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642小説『悪魔の囁き(続)』読んでみますか?クリード6/2 19:21:32191cffKVsfVBmSmg
前回は下のスレ(No.587)にあります。
そちらを読んでからじゃないと、話が分からないかも・・・?

てことで、しつこいですが再度注意事項を・・・

多分、ダークな話です。
人が死ぬのは当たり前。いなくなるのも日常茶飯事。

主人公・藍川時雨(あいかわしぐれ)が中心です。
まぁ、血塗れ・虐殺?・痛い系が苦手な方は止めて置いた方が・・・

クリード6/2 19:22:242191cffKVsfVBmSmg||459
〜あらすじ〜
孤児院で生活する主人公・藍川時雨と、数多くの友人であり同志である子供達。

だが、孤児院とは仮の姿。実際は、「不正薬物の研究所」だった・・・

時雨は、その研究所の権力者・鴻月刹那(こうづきせつな)を異常だと思っていた。

刹那を倒して、このちっぽけな場所から逃げ出そう・・・

そして集まった同志達と共に鴻月刹那を倒すべく、今宵、彼等の計画が発動する・・・

その計画の最中で現れた、もう一人の時雨。彼の名は黒斗。

彼の目的とは・・・

梨恵6/2 19:24:552192cfLD0fwPo7xmU||892
やった〜!!一番乗り!すごい楽しみにしてます。

クリード6/2 19:37:22191cffKVsfVBmSmg||466
「復讐心・・・?」

怯えた表情を、引き攣った顔に変えた刹那は、黒斗の顔を見つめる。

「そう、復讐心。お前に・・・この研究所に対する復讐。

もう一人のオレが、苦しんできたことへの復讐。その原因はお前だ。

だから、オレの敵はお前なんだよ、刹那。今までの事に終止符を打つのはこのオレだ。」

黒斗は笑いながら、刹那の長めな髪を掴んだ。

刹那は、そんな黒斗を見ていて腹を括ったらしい。

気丈にも、黒斗を鋭く睨みつけたのだ。

クリード6/2 19:45:152191cffKVsfVBmSmg||842
「何?反抗するつもりか?」

「反抗してたのはアナタ達でしょう?ここは私の家よ。アナタ達の好きにはさせない!」

そう言い放つと、刹那は手に刺さったナイフを引き抜いて、黒斗に切りかかった。

「うわっ・・・」

黒斗は、慌てて少し距離をとる。

「あぶねぇな〜アンタ、ナイフとか使ったことないだろ?」

「五月蝿いっ!!」

刹那はただ怒鳴りながら、無我夢中でナイフを振り回した。

でも、その刃が黒斗に当たることはなかった。

クリード6/2 19:52:322191cffKVsfVBmSmg||117
「いい加減に・・・しやがれっ!!」

ドォンッ・・・

「っくぁ・・・・あぁぁぁぁっ!!」

黒斗は、懐からすばやく銃を抜くと、それを刹那の足に向かって撃った。

悲鳴を上げながら倒れこむ刹那。

それを、無表情で見下ろす黒斗。

永遠ともいえる時が流れ、刹那は顔を青くさせていった。

クリード6/2 20:3:102191cffKVsfVBmSmg||250
部屋の床は深紅に染まり、部屋の中には、血液特有の金属臭が充満していった。

黒斗は、青白い顔をする刹那をしばらく見つめてから言った。

「お前の大事な家と一緒に・・・オレが葬ってやるよ。」

と・・・

刹那は、黒斗が部屋から出て行っても追おうとはしなかった。

いや、できなかった・・・

流れていく血は止まる所を知らず、床に止め処なく流れていく。

黒斗の後姿が見えなくなってから、刹那は布を探した。

そして、見つけた布で傷口を強く縛って止血した。

クリード6/2 20:12:292191cffKVsfVBmSmg||288
「何で・・・何でこんなことになったの・・・?私は・・・間違ってなかったのに。」

刹那は、誰もいないその部屋で、ただ一人、佇むだけだった・・・

黒斗はしばらく歩いて行き、院長室があるC棟から、寮があるB棟に来ていた。

コツコツと静かな廊下に、靴音が響く。

「時雨っ!!」

その後ろから、研究施設となっているD棟から走って来た、伶二と琉夷に呼ばれる。

「伶二・・・琉夷・・・」

「時雨、大丈夫か?」

「・・・俺は大丈夫だ。そっちはどうだ?」

「あぁ、安心しろ。研究所の方は、再起不能だよ。」

その言葉を聞いて、時雨は僅かに微笑んだ。

クリード6/2 20:16:152191cffKVsfVBmSmg||621
「それより、お前・・・黒斗は大丈夫なのか?」

伶二が聞く。伶二も琉夷も辰も・・・時雨の二重人格を知っているのだ。

もう一人の人格が、時雨とは比べ物にならないくらい凶暴なのも・・・

「黒斗は・・・さっきまで出てたけど、もういいって言ってまた消えた。」

「そっか・・・ってことは、刹那も生きちゃいないだろうな〜」

「それが、刹那は生きてるんだ。黒斗が殺さなかったんだ。」

黒斗は、人を殺すことに抵抗がなかった。

時雨が危険な目に遭うよりは、人を殺すほうが気楽だと考えているからだ。

クリード6/2 20:24:412191cffKVsfVBmSmg||854
「珍しいこともあるんだね〜・・・私、黒斗さんは殺すことしか知らないのかと思った。」

琉夷の言うことは正しい。

今まで、時雨に手を出そうとした人間は、ことごとく殺されていっているのだ。

それがあるから、研究員達は時雨をサンプルにするのを嫌がっていた。

だが、刹那はそのことを知らなかった。知らされていなかった。

もちろん、黒斗が研究員を脅迫していたからだが。

「とりあえず、早く逃げよう。俺はこんな所にいたくない。」

クリード6/2 20:39:242191cffKVsfVBmSmg||519
「そのことなんだけどさ・・・」

踵を返して出口へ向かおうとする時雨を、伶二は呼び止めた。

「伶二?どうしたんだ、早く出ないと・・・」

「だからさ、俺と琉夷・・・残るよ。ここに。」

「は?」

突然放たれたその言葉に、時雨は耳を疑った。

「だから・・・俺達は、ここに残ることにしたんだ。」

「いや、だから何で・・・」

和泉直人6/2 20:41:12194cfzVhRnedxmnk||509
なんで??(無駄レス御免なさい

クリード6/2 20:49:112191cffKVsfVBmSmg||705
伶二と琉夷は、一度顔を見合わせてから、その重い口を開いて言った。

「実は俺達さ、刹那の兄弟なんだ。」

「・・・頭どうかしたのか?」

時雨がそういうのも無理もない。刹那の兄弟と言うには、あまりにも似ていない。

「どうもしてないよ、時雨。これが真実なの。」

「ちょっと待てよ・・・どういうことだ?説明してくれ。」

「それが・・・」「待て。俺が話す。」

口を開きかけた琉夷を制して、伶二が話し始めたのだった・・・

クリード6/2 21:54:212191cffKVsfVBmSmg||836
「俺達が、生まれてからずっとここに居るのは知ってるよな?」

「あぁ。」

「俺は産まれてからずっとここに居るんだから、刹那の兄弟でもおかしくはない。

琉夷は・・・ここと一緒にやってる病院で産まれたんだ。俺と、刹那の母親から・・・

母さんは、琉夷が生まれてからすぐ死んだんだって。いや、正確には殺されたんだ。

俺達の、実の父親に・・・。

父さんは、ここの初代院長だったんだ。刹那はその頃はまだ、副院長だった。」

伶二は、そこまで話してから、少し間を置いた。

バスケ6/2 22:5:522219cflLKx7dAC4ZM||436
クリードさんお久しぶりです・・・といっても覚えてないと思います!よく話したのは半年前ぐらいなので・・・・いつも小説読んでました!でもいつも聞こう聞こうって思ってたんですけどクリードってBLACK CATのですか?

クリード6/2 22:10:212191cffKVsfVBmSmg||842
「母さんは、琉夷が産まれる以前から、薬物を投与されていた。

琉夷の身体に、どんな変化が見られるか・・・それが実験の目的だったらしい。

母さんは・・・琉夷が生まれた直後に薬物の副作用が出て、それで・・・

だから、父さんが殺したも同然なんだよ。

刹那は、父さんを憎んだ。母さんを、心から愛していたから・・・

父さんはそのあと、行方不明になったんだ。そして、ここを継いだのが刹那だった。

刹那は・・・俺と琉夷を、自分の兄弟じゃないって偽って孤児院に入れたんだ。」

クリード6/2 22:17:12191cffKVsfVBmSmg||420
「偽って・・・?そんな必要があったのか?」

そこで一息置いた伶二に、時雨が質問を投げ掛ける。

「実験に使われた子供の兄弟なんか、院長になんかできないって言うやつがいたらしい。

だから刹那は、俺達を保護するために嘘を吐いた。

そのお陰で俺達は今まで生きてこられたんだ。それを・・・」

「それを知らずに、俺と手を組んでしまった。そう言いたいのか?」

クリード6/2 22:24:542191cffKVsfVBmSmg||238
時雨は、伶二に向かってそう言い放った。

決して、本心ではない。勢いでそう言ったのだ。

「違う・・・俺は、そんなこと思ってない!ただ、もうすぐこの研究所は消える。

だから、最後くらいは刹那・・・いや、姉さんと一緒にいてやりたいんだ。

時雨、ごめんな・・・俺も琉夷も、そして刹那も・・・たった3人の家族なんだ。

血が繋がった、唯一無二の。だから、ごめん。一緒には行けない。」

伶二は、とても辛そうにそう言った。

琉夷は、伶二の手を、ぎゅっと握り締めた。

クリード6/2 23:8:442191cffKVsfVBmSmg||1000
「そっか・・・分かった。・・・・伶二、琉夷。・・・幸せになれよ?」

時雨はそう言って、伶二達の元を去った。

行き先はもちろん、第3通路。ここを脱出するつもりなのだ。

孤児院と病院の間に建つ、研究所。そこからはすでに、爆発音が響いていた・・・

時雨は走りだした。・・・が。

クリード6/2 23:8:502191cffKVsfVBmSmg||697
近くの扉から、数人の子供達が現れて、行く手を阻んだ。

「どけよ。」

「いやだねぇ〜ボク達、刹那さんに言われてるんだモン♪時雨クンを殺しなさいって。」

そう言いながら、その少年は襲い掛かってきた。

手に握られているのは包丁である。

だが、所詮相手は素人。時雨に敵うわけがない。

時雨は、その少年達に向けて、銃を連射した。

見事に命中していく弾と、その度に上がる悲鳴。

クリード6/2 23:13:252191cffKVsfVBmSmg||535
また中途半端ですが、ここで中断★
感想受付中です^^

花枕6/3 0:34:142202cfZeqWFeotgis||443
こわい系大好きです!!
ミステリアス・・・(*>ω<*
続きがんばってください!!

ベベル6/3 0:38:132201cfjEGtrqRDGX.||16
こんばんわ^^
意外性もありとても面白いですヾ(〃^∇^)ノわぁい♪
表現も現実的で「時雨はどうなるのか?」「また意外な展開になるのか?」
など期待してしまいますo(*^▽^*)oエヘヘ!
また読ませていただきます(⌒〜⌒)頑張ってくださいペコリ(o_ _)o))

和泉直人6/3 6:5:232194cfzVhRnedxmnk||72
ケケケケ死ぬんだぁ〜〜〜〜とまぁダークな話し大好き

梨恵6/3 16:6:562192cfLD0fwPo7xmU||966
いつも楽しいです、がんばってください!

クリード6/3 18:34:392191cffKVsfVBmSmg||28
花枕さん>感想ありがとうございます!なんか、あんまり怖くないですね^^;

ベベルさん>こんにちは^^現実的・・・ファンタジーも好きなんですがね〜w
今回は現実的に・・・と思いまして★また見つけたら、読んでやってくださいな☆

和泉直人さん>最初の方は見なかったことにして、毎回書き込みありがとうございます!
ご期待に沿えるよう、頑張ります^^

梨恵さん>楽しんでいただけて、身に余る光栄です^^
応援してくださって、ありがとうございます☆ラストまで頑張ります!

クリード6/3 18:36:22191cffKVsfVBmSmg||148
新しいスレを立てられないので、ここから続きを書きます☆
暇なときにどうぞ♪

クリード6/3 18:42:362191cffKVsfVBmSmg||820
「いやだぁ!殺さないで・・・!!」

最初に切りかかってきた少年が、泣きながら時雨に縋り付いてくる。

「時雨クン、ボク達は自分でやろうと思ったんじゃないんだ!
刹那さんに脅されて・・・だからっ・・・」

その少年は、必死になって弁解している。

それを見た時雨は・・・

「俺がそんなんに騙されるほど、お人好しだと思うか?残念だね。消えろ。」

ドォンッ・・・・

銃声が響く。たった一発の銃声。

クリード6/3 18:49:402191cffKVsfVBmSmg||328
その銃声と共に放たれた一発の弾丸は、一直線に少年の眉間を打ち抜いた。

「っぁ・・・」

消え入るような小さな悲鳴を上げて、少年の体は後ろへと倒れていった。

ドサッ・・・

と、鈍い音がして倒れた少年の周りに、紅い血溜まりができていく。

廊下には、金属の匂いが充満していった・・・

「あ・・・やだっ・・・死にたくないよぉ!!」

そう言って泣き出す子供達。

この子達も、また被害者なのだろうか。

クリード6/3 19:9:52191cffKVsfVBmSmg||689
足を打ちぬかれた幼い子供達は、立ち上がることもできずに泣くだけだった。

「死にたくない?俺だってそうだよ。俺も死にたくないんだ。分かるだろ?」

時雨は、子供達に向かって、静かにそう言った。

「知ら・・・ない・・・知らないもん!!アンタなんか、死んじゃえ!!」

まだ8歳位だろうか?髪の長い少女が、時雨に向かってそう言いながら、包丁を投げた。

「・・・もったいない。もう少し生きられたのに・・・なっ!!」

飛んできたその包丁を片手で受け止めると、少女に向かって投げ返した。

包丁は少女の胸の辺りに深く突き刺さる。

クリード6/3 19:17:332191cffKVsfVBmSmg||12
「いやぁぁぁっ・・・」

幼い少女の叫びが、廊下に木霊する。

「ぁ・・・っく・・・」

少女は、一撃では死ななかったようだ。苦しそうに包丁を掴んで喘ぐ。

「ごめんな。俺も、生きなくちゃならないんだ。たとえその代わりに、君等が死のうとも。」

少女の目線に合わせるようにしゃがみ込んで、そう言った。

「俺にできることは・・・君を楽にしてあげることだけだ。」

時雨はそう言いながら、少女の首を切った。

少女は、首から噴水のように血を撒きながら力なく崩れ落ちた。

クリード6/3 19:25:402191cffKVsfVBmSmg||427
噴き出された鮮血は、時雨の白い上着を紅く染めていった。

時雨は、まだ怯えた表情で時雨を見つめている子供達を無視して、静かに立ち上がった。

そして、紅く染まった上着を脱いで軽く絞る。

それをもう一度羽織って、また静かに歩いていった。

逃げ道を目指して・・・・

クリード6/3 19:33:512191cffKVsfVBmSmg||646
「おぅ、時雨やないか!お前、大丈夫やったんか?」

第4通路で、血塗れの警備員の前に立ち尽くしていた辰が、

歩いてきた時雨に気付いて呼び掛けた。

「あぁ。辰の方も上手く行ったみたいだな。」

「当たり前や!わいを誰やと思っとんねん!それより、伶と琉夷、見ぃひんかったか?」

辰の質問に、時雨は話すべきか迷った。だが、辰は仲間だ。話すべきだと結論付けた。

「あの2人なら・・・」

「そっか・・・あいつらが選んだんや、わいらは何も言うことあらへんな。」

辰は、はぁ・・・と溜息をついた。

仲間はもう、半分くらいまで減っているらしい。

クリード6/3 19:46:222191cffKVsfVBmSmg||763
その現状は、辰が調べてきたらしい。情報に間違いはないだろう。

主力だった幹部は、時雨と辰を残して全滅らしい。

伶二も琉夷も、今はもう味方では無いと言っても過言ではない。

ただでさえ人数では不利な時雨達には、とても大きな打撃だった。

だが、立ち止まる暇は無い。

爆発音と振動は、既に第7通路辺りまで迫ってきているのだ。

「ちっ・・・早よ出な!行くで、時雨!」

「あ・・・あぁ!」

辰に腕をつかまれて、時雨も走っていく。

+なみ+6/3 19:54:432194cflnYVXyJclnM||148
がんば

クリード6/3 19:58:562191cffKVsfVBmSmg||796
「お・・・おいっ、辰!!前!!」

目の前に、また子供達が立ちはだかる。慌てて辰の腕を引っ張る時雨。

「わーっとる!!お前は走ってけや!」

だが、辰は気にしていないようだ。

「ふざけんな!俺だってできる!!」

銃を構える辰と一緒に、時雨も構えて銃を放つ。

「うわぁぁぁっ・・・」「っく・・・あぁぁ!!」

叫び声が、空間を埋め尽くしていった。

しばらくして、最後の1人を倒した時雨と辰。

「流石やな、時雨。わいと同じくらい上手いやんか!」

「俺の方が上だって。」

クリード6/3 20:4:242191cffKVsfVBmSmg||978
そう言って笑いあっていた。

だが、それも束の間だった。

次の瞬間には、真後ろで爆発音が響き、建物が瓦礫と化していった。

「ヤバイで!!早よ逃げるで!!」

「分かってるっつの!!お前も走れ!!」

2人は、次々に響く爆音と、その後から来る、酷い揺れに耐えながら走っていった。

「もう少しだ!」

そう時雨が叫んだ瞬間だった。

クリード6/3 20:5:592191cffKVsfVBmSmg||197
「うわっ・・・!」

辰が、飛んできた瓦礫に足を取られて転ぶ。

「辰っ!!」

思わず振り返って、駆け寄ろうとする時雨。

「来るんやない!!」

しかし辰は、時雨を止めた。

「今お前がこっちに来れば、お前も巻き込まれるで!!早よ、逃げや!!

誰かが倒れたら、置いて行くんやろが!!早よせぇ!!」

「・・・!!」

時雨は、唇をきつく噛んで涙を堪えた。

「辰、ごめん・・・ありがとう。」

それだけ言うと、背を向けて走り出した。

出口はもう、目の前だ。

クリード6/3 20:9:332191cffKVsfVBmSmg||386
辰は、時雨の背中が見えなくなるまで見守っていた。

「なんや・・・謝るのはわいの方やないか・・・時雨、ごめんな。

最後まで見ててやる言うたんに、最後まで一緒にいてやれんで・・・

でもな・・・わいより、お前が生きる方がええんや。せやから、お前が生きるんや。」

辰は、静かに涙を流しながら、辺りを覆いつくしていく瓦礫を眺めていた。

爆発音は、時雨の後を追うように進んでいく。

だが、ここが残る可能性は低いだろうと、辰は分かっていた。

クリード6/3 20:14:552191cffKVsfVBmSmg||995
だから、諦めていた。

時雨だけでも生きて欲しい。と・・・いや、自分の分まで生きてくれと願いながら・・・

「時雨さん!!早くっ!!」

時雨は、第3通路の出口から先に出た、数人の仲間たちに呼ばれる。

「分かってる!!」

もう、天井のヒビも真上まで迫ってきていた。

時雨は、最後の力を振り絞って、仲間達のいる庭に走り出た。

クリード6/3 20:24:572191cffKVsfVBmSmg||734
その次の瞬間・・・

ドオォンッ・・・・と、一際大きな爆発音が響いた。

その直後には、第3通路の出入り口は、跡形もなく消えていた・・・

「時雨さん・・・」

「終わった。全部、何もかも・・・これで、良かったんだよな?俺、間違ってないよな?」

病院があった場所も、孤児院があった場所も、研究所があった場所も・・・

すべてが、瓦礫の山と化していた。

何もない。ただ、広いだけ。

姫っち☆6/3 20:27:252212cf6IJUPV/fLg2||44
いつもクリードさんの小説読んでます☆
がんばって下さい!応援してます☆

クリード6/3 20:33:382191cffKVsfVBmSmg||765
「これで良かったんですよ、時雨さん。これが結果なんです。だから・・・」

そう言いながら、少女は時雨の手をそっと握って言った。

「だから、辰さん達のことは・・・忘れてください。」

燃え盛る炎。瓦礫の山。あちこちで上がる、生き残りの悲鳴。

それらが全て、時雨には夢に見えた。

いや、心の中で、夢にしたかったのかもしれない。

永遠に・・・覚めない悪夢に・・・

クリード6/3 20:44:422191cffKVsfVBmSmg||327
「はは・・・何にも無くなっちまった・・・仲間も、敵も、研究所も・・・

俺に残ったのは・・・チョーカーだけかよ・・・」

時雨は、地面に膝をついて、呆然とした。

遠くから、パトカーのサイレンが聞こえてきた・・・・・

クリード6/3 20:48:562191cffKVsfVBmSmg||89
―数日後―

時雨はただ1人で、昔住んでいた家に来ていた。

かつては美しいアパートだったが、今では寂れて、ほぼ無人となっていた。

カチャッ・・・

玄関の扉をあける。

部屋には、まだ誰か住んでいるようだ。

靴があるし、第一埃がほとんど見当たらない。

時雨は、無言のまま部屋に上がる。

もちろん、靴は脱ぐ。

クリード6/3 20:56:132191cffKVsfVBmSmg||125
「懐かしいなー・・・ここにあの男が立ってて、こっちには女の人がいて・・・」

記憶にあることを、口に出して確認しながら部屋の中を歩き回る。

「それで・・・ここにはいつも子供が・・・」

子供・・・?それは・・・俺?いつも絵を描いてた・・・

男が来ると、別の部屋に行って泣いてた。

何もできずに、ただ・・・

クリード6/3 21:3:312191cffKVsfVBmSmg||122
「っつ・・・・」

急激な頭痛に襲われて、時雨はこめかみを強く抑える。すると・・・

『時雨。思い出しちゃダメだ。お前は、忘れたままでいいんだ。』

頭の中に直接響いてきたのは、紛れも無い黒斗の声だった。

「黒・・・斗っ・・・どういうことだ!?」

『お前は、思い出しちゃいけないんだ。オレだけが憶えていれば、それでいい。』

黒斗の言っている意味が、時雨には全く分からなかった。

クリード6/3 21:11:462191cffKVsfVBmSmg||952
「俺が・・・何を思い出しちゃいけないって言うんだ!!説明しろ!」

『・・・わかった。そう言うんだったら、教えてやるよ。

お前の記憶が一部だけないのは・・・お前が、母親の死を見たからなんだよ。』

「母さんの・・・死を・・・?」

『そうだ。お前の母さんの・・・な。父親が殺したんだ。ナイフで。首を一掻きだった。

それを見た所為で、お前は記憶を失った。一部だけ・・・な。忘れたかった記憶だけ。』

クリード6/3 21:17:472191cffKVsfVBmSmg||571
「そんな・・・嘘だっ・・・俺は・・・」

「誰だ?」

突然、後ろから声を掛けられた。

時雨は、ビクッとして後ろを振り向いた。

「あ・・・」

「・・・!!時雨っ・・・!」

そこに立っていた男は、時雨を見ると、名を呼んだ。

「なん・・・で俺の名前を・・・」

「やっぱり!!時雨、お前は・・・生きてたのか!!」

クリード6/3 21:24:142191cffKVsfVBmSmg||951
その男は、時雨の肩を掴んで強く揺さぶった。

「痛いっ・・・やめろ!!離せ!」

「時雨・・・俺が誰だか分からないのか?」

その男は、何度も何度も時雨にそう聞いた。

「知らない・・・知らな・・・」

「オレは知ってるぜ、バカ親父。」

「しぐ・・・れ?」

「あぁ、そうさ。時雨だよ。お前が、ずっと探してた・・・憎たらしい時雨だ。」

クリード6/3 21:36:502191cffKVsfVBmSmg||614
時雨のかわりに、黒斗が表に出ていた。

黒斗は、その男の胸倉を掴んで、笑いながらそう言った。

「時雨・・・」

「お前は、オレを殺したかったんだろ?母さんと同じように。だろ?」

「お前はっ・・・」

男は逆上し、机にあった果物ナイフを持って、高く振り上げた。

・・・だが。

その手が落ちてくることはなかった。

クリード6/3 21:42:402191cffKVsfVBmSmg||770
その手より先に、銃声が響いたのだ。

時雨・・・いや、黒斗の手に握られた銃から・・・

「しぐ・・・れ・・・!!なにを・・・っ」

苦しそうに呻く男に、黒斗は笑みを向けた。極上の笑みを・・・

「お前が悪いんだよ。このゲームはTHE ENDだ。さようなら、親父。」

その男は、床に崩れ落ちたまま、動かなくなった。

殺そうとしてきた実の息子に、返り討ちに遭ったのだ。

「時雨、コイツは・・・昔、お前を殺してくれって依頼したんだよ。刹那に。

だから、あそこにいた。でも、殺されなかった。殺そうとした奴をオレが殺した。」

クリード6/3 21:48:322191cffKVsfVBmSmg||906
黒斗は、全てを語った。

自分が生まれた理由、存在理由・・・そして、これまでの経緯を・・・

時雨は、賢かった。

だから、その意味を理解した。

理解したうえで、共存する道を選んだ。

「黒斗、俺と一緒に、世界を変えよう。あんな研究所が、二度と作られないように・・・」

『あぁ、オレだってそのつもりさ、相棒。』

そう言って誓いを立て、部屋を去ったのだった・・・

クリード6/3 21:57:132191cffKVsfVBmSmg||892
孤児院の爆発事故は、死者2700名、重軽傷10名、行方不明1名と言う被害を出した。

そこにあった研究所から発見された、大量な薬物に、警察も重い腰を上げた。

刹那と伶二と琉夷。その3人は、寄り添って死んでいたそうだ。しっかりと抱き合って。

辰の方は、行方不明だった。第3通路のあたりの瓦礫は全て取り除いたが、いなかった。

時雨と仲間達は、一時警察に保護されたのち、「彼」に引き取られた。

クリード6/3 21:57:472191cffKVsfVBmSmg||461
今日はここまで!!もうすぐ終わりです!完結です!

感想どうぞ〜☆

ぷっち6/3 22:0:292224cflV9blv2GA9Y||453
↑(辰が何気に好きだった人)

まぁ・・↑のは気にせずにw(ぁ
・・・辰クンは逃げられたのだと・・・自分の中で信じています><
怜二クン達は死んじゃったんですね・・・;;
ご愁傷様です・・・・・

クリード6/3 22:36:502191cffKVsfVBmSmg||771
ぷっちゃん、ありがとぅ!辰クンは・・・どうなったんでしょうか?(オイ
そのうち、出てくるかもしれないね★伶二クン達は、天国で幸せにやってます・・・
死んでしまったけど、永遠に離れ離れにならない絆を手に入れました!!
彼等の出来事は不幸だと思うけど、きっと幸せになれたヨ!!そう思っておくれ^^

なお96/4 11:42:52202cf8wCJFFu62UA||935
楽しみ^^

クリード6/4 15:16:472191cffKVsfVBmSmg||240
なお9さん>書き込みありがとうございます^^もう少しで終わりますので、
ラストまでお付き合いくだされば光栄です♪

@かおり@6/4 18:55:262181cfKChd5VwuvsA||391
 いつも読んでます!!(感想は時々・・・)
グロイの大好きなので

クリード6/4 19:1:52191cffKVsfVBmSmg||684
@かおり@さん>いつも読んでくださっているなんて!ありがとうございます♪
なんか、グロイというよりは悲しい・・・かな?
時間があったら、最後までお付き合い下さいな☆

youkai6/4 19:53:572111cfXYPeNIjdtfk||387
あまりグロくじゃなくて残念

+なみ+6/5 6:3:492194cflnYVXyJclnM||5
うわーすごいよこれ

なお96/5 7:48:562202cf8wCJFFu62UA||768
もちろん最後まで付き合いますよww

あかねこ☆6/5 9:27:252201cfD7E7fsfQuek||258
クリードさん、毎回この小説を楽しみにしています

やっぱ、クリードさん天才私のとはぜんぜん比べ物にもなりません

これからも頑張って下さい

クリード6/5 21:28:22191cffKVsfVBmSmg||543
youkaiさん>そうですね^^;最初の予定ではもっとグロくしたかったんですが・・・
僕には無理みたいです(滝汗

+なみ+さん>すごいなんてそんな@◇@;感想ありがとうございます!!

なお9さん>ありがとうございます!最後まで頑張ります!!

あかねこ☆さん>楽しみだ何てそんな(照)天才という言葉は、僕ではなく、
あかねこ☆さんや、ローたんの為に用意されているんですよ^^
これからも頑張っていくつもりです!お互いに頑張りましょうね☆

梨恵6/11 18:21:412192cfLD0fwPo7xmU||895
うわー、ついに本性出ちゃいましたね(^^;質問です、「彼」ってだれですか?


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