6887 | 人とは一体 | 姫乃唯 | 10/12 15:25:46 | 2191cfOvUDymuIeAM |
朝、目覚めるとまず顔を洗います。 一つ欠伸を噛み殺して、長年着慣れた僧侶服を着ます。 朝ごはんを食べる前に小さな礼拝堂で神様にお祈りを捧げて私の一日は始まります。 ―――礼拝堂から食堂への帰り、いつもこの時間にすれ違う戦士さんと、今日もまたすれ違います。 「おはようございます。良い天気ですね」 私が話しかけると戦士さんも応えてくれました。 「おはようございます。そうですね、何か良いことがありそうです」 肩を弾ませて戦士さんは外へ出かけていきました。 |
姫乃唯 | 10/12 15:25:58 | 2191cfOvUDymuIeAM||700 | ||
私もいそいそと食堂へ向かいます。 ……お腹ではカエルさんが切なく鳴いています。 お肉を食べない私はいつもよく噛んで食べるのですが、皆さんより何故か早く食べ終わってしまいます。 やはりお肉の所為でしょうか。 私が廊下を歩いているとさっきの戦士さんが向こうからやってきました。 今日はよくすれ違います。……ついてます………… |
姫乃唯 | 10/12 15:26:10 | 2191cfOvUDymuIeAM||203 | ||
「ちょっと、いいかな?」 戦士さんは手招きして私を呼んでいます。 私には断る理由がありません。 「はい。何ですか?」 とことこと、駆け寄ると戦士さんは運動でもしてきたのでしょうか、上気した身体でこちらを、何か言いたそうに真っ直ぐ見詰めています。 「その、好きなんだ。付き合ってください」 あまりに突然に言われたので私の頭は一旦止まっちゃいます。 |
姫乃唯 | 10/12 15:26:21 | 2191cfOvUDymuIeAM||299 | ||
―――…………――― ………… 「…………はい………………」 ボーっとした頭ではまともな考えが持てません。 素直に嬉しさが込み上げて、泣きそうです。 戦士さんははにかんだように笑って頭を掻いてます。 「ちょっと、草原まで歩こうか。みんなと一緒に」 みんなとはいつも戦士さんと一緒に居る武道家さんと、私の友達の魔法使いさんでしょうか。 |
姫乃唯 | 10/12 15:26:38 | 2191cfOvUDymuIeAM||570 | ||
二人っきりで行ってみたいですけど、今そんなことをしちゃうと倒れそうです。 戦士さんも同じなのでしょうか……? 結局私たちは四人で草原へ向かうことにしました。 門の外、私たち四人は集まっていました。 「草原って何するのよー」 魔法使いさんはあんまり乗り気じゃないみたいです。 「虹でも見るんだろ。あそこはそれくらいしかないし」 武道かさんはそんな魔法使いさんを宥めてくれます。 |
姫乃唯 | 10/12 15:26:50 | 2191cfOvUDymuIeAM||714 | ||
私と戦士さんは歩き出した二人の後姿を見ながら、手を繋いで歩き出しました。 顔が熱くなって、手もあたたかくて、くらくらしちゃいそうです。 突然、ドサリ、と、音が、しました。 それは目の前を歩く魔法使いさんが倒れた音です。 前じゃなくて、後ろに。 躓いたのではなくて―――頭から、赤い血の流れる矢を突き出して。 「おー、命中命中。額のど真ん中だよ」 「当ったり前だろ、この俺が放ったんだぜ」 |
姫乃唯 | 10/12 15:27:1 | 2191cfOvUDymuIeAM||415 | ||
この人たちは、何を言っているのでしょう。 私の友達が、倒れているのに。 「あっ……」 「この野郎っ」 私が悲鳴を上げようとしたら、武道家さんが矢を放った男の人に殴りかかっていきました。 でも、その拳が男の人に届く前に――― 「あはは、無駄だって」 ボンッ |
姫乃唯 | 10/12 15:27:12 | 2191cfOvUDymuIeAM||319 | ||
女の人が何か聞こえない言葉を呟くと同時に、武道家さんの身体が、爆発しました。 「いやっ……」 振り返って、戦士さんと一緒に逃げるため、振り返ると――― 「逃……げ、て…………」 ―――振り返ると、左肩と下半身が分離した戦士さんが、真っ赤な血を流しながら、息も絶え絶えにそう言ってきました。 その後ろには、妖しく血に、赤く悲しく、濡れ光る剣を持った男の人が立っていました。 |
姫乃唯 | 10/12 15:27:24 | 2191cfOvUDymuIeAM||624 | ||
「早―――」 早く、と紡ぎたかったその言葉は、最後まで紡がれることがありませんでした。 剣を持った男の人が、右手を剣を逆手持ちに、左手は柄の尻に当て、左足で地面を踏ん張り、右足で戦士さんを押さえつけ……その切っ先を戦士さんの後頭部から地面までを、貫いたから………… 「あ、あ、あ…………いやあぁぁっ!」 私は泣き叫んで、無我夢中に走り出しました。 けれど――― |
姫乃唯 | 10/12 15:27:34 | 2191cfOvUDymuIeAM||617 | ||
「逃がさないって」 弓を持った男の人に両手を掴まれて足を払われ、転がされてしまいます。 「貴女僧侶でしょ? 高く売れるわ〜♪」 女の人が何をそんなに嬉しいのか、楽しそうに私を縛っていきます。 「……」 剣を持った男の人が無言で、剣の血を払い、鞘に納めています。 |
姫乃唯 | 10/12 15:27:45 | 2191cfOvUDymuIeAM||222 | ||
私は弓を持った男の人に担がれながら、振り仰ぎ、思い出して、思い馳(は)せます。 あの平和だった日々を。 何故こんなことが起こったのかを。 戦士さんたちはどうなったのかを。 |
姫乃唯 | 10/12 15:27:54 | 2191cfOvUDymuIeAM||867 | ||
願います。ただひたすらに。 あの、平和で、楽しくて、無邪気で、何も無かった。 それでも……それでも嬉しかったあの日を。 あの、白くて真白な、私たちを包んでくれたあの純白の塔を。 白い塔の中で過ごすあの世界に戻ることを。 願って、望んで、求めて、祈ります。 |
姫乃唯 | 10/12 15:29:6 | 2191cfOvUDymuIeAM||327 | ||
あの時、戦士さんを救ってくれなかった、神様に。 |
姫乃唯 | 10/12 15:43:36 | 2191cfOvUDymuIeAM||966 | ||
と、言うわけで。 初投稿と言うか初利用となりますこの芸術掲示板。 果たして使い方は正しいのかと思うと最悪な蔵間違ってそうな気がしなくもない今日この頃です。 |
姫乃唯 | 10/12 15:43:47 | 2191cfOvUDymuIeAM||255 | ||
それはさておき、お楽しみいただけたでしょ、う……まあ無理そうなので気分が落ち込んでいただけたのなら幸いです。 ゴメンナサイすみませんホント申し訳ありません許してください。 超暗いです。 前半頑張って砂噛む気持ちで吐く気持ちで必死に頑張った(繰り返しすぎ)ので反動が…… |
姫乃唯 | 10/12 15:44:8 | 2191cfOvUDymuIeAM||244 | ||
さて、お気づきの方もおられるでしょうが(そもそも読んだ人がいるのか?)、このお話は微妙に意味が分かりません(気付く気付かない以前の問題。というか誰でもそう思うから)。 その謎を解消させていただくために補足説明です。 |
姫乃唯 | 10/12 15:44:21 | 2191cfOvUDymuIeAM||586 | ||
このお話はそもそもプレイヤー側の話ではなく、チビファンにて登場する敵キャラのお話でした。 もうお分かりの方もいらっしゃいますでしょう。 舞台は白の塔です。最後あたりの「〜白い塔〜」は誤字ではなくわざとなのでお気になさらず。 登場するのは白の塔より僧侶、戦士、魔法使い、武道家のそれぞれLV10です。 まあプレイヤー側の弓使い(男)魔法使い(女)戦士(男)も出ていますが…… 当初の予定は何か悲しい系の物語だったのですが、結局黒いだけに。 表現って難しいですね。極力生々しいのは控えましたけど、それでも気分を害された方は大変申し訳ありません。 |
姫乃唯 | 10/12 15:44:25 | 2191cfOvUDymuIeAM||373 | ||
それでは、変で奇怪で黒くて重い微妙な文章をお届けして申し訳ありませんでした。 また今度利用させていただきたいと思っていますので、(読んだというかなりの猛者な方がおりましたら)今後ともお付き合いいただければ幸いです。 失礼致しました。 |
5円玉 | 10/12 22:52:10 | 2182cfRUvPz7oIbC.||23 | ||
いい話だなぁ |
姫乃唯 | 10/13 21:42:18 | 2191cfOvUDymuIeAM||785 | ||
いい話……そう来られましたかっ(汗) いい(加減な)話でしたね、アッハッハ……(しーん) いえ、どうも、呼んでいただいて誠にありがとうございます。 感想が聞けるとは思いませんでした。 |
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