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6173はじまりのうた博多ダンディ(兄7/29 7:33:446122cfoMAVqdadA4U
 
 
いろは にほへと
 
 
 
有為の奥山 越えられじ
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:34:316122cfoMAVqdadA4U||416
 
 
* アロマタイズド *
 

公園のマロニエが葉枯れを始めたのは
この夏が乾きすぎるからだけではあるまい。
 
  
錆びついていくあの緑を眺めていると
胸を吹き抜ける地中海の風も止んでしまった。
 
 
薬草園のグリーンハウスではハーブたちが
むっとするような芳香りを放って瑞々しい。
 
 
毎日午前と午後の陽の弱い時間に自動的に
スプリンクラーが彼らに恵みをもたらすから。
 
 
ガラスの壁越しに眺める外の風景は冴えず
かわいそうな街路樹たちに水をやればいいのに。
 
 
そう思うばかりで私はまたこのタイムについた
小さな赤いダニを殺すのにやっきになるのです。
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:35:186122cfoMAVqdadA4U||147
 
 
* イクスペリメント *
 
 
 不思議な話 今 私は

 私を経験しているのだ
 
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:36:76122cfoMAVqdadA4U||266
 
 
* うそつきレィビー *
 
 
ねじばなの塔のてっぺんに
小さな かわいい 女の子
てんとうむしの お姫さま
 
 
その名をレィビーといいました
 
 
ありの軍隊 せめてきて
やむなく 姫は 隣国へ
お供はひとり かふんの人形
 
 
たどり着いたは はるじょおんの国
 

みぎも ひだりも わからぬ街で
レィビーはひとり 立ち尽くし
とうとうお日様も お隠れになった
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:37:86122cfoMAVqdadA4U||684
 

糖蜜工場で働く 汗みずくでべとべとの
貧しくきたない ありまきたちが
十二時間の労働を終えて 帰っていく
 
 
きびのしぼりかすの 山のそば
工場監督のみちばちが レィビー見つけ
やさしい声で聞きました
 
 
「君は どうして ここにいるのだい?」
 
 
そうしたらレィビー 涙をぬぐい
しゃっくり上げて こう答えた
 
 
「私 おひめさまなの
 のいばらの花で飾った馬車で
 おとうさまが むかえに来るの」

 

博多ダンディ(兄7/29 7:38:66122cfoMAVqdadA4U||858
 
 
それを聞いていた ありまきたちは
みんないっせいに 笑いころげました
長い旅はレィビーを ひどく汚くしていたから
 
 
それからどれだけ経ったでしょう
レィビーは みみずの食べ残しや
労働者が朝まで騒ぐ ほおずき亭で
百合のひげ根を もらったり
 
 
そんなものばかり 食べて生き
 
 
時には なぐられ 服を破られ
 
 
それでもいつか おとうさまが
のいばらの花で飾った馬車で
おとうさまが むかえに来るの
 
 
そう人に言い続けて ある朝
まるで ぼろ布のような姿で
冷たくなっているのが見つかりました
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:40:86122cfoMAVqdadA4U||894
 
 
* Epoche *
 
 
畢竟 

この私の目の前の

アフリカ 干煉瓦色のラテライトの広がりも

ヨセミテ 地球の長老セコイアの偉大な列も

中国大陸 人間で溢れかえる朝の霧の耀きも

民族衣装を纏った 踊るアイルランドの少女の頬の赤も
 
 
すべて

色の微粒子で
 
 
さらに言えば 光のスペクトル

もっと言えば この瞳に無数にひしめく

視細胞からの 青白いパルスが

このちっぽけな脳に 伝わって

果てない空や 海や 宇宙を

すべてを

この目の前に生み出しているのです
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:40:546122cfoMAVqdadA4U||167
 
 
私が見ているものは すべて 私が見ているものであり

それ以上でも それ以下でも ありえません

私が見ていないものは すべて 私が見ていないもので

そこがもし 時の逆巻く四次元空間だと言われても

それがもし 鼻で歩く不思議な生物リノグランデンティアと言われても

私は信じて しまうのでしょう
 
 
だけど あぁ これは驚いた

よくよく思えば 私は 私を 

見られはしないではないか
 
 
ならば私は リノグランデンティアかもしれないし

もしかしたら 私は四次元空間 それ自身
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:41:396122cfoMAVqdadA4U||350
 
 
鏡は鏡 

私は私

鏡の私は 私の鏡

この銀と硝子の合板が 私だというなら

この銀板の上の ダゲレオタイプが私というなら

むしろ私は 音楽にでもなってしまうか
 
 
私を見ている私がいたとして

私が見ているものは私が見ているものなのか

私を見ている私が見ているものなのか

私を見ている私が見ているものを見ているのか
 
 
そんなことを考えていると

この夕焼けも 笑いながら駆ける子供たちのランドセルも

すべて ダゲレオタイプのモノクロームに変わってしまった
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:42:166122cfoMAVqdadA4U||125
 
 
Pi-Pi-Pi
 
 
判断停止

判断停止

分析者は傍観者へ

裁判官は傍聴席へ
 
 
その蔦がどう伸びるものか

私はこの白墨で描くだけ
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:42:586122cfoMAVqdadA4U||580
 
 
ラッパか それか水仙の花か 知らぬが

蓄音機から溢れ出す旋律に身を浸していると

私はメビウスリングの上を 延々と滑り落ちているような(Swing!

そんなエッシャー幻想に とりつかれます
 
 
 
そして ひと垂れのウヰスキーをなめて

透きとおった琥珀のうちに 眠る

太古の妖精に 身を借って

蘇鉄の森を ふわふわと

あの始祖鳥が舞い上がる 

その瞬間を

アノマロカリスの孵化する

その瞬間を

この瞳だけで見届けては

素晴らしい眩暈に酔うのです
 
 

博多ダンディ(兄7/29 7:43:516122cfoMAVqdadA4U||184
 
 
* おわりのうた *
 
 
この私はきっとフィクションであり
 
  その実在は非常に不安定かつ不明瞭であり

    この世界の成り立ちとはいっさい関係ありません。
 
 
 

シェイラ7/29 11:15:372111cf.JCmFWb830M||588
はじめまして博多ダンディ(兄さん。
博多さんの詩はとっても、バリエーションに富んでいて、すべて堪能させていただきました。Epocheが好きです。特に〜果てない空や 海や 宇宙を〜の下りがとても広いものを感じて、とても素敵な気分にさせてもらいました。これからも作品楽しみにしています。

marinoe7/29 14:39:392101cfycCfHLn/G36||536
ずん様、こんにちは☆

夏の芳ばしい薫りに誘われて、分け入った山。
今日は超えれずとも絶対、きょろきょろしながら、ついていきます。
アンデルセンもファーブルも男の人だったのだなと、
嫌々、自分の理科嫌いがこんな所で重くのしかかってくるとは、
童話には絶対的なリアリティがないと子供をケムに撒けやしないと思う今日この頃、
砂城を創るにも土台は必要です。ファンタジーはシューレアリズムに通ずると思います。
えぇ、私は道しるべ虫のしっぽをしっかりつかんで離さずに歩いていくつもりです。

marinoe7/29 14:40:292101cfycCfHLn/G36||35

*嘘つきレィビー*におつむはたかれた気分ですが、
ちゃんとコーチを仕立てて、迎えにいって汚名は返上させてあげたいです。

字数オーバーで2スレに跨がって失礼しました。

博多ダンディ(兄7/29 20:12:486122cfoMAVqdadA4U||811
シェイラさん、はじめまして ご感想ありがとうございます
今回は出来るだけ色を増やそうとしてみたのですが、成功のようですね
広い景色が好きです ずっと遠くまで広がる世界を見つめていると
自分がそこにいることすら忘れられる気がします
そんな時、一羽の鳥が横切ったりすると、世界の神秘の一端に触れたような
とても素晴らしい気持ちになったりするものです

博多ダンディ(兄7/29 20:22:546122cfoMAVqdadA4U||633
marinoeさん、こんばんは 毎度お付き合いいただきまして感謝です
 
根が学究肌というか、どうしても触れられる現実から離れきれないというか、
名称にこだわったり羅列を好むのも飛び上がるのを恐れているからなのでしょう
けれども小さき世界の住人はシュルレアリストに負けない想像力の持ち主なので
それを見つめる私に様々なインスピレイションを与えてくれます
プロヴァンスに憧れた少年時代は、少し思っていたのとは違う形で
私の中に息づいているようです
 

博多ダンディ(兄7/29 20:31:416122cfoMAVqdadA4U||759
ここからはたぶん、めちゃくちゃに長く、メタメタな文章になるかもしれませんが…
 
*うそつきレィビー*は、一連目を作って一週間ほど放置していたものです
実は当初は甘ったるい幻想世界を描くつもりで、「お姫様」を登場させたのですが
今朝方、「うそつき」というフレーズが思いついた途端にガラっと世界が反転し
その後約十分ほどであぁいう結末を迎えることとなりました
 
今思えば、あの話の祖形は絵本作家エドワード・ゴーリーの
「不幸な子供」という話に見られるのかもしれません
 

博多ダンディ(兄7/29 20:39:356122cfoMAVqdadA4U||745
一ヶ月ほど前、偶然あの悪趣味に限りなく近い絵本を手に取って以来、
思い出すたびに「あれは芸術なのか」、否、
「あれは美なのか」という問いかけが私の内で繰り返されました
 
芸術の普遍性と反応特異性、作者による美の誘導・・・今まで私が考察し、
自ら打ち立てた説を幾つも取り出しては参照し、出した答えは
「No.」でした
 
しかし、その結論がもたらしたのは
「では、果たして美とはなにか」という根本的な問題に立ち戻ることであったのです
 

博多ダンディ(兄7/29 20:46:196122cfoMAVqdadA4U||948
 
そうこうしているうちに、とうとうそんな自分の研究熱心さが、
というか、作品に対して無感動なまでに唯美的である態度が、
創る者として絶対必要だと信じ続けてきた批評家の目が
ひどく味気なく嫌味たらしく、ひとに何ももたらさないものに思えてきたのです
 
言葉はあまりに人間くさすぎて、そこがいいところであるはずなのに、
分析者の私は感動をバラバラに解きほぐし、その構成成分しか理解し得ない
それから色々とやっきになって言葉へのアプローチを模索しはじめたです
 

博多ダンディ(兄7/29 20:50:276122cfoMAVqdadA4U||712
 
感想 簡単だと思っていたことがこんなに難しく、開いた心が必要なものであったとは
歯痒さにムキになり、時にしおれたり、逆に興奮したり、
紡ぎ手の方々にもご迷惑であったかもしれません
 
けれど結局、私がもっとも感動を覚えるのは、
「傍観者である自分」になれた時、そこで「美」に出会った瞬間であるのです
 

博多ダンディ(兄7/29 20:55:196122cfoMAVqdadA4U||641
 
Epoche―― エポケー ――とは、哲学や現象学で使用される単語で、
ギリシャ語で「判断中止」という意であります
 
これは個人的な見解及び語法ですが、
私はこのEpocheを「涅槃」と同質と取り、
分析することのない純粋な知覚「傍観」の意味合いでよく使用します
 

博多ダンディ(兄7/29 21:2:16122cfoMAVqdadA4U||606
 
私の織る綴れ織りに幾たびも表れるキーワード、
「瞳=琥珀=白い少女=聖母=傍観者」は全てこの理想状態に関連付けられ、
その対立項として(非常に内輪な、というか私の内からすら現出しきっていない)
「Ainsel=エインスル=self」という、「血」から逃れられない存在があり、
そして私の「美への感動」とは、エインスルが憧れる琥珀、
即ち、「傍観者としてのself」という状態でのみ訪れるようなのです
 

博多ダンディ(兄7/29 21:8:496122cfoMAVqdadA4U||624
 
しかし、それはどこまでも純粋で、ひどく非人間的で、
感情が感情のイデアとしてのみ存在し、ノイズもなく、ただただ美しく
 
私は私のうちのエインスルをもっと育てる必要があるようです
そしてふたりが出会い、お互いがお互いを呑みこむことなく
ひとつに合わさった時こそ、私の真の芸術がはじまるような
そんな気もするのです
 
とまぁ、長々と語ったわりに取るに足りぬことかも知れませぬが

博多ダンディ(兄7/29 21:10:496122cfoMAVqdadA4U||239
 
こうして長い自己批評を書き綴るあたり、いまひとつ批評家マインドから
逃れきってはいないようです

けれども、たまにはこうして、作品外でぶちまけるのもいいかも
書くだけ書いて、ちょっとスッキリしてしまった

博多ダンディ(兄7/29 21:28:576122cfoMAVqdadA4U||632
あ、それと
 
もしもよければ レィビーを無事にお城に帰してあげてください

シェイラ7/30 1:14:382191cfJ4Bn9qb1Uoc||346
夜分、遅くすいません。もう一度レスさせていただきます。それにしても、博多ダンディ(兄さんはすごく深いテーマを持った方なのだともういちど強く感じました。私も、学校なので偶然機会をもらい詩をかく時があったりします。そんな中で、うそつきレィビーに似たモチーフの作品を書いたのを博多さんの最後の言葉で思い出しました。

シェイラ7/30 1:19:232191cfJ4Bn9qb1Uoc||425
と言っても、私のはとても浅くてここで発表さえできないような物です。博多さんの作品を見て、自分ももっと色々な詩を書けるようになってここで発表したいと思いました。ありがとうございます。私的にはレィビーは精神だけは国に帰っていけたと思います。私の勝手な妄想ですが。

博多ダンディ(兄7/30 2:47:126122cfoMAVqdadA4U||982
ううむ、やはりブチまけない方が良かったかな…
どうもこういう話をしてしまうと、ひとをおどかしてしまうのが私の常のようです
一日山を歩いてきた疲労状態で、α波脳ミソでこねくり回した文章ならなおさら…
テーマが深いかどうかは分かりませんが、自分には創る上でどうしても逃れられない
風景があるようです
もしかすると皆、ひとりひとり異なったそういうものをどこかに抱えているものかもしれませんね

marinoe7/30 8:58:292181cf/osoJF9ciuY||26
おはようございます、ずん様

朝から、熱く語る不幸を笑ってください。夜には熟睡しないと体が持たないので><

ネットの簡単さがきっと、色んな事に貢献して、間口が広くなっているので、
私のようななんちゃって芸術家を自認している者はありがたいです。
それでも心してもらいたい心意気をここで見たような気がして嬉しい私です。

詩をここでどうこう言っても詮無いのですが、
詩には個人的な傷口を見つめるのにとても適した媒体であるのは確かです。
そこから一歩踏み込んで、普遍的な象徴性を探るのは底なし沼に嵌って溺れていくような感覚です。

marinoe7/30 8:59:382181cf/osoJF9ciuY||368
もし、真摯に言の葉との戦闘を覚悟しているのなら、
まず、第一義に自分の立つべき位置は確保していたいなと思っています。
実は私、お伽噺はなるたけハッピーエンドがいいなと思うのですが、
童話はベタベタの悲劇であったほうがいいのではないかなとチラッと考えています。
だから、ここで登場しているレィビーはこれで完結なような気がしますが、
彼女の幸せなお話とでも格闘したいですね。お伽噺で攻めていこうかな。
1週間掌でもてあそんでもきっと紡がれていく気配は今の所皆無なのです。
疲労困憊しないからだめだめなのかもしれませんね。
長々と、失礼しました。


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