7500 | 風の唄・第2部―第5話― | 空華 | 1/11 21:32:26 | 2031cfugNPyUOK282 |
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空華 | 1/11 21:40:38 | 2031cfugNPyUOK282||972 | ||
どのくらい時間が経ったんだろう。 部屋の中には、ぱらぱらと本をめくる音ばかりが響く。 その状態がずっと続いていて、ついつい別なことを考えてしまう。 ――ディウさん、聖霊なのに、手伝っていてくれて良い人だな。 これだけの本、いつになれば見つかるんだろう。 あー……、なんか、すごく眠い―― そこまで考えて、……ううん、むしろぼーっとしながら思っていたとき、不意に目が覚めた。 ばさばさっ、と本の落ちる音がして、我に返ったの。 見ると、慌てた様子のフィナが、私たちにすまなそうな目を向けつつ、本を拾い上げていた。 レットも、時折首を振ったりしているし。 みんな、疲れているんだ。 |
空華 | 1/11 21:47:42 | 2031cfugNPyUOK282||577 | ||
緊張した空気が長く続いたためだろうなあ。 その空気を大人2人、つまりディウさんと村長さんが察して、二人とも目を見交し合う。 そして、その2人は一旦本を置いた。 村長さんがみんなに言う。 「一度、休憩にしようかの。疲れたじゃろう?」 その言葉を合図にしたかのように、フィナとレットが大きく息をついた。 レットが大きく伸びをしている。 それを見つつ、私も本を置いた。首を回すと、音が鳴る。 村長さんが一度上に行って、お茶を入れてきてくれた。 中央に置かれたテーブルを、みんなで囲む。 |
空華 | 1/11 21:56:13 | 2031cfugNPyUOK282||584 | ||
「なー、これ、しんどい。もっと人集めるわけ、いかないんですかー?」 机に突っ伏したレットが、間延びした口調で問う。 口には出さないけど、私も同感だ。 いつ終わるのか、わからない。 ほんと、わからない。 村長さんは顔を曇らせる。 「それができれば良いのじゃが……。それには、草原のことも話さなければならぬ。 “風の丘”は、本当に一部の者しか知ってはならぬことなのじゃ」 だって。 でもなあ。 そんなこと言ってる場合じゃないんじゃないかなあ。 私の思ったことをレットやフィナも思ったのか、納得いかない表情。 |
空華 | 1/11 22:2:54 | 2031cfugNPyUOK282||569 | ||
私がそれを言うと、村長さんはしばらく黙る。 お茶を一口飲んで、私たちを見た。 「悪く思わずにいて欲しいのじゃが、 ……知る者が増えれば、今回のようなことの起きる可能性も増えるのじゃ。 それを考えると、村の者を集める気が進まなくての……」 そう言って、村長さんはうつむく。 村の人を疑わなきゃいけないって言うのが、辛いんだろうなって思う。 「でも、私のお母さんとかはいいでしょう?」 そう言ったのはフィナだ。 フィナのお母さん、つまり水の聖霊。 あの人なら、心配無いだろうな、と私も思う。 村長さんも、頷いた。 |
空華 | 1/11 22:9:13 | 2031cfugNPyUOK282||4 | ||
お母さんを呼びに行ったフィナとディウさんを除いての、3人での本探しが再開された。 本を手にしては、ぱらぱらとめくっていく。 ほんと、たくさんある。 昔の英雄の物語を書いた何冊もの本、この島の成り立ちを書いた薄い本……。 フィナたちが帰ってきて、数は5人になる。 誰も、何も言わない。 数十分が経った、その時。 私の、本の表紙を辿る指が、ぴたりと止まった。 目が、そこに釘付けになる。 『聖霊』 たったそれだけの書かれた、表紙。 私はその目次に目を走らせて、そしてページを開く。 私は、声に出して呟いていた。 「あった……」 |
空華 | 1/11 22:12:5 | 2031cfugNPyUOK282||124 | ||
+後書き+ 頑張って書いているつもりです。 この先の見通しは、一応(本当に一応)たっています。 できるだけ早めに続きを書きたいと思っています。 読んでいただき、ありがとうございました。 |
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