616 | 『KIA ―正義のBadMan― 』 | ピゅナ | 6/1 21:33:43 | 2221cfayU3k6hZRdc |
真っ赤な太陽はとっくに西に沈み、辺りには虫の鳴き声がよく響いていた。 そんな闇夜に包まれた草原が広がる中、ひとつの黒いテントがぽつんと存在していた。 「…本当によく似てたなぁー…」 そのテントからは人間の声が聞こえた。よく澄んだ、少し高めの声だった。 テントの中にはランプが置かれ、その人間の顔の陰影をはっきりとうつしだしていた。 整った顔にオレンジ色の何処か優しげな顔をした人間だった。 髪は銀色に輝き、耳の前のわずかな部分だけをのばしている。 「んー…?あぁ、またあのズパの子のことかよ。そんなにキアに似てるのか?」 キアと呼ばれたその人間は狭いテントの中で静かに座っていた。 |
ピゅナ | 6/1 21:41:48 | 2221cfayU3k6hZRdc||887 | ||
やがて、あぁと頷くと喋りはじめた。 「つい昔の自分と重なって見えてしまったんだよ、どら。怖がりなんだけど、 気が小さいワケじゃないとことかね」 キアは少し上を見上げるような感じで言った。 まるでテント越しに遠くをみつめているようだった。 どうやら、どらと呼ばれた青いトカゲのようなモンスター・ブルーチビどらが キアの話の相手らしかった。 「キュイー」 どらとは別の、もう一匹の同じ姿をしたモンスターが可愛らしい鳴き声を上げて キアに甘えてきた。 |
ピゅナ | 6/1 21:48:0 | 2221cfayU3k6hZRdc||486 | ||
「よしよし。ルーはもう眠いのか。…じゃあ今日は特別に、寝物語を話してあげよう」 キアはルーと呼んだその青トカゲの頭を、撫でながら言った。 「キュイ…」 ルーは気持ち良さそうにして、そのつぶらな瞳を閉じた。 「…なんだよ、《寝物語》って」 ルーをちょっぴり羨ましげに眺めながら、どらが訊いてきた。 「寝るときに聞かせてあげる話さ。人間の赤ちゃんにも、よく親がやるんだ」 「ふーん」 自分で訊いておきながら、どらは気の無い相槌をうった。 |
ピゅナ | 6/1 21:55:3 | 2221cfayU3k6hZRdc||236 | ||
「…ボクの昔話をしてあげる」 キアがそう言うと、どらはギクッとした顔を見せた。 「うわ!なにそれ…。つまんなそー…」 「だからいいんだよ。寝かしつける為のお話なんだから」 文句をつけられたキアは、負けじと言い返した。 「へいへい。どーぞ、お好きなよ〜に」 どらはその場で寝転び、興味無いことを態度で表すかのようにそっぽを向いた。 「…素直じゃないんだから〜。ホントは気になってたりするくせに」 そう言われたどらは、がばっと立ち上がった。 「なわけねーだろ!ったく」 ムキになるどらを、キアは楽しげに見ていた。 |
ピゅナ | 6/1 21:58:26 | 2221cfayU3k6hZRdc||234 | ||
どらは不機嫌さを表そうと、その場にどすんと座った。 「キュウ…?」 ルーが、まだ?と聞きたそうにキアの顔を覗き込んだ。 「ははっ…。よし、じゃあ、はじめるよ。…あれはボクがまだ八歳ぐらいだった頃の こと……」 そう前置きすると、キアは自分の過去を語り出した。 |
ピゅナ | 6/1 22:6:59 | 2221cfayU3k6hZRdc||745 | ||
眩しい太陽の下、その大きな町は今日も大勢の人やモンスターでごった返していた。 「ヘイヘイ!安いよ、安いよ〜!!今日はなんとあの、ブラウルが800Gだっ! 特別大サービスだぞぉ〜!」 「城下町○○○番地!安さは天下一品よ!初心者大歓迎!!」 自分の店を宣伝する者や、それを買い求める人で賑わいをみせていた。 ――ここはグランデュール城下町。 洋風な雰囲気で構成されたこの町は《すべての始まりの地》として、 このグランデュールの国での都市とされている。 たくさんの家々が並ぶ中、ひとつだけ他とは到底比べ物にならない大きなレンガ造りの 立派な建物があった。 |
ピゅナ | 6/1 22:16:47 | 2221cfayU3k6hZRdc||298 | ||
―グランデュール城だ。 その大きな塀に囲まれた城内にある、綺麗に整備された庭にひとりの子供がいた。 「えーい!」 背は低く、年は7,8歳くらいの少女だった。銀色に輝く髪は腰のあたりまで 伸ばされていて、白いローブを纏って杖を握りしめていた。 「アイスアロー!!」 その少女が叫ぶと、杖の先から氷のようなモノが光と共にばあぁと飛び出した。 よく見るとそこにいたのは少女だけではなく、モンスターが3匹ほどいた。 そのうちの1匹――楕円形の青いスライム・ぽよにその魔法は放たれていた。 (あたれー!) しかし少女の魔法は、ぽよが大きく跳ねたことでかわされてしまった。 |
ピゅナ | 6/1 22:24:49 | 2221cfayU3k6hZRdc||616 | ||
「あー…」 氷の粒がぶすぶすと間抜けな音を立てて、地面に突き刺さった。 やがて、じんわりと溶け出して水になってしまった。 ぽよは得意げな顔をし、ぴょんぴょんと跳ねながら逃げていった。 「まだまだ、修行が必要でしゅな〜」 苦い顔をしている少女のペットらしきモンスター、――小さな雲に乗り、頭に金色の リングをしたサル・孫悟空が話しかけてきた。 「悟空〜、せっかく覚えた魔法、全然使えないよー」 悟空と呼ばれたそのサルは、しかたないでしゅよと言って肩をすくめた。 「アキ、気を落とさないで次をがんばるんだじょ」 |
ピゅナ | 6/1 22:33:30 | 2221cfayU3k6hZRdc||479 | ||
そう言って慰めてきたのはもう1匹のモンスター、――さっきのサルよりも小さめの サル・わかちゃるだった。 「うん…。早く強くなって、父上に認めてもらわなきゃ」 アキと言われたその少女は、わかちゃるの言葉で元気をだした。 そう、その少女の名前はアキ。正確にはアキ・グラン・メディナ。 ―それが彼女の名前だった。 アキは王族の一人で、現在の王はアキの叔父、つまりアキの父親の兄なのだ。 国を立派に担うために、アキは幼いながらにしてこうして毎日、自分を鍛えているのだ。 「うーん。とりあえず休憩…。あの木陰で少し休んでくるぅ」 そう言い残し、アキは少し離れた《テラス》と呼ばれる場所へ向かって行った。 |
ピゅナ | 6/1 22:38:52 | 2221cfayU3k6hZRdc||323 | ||
「魔法って、シンケーが疲れちゃうのよね〜」 アキは《シンケー》の意味はわかっていなかったが、なんとなく誰かの言っていたのを 真似て、独り言を呟いた。 「よいしょっと」 アキはそのテラスにある、真っ白いテーブルの椅子に腰掛けた。 そしてそのままテーブルにひじを乗せ、その上に頭を乗っけて気持ち良さそうに 目を閉じた。 「ふにゅ…」 城の方からは優雅なバイオリンのメロディーが聞こえてきた。 それがアキにとって子守唄となり、心地よい眠りに誘われていった…。 |
ピゅナ | 6/1 22:43:45 | 2221cfayU3k6hZRdc||904 | ||
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ KIAの2章、はじめました^^ 前回のぶんを知らない方でも読めるように努めたので、目を通して下さると嬉しいです。 今回の主人公は《キアから見たアキ》です。 これからまた長くなりますが、宜しくお願いいたしますm(__)m ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ |
リナ=インバース | 6/1 22:45:5 | 6122cfrsqw60h3r62||902 | ||
きゃぁ〜!!始まったよ!!始まった!!ぴゅナさん天才ですよ!!それにくらべて、私のは・・・・ |
ぷっち | 6/1 22:46:4 | 2223cfwxLddk2WTec||945 | ||
オモシロイ>< キアさんの章っぽいですねwww(アキさん?(ぁ とても楽しみにシテマスww^^ |
アーヤ | 6/1 22:48:51 | 2228cfhpNnHbEs7gg||569 | ||
やっぱり面白いです^^また頑張ってくださいね^^ |
あおい | 6/1 23:42:20 | 6122cflJoEx81PH.g||912 | ||
わかちゃる→わっかちゃる… 気になって。。 次も楽しみにしています>< 頑張って下さい!! |
マジュニア | 6/2 16:23:22 | 2031cfPkRgr2C3mOI||696 | ||
面白いです。頑張ってください。 |
シェーラ | 6/2 16:31:8 | 2182cfXYR8tndJaVA||40 | ||
こっちは大切にPCに保存しておいていつでもどこでも読めるようにしておこうかな |
花枕 | 6/2 18:5:21 | 2202cfPTJrtIlFCbg||402 | ||
まってました!! おもしろすぎです!!! ピゅナさん!続きがんばってください〜(*>ω<*) |
リンリン | 6/2 18:56:2 | 2192cf7ErwugDvzTo||463 | ||
すごぉい、―スパングの少女―から―正義のBadman―になってる!!w 主人公がキアだぁっヽ(´∀`)ノ 嬉しいぃ〜(ぉ ということでピゅナさん頑張ってちょ〜^^ |
ピゅナ | 6/2 21:22:22 | 2221cfupHfhZsrr7U||705 | ||
うひゃ〜wwレスありがとうございますwさっそくレス返ししま〜す♪ リナ=インバースさん>うきゃ〜!(騒)そう言ってもらえると嬉しいです^^ いやいや私なぞまだまだですよ、ホントに^^;; 他の方の素敵な作品を見るたびに憧れ、 本音を言うと、同時にヘコんでます;; もっといろんな作品に巡り合って、いいモノを書いていきたいです。 |
ピゅナ | 6/2 21:28:41 | 2221cfupHfhZsrr7U||503 | ||
ぷっちさん>ぽいですか??w キアというキャラにいのちを与えて、いかに魅力的にしていくか研究中です^^ やっぱり本を読むときに大事なのは、ストーリーはもちろんですが キャラも凄く大事だと思うんです。 そのキャラの背景を組み立て、興味深いキャラにしていくことが私の 最大の目標なのです^^ |
ピゅナ | 6/2 21:34:23 | 2221cfupHfhZsrr7U||242 | ||
アーヤさん>ありがとうございますm(__)m((ぺこり 飽きのこないような、新鮮なストーリーを書くことにいろいろ工夫 を凝らしている(つもり;)なので、そう言って頂けると幸せです^^ あおいさん>だはぁ!素で間違えてました^^;; ご指摘頂かなかったら、多分気付かなかったと思います((汗 『わっかちゃる』だったのですね・・・。 チビファン、もっと詳しくならなければ・・!>< |
有芽 | 6/2 21:41:53 | 2182cfD2WKtSEYqq6||399 | ||
まってましたぁ♪ またまた面白いお話でw 私の文才の無さが身にしみてます・・w |
ピゅナ | 6/2 21:43:8 | 2221cfupHfhZsrr7U||933 | ||
マジュニアさん>今回も目を通して下さって有難う御座います^^♪ 次からも《面白い》と思って頂けるようなモノを書いていきたいと 思います^^ シェーラさん>わぁ〜><そしたら誤字がバレちゃう〜!(笑 でも保存して頂けるなんてホントに嬉しいです(*´`*) いつでもどこでも…うひゃ〜、なんか恥ずかしいですww 花枕さん>待ってて下さってありがとうございますww 私タイピング遅いので^^;;また更に待たせてしまうかもしれませんが、 なにとぞヨロシクですm(__)m |
ピゅナ | 6/2 21:50:45 | 2221cfupHfhZsrr7U||443 | ||
リンリンさん>題名はまだナゾですが、この題にした理由も最後にはちゃんと 明らかにするよていです^^ 前回のも、一応主人公はキアだったのですが^^チナツの視線から だったのでわかりづらかったかもしれません^^; はい、次回も頑張ります〜^^リンリンさんも頑張ってちょ〜ww(笑 有芽さん>サンドイッチ状態にしちゃった♪(笑 私は小説ばかりしか読まないんで、文章力はまだまだです^^;; やっぱり満足いく物語を書くには、いろんな本をいろんな角度から 読むことが大事なんじゃないかなぁと思います^^ |
mei☆ | 6/2 22:56:11 | 2191cfHZWHpFejpTA||931 | ||
うわぁ^^知らないうちに始まってた♪ 楽しみ楽しみ☆ 頑張って下さいねぇ♪♪ |
ピゅナ | 6/2 23:43:11 | 2221cfupHfhZsrr7U||451 | ||
メイちゃん>はじまっちゃいました♪ww でも『KIA』で私が本当に書きたいお話はまだ始まってすらいません^^ 最後の最後まで楽しんでもらえるように頑張りたいと思いますw |
いおり♪ | 6/4 21:13:12 | 2184cfLLIShuLI3Y6||552 | ||
信じられないほど凄いですね。 ピゅナさんは本当の小説を書いてますね。 これからが楽しみです。 |
特殊文字 by.チビファンタジー |