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6033記憶の境界線+ひまわり+みりん7/17 16:51:262191cfDFiVslD1.nE
僕は、何だか頭が良かった。
特に勉強をすることも無かった。けれど、テストとなると答えが浮かぶんだ。
中高一貫の中学ではなかった僕は、受験も経験した。
けれど、受験勉強は経験していない。
それでも、都内有数の進学校なんかに受かってしまう。
嫌われるのも当然だ。



みりん7/17 16:52:12191cfDFiVslD1.nE||274
入学式を終えても、友達なんて一人も居なかったし、つくる気も無かった。
そんな時、葵は現れた。
担任が、窓際の外れに座る僕の隣の空っぽの机を指さす。
−初めまして−
ひだまりに温かな葵の声は、冷め切った僕に何かをくれた。

葵は、いつの間にか彼女になっていた。
頭が良いのか悪いのか分からない冗談を毎日吹っ掛けてくるような奴だった。
でも、さり気なく気を遣うあたり、頭が良いのだろう。


みりん7/17 16:52:272191cfDFiVslD1.nE||580


日向葵 ひゅうが あおい 日向葵 ひまわり

葵は、ひまわりが好きだった。
自分と似ているどころか、同じなのだから。


みりん7/17 16:52:522191cfDFiVslD1.nE||855

暑い夏の昼、僕は葵を連れだした。少し離れた海辺で昼飯を食べたくて。
途中、摘み取ったひまわりを一輪渡すと、葵は笑った。
まるで、あの曲が流れているかのようだった。
僕は、ゆっくりゆっくり坂を下る。
スピードが乗ってくる。
一気に・・・・・


みりん7/17 16:56:132191cfDFiVslD1.nE||3

ドン


みりん7/17 16:57:232191cfDFiVslD1.nE||374

僕は、道路から少し飛んで歩道の中に居た。
葵が真っ赤だ。
痛みが伝わるように、葵の血が僕の血と混ざり合う。
アスファルトに滴る液体が小さな水溜まりのようだ。

葵か僕か、自分が分からない。

あれ?歩道に僕が居る。葵の目線で背景が見える。
あれ?ひまわりが紅い。あぁ血のせいか。


みりん7/17 16:57:322191cfDFiVslD1.nE||150

ひまわりを握りしめる手には、もう力が入らない。
痛い・・・・・


みりん7/17 16:58:42191cfDFiVslD1.nE||855



フラッシュバックのように、真っ白い光が勢いよく身体に飛び込んできた。
目が覚めた。
夢が醒めた。


みりん7/17 16:58:282191cfDFiVslD1.nE||511

葵の飛びそうな意識と、僕の飛びそうな意識はどこか似ていて、恋人同士だった事もあり混同したような幻覚を見たのでしょう。

次の日、僕はいやに現実的な医者の言葉を聞いた。
僕は、生き延びた。
あの血まみれのひまわりはゴミ箱行き。

みりん7/17 16:58:562191cfDFiVslD1.nE||335

気持ち悪いくらい真っ黒な服を着て、
葵にはさよならをした。

真白な花に囲まれる葵は、氷みたいに冷めていた。
それなのに、綺麗で凛としていた。
乾ききった身体から、振り絞るように泪が溢れ出した。
葵の最期の花、葵の好きだった花、葵と同じ花・・・。


みりん7/17 16:59:522191cfDFiVslD1.nE||837

彼女の横に、一輪差し向けた。
しばらくして、妙な匂いが漂う。
硝子越しのあっちの部屋は、煙っている。

立体的な面影が浮かぶ。
現実的な世界に残され。
向日葵が夏空をえがく。


−さよなら−



みりん7/17 17:0:162191cfDFiVslD1.nE||821


暑い、暑い、典型的とも言える夏の日に、僕は声を掛ける。
すると君は、いつも通りの心地よい音で答えてくれる。
そして、僕も答える。

『へぇ、そうなんだ。明日もこんな真夏日かぁ』
ちょっと残念だけど、雨なんかよりずっといい。
そう言うと君も、そうね、と軽く笑った口調で言う。
僕よりも背の高い彼女は、いつも凛としている。

見上げる ひまわりの花。


みりん7/17 17:0:442191cfDFiVslD1.nE||844


こんな僕を、人は【おかしい】だとか【あぶない】とかいう黄色いレッテルを張り付けては蔑み、とても嫌な目で見た。

とても冷たくて、温度なんかどこを探しても見つからないような、嫌な目。
それでいて、嘲笑混じりの微かな笑いを浮かべるんだ。

そんな時、大人ほど役立たずな生物は居ない。
追い出されるのは、追い出されるのはいつも、いつだって弱者だ。
僕の母さんは、束の間とも言える時間だったけど、戦ってくれた。護ってくれた。


みりん7/17 17:1:52191cfDFiVslD1.nE||656

え、父さん?そんなイキモノ知らないよ。

母さんだけが、僕の中では大人だ。
母さんだけが、僕の信じられる人。

だいぶ、昔にもう一人大好きな人が居た。
そんな夢を見るけれど、それは小さな僕が見た母さんなんだと思う。


みりん7/17 17:2:312191cfDFiVslD1.nE||990


葵さんの言った通り、今日は真夏日だ。
いつも通り、彼女に会いに行く。
ちょっとした坂を駆け上がる途中で会う野花達に『おはよう』と言っていく。

みんな笑顔で言葉を返す。
僕は、笑いながら駆ける。

葵さんは夢の中の女性に似ている。
いや、そんな訳無い!彼女は母さんなんだ。
最近、こんな事ばかりが頭を渦巻く。


みりん7/17 17:2:562191cfDFiVslD1.nE||788

あら、何だか暗いじゃない。いつも通りの澄んだ声が頭の中に響く。
『ううん。何ともないよ』
何となく、理由も無く、言いたくなかった。
僕は精一杯の苦笑いを浮かべ、いつも通りの会話を断ち切り転げ落ちるように坂を下りた。


少しだけ息苦しい。


みりん7/17 17:3:332191cfDFiVslD1.nE||415


その夜僕はまた、夢を見る。

そこは真っ白な空間。
区切りとか、終わりは無くて、ずっとずっと遠くまで「白」い。
そこに僕は、白いパジャマを来て 居る。

やっぱり白い椅子、に腰掛けて、白いテーブルに乗る白いティーカップの中の白いミルクを飲む。
飲み干したティーカップを、カチャリと音を立て置く。
僕は立ち上がり、辺りを見渡す。一面「白」。

ひどく冷たい汗が出る。
大きな不安に呑まれる。

不思議な程に安心していた空間「白」が、素早く「赤」に変わる。
赤黒く、妙に生々しく、静かに蠢く、血のような「赤」。


きもちわるい


みりん7/17 17:5:532191cfDFiVslD1.nE||325


その夜僕はまた、夢を見る。

そこは真っ白な空間。
区切りとか、終わりは無くて、ずっとずっと遠くまで「」い。
そこに僕は、白いパジャマを来て 居る。

やっぱり白い椅子、に腰掛けて、白いテーブルに乗る白いティーカップの中の白いミルクを飲む。
飲み干したティーカップを、カチャリと音を立て置く。
僕は立ち上がり、辺りを見渡す。一面「」。

ひどく冷たい汗が出る。
大きな不安に呑まれる。

不思議な程に安心していた空間「」が、素早く「」に変わる。
赤黒く、妙に生々しく、静かに蠢く、血のような「」。


きもちわるい


みりん7/17 17:6:582191cfDFiVslD1.nE||392


『            』
声にならない悲鳴をあげると、目がおかしくなるくらい鮮やかな「」に変わっていた。
そして、僕は目を覚ます。

あぁ、夢だったのか。と、胸をなで下ろす。
そこは「」。まだ夢の中だということに気が付くと、テーブルの目の前に彼女が居る


僕は彼女を知っている・・・・


みりん7/17 17:7:192191cfDFiVslD1.nE||296


忙しなく目覚まし時計が叫んでいる。
アラームを止める。
カーテンを開ける。
光が目に入る。
少しだけ遠くに葵さんが見える。
足下のサボテンに『おはよう』と声を掛ける。

決まりきった、慣れすぎた動作。
ただ普段と違っていたことは、頭の中に彼女が刻まれていること。
今日の僕は何だか変だ。すごく気持ちが悪い。


みりん7/17 17:7:482191cfDFiVslD1.nE||851


母さんなら、僕を助けてくれると思った。
真実を理解出来たら、この嫌な気分は失せると思った。
少し意地悪かも知れないけれど、僕は何も知らないフリをした。

『ねぇ、母さん。小さな頃の僕は、どんな人間だった?』
少し、間を置いて母さんは答える。
『今とちっとも変わっていないわ。可愛くて、明るくて、元気で、優しくて』


みりん7/17 17:8:162191cfDFiVslD1.nE||483

当たり前の質問をふざけるように幾つか交わした。
『ねぇ、母さん。今僕は何歳?』
当たり前の質問、の延長のつもりだった。
考えたら、僕は何歳だろう。

母さんは、完全に言葉に詰まった。
きっと、この質問に秘密は詰まっているんだ。
この秘密を理解出来たら、身体の中のもやもやは消える。


みりん7/17 17:8:312191cfDFiVslD1.nE||773

『君は、8歳よ。』
『体は、16歳・・・。』


みりん7/17 17:8:482191cfDFiVslD1.nE||594

持ち手のような部分付きの、プラスチックで囲まれた銀色の硝子を渡された。
『これは何?』
あちら側から、誰かが覗き込んでいる。
後ろに母さんが居る。


−これが僕!?−


みりん7/17 17:9:152191cfDFiVslD1.nE||917


この夜僕は夢を見る。
疲れすぎた。

またいつも通りの決まりきった夢かと思ったら違った。
彼女 が口をきいた。

『ひゅうが あおい』

彼女の名前らしかった。

『あかるせ しゅう』

僕の名前らしかった。
知ってるはずなのに、初めて聞いた気分。

『日向 葵』
『朱瀬 愁』

一気に真っ赤な映像 が流れ込んだ。
今日見た僕と、凄く可愛い女の子が血に染まっている。

僕は泣く。
田舎に住む。
葵さんに出逢う・・・。

意識を奪い去られるように、ベッドに倒れた。
気が付けば、朝。

僕は夢を信じ切れずにいる。


みりん7/17 17:9:362191cfDFiVslD1.nE||74


母さんは、いつも通りだった。
昨日の事を聞いてみたけど、僕の勘違いなんだって。
上手く誤魔化された気もするけど、まぁいいか。

あれ以来、夢を見ない。


みりん7/17 17:10:12191cfDFiVslD1.nE||440


『先生、愁に話してしまいました。
あの子には真実を教えてあげなくちゃ・・って思ったんです。
葵ちゃんと別れてからあの子は大人になる事を拒んでばかり。
ひまわりと会話が出来るなんて言うんですよ?先生も知っているでしょう。
あの子は、もうこのままなんですか?』


みりん7/17 17:10:212191cfDFiVslD1.nE||744

母さんは、狭い病室に居た。小さく小刻みに震えながら、必死に話している。
相手は、年が大分いった白い髪の男性。
白衣を纏い、カルテにメモを取っている。
軽い溜息をつき、メガネ越しの強い瞳を覗かせ、口を開く。


みりん7/17 17:10:402191cfDFiVslD1.nE||27

『あれ程言うなと言い聞かせたのに。何故言ってしまったのですか?
今の不安定な時期に愁君が真実を理解出来る訳が無い。
混乱を招いて、またあの子は一段と深い殻に籠もってしまいます。
あなたとの会話も避けるようになるかも知れない。
愁君は、今頑張っています。ひまわりに彼女と同じ名前を付けて、会話をして・・。
過去にしようとしているのです。
さぁ、家に帰ったらこの錠剤を飲ませなさい。愁君が立ち上がり、歩き始める手助けをしてくれるはずです・・・』

『はい・・』


みりん7/17 17:10:572191cfDFiVslD1.nE||668

涙ながらに、返事をして彼女は部屋を発った。

愁は葵さんの所へ行き、明日の天気を熱心に聞いている。

しばらくして、看護士が部屋へ入ってきた。

『さっきの患者さん、泣いていましたよ?』
『あぁ・・彼女は大変な息子を子に持った』

開け放たれた窓から、咲き誇るひまわり達が見える。
優しく風が吹き込むと、少しだけ笑顔が見えた。


みりん7/17 17:11:262191cfDFiVslD1.nE||590




失って、また失った。

愛する人を失い、まともに道を歩める程、愁は強くない。
幸せなあの頃を取り戻せる程、力も無い。

何かも知らず、幸せな時代に戻って、心を塗り直す。
紅く血に染まった道路に、また新しくアスファルトを組み立てるかのように。

『葵さん、昨日話した夢、もう見なくなったよ』
『でもね、あの夢の女の人は葵さんと同じ名前なんだ』

ミルクに溶かされた錠剤が、体に溶け込めば溶け込むほどに、記憶は霞む。
確かな幸せなど知る気配も切っ掛けも生み出されないまま、明日を迎える。



みりん7/17 17:19:262191cfDFiVslD1.nE||279

□■アトガキモドキ■□♪

スクロールバーが2cm足らずの長さになってしまいました。
長い割に浅はかな内容だったりする訳ですが;

白、赤、青、真っ赤な記憶、彼女・・
太字にするつもりでしたが敢え無く失敗。

読者さんの存在、蹴散らしてまで長いお話が書きたかったです。今、幸せです*
もしも、読んで下さった方が居たら、感想頂きたいです。

それでは失礼します。■◇オワリ

natsumi7/17 18:12:542202cfzwcCIABQNHg||142
向日葵・葵
過去の夏の1ページですね。
久しぶりでつ、最近レスできなくてスマソorz
過去を思いだすというものがどれほどなものなのか
少年は理解できず、自分が誰なのかさえはっきりしない。
頭の中がいつもいつもボヤァっとしているょうな、
そんな感じで、いつもしゃべりかけているんでしょうね、少年は。
途中途中に色の描写が入ってて、
赤・白・青・・・と繰り返される記憶。
錠剤が本当に聞いてるのなら少年はより向日葵を大切にし、
そしてまた、彼女を大切にしたのでしょうね。
現実なリアルを考えさせられました。
ぢゃw

メロディ7/18 8:58:546023cfPynqYB/y9EQ||454
おはようございます^^

ちょ・・ちょっと・・・怖かったです^^;
「あかい」を「紅い」と書いてるトコとか怖かったです(^‐^;)
過去を恐れているのでしょうか?


少年・・・僕は向日葵(葵サン)と会話できたのですね。
きっと信じてるからじゃないでしょうか、とか思ってみたりです。
でも過去を恐れていたとしても、そうやって
いられる事でもいいんじゃないかな〜と・・・v

リアルすぎて頭がぶっ壊れるかと心配ですがなvv
でわw

みりん7/18 16:49:532191cfDFiVslD1.nE||946
ナツ こんちゃぁ^^ノシ

何だか過去を現在進行形のお話に織り交ぜてみたら凄い事に・・・(汗
個人のサイトに載せてみたら、結末の捉え方にかなりの個人差が見られました。
そして、ナツの感想も新しいタイプだったり。

過去の記憶は哀しいモノだけど、それにも増して現在は虚しいモノだったり。
思い出す切っ先すら知らないまま、忘れるための錠剤を飲んで・・・。
愁にとっての本当の幸せが何なのかは分かりかねます(私でも

切ない恋物語にする目的は遙か遠くへ消え失せてしまいました。嗚呼・・・(涙
感想ありがとう*

みりん7/18 16:55:242191cfDFiVslD1.nE||280
メロ(略さん こんにちわ**
私は脳に普通の神経が通っていないようで、
赤、も紅とか朱っていう漢字につい変換したくなるんです。

日向 葵とひまわりの葵さんは別物だったりします^^;
けれど、メロディさんのように捉えて頂いても結構です。

過去は表面的に覗くと哀しいモノでしかないから・・
お医者さんは知らずに過ごす事が愁の幸せだと読んだのでしょう。
恐れる以上に知らないのです。
感想有り難うございました*


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