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6874※小説※天里10/9 17:21:552191cfIHqTy8UPXEo
[DEVIL EYE]デビル・アイ「瞳に潜む悪魔」続編。
やっぱり作風が童話っぽくなってしまったようですが、
興味のある方は読んでいってください。

天里10/9 17:23:372191cfIHqTy8UPXEo||267
 木々の生い茂る森の細道をどれだけ歩いたのだろう。たぶん二時
間くらいであろうが、リリーには丸一日歩いたように感じた。
「着いたよ」
祖母は、森の中にひっそりと佇む一軒の家の戸を叩く。
 扉がゆっくりと開き、黒いマントを被った老婆があらわれた。
「よく来たね。待っていたよ。さあ、お入り」
祖母は、リリーを連れて部屋の中に入っていった。
 すると、老婆は何もかも知り尽くしたような口調で話した。
「リリー、よくがんばったね。お前の中にいる悪魔は、とても苦し
がっているよ。そして弱っている。カールは、死んではいないよ」

天里10/9 17:25:372191cfIHqTy8UPXEo||812
「本当ですか!?」
リリーと祖母は、声をそろえて叫んだ。
「しかし、カールも弱っている。早く看病してやらねば」
と老婆が言う。
 祖母は慌てて言った。
「では、私はこれで帰ります。カールが心配だわ。リリーのことは、
よろしくお願いしますね」
「わかりました。おまかせなさい」
「私も帰りたいわ。カールは、私のせいで倒れたのだもの」
 祖母の後について行こうとする、リリーの行く手を老婆はさえぎ
り言った。

天里10/9 17:27:132191cfIHqTy8UPXEo||513
「これは、おまえのせいではない。それにおまえには、やらなくて
はならない大切な事があるのだよ」
「大切な事?」
質問をしながら、リリーは老婆の声を真剣に聞いていた。信頼でき
る人間か、嘘をついてはいないか。目を隠し続けて生きてきたリリ
ーには、人の声色を聞き分ける癖がついていた。
「ああ、そうだよ。少し大変かもしれない。しかし、十六年間閉じ
込められてきた悪魔も弱っているから、きっと大丈夫だろう。油断
はできないがね」
リリーは、心が落ち着いていくのを感じた。この老婆は、真実を語
っている。そう思えた。

天里10/9 17:29:52191cfIHqTy8UPXEo||869
「あの、もう少し詳しく教えていただけませんか?」
希望と不安の入り混じった思いを抑えて、リリーは訊いた。
「それは、悪魔が教えてくれるだろう。そして、必ず打ち勝って自
分のすべてを取り戻すのだよ」
 そう言うと老婆は、リリーを小さな部屋へ連れて行く。ベッドが
一つあるだけの部屋だった。
「ベッドに横になり、手鏡を持って悪魔と闘うのだよ。眼帯をはず
したときが勝負開始のとき。決して恐怖に慄いてはいけないよ。悪
魔が鏡に乗り移ったら、窓の外に投げて割りなさい。それで、すべ
てが終わるはず。がんばるのですよ」

天里10/9 17:30:322191cfIHqTy8UPXEo||517
 ゆっくりと丁寧に話す老婆の言葉をリリーは、しっかり胸に留め
た。
「はい。わかりました。やってみます」
リリーはベッドに腰掛け、老婆に手渡された手鏡を持つ。そして、
老婆は部屋から出て行った。
 リリーは、ベッドに横になり眼帯をはずす。仰向けになり、両手
で鏡を持った。目を開けて、鏡の中の自分を見つめる。すると、鏡
の表面が歪み黒い怪物のような悪魔が姿をあらわした。鏡の中は竜
巻のように渦巻き、悪魔が吸い込まれていくようだった。
「こんな鏡などには、取り込まれない!」

天里10/9 17:32:152191cfIHqTy8UPXEo||212
悪魔は、低くガラガラした声で叫ぶように言った。必死に抵抗し、
鏡の表面にしがみついている。
「悪魔さん。やっと姿をあらわしたのね。なぜ、十六年間も私に乗
り移っていたの?」
「人を殺すためだ」
「でも、もう人を殺す力はないのでしょう?」
「お前の恐怖心を餌にすれば、また力を取り戻せる」
「十六年間も一緒にいたのよ?今さら私が怖がると思うの?」
「怒りでも憎しみでもいい。真実を話そう。お前の母親は悪魔の実
を食べたのだ。悪魔の実を食べさせたのは、カールの父親」

天里10/9 17:33:362191cfIHqTy8UPXEo||453
「どういうこと?」
リリーは、なるべく落ち着くように自分に言い聞かせた。動揺して
はいけない。
 悪魔はニヤリと笑い、話しを続ける。
「カールの父はお前の母を愛していた。しかし、おまえの母と父は
結婚。美男美女のカップルだった。カールの父は金持ちだが、容姿
が悪い。妬みや嫉妬、憎しみがカールの父を支配した。お前の両親
が結婚すると、カールの父も別の村の娘と結婚した。金にものをい
わせて派手にね」
「それで?」

天里10/9 17:35:232191cfIHqTy8UPXEo||761
「結婚してもカールの父の気持ちは、おさまらなかった。お前の母
が憎かった。そんな時、村の産婆から悪魔の実の話しを聞いたのだ。
森の奥に悪魔の実のなる木があると。カールの父は毎日、悪魔の実
を探した。ただの言い伝えだと思っていた。しかし、もし本当に悪
魔の実があるのならそれをお前の母に食べさせたいと思ったのだ」
リリーは、息をのんだ。
「だいぶ動揺しているようだが。大丈夫かね?」
悪魔は不気味な声で言う。
「大丈夫よ。話しを続けてちょうだい」

天里10/9 17:37:152191cfIHqTy8UPXEo||589
「そうしよう。悪魔の実はあったのだよ。本当に。そして、醜い心
を持つカールの父は悪魔の実を手にしたのだ。そして、お前を身ご
もった母に食べさせた。これが真実だ!!」
そう言うと、悪魔は鏡から飛び出した。
「一番醜いのは人の心だ。そうは思わんかね?悪魔が悪いわけでは
ない。人の心が魔を創るのだ」
リリーはベッドの上に立ち、鏡を手にした。
「悪魔なんか、鏡の奥に消えてしまえ!そして二度と出てくるな!」
そう言いながら、リリーは悪魔に鏡を向ける。すると、悪魔はあっ
けなく鏡の奥に吸い込まれていった。              

天里10/9 17:38:292191cfIHqTy8UPXEo||261
【つづく】
次回で終わると思います。

スワロー10/9 18:1:326111cfyil7c1Ws9M.||916
天里さんには、物語の紡ぎ手として、
きっとヴィジョンがあるのでしょうね。
でも、童話風(??)が、わたしは好きですよ?
児童書など、子供のために書かれたものは歪みが無くて、きれいですし・・
最終話楽しみにしてます!!

天里10/9 19:22:562191cfIHqTy8UPXEo||115
ありがとうございます。
もともと、童話を多く書いていたのですが「悪魔」「死ぬ」「殺す」
という言葉はタブーのような気がして避けていました。
「デビル・アイ」は自己満足な小説ではありますが、楽しく書いています。
読んでくれている人達にも感謝しています。(*^^*)

シェイラ10/9 22:17:482184cffUNzf1ewkvw||659
面白くなってきましたね!悪魔を追い払う方法など、設定がこっていてすごいです。最終話期待しています!(この間はカールが死んでしまったと誤解してしまってすいませんでした;)

天里10/10 0:9:442191cfIHqTy8UPXEo||431
あんまり、期待はしないでほしいです……^^;
ラストまで書くことができたら、それでいいかなと思っています。

メアリ〜10/10 10:9:462211cfdSiWx.oZSpc||709
う〜、すごいです。
次で終わりかと思うと少々残念ですが、とっても面白いです。
最初からみてました。リリーはカールの父親を許すことが出来るんでしょうか・・・?
最終回、楽しみにしていますね。

天里10/10 14:32:182191cfIHqTy8UPXEo||504
感想いただけて、とてもうれしいです。
しかし、プレッシャーが……><;
負けないようにがんばります。(^^)


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