトはそう言うと、誰もいない不気味な大通りに足を踏み入れた。
キドーは何となく剣を構えた。ここに敵がいるかも知れないからだ。

sIs6/2 22:38:192182cf9tXTCvemDjk||6

カナカン大聖堂(の町)は、規則正しく建物が並んでいる。
上空から見ると日本で言う京都や奈良のような町並みであろうか。
しかし、通りの幅や町の区分などは統一されていないので、それほど綺麗とも言えない。


sIs6/2 22:38:482182cf9tXTCvemDjk||525

「・・・血の臭いが強くなったわ」

(キドー談、犬人間)リディが言う。
鼻の鈍い三人も、確かに鉄の強い臭いを感じ取った。
少し進んでも、通りには誰も歩いていない。

「・・・」

町を覆う沈黙に呪われたか、全員が無口になる。

sIs6/2 22:39:72182cf9tXTCvemDjk||173
その四人の後ろで、枯れ果て、しわがれた声が響いた。

「・・・お前さん達は誰じゃね?」

突然の沈黙を破る声に、四人とも武器を構えた。
が、声の源を見ると、自然に武器を下ろした。

「・・・この町は今危険じゃ、と言うことさえ知らんのかね?
全く、最近の若造はなっとらんの」

偉そうな口調にリディがムッとする。

「そういうアンタは誰なのよ?危険なら何でここにいるの?」
「わしゃあジョモネシャン。カナカン大司祭じゃ。
ここにいる理由は、町に残っていたり訪れたりした者を町の外へ逃がすためじゃよ」

名前と職業を聞いた時点で全員が後ずさった。

sIs6/2 22:39:202182cf9tXTCvemDjk||94

「・・・貴方が460歳の・・・?」
「正確には462じゃな。・・・いや、464だったか?・・・まぁ、そこは別に何でも構わんか。
人はわしのことを化石の賢者と言う」

―――自分の年齢くらい記憶してください、大司祭様。

sIs6/2 22:39:412182cf9tXTCvemDjk||194

「で、何故この町に?また下らん祈祷か?
「下らないとは失礼な・・・。・・・この鏡の魔力を復活させる為に祈祷しに来たんだ」

相手が聖職者にも関わらずキドーが偉そうな口調で言いながら、例の鏡を出す。

「コレは・・・ほぅ、なかなかの代物を持っているではないか。貴殿のようなひょろひょろした若造が、何故伝説の鏡なんぞを・・・」

ジョモネシャンもまた、傲慢な態度を取る。
どうやらキドーとジョモネシャンは相性が悪いみたいだ。

sIs6/2 22:39:562182cf9tXTCvemDjk||814

「取りあえずラグラストの祈祷は終えた。後は貴方の祈祷を済ませば魔力は復活するんだ」
「ラグラストは既に終えたのじゃな・・・そしたら、その鏡を貸してくれ」

ジョモネシャンに言われてキドーは重たい鏡を手渡す。
ジョモネシャンの手が鏡に触れ、キドーの手が離れた途端に鏡が光りだした。

「・・・」

集中しているらしく、ジョモネシャンは喋らない。
威厳のある人だ、とリディは思った。

sIs6/2 22:40:92182cf9tXTCvemDjk||191

「・・・よし、コレでよかろう。後でどう使うか知らんが、取りあえず魔力は復活したからの」

ジョモネシャンがキドーに鏡を返す。
ところが、キドーが触ると同時に、誰かに鏡を奪われた。

「アレッ?」

手にあるはずの鏡がないのに気づいて、キドーは辺りを見回した。
だが、他の四人の誰も鏡を持っていない。

sIs6/2 22:40:212182cf9tXTCvemDjk||442

・・・コレでようやく魔力が復活したか。この町で待ち続けた甲斐があったというものだ」

突然上空から降ってきた声に、キドーは空を見上げた。
そこにいたのは・・・。

sIs6/2 22:40:302182cf9tXTCvemDjk||324

・・・レイバー・・・!


sIs6/2 22:40:412182cf9tXTCvemDjk||863
間違いない。
大きな鳥に乗って、余裕綽々のその表情。
リノルダム西の塔で会ったときと同じ、頭のゴーグルに明るい色調の服装。
ただ、一箇所だけ違うところがあった。それは、顔。
リディも愕然とする。シノとアバルトはまるで状況が掴めない。

sIs6/2 22:40:572182cf9tXTCvemDjk||664

「・・・若返ってる?」
「俺の得意技さ。人の顔をコピーして自分に貼り付けられる技」

レイバーの若返った顔がニヤリと大きく笑った。
前の戦闘のように、少しあった余裕も感じさせなくする。

sIs6/2 22:41:102182cf9tXTCvemDjk||810

「この鏡は貰っていく。欲しければここから北にある島へ来るがいい。
・・・っと、そこのお爺さんはもう用なしだな」

レイバーはそう言うと、ジョモネシャンに向かってを放った。
強い電流が462歳の老いた体に直撃する。

「ぅがっ・・・」

電撃をまともに食らい、町の通りに倒れるジョモネシャン。
通りに落ちる前に、シノが何とかジョモネシャンの体を抱える。

sIs6/2 22:41:222182cf9tXTCvemDjk||655

「それじゃぁな、お二人さん。・・・仲間が増えたみたいだが、俺達にとっては全く無意味だぞ」

レイバーはそう言うと鳥の翼を羽ばたかせて北の方角へ飛んでいった。

sIs6/2 22:41:402182cf9tXTCvemDjk||968
―――倒れたジョモネシャンを再起させるため、四人は一度人を寝かせられる場所へ移動した。
シノが「ヒーリスト」でジョモネシャンを治療する中、キドー、リディ、アバルトは会話をしていた。

sIs6/2 22:42:32182cf9tXTCvemDjk||37

「・・・今度は久々にレイバーの登場か」
「前のザベルって名前もあるし、ちょっと謎が解けてきたわね」
「あぁ。それに、グラスラッグにいたレイト・・・アイツも多分グルだ」
「その三人は敵確実、なのか」
「アバルトは知らないのよね?ライグライから一緒だから」

敵の戦力は十人にも満たないような雰囲気ではあるが、今まで会ってきた敵全員が強敵だった。本気でかかられたら勝ち目はほぼないと言っていい。

sIs6/2 22:42:72182cf9tXTCvemDjk||512
「鏡を奪われたからには絶対に行かないと」
「それがこの旅の本来の目的だしな」
「しかし島、となれば船が必要。どこかで自分達用の船を手に入れられないものか」

アバルトが考え込む。
確かに、島となれば船で行くより他ない。船を手に入れられる場所はどこかにないものか。

sIs6/2 22:42:212182cf9tXTCvemDjk||281

「・・・八年前に滅んだ、『キゼミ』の廃墟へ行けばあるかも分からんぞ。
あそこは港町だったからの。船の一隻や二隻ぐらいならあるじゃろう・・・」

突然のしわがれ声に全員がびっくり。
ジョモネシャンが起きていた。雷を受けて生きているとは、凄い頑丈な体だ。とても462歳とは思えない。
治療中のシノは、思わず魔札を取り落としそうになった。

sIs6/2 22:42:362182cf9tXTCvemDjk||744

「・・・キゼミ・・・か・・・」

キドーが呟く。

「距離的には近いが、かなり遠回りをする。
一度グラスラッグ港へ戻り、リノルダムの手前で東へ進めば行けるはずじゃ」
「・・・キゼミ、ね。分かったわ、早く行きましょう。こんな旅、いつまでも続けてられないわ」

そう言いながらリディが立つ。
アバルトも続けて立ち上がり、「早く行こう」と手振りでキドーに言う。

sIs6/2 22:42:562182cf9tXTCvemDjk||275

「・・・わしの体ならもう大丈夫じゃから、そこのお嬢さんも早く行きなさい。
伊達に460年も生きたわけではないからの・・・」

ジョモネシャンが弱弱しくシノに言う。
シノは不安げな顔をしたが、すぐに立ち上がった。

「そう言えばジョモネシャンさん、この町から強い血の臭いがした理由って何なの?」

去り際にリディが言う。
その問いに対し、静かにジョモネシャンは答えた。

最近、町の民を殺戮する輩がいるのじゃよ

sIs6/2 22:43:92182cf9tXTCvemDjk||64

・・・それは・・・。

恐らくレイバーの仲間の仕業に違いない、と思いながら、キドーは歩き始めた。
キゼミまでの長い道が彼らを待っている。

sIs6/2 22:43:342182cf9tXTCvemDjk||448
〜作者の独り言〜
す、スクロールバーちっさ!orz

2時間という急ピッチな作業で仕上げました。
第二十四章が下の方に流れていたので尚更急いで仕上げました。
非常に辛いですが、小説を書いている以上は仕方のないこと。
最後までしっかり書いて完結させたいと思います。

ジョモネシャンさん、本当の年齢は462歳で合ってます。
ただ彼、物忘れが激しいから10年ぐらい誤差があるかも分かりません(笑
こんなネタキャラを考案したみにまむさんに感謝。
書きやすいキャラでしたよ。

ピート6/3 16:23:492182cfMsAhBDZZF9I||4
あぁ、感想が遅れてしまった(どーでもええやん
久しぶりですなぁ。大冒険日記。
書き始めたということは暇になった、と言うことですよね。フフフ(ナニ
リディって犬人間でしたのね。以外だ。
ジョモネシャンさんは462歳・・・こいつ本当に人間か?(ぁ
一度会ってみたいですわ。顔が気になr(銃声
しかしキドー一行には悪いことしたなぁ、僕のせいで敵が2人増えてしまった。
うーむ、それに敵全員が強敵なら今のキドー一行じゃ勝てないかも(オイ
まぁいいや、作者さんに任せよう(ぁ
ではでは 三三( |出口

sIs6/3 19:42:412182cf9tXTCvemDjk||457
いやー、前章で感想がなかったから忘れ去られてたのかなー、なーんて心配してたんですよorz 良かった良かった。

リディは(キドー談)犬人間です。鼻が敏感です。
ジョモネシャンさんは「神の落とし子」と謳われています。「タツノオトシゴ」みたいだけど(笑
顔は意外と普通の老人です。魔法かけてるからね(ぁ
僕のせいで・・・って、そんなこと全然ないですよ!
寧ろ敵役が2人も増えて嬉しいぐr(ry
敵は皆強敵です。キドー君は歯が立たないだろうな(ぉ

少しは暇になりましたよ、ヒヒヒ(危

ピート6/3 23:25:562182cfMsAhBDZZF9I||616
ぜ、前章・・・ぐはっ、気づかなかった。
そうか、あったのか・・・通りで爆破後が無いと思ったら・・・orz
ぅわん、やっぱり定期的に確認しないと駄目ですな。

sIs6/3 23:35:72182cf9tXTCvemDjk||950
でもまだ忙しいし、更新はかなり不定期なんですよ。
2日に1度のペースぐらいで覗くと見落としはなくなると思います。


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