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6501■赤い糸〜アカイイト〜■有芽8/22 23:12:392102cf8o9hBkYgFjg
もう半引退します。
とか言ってたくせにまたやっちゃいます。

なんか、色々申し訳ないのですが・・・(*´Д`)ノ
お騒がせしてすみません。

この小説は、ゲーム「零 赤い蝶」をモチーフにしたものですが、
私自身、このゲームをやった事ないので、オリジナル、と考えてほしいものですが・・・
一応ホラー?系だと思います。
ホラーというよりはミステリアスなカンジだと思いますが。
では、読みたいひとは読んでやってください。

有芽8/22 23:14:22102cf8o9hBkYgFjg||539

     かごめかごめ
     籠の中の鳥はいついつ出やう
     夜明けの晩に鶴と亀が滑った
     後ろの正面だぁれ



   赤い糸〜アカイイト〜 act.00



有芽8/22 23:14:382102cf8o9hBkYgFjg||956


蝉の声が蜩のそれに移り変わる丁度境目の、8月半ばも終わりのある日、大会は幕を閉じた。
あれから3日、今年の夏最後の部活もあと1時間ほどで終わる。

そんな中、女子バスケ部に所属する私は休憩中何気なしに男子バスケ部へと赴いた。
男子部も丁度今から休憩だったのか、コートにいた部員たちは各々ベンチや木陰へと移動している。
その人の流れの中に目当ての姿はなく、まだコートにいるのかな? と思い、そちらへと
歩き出そうとしたその時だ。



有芽8/22 23:15:182102cf8o9hBkYgFjg||529
「あ、お姉ちゃん」

後ろから聞こえてきた私によく似た、けれど私よりずっと可愛いさを含んだ声に私は振り向いた。
そこには新しいタオルが入った籠を抱えている妹――愛茄がいた。
愛茄は私の双子の妹で、男子部のマネージャーをやっている。今日私がここに赴いた理由の1つでもある愛茄に、
ふっと笑みを零す。


「今休憩?」
「うん。愛茄は今から仕事だね」
「そうなの。皆休憩なのに私だけお仕事って辛いよ」


有芽8/22 23:17:112102cf8o9hBkYgFjg||363
「マネージャーに休みを下さーい」と泣き真似をする愛茄は本当に可愛い。
私と全く同じ顔、声なのに全然違う。愛茄は可愛くてとても女の子らしい。体も華奢で、
そのためかあまり体はよくない。小さい頃から喘息持ちで、今でも時々発作を起す。
正に『姫』という表現に相応しい愛茄は、学校でもアイドル的存在だ。

そんな愛茄とは対照的に、私は健康そのもので性格もがさつ。女っぽいところなんてないから、
外見にだってあまり気を使わない。そのせいで私と愛茄は双子でありながら一目で
見分けられる。小学校の頃からバスケをやっているせいで肌も少し黒いから、雪の様に白い肌をした
愛茄と並んで歩くのは、正直苦手。


有芽8/22 23:17:412102cf8o9hBkYgFjg||805
でも私を頼りにしてくれる愛茄が大好き。比べられて、自分が愛茄より低い評価を受けたとしても、
それは愛茄がより評価されていると思えば誇らしくさえなった。
私は愛茄の我侭だったら何でも聞ける自信があった。最も、愛茄は早々人に我侭なんて言うような子じゃ
ないんだけど。

「これが仕事なんだから仕方ないじゃない。後でこっそり休めばいいよ。ただし、伊南に見つからないようにね」
「はーい」



有芽8/22 23:19:222102cf8o9hBkYgFjg||86
おどけたように笑う愛茄を見て、私は籠からタオルを半分手に取った。「折角だから手伝うよ」と微笑みかければ、
愛茄はぱぁっと顔を明るくして「ありがとう!」と花が綻ぶ様に微笑った。

私たちがそんなやり取りをしている間にお目当てだったレギュラーの皆もコートから出てきていた。
「あ、茉莉先輩! タオル下さい!」と笹中が飛びついてくる。「暑いから離れて」とあしらいながら
タオルを頭に被せれば、「ちぇー」とどこか不機嫌そうにタオルで流れる汗を拭き始めた。



有芽8/22 23:20:462102cf8o9hBkYgFjg||282
愛茄の存在もあるが、私は女バスでレギュラーを勤めているので、
男子部の人間ともそれなりに仲がいい。特に笹中は不思議なほどに懐いてくれている。
こんな真夏日で練習の後でもなければこういうスキンシップも嬉しいんだけどね。


有芽8/22 23:21:262102cf8o9hBkYgFjg||285
残りのタオルも近場にいる準レギュラーに渡して、残り1枚となった時だ。
「タオルまだ残ってる?」
透き通った、青い水の様な綺麗な声が後ろから響いた。
随分と久しぶりに聞くような感覚さえ覚えるその声は、川岸のものだ。
川岸は最後までコートにいたのか、皆よりもかなり遅れてベンチへ戻ってきた。
私の手にはジャスト1枚のタオルが残っていて、私はそれを渡そうと足を向けた。
が、それよりも早くある姿が視界に飛び込んできた。


有芽8/22 23:22:372102cf8o9hBkYgFjg||941
「はい、お疲れ様」
「ありがとう」
そう言って川岸にタオルを差し出したのは少し離れた場所で準レギュラーにタオルを配っていた、愛茄だった。
川岸はタオルを受け取ると綺麗な笑みを愛茄に向けた。それに応えるように、愛茄もふわりと笑みを零す。
そのやり取りがあまりに綺麗で、私は手に握ったタオルもそのままに見入っていた。

「おーい、茉莉。タオル余ってんならくれー!」


有芽8/22 23:23:372102cf8o9hBkYgFjg||140
現実世界に連れ戻したのはコートから出てきた徳田だった。いつもは真っ先にコートを出るアイツが
まだ残ってたことに内心驚きながら、私はタオルを軽く丸めて放り投げた。
徳田は器用にそれを受け取ると、ポンと1度バウンドさせてタオルを広げた。
「サンキュ!」
「どういたしましてー」

そんなカンジでスタートを切った20分の休憩時間。
部活で疲れた体にとって20分とはあまりにも短くて、ちょっと話している間にあと5分をきっていた。
そろそろコートに戻らなきゃ。
思い出したように愛茄が口を開いたのは、丁度帰ることを告げようと皆に視線を戻したと同時だった。


有芽8/22 23:24:142102cf8o9hBkYgFjg||70
「そういえば、皆明日から予定ある?」


唐突な問いに皆驚いていた。正直私も驚いてしまった。愛茄はどちらかといえば引っ込み事案なタイプだから
自分からこんな問いをすることは殆どない。
皆呆気にとられたような表情をしながらも、特にないと返事を返してくる。
レギュラー全員の予定を聞いた愛茄は悪戯を思いついた子供の様にあどけなく目を輝かせ、小さく笑った。

「じゃあね、皆で旅行行こうよ」
「「「「「「旅行!?」」」」」」


思ってもみない愛茄の申し出に、皆目を丸くして素っ頓狂な声を上げた。

有芽8/22 23:24:462102cf8o9hBkYgFjg||825

「旅行って、一体何処に?」
「私たちが昔住んでたところに知り合いがやってるペンションがあるの。そこがもう直閉館するから、
 皆で泊まりにおいでって昨日電話があったの。山奥なんだけど、でも避暑には凄くいいところだよ。
 ね、お姉ちゃん」

同意を求めるように私へ微笑みかけた愛茄に、ふと昨日かかってきた電話を取って以来
愛茄の様子がおかしかったことを思い出した。



有芽8/22 23:25:62102cf8o9hBkYgFjg||449



『昔住んでいたところ』というのは神奈川からバスで数時間いった山奥のことだった。
村と呼ぶに相応しいそこは夏には避暑にもってこいの場所であり、母もペンションの管理をやっていたくらい。
そんな母も、もうこの世にはいない。私たちが8歳になるかならないかの時に、事故で両親を亡くして
私達は遠縁の親戚に引き取られ、東京に来たのだ。

どうやら上流にダムを建設中らしく、もう直その村もダムの底になってしまうとニュースで聞いていたから
ペンションを閉めるということにはあまり驚かなかった。
寧ろ、私は愛茄の言葉に驚きよりももっと別な感情を抱いた。



有芽8/22 23:25:572102cf8o9hBkYgFjg||376

「お姉ちゃん?」
「え? ああ、うん」

もう2度と帰れなくなってしまう故郷。そんな状況に置かれれば、人は悲しむのが普通なのに、

「そういうことなら行くっスよ!」
「俺も俺も!」
「避暑地で余暇を過ごすのも悪くはないですね」
「でしょ?いいかなって思ったんだけど」
「いいね、俺も行きたい」



有芽8/22 23:26:482102cf8o9hBkYgFjg||455

「お姉ちゃんも行くよね?」

どうしてかな?

「……うん」

その時私は思ってしまった。

“行きたくない”って。
“早くダムに沈めばいい”って。

何か、途轍もなく嫌なことが起こるんじゃないか、って……

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有芽8/22 23:27:552102cf8o9hBkYgFjg||341
なにか、ご意見感想などなどなんでもいいのでコメントおねがいします!ヾ(´∀`*)ノ
久しぶりにかいたので微妙かもですが・・・



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