642 | 小説『悪魔の囁き(続)』読んでみますか? | クリード | 6/2 19:21:3 | 2191cffKVsfVBmSmg |
前回は下のスレ(No.587)にあります。 そちらを読んでからじゃないと、話が分からないかも・・・? てことで、しつこいですが再度注意事項を・・・ 多分、ダークな話です。 人が死ぬのは当たり前。いなくなるのも日常茶飯事。 主人公・藍川時雨(あいかわしぐれ)が中心です。 まぁ、血塗れ・虐殺?・痛い系が苦手な方は止めて置いた方が・・・ |
クリード | 6/2 19:22:24 | 2191cffKVsfVBmSmg||459 | ||
〜あらすじ〜 孤児院で生活する主人公・藍川時雨と、数多くの友人であり同志である子供達。 だが、孤児院とは仮の姿。実際は、「不正薬物の研究所」だった・・・ 時雨は、その研究所の権力者・鴻月刹那(こうづきせつな)を異常だと思っていた。 刹那を倒して、このちっぽけな場所から逃げ出そう・・・ そして集まった同志達と共に鴻月刹那を倒すべく、今宵、彼等の計画が発動する・・・ その計画の最中で現れた、もう一人の時雨。彼の名は黒斗。 彼の目的とは・・・ |
梨恵 | 6/2 19:24:55 | 2192cfLD0fwPo7xmU||892 | ||
やった〜!!一番乗り!すごい楽しみにしてます。 |
クリード | 6/2 19:37:2 | 2191cffKVsfVBmSmg||466 | ||
「復讐心・・・?」 怯えた表情を、引き攣った顔に変えた刹那は、黒斗の顔を見つめる。 「そう、復讐心。お前に・・・この研究所に対する復讐。 もう一人のオレが、苦しんできたことへの復讐。その原因はお前だ。 だから、オレの敵はお前なんだよ、刹那。今までの事に終止符を打つのはこのオレだ。」 黒斗は笑いながら、刹那の長めな髪を掴んだ。 刹那は、そんな黒斗を見ていて腹を括ったらしい。 気丈にも、黒斗を鋭く睨みつけたのだ。 |
クリード | 6/2 19:45:15 | 2191cffKVsfVBmSmg||842 | ||
「何?反抗するつもりか?」 「反抗してたのはアナタ達でしょう?ここは私の家よ。アナタ達の好きにはさせない!」 そう言い放つと、刹那は手に刺さったナイフを引き抜いて、黒斗に切りかかった。 「うわっ・・・」 黒斗は、慌てて少し距離をとる。 「あぶねぇな〜アンタ、ナイフとか使ったことないだろ?」 「五月蝿いっ!!」 刹那はただ怒鳴りながら、無我夢中でナイフを振り回した。 でも、その刃が黒斗に当たることはなかった。 |
クリード | 6/2 19:52:32 | 2191cffKVsfVBmSmg||117 | ||
「いい加減に・・・しやがれっ!!」 ドォンッ・・・ 「っくぁ・・・・あぁぁぁぁっ!!」 黒斗は、懐からすばやく銃を抜くと、それを刹那の足に向かって撃った。 悲鳴を上げながら倒れこむ刹那。 それを、無表情で見下ろす黒斗。 永遠ともいえる時が流れ、刹那は顔を青くさせていった。 |
クリード | 6/2 20:3:10 | 2191cffKVsfVBmSmg||250 | ||
部屋の床は深紅に染まり、部屋の中には、血液特有の金属臭が充満していった。 黒斗は、青白い顔をする刹那をしばらく見つめてから言った。 「お前の大事な家と一緒に・・・オレが葬ってやるよ。」 と・・・ 刹那は、黒斗が部屋から出て行っても追おうとはしなかった。 いや、できなかった・・・ 流れていく血は止まる所を知らず、床に止め処なく流れていく。 黒斗の後姿が見えなくなってから、刹那は布を探した。 そして、見つけた布で傷口を強く縛って止血した。 |
クリード | 6/2 20:12:29 | 2191cffKVsfVBmSmg||288 | ||
「何で・・・何でこんなことになったの・・・?私は・・・間違ってなかったのに。」 刹那は、誰もいないその部屋で、ただ一人、佇むだけだった・・・ 黒斗はしばらく歩いて行き、院長室があるC棟から、寮があるB棟に来ていた。 コツコツと静かな廊下に、靴音が響く。 「時雨っ!!」 その後ろから、研究施設となっているD棟から走って来た、伶二と琉夷に呼ばれる。 「伶二・・・琉夷・・・」 「時雨、大丈夫か?」 「・・・俺は大丈夫だ。そっちはどうだ?」 「あぁ、安心しろ。研究所の方は、再起不能だよ。」 その言葉を聞いて、時雨は僅かに微笑んだ。 |
クリード | 6/2 20:16:15 | 2191cffKVsfVBmSmg||621 | ||
「それより、お前・・・黒斗は大丈夫なのか?」 伶二が聞く。伶二も琉夷も辰も・・・時雨の二重人格を知っているのだ。 もう一人の人格が、時雨とは比べ物にならないくらい凶暴なのも・・・ 「黒斗は・・・さっきまで出てたけど、もういいって言ってまた消えた。」 「そっか・・・ってことは、刹那も生きちゃいないだろうな〜」 「それが、刹那は生きてるんだ。黒斗が殺さなかったんだ。」 黒斗は、人を殺すことに抵抗がなかった。 時雨が危険な目に遭うよりは、人を殺すほうが気楽だと考えているからだ。 |
クリード | 6/2 20:24:41 | 2191cffKVsfVBmSmg||854 | ||
「珍しいこともあるんだね〜・・・私、黒斗さんは殺すことしか知らないのかと思った。」 琉夷の言うことは正しい。 今まで、時雨に手を出そうとした人間は、ことごとく殺されていっているのだ。 それがあるから、研究員達は時雨をサンプルにするのを嫌がっていた。 だが、刹那はそのことを知らなかった。知らされていなかった。 もちろん、黒斗が研究員を脅迫していたからだが。 「とりあえず、早く逃げよう。俺はこんな所にいたくない。」 |
クリード | 6/2 20:39:24 | 2191cffKVsfVBmSmg||519 | ||
「そのことなんだけどさ・・・」 踵を返して出口へ向かおうとする時雨を、伶二は呼び止めた。 「伶二?どうしたんだ、早く出ないと・・・」 「だからさ、俺と琉夷・・・残るよ。ここに。」 「は?」 突然放たれたその言葉に、時雨は耳を疑った。 「だから・・・俺達は、ここに残ることにしたんだ。」 「いや、だから何で・・・」 |
和泉直人 | 6/2 20:41:1 | 2194cfzVhRnedxmnk||509 | ||
なんで??(無駄レス御免なさい |
クリード | 6/2 20:49:11 | 2191cffKVsfVBmSmg||705 | ||
伶二と琉夷は、一度顔を見合わせてから、その重い口を開いて言った。 「実は俺達さ、刹那の兄弟なんだ。」 「・・・頭どうかしたのか?」 時雨がそういうのも無理もない。刹那の兄弟と言うには、あまりにも似ていない。 「どうもしてないよ、時雨。これが真実なの。」 「ちょっと待てよ・・・どういうことだ?説明してくれ。」 「それが・・・」「待て。俺が話す。」 口を開きかけた琉夷を制して、伶二が話し始めたのだった・・・ |
クリード | 6/2 21:54:21 | 2191cffKVsfVBmSmg||836 | ||
「俺達が、生まれてからずっとここに居るのは知ってるよな?」 「あぁ。」 「俺は産まれてからずっとここに居るんだから、刹那の兄弟でもおかしくはない。 琉夷は・・・ここと一緒にやってる病院で産まれたんだ。俺と、刹那の母親から・・・ 母さんは、琉夷が生まれてからすぐ死んだんだって。いや、正確には殺されたんだ。 俺達の、実の父親に・・・。 父さんは、ここの初代院長だったんだ。刹那はその頃はまだ、副院長だった。」 伶二は、そこまで話してから、少し間を置いた。 |
バスケ | 6/2 22:5:52 | 2219cflLKx7dAC4ZM||436 | ||
クリードさんお久しぶりです・・・といっても覚えてないと思います!よく話したのは半年前ぐらいなので・・・・いつも小説読んでました!でもいつも聞こう聞こうって思ってたんですけどクリードってBLACK CATのですか? |
クリード | 6/2 22:10:21 | 2191cffKVsfVBmSmg||842 | ||
「母さんは、琉夷が産まれる以前から、薬物を投与されていた。 琉夷の身体に、どんな変化が見られるか・・・それが実験の目的だったらしい。 母さんは・・・琉夷が生まれた直後に薬物の副作用が出て、それで・・・ だから、父さんが殺したも同然なんだよ。 刹那は、父さんを憎んだ。母さんを、心から愛していたから・・・ 父さんはそのあと、行方不明になったんだ。そして、ここを継いだのが刹那だった。 刹那は・・・俺と琉夷を、自分の兄弟じゃないって偽って孤児院に入れたんだ。」 |
クリード | 6/2 22:17:1 | 2191cffKVsfVBmSmg||420 | ||
「偽って・・・?そんな必要があったのか?」 そこで一息置いた伶二に、時雨が質問を投げ掛ける。 「実験に使われた子供の兄弟なんか、院長になんかできないって言うやつがいたらしい。 だから刹那は、俺達を保護するために嘘を吐いた。 そのお陰で俺達は今まで生きてこられたんだ。それを・・・」 「それを知らずに、俺と手を組んでしまった。そう言いたいのか?」 |
クリード | 6/2 22:24:54 | 2191cffKVsfVBmSmg||238 | ||
時雨は、伶二に向かってそう言い放った。 決して、本心ではない。勢いでそう言ったのだ。 「違う・・・俺は、そんなこと思ってない!ただ、もうすぐこの研究所は消える。 だから、最後くらいは刹那・・・いや、姉さんと一緒にいてやりたいんだ。 時雨、ごめんな・・・俺も琉夷も、そして刹那も・・・たった3人の家族なんだ。 血が繋がった、唯一無二の。だから、ごめん。一緒には行けない。」 伶二は、とても辛そうにそう言った。 琉夷は、伶二の手を、ぎゅっと握り締めた。 |
クリード | 6/2 23:8:44 | 2191cffKVsfVBmSmg||1000 | ||
「そっか・・・分かった。・・・・伶二、琉夷。・・・幸せになれよ?」 時雨はそう言って、伶二達の元を去った。 行き先はもちろん、第3通路。ここを脱出するつもりなのだ。 孤児院と病院の間に建つ、研究所。そこからはすでに、爆発音が響いていた・・・ 時雨は走りだした。・・・が。 |
クリード | 6/2 23:8:50 | 2191cffKVsfVBmSmg||697 | ||
近くの扉から、数人の子供達が現れて、行く手を阻んだ。 「どけよ。」 「いやだねぇ〜ボク達、刹那さんに言われてるんだモン♪時雨クンを殺しなさいって。」 そう言いながら、その少年は襲い掛かってきた。 手に握られているのは包丁である。 だが、所詮相手は素人。時雨に敵うわけがない。 時雨は、その少年達に向けて、銃を連射した。 見事に命中していく弾と、その度に上がる悲鳴。 |
クリード | 6/2 23:13:25 | 2191cffKVsfVBmSmg||535 | ||
また中途半端ですが、ここで中断★ 感想受付中です^^ |
花枕 | 6/3 0:34:14 | 2202cfZeqWFeotgis||443 | ||
こわい系大好きです!! ミステリアス・・・(*>ω<*) ![]() 続きがんばってください!! |
ベベル | 6/3 0:38:13 | 2201cfjEGtrqRDGX.||16 | ||
こんばんわ^^ 意外性もありとても面白いですヾ(〃^∇^)ノわぁい♪ 表現も現実的で「時雨はどうなるのか?」「また意外な展開になるのか?」 など期待してしまいますo(*^▽^*)oエヘヘ! また読ませていただきます(⌒〜⌒)頑張ってくださいペコリ(o_ _)o)) |
和泉直人 | 6/3 6:5:23 | 2194cfzVhRnedxmnk||72 | ||
ケケケケ死ぬんだぁ〜〜〜〜とまぁダークな話し大好き |
梨恵 | 6/3 16:6:56 | 2192cfLD0fwPo7xmU||966 | ||
いつも楽しいです、がんばってください! |
クリード | 6/3 18:34:39 | 2191cffKVsfVBmSmg||28 | ||
花枕さん>感想ありがとうございます!なんか、あんまり怖くないですね^^; ベベルさん>こんにちは^^現実的・・・ファンタジーも好きなんですがね〜w 今回は現実的に・・・と思いまして★また見つけたら、読んでやってくださいな☆ 和泉直人さん>最初の方は見なかったことにして、毎回書き込みありがとうございます! ご期待に沿えるよう、頑張ります^^ 梨恵さん>楽しんでいただけて、身に余る光栄です^^ 応援してくださって、ありがとうございます☆ラストまで頑張ります! |
クリード | 6/3 18:36:2 | 2191cffKVsfVBmSmg||148 | ||
新しいスレを立てられないので、ここから続きを書きます☆ 暇なときにどうぞ♪ |
クリード | 6/3 18:42:36 | 2191cffKVsfVBmSmg||820 | ||
「いやだぁ!殺さないで・・・!!」 最初に切りかかってきた少年が、泣きながら時雨に縋り付いてくる。 「時雨クン、ボク達は自分でやろうと思ったんじゃないんだ! 刹那さんに脅されて・・・だからっ・・・」 その少年は、必死になって弁解している。 それを見た時雨は・・・ 「俺がそんなんに騙されるほど、お人好しだと思うか?残念だね。消えろ。」 ドォンッ・・・・ 銃声が響く。たった一発の銃声。 |
クリード | 6/3 18:49:40 | 2191cffKVsfVBmSmg||328 | ||
その銃声と共に放たれた一発の弾丸は、一直線に少年の眉間を打ち抜いた。 「っぁ・・・」 消え入るような小さな悲鳴を上げて、少年の体は後ろへと倒れていった。 ドサッ・・・ と、鈍い音がして倒れた少年の周りに、紅い血溜まりができていく。 廊下には、金属の匂いが充満していった・・・ 「あ・・・やだっ・・・死にたくないよぉ!!」 そう言って泣き出す子供達。 この子達も、また被害者なのだろうか。 |
クリード | 6/3 19:9:5 | 2191cffKVsfVBmSmg||689 | ||
足を打ちぬかれた幼い子供達は、立ち上がることもできずに泣くだけだった。 「死にたくない?俺だってそうだよ。俺も死にたくないんだ。分かるだろ?」 時雨は、子供達に向かって、静かにそう言った。 「知ら・・・ない・・・知らないもん!!アンタなんか、死んじゃえ!!」 まだ8歳位だろうか?髪の長い少女が、時雨に向かってそう言いながら、包丁を投げた。 「・・・もったいない。もう少し生きられたのに・・・なっ!!」 飛んできたその包丁を片手で受け止めると、少女に向かって投げ返した。 包丁は少女の胸の辺りに深く突き刺さる。 |
クリード | 6/3 19:17:33 | 2191cffKVsfVBmSmg||12 | ||
「いやぁぁぁっ・・・」 幼い少女の叫びが、廊下に木霊する。 「ぁ・・・っく・・・」 少女は、一撃では死ななかったようだ。苦しそうに包丁を掴んで喘ぐ。 「ごめんな。俺も、生きなくちゃならないんだ。たとえその代わりに、君等が死のうとも。」 少女の目線に合わせるようにしゃがみ込んで、そう言った。 「俺にできることは・・・君を楽にしてあげることだけだ。」 時雨はそう言いながら、少女の首を切った。 少女は、首から噴水のように血を撒きながら力なく崩れ落ちた。 |
クリード | 6/3 19:25:40 | 2191cffKVsfVBmSmg||427 | ||
噴き出された鮮血は、時雨の白い上着を紅く染めていった。 時雨は、まだ怯えた表情で時雨を見つめている子供達を無視して、静かに立ち上がった。 そして、紅く染まった上着を脱いで軽く絞る。 それをもう一度羽織って、また静かに歩いていった。 逃げ道を目指して・・・・ |
クリード | 6/3 19:33:51 | 2191cffKVsfVBmSmg||646 | ||
「おぅ、時雨やないか!お前、大丈夫やったんか?」 第4通路で、血塗れの警備員の前に立ち尽くしていた辰が、 歩いてきた時雨に気付いて呼び掛けた。 「あぁ。辰の方も上手く行ったみたいだな。」 「当たり前や!わいを誰やと思っとんねん!それより、伶と琉夷、見ぃひんかったか?」 辰の質問に、時雨は話すべきか迷った。だが、辰は仲間だ。話すべきだと結論付けた。 「あの2人なら・・・」 「そっか・・・あいつらが選んだんや、わいらは何も言うことあらへんな。」 辰は、はぁ・・・と溜息をついた。 仲間はもう、半分くらいまで減っているらしい。 |
クリード | 6/3 19:46:22 | 2191cffKVsfVBmSmg||763 | ||
その現状は、辰が調べてきたらしい。情報に間違いはないだろう。 主力だった幹部は、時雨と辰を残して全滅らしい。 伶二も琉夷も、今はもう味方では無いと言っても過言ではない。 ただでさえ人数では不利な時雨達には、とても大きな打撃だった。 だが、立ち止まる暇は無い。 爆発音と振動は、既に第7通路辺りまで迫ってきているのだ。 「ちっ・・・早よ出な!行くで、時雨!」 「あ・・・あぁ!」 辰に腕をつかまれて、時雨も走っていく。 |
+なみ+ | 6/3 19:54:43 | 2194cflnYVXyJclnM||148 | ||
がんば |
クリード | 6/3 19:58:56 | 2191cffKVsfVBmSmg||796 | ||
「お・・・おいっ、辰!!前!!」 目の前に、また子供達が立ちはだかる。慌てて辰の腕を引っ張る時雨。 「わーっとる!!お前は走ってけや!」 だが、辰は気にしていないようだ。 「ふざけんな!俺だってできる!!」 銃を構える辰と一緒に、時雨も構えて銃を放つ。 「うわぁぁぁっ・・・」「っく・・・あぁぁ!!」 叫び声が、空間を埋め尽くしていった。 しばらくして、最後の1人を倒した時雨と辰。 「流石やな、時雨。わいと同じくらい上手いやんか!」 「俺の方が上だって。」 |
クリード | 6/3 20:4:24 | 2191cffKVsfVBmSmg||978 | ||
そう言って笑いあっていた。 だが、それも束の間だった。 次の瞬間には、真後ろで爆発音が響き、建物が瓦礫と化していった。 「ヤバイで!!早よ逃げるで!!」 「分かってるっつの!!お前も走れ!!」 2人は、次々に響く爆音と、その後から来る、酷い揺れに耐えながら走っていった。 「もう少しだ!」 そう時雨が叫んだ瞬間だった。 |
クリード | 6/3 20:5:59 | 2191cffKVsfVBmSmg||197 | ||
「うわっ・・・!」 辰が、飛んできた瓦礫に足を取られて転ぶ。 「辰っ!!」 思わず振り返って、駆け寄ろうとする時雨。 「来るんやない!!」 しかし辰は、時雨を止めた。 「今お前がこっちに来れば、お前も巻き込まれるで!!早よ、逃げや!! 誰かが倒れたら、置いて行くんやろが!!早よせぇ!!」 「・・・!!」 時雨は、唇をきつく噛んで涙を堪えた。 「辰、ごめん・・・ありがとう。」 それだけ言うと、背を向けて走り出した。 出口はもう、目の前だ。 |
クリード | 6/3 20:9:33 | 2191cffKVsfVBmSmg||386 | ||
辰は、時雨の背中が見えなくなるまで見守っていた。 「なんや・・・謝るのはわいの方やないか・・・時雨、ごめんな。 最後まで見ててやる言うたんに、最後まで一緒にいてやれんで・・・ でもな・・・わいより、お前が生きる方がええんや。せやから、お前が生きるんや。」 辰は、静かに涙を流しながら、辺りを覆いつくしていく瓦礫を眺めていた。 爆発音は、時雨の後を追うように進んでいく。 だが、ここが残る可能性は低いだろうと、辰は分かっていた。 |
クリード | 6/3 20:14:55 | 2191cffKVsfVBmSmg||995 | ||
だから、諦めていた。 時雨だけでも生きて欲しい。と・・・いや、自分の分まで生きてくれと願いながら・・・ 「時雨さん!!早くっ!!」 時雨は、第3通路の出口から先に出た、数人の仲間たちに呼ばれる。 「分かってる!!」 もう、天井のヒビも真上まで迫ってきていた。 時雨は、最後の力を振り絞って、仲間達のいる庭に走り出た。 |
クリード | 6/3 20:24:57 | 2191cffKVsfVBmSmg||734 | ||
その次の瞬間・・・ ドオォンッ・・・・と、一際大きな爆発音が響いた。 その直後には、第3通路の出入り口は、跡形もなく消えていた・・・ 「時雨さん・・・」 「終わった。全部、何もかも・・・これで、良かったんだよな?俺、間違ってないよな?」 病院があった場所も、孤児院があった場所も、研究所があった場所も・・・ すべてが、瓦礫の山と化していた。 何もない。ただ、広いだけ。 |
姫っち☆ | 6/3 20:27:25 | 2212cf6IJUPV/fLg2||44 | ||
いつもクリードさんの小説読んでます☆ がんばって下さい!応援してます☆ |
クリード | 6/3 20:33:38 | 2191cffKVsfVBmSmg||765 | ||
「これで良かったんですよ、時雨さん。これが結果なんです。だから・・・」 そう言いながら、少女は時雨の手をそっと握って言った。 「だから、辰さん達のことは・・・忘れてください。」 燃え盛る炎。瓦礫の山。あちこちで上がる、生き残りの悲鳴。 それらが全て、時雨には夢に見えた。 いや、心の中で、夢にしたかったのかもしれない。 永遠に・・・覚めない悪夢に・・・ |
クリード | 6/3 20:44:42 | 2191cffKVsfVBmSmg||327 | ||
「はは・・・何にも無くなっちまった・・・仲間も、敵も、研究所も・・・ 俺に残ったのは・・・チョーカーだけかよ・・・」 時雨は、地面に膝をついて、呆然とした。 遠くから、パトカーのサイレンが聞こえてきた・・・・・ |
クリード | 6/3 20:48:56 | 2191cffKVsfVBmSmg||89 | ||
―数日後― 時雨はただ1人で、昔住んでいた家に来ていた。 かつては美しいアパートだったが、今では寂れて、ほぼ無人となっていた。 カチャッ・・・ 玄関の扉をあける。 部屋には、まだ誰か住んでいるようだ。 靴があるし、第一埃がほとんど見当たらない。 時雨は、無言のまま部屋に上がる。 もちろん、靴は脱ぐ。 |
クリード | 6/3 20:56:13 | 2191cffKVsfVBmSmg||125 | ||
「懐かしいなー・・・ここにあの男が立ってて、こっちには女の人がいて・・・」 記憶にあることを、口に出して確認しながら部屋の中を歩き回る。 「それで・・・ここにはいつも子供が・・・」 子供・・・?それは・・・俺?いつも絵を描いてた・・・ 男が来ると、別の部屋に行って泣いてた。 何もできずに、ただ・・・ |
クリード | 6/3 21:3:31 | 2191cffKVsfVBmSmg||122 | ||
「っつ・・・・」 急激な頭痛に襲われて、時雨はこめかみを強く抑える。すると・・・ 『時雨。思い出しちゃダメだ。お前は、忘れたままでいいんだ。』 頭の中に直接響いてきたのは、紛れも無い黒斗の声だった。 「黒・・・斗っ・・・どういうことだ!?」 『お前は、思い出しちゃいけないんだ。オレだけが憶えていれば、それでいい。』 黒斗の言っている意味が、時雨には全く分からなかった。 |
クリード | 6/3 21:11:46 | 2191cffKVsfVBmSmg||952 | ||
「俺が・・・何を思い出しちゃいけないって言うんだ!!説明しろ!」 『・・・わかった。そう言うんだったら、教えてやるよ。 お前の記憶が一部だけないのは・・・お前が、母親の死を見たからなんだよ。』 「母さんの・・・死を・・・?」 『そうだ。お前の母さんの・・・な。父親が殺したんだ。ナイフで。首を一掻きだった。 それを見た所為で、お前は記憶を失った。一部だけ・・・な。忘れたかった記憶だけ。』 |
クリード | 6/3 21:17:47 | 2191cffKVsfVBmSmg||571 | ||
「そんな・・・嘘だっ・・・俺は・・・」 「誰だ?」 突然、後ろから声を掛けられた。 時雨は、ビクッとして後ろを振り向いた。 「あ・・・」 「・・・!!時雨っ・・・!」 そこに立っていた男は、時雨を見ると、名を呼んだ。 「なん・・・で俺の名前を・・・」 「やっぱり!!時雨、お前は・・・生きてたのか!!」 |
クリード | 6/3 21:24:14 | 2191cffKVsfVBmSmg||951 | ||
その男は、時雨の肩を掴んで強く揺さぶった。 「痛いっ・・・やめろ!!離せ!」 「時雨・・・俺が誰だか分からないのか?」 その男は、何度も何度も時雨にそう聞いた。 「知らない・・・知らな・・・」 「オレは知ってるぜ、バカ親父。」 「しぐ・・・れ?」 「あぁ、そうさ。時雨だよ。お前が、ずっと探してた・・・憎たらしい時雨だ。」 |
クリード | 6/3 21:36:50 | 2191cffKVsfVBmSmg||614 | ||
時雨のかわりに、黒斗が表に出ていた。 黒斗は、その男の胸倉を掴んで、笑いながらそう言った。 「時雨・・・」 「お前は、オレを殺したかったんだろ?母さんと同じように。だろ?」 「お前はっ・・・」 男は逆上し、机にあった果物ナイフを持って、高く振り上げた。 ・・・だが。 その手が落ちてくることはなかった。 |
クリード | 6/3 21:42:40 | 2191cffKVsfVBmSmg||770 | ||
その手より先に、銃声が響いたのだ。 時雨・・・いや、黒斗の手に握られた銃から・・・ 「しぐ・・・れ・・・!!なにを・・・っ」 苦しそうに呻く男に、黒斗は笑みを向けた。極上の笑みを・・・ 「お前が悪いんだよ。このゲームはTHE ENDだ。さようなら、親父。」 その男は、床に崩れ落ちたまま、動かなくなった。 殺そうとしてきた実の息子に、返り討ちに遭ったのだ。 「時雨、コイツは・・・昔、お前を殺してくれって依頼したんだよ。刹那に。 だから、あそこにいた。でも、殺されなかった。殺そうとした奴をオレが殺した。」 |
クリード | 6/3 21:48:32 | 2191cffKVsfVBmSmg||906 | ||
黒斗は、全てを語った。 自分が生まれた理由、存在理由・・・そして、これまでの経緯を・・・ 時雨は、賢かった。 だから、その意味を理解した。 理解したうえで、共存する道を選んだ。 「黒斗、俺と一緒に、世界を変えよう。あんな研究所が、二度と作られないように・・・」 『あぁ、オレだってそのつもりさ、相棒。』 そう言って誓いを立て、部屋を去ったのだった・・・ |
クリード | 6/3 21:57:13 | 2191cffKVsfVBmSmg||892 | ||
孤児院の爆発事故は、死者2700名、重軽傷10名、行方不明1名と言う被害を出した。 そこにあった研究所から発見された、大量な薬物に、警察も重い腰を上げた。 刹那と伶二と琉夷。その3人は、寄り添って死んでいたそうだ。しっかりと抱き合って。 辰の方は、行方不明だった。第3通路のあたりの瓦礫は全て取り除いたが、いなかった。 時雨と仲間達は、一時警察に保護されたのち、「彼」に引き取られた。 |
クリード | 6/3 21:57:47 | 2191cffKVsfVBmSmg||461 | ||
今日はここまで!!もうすぐ終わりです!完結です! 感想どうぞ〜☆ |
ぷっち | 6/3 22:0:29 | 2224cflV9blv2GA9Y||453 | ||
↑(辰が何気に好きだった人) まぁ・・↑のは気にせずにw(ぁ ・・・辰クンは逃げられたのだと・・・自分の中で信じています>< 怜二クン達は死んじゃったんですね・・・;; ご愁傷様です・・・・・ |
クリード | 6/3 22:36:50 | 2191cffKVsfVBmSmg||771 | ||
ぷっちゃん、ありがとぅ!辰クンは・・・どうなったんでしょうか?(オイ そのうち、出てくるかもしれないね★伶二クン達は、天国で幸せにやってます・・・ 死んでしまったけど、永遠に離れ離れにならない絆を手に入れました!! 彼等の出来事は不幸だと思うけど、きっと幸せになれたヨ!!そう思っておくれ^^ |
なお9 | 6/4 11:42:5 | 2202cf8wCJFFu62UA||935 | ||
楽しみ^^ |
クリード | 6/4 15:16:47 | 2191cffKVsfVBmSmg||240 | ||
なお9さん>書き込みありがとうございます^^もう少しで終わりますので、 ラストまでお付き合いくだされば光栄です♪ |
@かおり@ | 6/4 18:55:26 | 2181cfKChd5VwuvsA||391 | ||
いつも読んでます!!(感想は時々・・・) グロイの大好きなので ![]() |
クリード | 6/4 19:1:5 | 2191cffKVsfVBmSmg||684 | ||
@かおり@さん>いつも読んでくださっているなんて!ありがとうございます♪ なんか、グロイというよりは悲しい・・・かな? 時間があったら、最後までお付き合い下さいな☆ |
youkai | 6/4 19:53:57 | 2111cfXYPeNIjdtfk||387 | ||
あまりグロくじゃなくて残念 |
+なみ+ | 6/5 6:3:49 | 2194cflnYVXyJclnM||5 | ||
うわーすごいよこれ |
なお9 | 6/5 7:48:56 | 2202cf8wCJFFu62UA||768 | ||
もちろん最後まで付き合いますよww |
あかねこ☆ | 6/5 9:27:25 | 2201cfD7E7fsfQuek||258 | ||
クリードさん、毎回この小説を楽しみにしています![]() やっぱ、クリードさん天才 ![]() ![]() これからも頑張って下さい ![]() |
クリード | 6/5 21:28:2 | 2191cffKVsfVBmSmg||543 | ||
youkaiさん>そうですね^^;最初の予定ではもっとグロくしたかったんですが・・・ 僕には無理みたいです(滝汗 +なみ+さん>すごいなんてそんな@◇@;感想ありがとうございます!! なお9さん>ありがとうございます!最後まで頑張ります!! あかねこ☆さん>楽しみだ何てそんな(照)天才という言葉は、僕ではなく、 あかねこ☆さんや、ローたんの為に用意されているんですよ^^ これからも頑張っていくつもりです!お互いに頑張りましょうね☆ |
梨恵 | 6/11 18:21:41 | 2192cfLD0fwPo7xmU||895 | ||
うわー、ついに本性出ちゃいましたね(^^;質問です、「彼」ってだれですか? |
特殊文字 by.チビファンタジー |