戻る
7528セイクリッド・ブルー第二部(2)istint1/17 12:24:442182cf0u.QaJTWxYk
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-7434.html 第一部(1〜12話)
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-7486.html 第二部(1話)

istint1/17 12:25:252182cf0u.QaJTWxYk||187
ここは荒野、逃げる事も隠れる事も出来ない。
砂煙に紛れて、キラキラと傭兵達の鎧が輝いている。
それは徐々にだが確実にこちらに近づいていた。

istint1/17 12:25:452182cf0u.QaJTWxYk||677
「もう私達の事、気付かれてるのかしら。」
ニナが不安そうに尋ねた。

istint1/17 12:26:22182cf0u.QaJTWxYk||73
「気付かれてるにしろ、無いにしろ、このままだと顔をあわせることになるな。
 30人くらいだな。
 伏兵はいなさそうだからただの傭兵団なら俺とルヴィンでどうにでも出来る数だ。
 …ただの傭兵ならな。」
レンティーニは矢を取り出し、弓につがえていた。
ルヴィンも腰の剣に手を掛けている。

istint1/17 12:26:222182cf0u.QaJTWxYk||454
死ぬかもしれない戦いを前ににルヴィンの鼓動は高鳴る。
今までも何度も死線を乗り越えてきた。
あの夢を見るたび剣を振るう事に昂ぶりを感じ、体中の感覚がルヴィンの奥底から研ぎ澄まされていくのだった。
ルヴィンは自分が抑えきれない殺気に飲み込まれそうで怖くなる。
しかしその感覚に身を任せ、剣を振るう事は心地よくもあるのだった。

istint1/17 12:26:332182cf0u.QaJTWxYk||57

istint1/17 12:26:492182cf0u.QaJTWxYk||851
聖蒼教団の傭兵団は城下でテロが起こった事を聞いて砂埃を上げ、早馬を走らせていた。
騎士たちは全身鎧兜に身を包み、陽光を浴びてキラキラ輝いていた。

istint1/17 12:27:172182cf0u.QaJTWxYk||276
騎士たちの中に一際目立つ、プラチナに輝く鎧に身を包んだ者がいる。
その騎士は鎧の上から豪華なつくりの裏地が蒼色のマントを被っていた。
マントには毛皮があしらわれており、胸元は大きなブローチで留められていた。
口元には白いひげが蓄えられておりそれが彼の威厳を一層引き立たせていた。
そして彼の隣には鉄仮面で顔を隠し、灰色の鎧に身を包んだ騎士が一人、彼を守るように併走していた。

istint1/17 12:27:282182cf0u.QaJTWxYk||766
突如、先頭を走っていた騎士が叫んだ。
「前方に旅人らしき人影が見えるぞ!」

istint1/17 12:27:562182cf0u.QaJTWxYk||762
灰色の騎士がマントの騎士をチラッと見遣った。
マントの騎士はそれに気付いてか口を開いた。
「気になるか?フフ…
 ワシも同じ考えだ。」

istint1/17 12:28:82182cf0u.QaJTWxYk||643
その言葉を聞くと灰色の騎士が大声で騎士たちに命令した。
「旅人達は我々が保護し、城下に連行する!
 一人も逃すな!」

istint1/17 12:28:122182cf0u.QaJTWxYk||562

istint1/17 12:28:272182cf0u.QaJTWxYk||293
レンティーニはフウッとため息をついた。
「気付かれているらしいな…奴らの陣形が変わった。」

istint1/17 12:28:422182cf0u.QaJTWxYk||379
ニナが不安げに言葉を漏らした。
「でもレンティーニ、私達がただの旅人を装えば争わなくて済むんじゃないかしら?」
ルヴィンも同じ考えだった。
事件からまだそう時間は経っていない。

istint1/17 12:29:22182cf0u.QaJTWxYk||873
だがレンティーニの考えは違った。
彼はかつてダークエルフの軍を率い、闇の軍と戦った最後の王。
幾たびの戦闘の末、全てを失ったが闇ソーサラーの一人を討ち取った事もある。
世界最高の剣士であると共に、軍師でもあったのだ。

istint1/17 12:29:152182cf0u.QaJTWxYk||632
「剣の腕は立ってもまだまだ経験不足だな、ルヴィン。
 戦に勝つにはまず相手を知ることだ。
 聖蒼教団はそんなに甘い組織じゃない。
 疑わしきものは罰するのが奴らのやり方だ。
 城下の方向から向かってきている、それだけで奴らが疑う理由は充分だ。」
そういうとレンティーニは全身に魔力の糸を張り巡らせた。

istint1/17 12:29:192182cf0u.QaJTWxYk||616

istint1/17 12:29:422182cf0u.QaJTWxYk||725
ついに三人は傭兵団と遭遇してしまった。
騎士の一人が前に出た。
「貴様らにはテロの容疑がかかってる。
 このまま我々と城下まで同行してもらおう。」

istint1/17 12:30:02182cf0u.QaJTWxYk||559
ルヴィンは剣を抜こうとしたがレンティーニに制された。
「この部隊の責任者と話がしたい。
 お前は三下だろう?」
レンティーニの挑発に騎士は顔を紅潮させた。

istint1/17 12:30:92182cf0u.QaJTWxYk||757
「我が軍の責任者だと!?
 貴様らのような者では顔をあわせるには身分が違いすぎるわ!」
その後も暫らく騎士は興奮して三人に罵声を浴びせかけた。

istint1/17 12:30:352182cf0u.QaJTWxYk||937
「フン、その様子だとこの部隊の責任者はよっぽどのお偉いさんらしいな。
 普通の軍団長ではなさそうだ。」
その言葉を聞いて怒鳴り散らしている騎士と一緒に来た少し年配の騎士が答えた。
「そうだ。
 ただの軍団長ではない。
 どの道連れて来いと言われている。
 会って命乞いをするがいい。」

istint1/17 12:31:92182cf0u.QaJTWxYk||87
そして三人は騎士たちの注視の中を進んで行き、豪華なプラチナの鎧を着た騎士の前に通された。
騎士は無言だったがルヴィンにもただならぬ威圧感が感じ取れた。
横には鉄仮面で顔を隠した灰色の騎士もいる。
騎士は三人を睨み渡すと白い顎鬚を撫でながら重々しく口を開いた。

istint1/17 12:31:302182cf0u.QaJTWxYk||475
「我が栄えある聖蒼教団の陣営にようこそ、テロリスト諸君。
 かの有名な黒騎士殿を招待できるとは光栄だ。
 ワシは栄光の聖蒼教団騎士団の五聖将軍の一人、ソロネだ。
 ああ、逃げ出そうなどとバカな考えは起こさん事だ。
 ワシはバルガスの愚か者のように甘くは無いからな。」

istint1/17 12:31:512182cf0u.QaJTWxYk||553
ソロネはバルガスのように身体も大きくなく、話し方も穏やかだったがその男から発せられるプレッシャーはバルガスの比ではなかった。
じっと彼を凝視しているルヴィンの視線に気付いてか、ソロネがルヴィンを見た。
すると一瞬だが何か思い出すような表情を見せ、くるっと踵を返した。
「その者達を連れて行け。
 テントに見張りを立てるのを忘れるな。」

istint1/17 12:32:132182cf0u.QaJTWxYk||703
ルヴィンは以前レンティーニから聖蒼教団の事を聞いたことがあった。
五聖将軍はバルガス達軍団長よりもさらに上の教団最高の幹部だ。
まさかこんなとこで出会うなんて…!

istint1/17 12:32:222182cf0u.QaJTWxYk||951
ソロネが続けた。
「ああ、それから…その者たちの荷物を預かれ。
 ブラックウルフは縄をつけて暴れんようにしろ。」
騎士達がルヴィンたちに近づいてきた。
「その剣を預かろうか。」

istint1/17 12:33:62182cf0u.QaJTWxYk||242

istint1/17 12:33:242182cf0u.QaJTWxYk||358
騎士達は夜になるとテントを張り始めた。
三人は数人の騎士達に囲まれたテントの中に放り込まれた。
ルヴィンは納得のいかない様子でレンティーニに尋ねた。
「なんで抵抗もしないで捕まっちゃうんだよ!
 このまま城下に連れてかれたら処刑されちゃうんだぞ!」

istint1/17 12:33:362182cf0u.QaJTWxYk||9
レンティーニは落ち着いた様子で横になっていた。
「少し静かにしろ、ルヴィン。
 今なら食料も水も与えられている。
 ニナを休ませるいい機会だ。
 お前も少し休んだらどうだ。」

istint1/17 12:33:542182cf0u.QaJTWxYk||441
ニナは少し体力を取り戻した様子だった。
「ごめんなさい、私のせいで…。
 あなた達だけなら楽に逃げられたかもしれないのに。」
ゴロっとレンティーニはニナの方に寝返りを打った。
「謝る事はない。
 あの状況なら俺達二人だけだったとしても捕らえられていただろう。
 バカな子供はソロネの前で暴れようとしていたらしいがな。」

istint1/17 12:34:92182cf0u.QaJTWxYk||351
その言葉にルヴィンはムッとした。
「でも今は武器も無いのにどうしろっていうんだよ。
 あいつらが油断している隙に逃げ出せたかもしれないじゃないか!」

istint1/17 12:34:242182cf0u.QaJTWxYk||637
レンティーニはルヴィンを睨みつけた。
「油断?油断だと?
 お前、五聖将軍が油断などするものか。
 それに敵はソロネだけじゃない。
 そのすぐ隣にいた灰色の男、あいつはただものじゃない。
 お前も恐怖として感じていたはずだ。」

istint1/17 12:34:392182cf0u.QaJTWxYk||285
ルヴィンはレンティーニに図星を差され何も言い返せなかった。
「心配するな、今夜中に逃げ出すぞ。
 そのためにニナを休ませたんだ。
 今は武器が無い。二ナの魔法だけが頼りだ。
 そういうわけでニナ、少し手伝ってもらうぞ。」
ニナはレンティーニの目を真っ直ぐ見つめ、頷いた。

istint1/17 12:35:342182cf0u.QaJTWxYk||924
今回はここまでです。
次回をお楽しみにー

シェイラ1/17 15:21:422111cf.JCmFWb830M||332
いつもいつも、展開に驚かされています。長い作品を書くのに良く普通の人なら中だるみになってしまいがちだと思うんですが、全然たるむどころかもっとテンポが良くなってきていると思います。応援してます!

istint1/17 15:34:192182cf0u.QaJTWxYk||855
シェイラさん、早速感想ありがとうございますー!
中だるみなどとんでもない!
読者の方を飽きさせないよう精進しなければ。
長くなりそうですがこれからも宜しくです。


本文(<>," shift+7使用不可)
 ※メルアドや電話番号を公表してはいけません、荒らしを批判するのは「俺が神掲示板」以外は禁止!
 
特殊文字 by.チビファンタジー 過去ログ
無料ゲーム総合サイト: おもしろフラッシュ総合サイト: PS2:GBA:PSP:NDS:GC:XBOX