7235 | 風の唄―第9話― | 空華 | 11/26 21:31:39 | 2031cfugNPyUOK282 |
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空華 | 11/26 21:36:32 | 2031cfugNPyUOK282||966 | ||
動けなかった。私は、立ち竦んでいた。 男達を止めに入った大人の何人かが、叫び声を上げて後ずさっていた。 祠の前に、火の壁ができていた。 「リア……?」 フィナの泣きそうな声で、我に返った。 彼女はいつのまにか、私の腕にしがみつく様にしていた。 「フィナ?……どうしたの?」 「行かなくちゃ、ダメだよね。逃げちゃダメだよね?」 心なしか自分に言い聞かせる口調のフィナ。 その肩を慰める様に叩いて、私はフィナの手を引いた。 「……行こう。ごめんね、あたし、ぼうっとしちゃって」 |
空華 | 11/26 21:40:20 | 2031cfugNPyUOK282||514 | ||
ううん、と返答したフィナと一緒に、祠の前に駆け寄る。 火の壁で、中が見えない。 立ち止まった時、突然、フィナが震えた。 「怒ってる……。聖霊達、皆。どうしよう、暴走しちゃう。そしたら、大変なことになっちゃう。」 「フィナ……?」 棒立ちになったフィナに、私が呼びかける。 びく、と震えた彼女が、こちらを向いた。 今にも泣きそうな表情で。 どうしたの、と問いかけると、呟くような声の返答が返ってきた。 |
空華 | 11/26 21:51:44 | 2031cfugNPyUOK282||400 | ||
「風の聖霊達が、怒ってるの。声が散って、上手く聞き取れないよ。なんで…… 卵が、……散った?卵が、散った。まだ生まれてない風の聖霊が、……散ったって」 一瞬、何のことだかわからなかった。 必死に頭をめぐらせて、その言葉の意味に気が付いた。 「風の聖霊の卵が散った」 火の民達は、祠に入って行ったんだもの。 近くにいた男の人が、驚いた様にフィナを見た。 そして周りの人たちに、何かを伝え始めた。ざわめきが広がる。 火の壁を消せ、と誰かが叫んだ。 私はフィナをなだめながら、それを見ていた。 多分、無駄だと思う。何故ならもう、聖霊は怒っているのだから。 |
空華 | 11/26 21:56:3 | 2031cfugNPyUOK282||403 | ||
その時だった。 手や頬に、ぽつりと水滴が当たった。 ――雨が降り始めた。 私が、フィナが、みんなが、空を見上げた。 雨は一気に土砂降りになり、火を叩き消していく。 雨はすぐに止んだ。火は消えて、火の壁自体も弱くなっていた。 丘の遠くからの人影で、この雨が自然のものでないことを悟った。 人影は2つ。1つはレット。 もう1つは、 「お母さん……」 フィナのお母さん。水の聖霊。 2人は、こっちに駆け寄ってきた。 |
空華 | 11/26 21:57:54 | 2031cfugNPyUOK282||929 | ||
+後書き+ 今回も読んでいただき、ありがとうございました。 もうすぐ期末テストなので、しばらく書けなくなるかもしれません。 来週位には戻ってこられると思います。 読んでいられる方、しばらくお待ち下さい; |
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