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6895※小説※天里10/14 23:25:322191cfIHqTy8UPXEo
[DEVIL EYE]デビル・アイ「瞳に潜む悪魔」最終話です。
なんとか書ききることが出来ました。

天里10/14 23:26:402191cfIHqTy8UPXEo||344
 すぐに窓を開け放ち、鏡を投げつける。木に当たった鏡は粉々に
砕け散った。
――これで、すべてが終わった――
リリーは安堵して、その場に座り込む。
 鏡の割れた音を聞いた老婆が、部屋へやってきた。開け放った窓
の近くで座り込んでいるリリーに話しかける。
「よくやったね。お前だからこそ悪魔を退治できたのだよ。普通の
人間なら、赤ん坊の頃に死んでいる。いや、生まれることもできな
かっただろう」
リリーは、ゆっくり振り向いた。

天里10/14 23:27:502191cfIHqTy8UPXEo||260
「私は一体、何者なんですか?」
老婆は低く笑って言う。
「悪魔でないことは確かだね」
そして、静かに目を閉じて老婆は言った。
「どうやら、カールの命が助かったようだよ。早く行っておあげな
さい。一本道だから迷うことはないだろう。気をつけて帰りなさい」
「はい。ありがとうございました。また、改めてお礼に参ります」
リリーは、自宅へと続く森の細道を歩いていった。
 その後ろ姿を見て、老婆はつぶやく。
「光の天使。また会いましょう」

天里10/14 23:29:132191cfIHqTy8UPXEo||200
数時間歩き、リリーは家へと帰ってきた。             
 家の前には、一人の青年が立っている。それは、カールだった。
「カール!無事だったのね」
「リリー。やっぱり君は悪魔なんかじゃなかったんだ。僕には、ま
るで天使のように見えるよ」
眼帯をはずしたリリーの瞳は、美しいブルーグリーンだった。
「悪魔は退治したわ。ただ、カールのお父さんに話したいことがあ
るのだけど……」
「親父に?」
カールは不思議に思った。

天里10/14 23:30:262191cfIHqTy8UPXEo||853
「何の話しかわからないけど、俺も一緒に聞いていい?」
リリーは少し迷ったが、
「ええ。いいわ」
と言った。カールもそんなに弱い人間じゃない。きっと、本当のこ
とを知ったとしても大丈夫だろう。
 二人はカールの家へ向かった。
「おじさんは今、家にいるの?」
「ああ、もう帰っていると思うよ」
カールの家は、リリーの家からさほど離れていない。すぐに家に着
き、カールが玄関のドアを開けた。

天里10/14 23:31:432191cfIHqTy8UPXEo||960
 居間へと入っていくカールに、リリーはついて行った。
「親父、リリーが話したいって言ってるんだけど」
ソファーでくつろいでいたカールの父が、返事をする。
「カールか、おかえり。リリーとは誰だったかね」
カールの父はゆっくり振り向き、リリーの顔を見た。
「お前は、ローズの娘……」
「そうです」
「ローズにそっくりだ」
ローズとは、リリーの母親の名だ。カールの父は、昔を懐かしむよ
うに言う。

天里10/14 23:33:132191cfIHqTy8UPXEo||350
「ローズも、美しい娘だった。あんなことになって残念だったが」
「おじさんが、お母さんを殺したのよ」
カールと父は凍りついたように、しばらく何も言わなかった。
「何を言っているんだ?悪魔が殺したという噂はあるが、真相は誰
も知らないよ」
カールの父が、やっとそう言った。
「おじさんが、悪魔の実を持ってきたのよ。そしてお母さんに食べ
させた。そのせいで私は悪魔に乗り移られたのよ」
「そんなバカな。悪魔の実はただの言い伝えだ。私が君の母にあげ
たのは、ふつうの胡桃だった」

天里10/14 23:34:232191cfIHqTy8UPXEo||987
「いいえ。それは悪魔の実。悪魔がそう私に話したのよ」
「誰もそんな話しは信じないだろう」
「そうかもしれません。別にそれでもかまいません。誰からも信じ
てもらえないとしてもいいのです。真実を知っているのは、おじさ
んだけですから」
リリーは、静かに話していた。ただ、真実を話したかっただけだっ
た。
「では、さようなら。お邪魔しました」
リリーは、家を出て行く。カールは後を追った。
「リリー。今の話し本当なのか?」

天里10/14 23:35:502191cfIHqTy8UPXEo||607
「ええ。本当よ」
「親父を憎まないのか?」
「もう、終わったことだわ。それに私には、これからやらなければ
いけない事がたくさんあるの」
「やらなければならない事って、何?」
「取り戻すのよ。十六年間、悪魔と一緒にいて何も出来なかったん
だもの。ずっと暗闇の世界だったわ」
「そうだね。これからすべてが始まるんだ」
二人は歩きながら、顔を見合わせ微笑んだ。
 太陽の光が、まるですべてを祝福しているようだった。

天里10/14 23:36:592191cfIHqTy8UPXEo||829
【終わり】
やっと終わりました!
読んでくださった方、ありがとうございます。
これまでに感想などくださった方も、ありがとうございました。
期待はずれだったか期待通りだったのかはわかりませんが、
また感想などいただけたら嬉しいです。

スワロー10/14 23:54:436111cfyil7c1Ws9M.||12
 ☆   ☆            ☆   ☆
☆ ☆ ☆完結 おめでとうございます ☆ ☆ ☆
   ☆   ☆         ☆  ☆
 カールの父親を許せたリリーが何者か
 言わなくてもわかる気がします。
 幸福なラストシーンにホッとしました…。

シェイラ10/15 1:3:442202cfWyOu1LNCmDU||684
お疲れ様でした。最後がハッピーエンドでとっても嬉しかったです。いつまでも二人がお幸せなようにと祈るばかりです。それから、この間はプレッシャーをかけるような発言をしてしまいすいませんでした。楽しかったです。ありがとうございました。

雷木10/15 12:9:472021cfER1bBh1zyxU||10
お疲れ様でした^^ 微妙に、毎回この小説を覗き見していた雷木ですヽ(´∀`*)ノ
カールの父親を許すとは・・・
リリーは、本当に良い子ですね、

リリーには、明るい未来が待っていそうですね(・∀・)

天里10/15 15:51:542191cfIHqTy8UPXEo||117
ありがとうございます。
楽しく読んでいただけたようなので安心しました。
そして、もっと良い作品を書けるようになりたい、
勉強しなくてはいけないと思いました。
いろいろと前向きに考えることができたので良かったです。
ありがとうございました。感謝m(_ _)m感謝。

裕之11/5 16:10:126146cfbZ0p.fHWBDU||309
いい話だったです。なんか頭の中でこの話の世界が移ってとても面白かったです。


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